オーバーロード ~集う至高の御方~   作:辰の巣はせが

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第95話

 その日、ナザリック地下大墳墓の代表者たるモモンガ(異形種化中)は、自室の執務机で書類に目を通していた。その隣には守護者統括アルベドが立ち、腰の黒翼をパタつかせている。本当なら、アルベドにも机を用意して座らせたいのだが、アルベドから、「何を仰いますか! ……ふう……。アインズ様の傍らで立つのは……ふう……、守護者統括の誉れです!」と、精神の停滞化を挟みつつ言い張られ、最終的にはタブラの「好きにさせてあげればいいんじゃないですか? ぷぷっ」という、朗らかな口調の裏切りを受けたことで、モモンガは了承せざるを得なかった。

 

(タブラさんも、タブラさんだよ。娘さんを立たせっぱなしで良いって、それってどうなの!? おかげで、何と言うか……プレッシャーを感じるし! それがタブラさんの狙いだと思うし!)

 

 すでにアルベドとは交際中なのだから、悪く感じるプレッシャーではない。だが、執務机に座っている間、ずっと恋人の視線を向けられるというのは、正直言って仕事に集中できない。むず痒い、あるいは照れ臭いのだ。

 

(なんか、こう……視姦……ではなくて、愛でられてる感覚が……)

 

 一方的に愛でられているのも落ち着かないので、座ったまま目の端でアルベドを見ると……骸骨とサキュバスの視線が合う。アルベドが……少し照れたように微笑んだ。

 ……。

 ……。

 ……。

 

(いかーーーん! 見つめ合ったまま、時間だけが過ぎていくじゃないか!)

 

 完全に仕事の手が止まったモモンガは、自分を叱咤して手元の書類に目を向けた。

 今、内容を確認している書類は、旅行命令簿。ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』のギルメンは、ナザリック地下大墳墓の近隣……カルネ村までは、簡易な外出承認簿で出かけられる。外出承認については、外出する者以外一人のギルメンの了承とモモンガへの<伝言(メッセージ)>があれば良い。カルネ村より遠くへ出かける際に必要なのが、今回の旅行命令簿だ。こちらはギルメン五人以上の供覧と、モモンガの決裁が必要となる。ただし、急な用件の場合は、外出であろうと旅行であろうと、モモンガへの<伝言(メッセージ)>で足りるのだ。

 

(俺で足りると言うか、俺の責任が重いってことなんだけどな~……)

 

 溜息をつきつつ旅行命令簿の内容に目を通すと、申請者はペロロンチーノで、同行するのがシャルティアとなっている。行き先はトブの大森林の奥を通って、少し北の方まで。そこまでは良かったのだが、『旅行目的』の項に記載された内容で、モモンガの目が止まった。

 

「エロモンスターの生息地探索……だと?」 

 

 ユグドラシル時代、ペロロンチーノは他のギルメンを誘うなどして、エロ(ペロロンチーノが思うところの『エロ』であって、18禁要素はない)モンスターを狩りに行ったことがある。それを、この転移後世界でもやりたいのだろうが……。

 

(文書に書いてまでして、やることかぁ? 今のギルド『アインズ・ウール・ゴウン』は実質、王国の上位組織だから、公文書って言って良いくらいなのに……)

 

 ちなみに、ナザリック地下大墳墓における文書事務規定で、旅行命令簿の保存期間は五年間となっている。この辺りの規定や規則は、タブラやぷにっと萌えが考案し、ギルメン会議で定められたものだ。当初は、「堅苦しすぎないか?」といった声もあがったが、各ギルメンの外出や目的について情報共有しやすいので、そのまま規定を運用している。もっとも、急ぎの場合は、モモンガや他のギルメンに<伝言(メッセージ)>すれば良いのは前述したとおりなので、書類申請は事後になることもある。

 そして、今回のペロロンチーノの旅行命令簿にある目的……エロモンスターの生息地探索といった、あまり褒められた内容でない申請は、ギルメンの誰かがストップをかけるものだが……。

 

(茶釜さんとかがね~。……しかし、供覧の押印欄に押印してるのは、弐式さんと、建御雷さんと、ヘロヘロさんと、メコン川さんと、ブルー・プラネットさんか……。ペロロンチーノさん、すぐに了承してくれそうな人のところばかり回って、わざと茶釜さんに見せてないみたいだな……)

 

 旅行命令簿の押印欄。その上部欄外に、建御雷などの名が(おそらくはペロロンチーノの筆跡で)書き込まれている。

 これを見たモモンガは、自分の推測に自信を持った。あらかじめ押印箇所の付近に自分の名前が書いてあれば、書類を見せられたギルメンは押印しやすくなるだろう。

 よほど、姉の茶釜には内緒で行動したいのだろうが、そうは問屋が卸さない。

 決裁権者たるギルド長……モモンガは、ぶくぶく茶釜と交際中なのである。

 

(巻き添えで叱られるのは嫌だしぃ~。と言うか、やっぱり五人とかじゃなくて、全員に回す方式の方がいいのかな~。でも、人数が増えると……将来的に最大で四一人の供覧が必要になるし……)

 

 ユグドラシル時代は、メール本文に平打ちでギルメンの了承を取っていたものだが、異世界転移して現実の中で行動するとなると、やはり正式な書類決裁が必要となる。

 

(書類に押印すると、決定した内容に責任を持つことになるし~。でも、最大で四一人か~……)

 

 もうちょっと、タブラやぷにっと萌えと調整した方が良いのかもしれない。

 

(超重要案件で全員、重要案件で半数、通常案件で一〇人、簡易決裁で五人……みたいな感じ? 通常と簡易の押印者は、前に話してたみたいに当番制とか……。こんな感じで、必要なギルメンの押印数を減らす~……みたいな?)

 

 そう思いながらモモンガは羽根ペンを手に取り、サラサラと欄外に書き込んでから自分の印鑑で押印した。決裁権者による押印が完了したので、これにて旅行命令簿の決裁は完了である。

 

「ただし、ぶくぶく茶釜の押印付き了承を得ることを条件とする……と。これで良し……」

 

 かなりの確率で、茶釜の駄目出しをくらうのだろうが、そこはペロロンチーノがきちんと説明して、姉の茶釜を説得できれば良いのだ。モモンガは満足げに頷き、ペロロンチーノの旅行命令簿を決裁済み書類用の卓上カゴに入れる。

 そして、一息つくべく天井を見上げた。

 天上で蠢く護衛の八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)らを視線で労いつつ、モモンガは思う。

 

(異世界転移しても書類仕事に追われるか~……たまんないな~……。でも、死の支配者(オーバーロード)の身体だと疲労は感じないから便利だよな~……。……異形種化したままだと、どんどん思考が人間から遠ざかるんだけど!)

 

 モモンガ達は、その種族特性によって程度が変動するが、異形種化してるときは完全に、人化しても暫くすると人間種に対する同族意識がなくなる。人化時に、まだしも踏ん張れているのは、モモンガ達プレイヤーが、元々が人間だからだろう。それに、常時装備している精神安定化のアイテムも大いに役立っている。

 

(俺はアンデッドだから、元からある精神安定化とのやりくりが面倒……いや、有効な部分もあるけど。他のギルメンらと合流できてる以上、頭の中まで混じりっけなしの異形種になるのは避けたいものな~……)

 

 ユグドラシル時代は、格好良いと思って種族選択をし、後期には自分なりに極めていたと自負する死の支配者(オーバーロード)。だが、それはあくまでゲームだからであって、身も心も異形になりたいと思ったことは一度もない。

 ユグドラシル時代と同様、皆と楽しくやりたいのなら、やはり人の心はキープしておくべきだろう。

 と、モモンガが物思いにふけっていると、<伝言(メッセージ)>の糸が伸びてきた。

 モモンガは座ったまま背筋を伸ばすと、右手指をこめかみに当てる。

 

「アインズだが?」

 

『ああ! モモンガさん! 俺です! ヘロヘロです! 今、聖王国へ向かってる途中で、もうすぐ到着だったんですけど!』

 

 <伝言(メッセージ)>の相手はヘロヘロだった。声が上擦っているので、緊急事態であることは理解できる。手に負えない敵対生物でも出たか……。それとも……もしや……。

 

「ヘロヘロさん? 何があったんですか?」

 

『そ、そうだ! 改良型の遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモートビューイング)があったでしょ!? ぷにっと萌えさんのアイデアが入った最新型! あれを出してください! こっちでも出しますから!』

 

「え? ええ、今出します。ヘロヘロさんの方から発信でいいですか? 俺の機体のアドレスは登録してありますよね?」 

 

 遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモートビューイング)は、ユグドラシル時代では微妙なアイテムだった。それが重要アイテム化したのは、異世界転移してからのことで、周辺の地形や、地表付近の情景を観察できる機能が有用だったからだ。もっとも、音声を通さない仕様はユグドラシル時代のままだったので、映像の現地に口の利ける下僕を配置して、会話内容を<伝言(メッセージ)>で口頭伝達するという、工夫を凝らす必要があった。だが、タブラや他のギルメンによる、課金アイテムを投入した改造により、今では二台あれば相互で会話が可能な状態にまで機能が向上している。

 

「……よっと……」

 

 アイテムボックスから<遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモートビューイング)>を取り出し、モモンガは執務机の前方数メートルの場所に設置した。最初は何も映っていなかったが、すぐにヘロヘロからの受信を受け……映像が表示される。

 映し出されたのは何処かの一室で、手前右に古き漆黒の粘体(エルダー・ブラック・ウーズ)……ヘロヘロが、その左側に、いつもの忍服姿の弐式炎雷が映っており、二人の背後……画面の奥には扉の無い入口が見えていた。総じて石造りであり、宿泊機能のあるユグドラシル・アイテムにしては貧相、転移後世界の宿部屋にしては頑丈さが過ぎるようだが……。

 

「ヘロヘロさん? そこは何処かの……砦か何かですか?」

 

『ええ、近くに廃砦があって……と言っても、弐式さんの分身体が発見したので、街道からは離れ……いや、それよりも報告です!』

 

 モモンガとヘロヘロは<伝言(メッセージ)>を既に切っており、今は遠隔視の鏡越しで会話している。

 

『たっち・みーさんとウルベルト・アレイン・オードルさん! お二人を発見して、合流できたんですよ!』

 

「えっ? えええええええええええええええっ!?」

 

 モモンガは立ち上がった。

 

「……ふう……」

 

 そして、喜びのあまり精神の安定化が発生したので、しおしおと着席する。 

 

「くそ~……このことを予見して、会話途中で人化しなかったとは……。馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿、俺の馬鹿!」

 

 以前やったように人化してやり直したいが、今は報告を聞くのが先だ。

 何しろ、たっち・みーとウルベルトの帰還報告なのだから。

 

「そ、それで? ヘロヘロさん! お二人は無事なんですか!? 怪我とかしていません?」

 

 多少の怪我はポーションでどうとでもなるが、そこを忘れているあたり、モモンガの動揺の大きさがヘロヘロには理解できる。

 

(モモンガさんは、お二人のファンですしね~……)

 

 ヘロヘロは敢えて指摘しないようにしたらしく、話を続けた。

 

『怪我は……してたんですけど、ポーションで治しました。今は、すぐ隣の部屋で待機して貰ってます。で、あの二人を呼ぶ前に、弐式さんから発見したときの状況を聞いてください』

 

 ヘロヘロが言い終わると同時に、向かって左側の弐式が一歩前に出る。

 

『俺の分身体が、街道向こうから歩いてくるたっちさん達を見つけましてね。それで、何と言うか……本体の俺が見つけたときには、二人で取っ組み合いの喧嘩をしてて……』

 

「うぉう……」

 

 モモンガの骨しか見えない喉から呻き声が出た。結構な低音である。

 たっちやウルベルトがユグドラシルを引退する前、よく喧嘩していたことを思い出し、あの頃の胃痛を感じたのだ。当時は、他のギルメンらの耳目がある中、モモンガは必死に喧嘩を仲裁していたものである。

 

「ぐぬぬ……」

 

 発見報告による喜びが萎えかけたが、モモンガは気合いと根性で己を奮い立たせた。

 

「で、でも! 今は落ち着いているんですよね? 弐式さん?」

 

『喧嘩してる二人に、俺とヘロヘロさんで飛び込むのは怖かっ……まあ、それはいいか。ええ、落ち着いてますよ? ただねぇ、モモンガさん。今のたっちさ……』

 

 

◇◇◇◇

 

 

「また、そういう事を言いますか! いい加減にしないと成敗しますよ!」

 

「何いきなり怒ってんだ? って、抜きやがったな!? やろうってのか! 鬱野郎!」

 

 

◇◇◇◇

 

 

 突如聞こえてきた声に、画面内のヘロヘロと弐式は肩越しで通路側を振り返る。

 ヘロヘロは異形種化中なので肩は無いが、見えてる部分が時計回りで回っているので、やはり振り返っているのだろう。

 

『また、始まりましたか~……。困りますね~……』

 

『ヘロヘロさん。今のたっちさん、すぐに黙り込む感じだから……。ここは放っておいて大丈夫なんじゃ……』

 

 幾分、うんざりした様子のヘロヘロに、弐式があまり聞いたことのない不安そうな声を出している。

 

(今のたっちさん? ウルベルトさんに問題はないのか? いや、喧嘩はしてるんだけど……。すぐ黙り込むって、たっちさんに何かあったんだろうか? あと、鬱って何!?)

 

 モモンガが混乱している間にも、聞こえてくるたっちとウルベルトの喧嘩は続いた。

 

 

◇◇◇◇

 

 

『ああっ! 剣が折れた!?』 

 

『ふはははは! アイテムボックスで腐ってたようなナマクラで、私に勝てると思いましたか? 大間違いなんですよ!』

 

『ぐぬぬ! 剣が無くても戦えるんですからね! くらえ! 騎士(ライダー)チョップ! チョップ! チョップ!』

 

『あっ、(いた)っ! ぐはっ! こらっ! 割とマジで痛いから止めろ!』 

 

『ふふふっ! 騎士でライダー読みはどうかと思いましたが、騎乗するつながりだし、構わないでしょう!』

 

『んなこと聞いてねぇ! つか、人が優しくしてたら、つけあがりやがって! もう容赦しねぇぞ! この、エッチ・スケッチ・ワンたっちーっ!』

 

『よくわからない罵倒は止めて貰いましょうか! それに、私はエッチじゃないです!』

 

 

◇◇◇◇

 

 

 通路から伝わる声は、姿こそ見えないものの、本格的な取っ組み合いが始まる寸前であることが理解できる。と言うより、ウルベルトがたっちによって殴打されているようだ。モモンガは、白骨剥き出しの額を汗が流れ落ちる……ような感覚を覚えた。

 画面に映る弐式も、心配そうに背後の通路を見ていたが、すぐにヘロヘロと共に向き直っている。

 

『モモンガさん。たっちさんねぇ、今は元気そうなんだけど……。何か悩んでるみたいで、たまにブツンと無気力になったり、妙に喧嘩っ早くなるんですよ! ウルベルトさんもチラッと言ってましたけど、躁鬱的な……いや、そうだ、これって発狂してるんじゃないですかぁ!? たっちさんが!』

 

 言ってるうちに気がついた。

 そんな様子の弐式が声を裏返らせたが、その一方で、聞こえてくる言い争いの声は激しさを増している。

 

 

◇◇◇◇

 

 

『さあ、次の技は……これです! とぉおおお! 騎士(ライッダァアアア)キィィィック!』

 

『おわぁああああああ!?』

 

 ズガーーーン!!

 

『チッ! よく躱しましたね!』

 

『信じらんねぇ! このバッタ、真上へ跳んだのに跳び蹴りを当ててきやがった!?』

 

『ふふふっ! 原初の騎士(ライダー)キックとは、そういうものなんですよ!』

 

 

◇◇◇◇

 

 

『屋内で真上に跳んで、跳び蹴りを当てる? 物理的に不可能でしょ?』

 

『俺もそう思うけど……たっちさんなら、やりかねねぇ……。てか、ヘロヘロさん。俺、ちょっと行って止めてくるわ……』

 

 さすがに放置できなくなったのか、弐式がヘロヘロに一言断り、モモンガに背を向けて歩き出す。そのまま弐式は、画面奥の出入口から通路……左の方へと姿を消した。

 

「ヘロヘロさん。弐式さんは一人で大丈夫なんですか?」

 

『うう~ん。二人で行って、二人纏めて畳まれることを考えると……。まずは、一人の方が……』

 

 困り顔のヘロヘロが、モモンガの質問に答えようとする。

 そこへ、弐式がたっち達に話しかける声が聞こえてきた。

 

 

◇◇◇◇

 

 

『なあ、二人とも。今、モモンガさんと連絡がついてるからさぁ……』

 

『『弐式さんは引っ込んでてください!』』

 

 ズガボーーーーン!

 

『グワーーーーーッ!?』

 

 

◇◇◇◇

 

 

『グワーーーーーッ!?』

 

 モモンガが見ている遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモートビューイング)。その画面奥には扉のない出入口があり、通路が見えている。そこを左から右に……吹き飛ばされた弐式が一瞬映って消えて行った。

 

『「に、弐式さぁああああん!?」』

 

 モモンガとヘロヘロは同時に叫んだが、入口付近の天井寄りにサムズアップする弐式の胸像が浮かんで消えたことで、二人は顔を見合わせる。

 

『今の、幻覚じゃなくてハッキリ見えましたよね?』

 

「また弐式さんの忍者アイテムですか? 思ったより余裕ある……のかな?」

 

 本当のところは後で弐式本人に聞くとして、今大事なことは、たっち達の喧嘩を止めることだ。いち早く我に返ったヘロヘロが、遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモートビューイング)にかぶりつきとなって、モモンガに呼びかける。

 

『とにかく! もう俺達じゃ無理です! モモンガさん! 早く来て!』 

 

「わ、わかりました!」

 

 遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモートビューイング)同士は通信中は同期しているため、<転移門(ゲート)>の座標指定にリンクできるよう調整されているのだ。このことで、映っている場所へ転移するのが容易になっている。 

 席を立ったモモンガは、建御雷らの手による強化版レプリカ『スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』を取り出すと、心配そうにしているアルベドに指示を出した。

 

「アルベド! 今すぐに完全武装は可能か?」

 

「はい! タブラ様と建御雷様に調整して頂きましたので、瞬時に装着可能です!」 

 

 アルベドは知謀の面で優れているが、戦闘面では守備力を重視して創造されている。

 最悪、たっちとウルベルトの戦い……もとい、喧嘩に割り込むことになるので、弐式のようになりたくなければ、アルベドの防御力を頼るべきだ。

 

「良し! では、たっちさんとウルベルトさんを止めに行くぞ! すまんが、アルベドを頼ることになるかもしれん!」

 

「アインズ様が(わたくし)を頼りに!? ……ぐ、ぐわんばりまっ……頑張ります。どうぞ、固き壁としてお頼りください」

 

 精神の停滞化が発生したらしい。上気したアルベドの顔が一瞬で平坦なものとなり、涼やかな声と共に一礼する。

 

「苦労させるな……。俺のせいで……」

 

 もう何度思ったかわからない。

 異世界転移の直前、モモンガがアルベドに対して行った設定改変。

 『ちなみにビッチである』を『モモンガを』に書き換えたことで、アルベドはモモンガについて強く何かを考えた瞬間、思考目的を喪失して思考自体が停止するようになってしまった。アルベドに言わせれば、冷静に物事が考えられるようになったので重宝しているそうなのだが、モモンガにしてみれば罪悪感の象徴でしかない。

 だが、そんなモモンガの思いを知るアルベドは、軽く微笑んで首を横に振った。

 

「アイン……モモンガ様の『せい』で、今の(わたくし)は幸せなのですから……。もう良いではありませんか。さあ、ヘロヘロ様達がお待ちですよ! それに、たっち・みー様と、ウルベルト・アレイン・オードル様も!」

 

「そ、そうか、そうだな! 行くぞ、アルベド! <転移門(ゲート)>、オープン!」

 

 恋人の言葉で目を見開かされたモモンガは、そのアルベドの手を取ると……一瞬で頬を紅潮させた彼女を連れ、<転移門(ゲート)>の暗黒環へと身を躍らせるのだった。

 

 

◇◇◇◇

 

 

 そして、現在。

 聖王国北部領から、北東へ進むこと約三〇キロ。

 街道を少し離れた場所にある廃砦の一室で、モモンガは、全身甲冑を着込んだアルベドと共に立っていた。右隣には弐式が居て、左側には古き漆黒の粘体(エルダー・ブラック・ウーズ)状態のヘロヘロが居る。アルベドは、少し後方で待機状態だ。

 たっち・みーとウルベルトに関しては、異形種化したまま、モモンガの眼前で並んで正座中。モモンガから見て、右前にウルベルト、左前にたっちが座っている。

 先程の喧嘩の最中(さなか)、<転移門(ゲート)>で駆けつけたモモンガが「いい加減に喧嘩を止めてください! 弐式さんが怪我してるでしょ!」と叫んだ(実際には、かすり傷も負っていない)ところ、「仕方のないことなんです! この山羊が!」とか「止めないでくれ! モモンガさん! このバッタが!」と言って、二人は聞く耳を持たなかった。そのため、モモンガは威力を減衰させた<火球(ファイアボール)>を放って止める羽目になったのである。

 せっかく待ち望んだ二人との合流なのに、なぜ攻撃魔法を放たなければならないのか。

 

「まったくもう! 信じられませんよ! 二人とも! 再会の感動が台無しです!」

 

 死の支配者(オーバーロード)のまま、モモンガがプリプリ怒っている。

 これに対し、正座を続けるたっちとウルベルトは顔を見合わせ、すぐさま二人でモモンガを宥めだした。

 

「いや、あの、違うんだ、モモンガさん! 聞いてくれ! 俺は悪くないんだが、このたっちが……」

 

「私のせいにするの、やめて貰えます? さっきのはウルベルトさんが……」

 

 宥めると言うより、言い訳攻勢である。

 ヘロヘロと弐式が「こんな時だけ息がぴったりですね~」「俺を吹っ飛ばしたときも息が合ってましたっけ。忍者受け身で無傷でしたけど」と呟き合っており、それが耳に入ったウルベルトはスルーしたが、たっちの方はトーンダウンした。

 

「どうせ、どうせ、俺が悪いんですよ。全部、俺が……」

 

 たっちは、随分と落ち込んでいるようだ。正座したまま項垂れ、ブツブツと呟いている。これには両の拳を上下させて説教していたモモンガも、その動きを止めてたっちに見入ってしまった。それは、弐式やヘロヘロも同じで、自己弁護していたウルベルトに到っては、隣のたっちと、目の前で立つモモンガを上下斜めのラインで視線移動している。

 

「あの、ウルベルトさん? 昔……ユグドラシルで見かけた二人の喧嘩とは、雰囲気が違うようですが……。さっきの喧嘩の発端は何だったんですか?」

 

「えっ? あ、ああ……モモンガさん、実はですね。あ、最初から話しますね?」 

 

 ウルベルトは正座したまま、これまでの経緯を話し出す。

 異世界転移してから聖王国を出るまでを簡単に説明し、その後、詳細に語ったのは……たっち・みーの状態等についてだ。

 異世界転移後のたっちは、躁鬱の切り替えが激しく、更には鬱の方に偏りがちなので、ウルベルトは対応に苦慮していたこと。

 ウルベルトをからかったり嫌味を言うときは普通なのに、煽り耐性が激減しているのか、ちょっと言い返されただけで激怒したりすることなど。そして、時にはメソメソ泣き出すといった事をウルベルトは語っている。

 

「それで、ですね。さっきは、俺が『前から思ってたけど、何を落ち込んでいるんですか。そんなことでは、現実(リアル)で待ってる奥さんと娘さんに顔向けできないでしょ! 頑張るんですよ! 家族のところに帰るんでしょ?』って言ったら、たっちが突然にブチ切れて……」

 

「聞いてる限りだと……ウルベルトさんにしては、たっちさんに対して優しく振る舞ってますね~」

 

 ヘロヘロが触腕状の粘体を口元に当てるようにして言うと、ウルベルトが「でしょ? でしょ? 俺、すっごく頑張ったんですよ?」と訴えかける。モモンガも、ウルベルトは頑張ったと思うが……。

 

(じゃあ、なんでたっちさんは怒ったんだろう? ウルベルトさんは、たっちさんの奥さんや娘さんのことを気にかけただけなのに。しかも、励ましてるし……)

 

 やはり発狂状態なのだろうか。そうでないとしたら、他に何か理由があるのか……。

 鬱を患った者の精神状態など、医者ではないモモンガには理解できない。だから、先ず気に障った文言があったかどうかを考えてみることにした。

 

(何を落ち込んでるんですか……は、問い質してるだけだよな? 次は、現実(リアル)で待ってる奥さんと娘さん……か。……奥さんと……娘さん?)

 

 モモンガは、出もしない生唾を飲んだ気持ちになる。

 たっちの妻子に、何かあったのだろうか。

 直接聞いて確認するのが……何となく怖く感じる。

 

(ウルベルトさんに対して、そうしたように……俺にも怒ったりするかな? でも、聞いてみないと……)

 

 モモンガは人化した。

 アンデッドの精神安定化が頼りになる場面。だが、そういうものに頼ってはいけないと感じたのだ。加えて言えば、表情が動かない骸骨顔というのも、腹を割って話をする相手に失礼である。

 たっち・みーの前に進み出たモモンガは、両膝を突くと、立てた踵に尻を乗せた。そして、項垂れているたっちを覗き込むようにして話しかける。

 

「たっちさん? ひょっとして……御家族に何かあったんですか?」

 

 その瞬間、たっちの身体がビクリと揺れ、少し後方で居るヘロヘロと弐式が、たっちに注目した。ウルベルトなどは、隣で正座するたっちを見たまま、固まっていた。更に後ろで居るアルベドがオロオロしているが、モモンガは、それら周囲の反応を無視し、なおもたっちに向けて話し続けた。

 

「たっちさん。……御家族のことでなければ、何があったんです? それとも、やっぱり御家族のことなんですか? その……他人の俺達に、どうこう言う資格はないかもしれませんが……。聞くぐらいなら……」

 

 たっちは答えない。

 正座し、両拳を膝付近に乗せたまま、俯いている。

 そして、モモンガが緊張感により、アンデッドの精神安定化を欲し始めた頃。ようやく、たっちが顔を上げた。彼の視線は……モモンガ達の後方で控える、アルベドに向けられている。

 

「そちらの甲冑の方は? 見たことあるような……」

 

 アルベドの作成時期は、たっち・みーの引退前だ。タブラが「各階層に守護者が居るなら、守護者統括とかが居るとイイ感じですよね!」と言って作製(本音は、モモンガへ『恋人的キャラ』を残すためだったが……)したので、彼女の事は知っている。

 

「……アルベド。ヘルムを取ってくれるか?」

 

「はい、アインズ様!」

 

 至高の御方同士の会話に関われたのが嬉しいのだろう。弾んだ声で返事したアルベドは、いそいそとヘルムを取る。巨大な角……は元々見えていたが、ヘルムで隠されていた艶やかで長い髪。そして、天上の美と称される美しい顔が露わとなった。

 

「やはり、タブラさんのアルベドですか……。NPCが自分の意思で動いてるように見えますが? それにNPCって、ナザリックから出せましたっけ? と言うか、ナザリック地下大墳墓も転移して来ているんですか? あと、今、アインズ様って……」

 

 たっち・みーが首を傾げている。口調は普段どおりのものになっているので、話している内に気を持ち直したらしい。隣で正座したままのウルベルトも事情を聞きたそうにしているので、モモンガは、異世界転移後から今日までの状況を掻い摘んで説明した。

 

「……というわけでして。現在は、ナザリック地下大墳墓の維持費確保に向けて、周辺国家を支配……と言いますか、裏から手を回す感じで身内や保護国にしている感じですかね。その一方で、転移して来てるであろうギルメンを捜索している……と」

 

「なるほど……。そうなると、私が作製したセバス・チャンも、意思を持って動いてるんですね?」

 

 たっちが呟きつつ頷くと、ウルベルトも「おお~! じゃあ、デミウルゴスも自分で動いてるのか。こいつは最高だ! 会ってみないとな!」と嬉しそうに言っている。

 一連の会話で室内の雰囲気は明るくなったが、たっちはモモンガの質問に答えていない。たっち自身も、そこは理解しているらしく、再びアルベドに目を向けた。そして、そこからモモンガに視線を移動させて言う。

 

「モモンガさん。ちょっと、ギルメンだけの話にしたいので……」

 

「わかりました。アルベド……暫く、砦外部の警戒に当たって貰えるだろうか?」

 

「承知しました」

 

 アルベドは胸に手を当てて一礼し、ヘルムを装着すると部屋から出て行った。

これで室内には、モモンガ、ヘロヘロ、弐式。そして、合流を果たしたたっちとウルベルトの五人……ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』のギルメンのみとなる。

 

(何となくホッとした気分になるな~。アルベドには悪いけど! これはアレだな、男だけで女性の目を気にすることがないからって感じの……)

 

 付け加えるなら、ギルメンだけの状態になったというのも大きいだろう。

 たっちの要望どおり、アルベドを退室させたモモンガは、たっちが口を開くのを待った。正座を続けさせるのは可哀想かな……と思ったが、たっちもウルベルトも特に何も言わないので、座らせたままとする。どのみち、身体能力は転移後世界の人間を上回っているので、少々のことでは足が痺れたりはしないはずだ。

 

「え~……と、実は……ですね」

 

 たっちはモゴモゴ言っていたが、やがて次の言葉を発すると、プイとモモンガから顔を背けた。

 

「つ、妻と娘に……逃げられまして……」

 

「はっ? え? 逃げ?」

 

 理解が追いつかない。

 モモンガの知るたっち・みーは、現実(リアル)では『お金持ち』『警察官』『美人で幼馴染みの奥さん』『娘さんも居る』という超絶勝ち組で、夫婦仲も円満だったはずだ。それがどうして、娘さん込みで奥さんが逃げることになるのだろうか……。

 

「ここ数年、テロ事件が多発してたじゃないですか……」

 

 たっちが呟くように語り出す。

 

「警察関連では対策本部とかが設置されて……対策本部なんてのは、対策する事件が発生しないと、普段は設置されません。当たり前ですよね。でも、設置されると公務員としては仕事が増えるわけでして……。人員削減とか言って、毎年人が減らされて……。あと、予算も……。ギリギリのかつかつで毎年度の仕事を回してたのに、もはや対応力の限界を超えてまして。公務員を減らして、良い事なんて一つも無いと思うんですけどね。サービス残業……は、公式に認められていないので黙ってサービス残業をして、職場泊でなんとか……。でも、人手は足りないし……」

 

 仕事は増える、予算は減る。

 頑張って年度末に漕ぎつければ「お? 今年度は大丈夫だったか? じゃあ、来年度も一人減らして平気だな? あと、予算も……」と、職場状況が更に悪化。

 この悪循環の中、たっちはそれでも奮闘していたが、彼の妻子が限界を迎えたらしい。

 

「『帰ってこない貴方を待つのに疲れました。娘も新しい父親を欲しがっていますので……。あてはありますから御心配なく。追伸:離婚届に押印をお願いします』と、置き手紙が……」

 

「「「うわあ、うわあ……」」」 

 

 たっちの前で膝を突いていたモモンガ。そして、後ろで立ってるヘロヘロと弐式が、顔を振りながら後退する。たっちの隣で正座するウルベルトは、「ちょっと! 俺を置いていかないでくださいよ!」と腰を浮かせて手を差し出しているが、とにかく、今はたっちから距離を取りたい。それほどに聞かされた内容が重かったのだ。

 

「ひ、悲惨すぎる……」

 

 弐式が、顎下の汗を右手の甲で拭うような仕草をして言う。中身が人化しているかは定かではないが、異形種化してハーフゴーレム体だったとしても、流れない汗を拭いたくなるほどには衝撃的だったのだろう。

 

「職権で行方を追ったんですけど、どうも……上の方から妨害される感じでして……。上流階級の人に囲われたか……そんな感じですかね~。妻……元妻の実家からは、『君が、しっかりしていないから、いけないんだ! もう関わらないでくれ!』とか言って(なじ)られるし……」

 

 そうして妻子が消息を絶ってより、捜索の成果が出ないまま日数が経過する。

 精神的にボロボロとなっていたたっちは、とあるテログループが破壊活動を目論んでいるという情報を入手し、単独でテログループの集合場所に向かったらしい。

 

「単独? 一人で……ですか?」

 

「ええ、モモンガさん。何と言いますか……もう何もかも、どうでも良くなってまして。逮捕とかするんじゃなくて、目につくテロリストを一人か二人射殺したら、自分も頭を撃ち抜いて死のうかな……と」

 

 更に話が重くなった。

 合流済みのギルメンはいずれも、碌でもない状況下で異世界転移をしているが、建御雷や弐式のように多少の不満を抱えるだけの者も居れば、タブラのように失業と体調不良から自殺を考えていた者も居たりと、悪状況の程度は様々だ。

 そんな中で、たっちの転移前の状況は酷すぎる。

 

「おい、ちょっと待て……」

 

 皆が呆然とする中、声をあげたのはウルベルト。彼は、肘位置が肩の高さという半端な挙手をしながら、たっちを見ている。

 

「その集合場所って、俺が行く予定だった場所なんじゃ……。ええと、その……あそこだろ?」

 

 このセリフから、ウルベルトがテロリストの一員だったことが読み取れるが、今は元の現実(リアル)で何をしていたかを問題視する場合ではない。もっとも、ウルベルト本人は大いに気にしているようで、重ねてたっちに確認した。

 

「どうなんだ? たっち……」

 

「ええ、そうです。集まった情報の中で、そこが一番早く、簡単に移動できる場所でしたので。ウルベルトさんが来るかどうか……それ以前に、集合メンバーが誰だとかまでは把握できてませんでしたけど」

 

 シレッとたっちが言い放ち、それを聞いたウルベルトは正座したまま、たっちから上体を離そうとする。意味はないが、両手で身をかばおうともしているようだ。

 

「お、おっかねぇし、危ねぇ!? 俺、タイミングと場合によったら、たっちに射殺されるところだったのか……」

 

「知ってたら、目指す集合場所は変えてたでしょうけどね。ウルベルトさんとは馬が合いませんでしたけど、殺したいほど憎いとかじゃあなかったですし。すみませんね~、モモンガさん。ユグドラシルでは『正義』ぶってましたけど、どうやら、追い詰められた私は『悪』だったようです」

 

 言い終わり、たっちの会話対象がモモンガに切り替わる。突然、話を振られたモモンガは言葉に詰まったが、たっちに訴えかけた。

 

「そんなことありません! そこまで追い詰められたら、人間どうなるか……。俺だって暴走してたかもしれないですし! それに、たっちさんは……」

 

 感極まり声が出ない。だが、モモンガは人としての顔を歪めながらたっちに語りかける。

 

「たっちさんは……精一杯、頑張ったんですよ。それは残念ですが、奥さんと娘さんに伝わらなかった……。残念です。でも、俺達は知ってます。今、知りましたから……」

 

 絞り出すような声は、異世界転移したことで死の支配者(オーバーロード)に生まれ変わったモモンガのものではない。在りし日……元の現実(リアル)で皆と楽しく過ごし、オフ会などで親交を深めていた……鈴木悟の声そのものだ。

 声に乗った思いの深さを感じたのか、ヘロヘロ、弐式、そしてウルベルトが大きく頷いている。

 

「モモンガさん。それに皆さん……。ありがとうございます。完全に吹っ切れたわけじゃあないですが、それでも少し救われましたし……報われた気がします」

 

 たっちは、一瞬だけ言葉を切り、ウルベルトを見た。それから再びモモンガを見上げる。

 

「私達は今回、二人で王国を目指していました。それは、冒険者チーム『漆黒』と巨大魔法の発動の噂を聞き、皆の……ギルメンの存在を確認するため。そして、合流するためです。その目的は、こうして達成された形ですが……。こんな私達の合流を認めていただけますか?」

 

 バッタの異形種。その目に宿る光は、躁でもなく鬱でもなく、ただひたすらに真摯なものだった。実に良い流れだが、ここでウルベルトが我に返る。

 

「おま!? こんな私達って……今の重い流れに、俺を巻き込むな!」

 

「ええ~? だって、ウルベルトさん。貴方、テロリストじゃないですか。それはそれで、皆の了承が要るんじゃないですか?」

 

 言い終えたたっちは、プイと顔を背ける。が、バッタ顔の口からは、どうやって出してるのか口笛音がピ~プ~と聞こえた。

 そこから、またワアワアと口論が始まるのだが……雰囲気は明るい。

 モモンガは胸の奥が熱くなるのを感じた。大いに感動している。今、異形種化してなくて良かったと、心の底からそう思っていた。

 

(おっと、たっちさんに返事をしなくちゃ……)

 

 ゴホン。

 

 モモンガは咳払いをし、皆の注目を集めてから立ち上がる。そして、正座したままの二人に対して言った。

 

「ギルメン会議という名の帰還報告会が必要でしょうが……。ここに居るメンバーは、全員がお二人を歓迎していますよ。たっち・みーさん。そして、ウルベルト・アレイン・オードルさん」

 




 たっち&ウルの合流に到達しました。
 私の一太郎が、事あるごとに『タッチ』と変換してくれますので、大変に難儀しました。

 ユグドラシルでの集合地で、たっちさんが普通にウルベルトさんと口論してたのは、次回で触れます。まあ、現場における『時系列の乱れ』というよりは、会話ループに見られる認識の混乱や記憶障害が原因だったりします。
 ここら辺の原理や理由は解明する予定はございません。
 異世界転移や、タイムスリップの原因なんて、別に解明しなくても良いと思いますし。
 自分は、仮装戦記小説とか買いあさってたので、このような認識なのです。

 アルベドのことを知ってるかどうか……という点で、たっちさんの引退時期については捏造です。

 今回、一番筆の勢い……キー打ちの速度が良かったのは、たっち&ウルの口論&喧嘩シーンでしょうか。
 セリフばかり並ぶと、小説ではなく台本の雰囲気ですが、別室から音声だけ聞こえてくる雰囲気を出すのに、良い感じかと思いました。

 読み返して、今回で最終回にしたら打ち切り感バリバリだな~……と思ったのですが、もう2~3回ぐらい続くんじゃよ。

カルカの運命はどうなるべき?(〆切り11/22に日付が変わるまで)

  • モモンガハーレム入り
  • レメディオスと一緒にたっちの嫁
  • ケラルトと一緒にウルベルトの嫁
  • ブルー・プラネットの嫁
  • 建御雷の嫁
  • タブラの嫁
  • あえて未婚の生涯
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