俺は天龍たちの元へと向かいながらも、内心非常にドキドキもワクワクもしていた。
その理由は勿論、元の世界では2次元の存在でしかなかったのが、本当に生きて動いている様子を見られることだ。
先程は戦闘機を通して間接的にしか見れていなかったから、こうして実際に会うことになるとこう、非常に緊張するというものだ。
「ねぇ、ミカ。今更だけどさ、俺って何処かに所属してるなんてこと無いよな?」
「そうですね。そうなんですけれど、フォーちゃん。いい加減自分のこと“俺”って言うの止めた方がいいですよ。あとその口調もです。正直凄く違和感がありますよ」
「えっ?そうなの?」
「はい。それはもう。少なくとも一人称は“私”にしておいてください。今のままでは初対面で変な印象を抱かれかねません」
今の今までずっと“俺”で通してきたけど、ミカからすればどうも違和感があるらしい。当の俺もこの声で俺って言うのは正直何だか似合わない感じはしていたが、結局そのまま使い続けていた。
別に俺は一人称を“私”にするのに抵抗がある訳では全くない。別に前の世界でも目上の人と話すときや、初対面の人と話すときは“私”を用いていたので、今更女になったからといって、使わない道理はない。
「うん、それもそうだね。今まであんまり気にしてなかったけど、考えてみたら確かにね。じゃあ、これからは“私”って言うようにするよ。口調の方は一朝一夕にどうにかなるとは思えないから、まあゆっくりね」
「はい。その方向でお願いします」
「報告。天龍から、通信」
唐突にユミが現れてそう報告する。どうやら天龍からの通信を傍受したようだ。
「分かった、繋いで」
「了解······繋がった」
「ありがとう」
『こちら日本国国防海軍佐世保鎮守府所属、天龍だ。貴艦の所属を教えてくれ』
『私はジェラルド・R・フォード。私は何処にも属していないよ』
『何だと?それは本当か?』
『本当だよ。とにかく、そっちに向かうから待っててくれるかな?』
『······了解した』
『ありがとう』
俺は通信を終了した。
「よし、それじゃあ行こうか、ミカ、ユミ」
「はい」「了解」
それから数分で天龍たちを目視圏内に捉えられた。
「お前がジェラルド・R・フォードか?」
天龍が俺に問いかけてきた。
「そうだよ。私のことはフォードって呼んで。それじゃあ長いから」
「そうか分かった。改めてオレは天龍だ。フォードがあの戦闘機を飛ばしたのか?」
「そうだよ」
「そうか······ありがとう!!」
そう言って天龍は俺に対して頭を下げた。
「ちょっと、どうしたの!?」
「本当にありがとう!!お前が居なければ今頃オレは沈んでた!そうなったらアイツらが悲しんでたからな······感謝してもし足りない!!」
「そう。頭を上げて」
俺は天龍にそう言って一先ず頭を上げさせる。
「私は、本当にたまたまこの海域に居ただけで、天龍達が襲われてたから助けただけ。仲間として当然のことをしただけだよ」
「それでもだ。本当にありがとう」
「うん。感謝はちゃんと受け取っておくよ」
「天龍~。私たちにも彼女を紹介してくれないかしら~」
俺と天龍が話をしていると、龍田の間延びしたふんわりとした声が掛かった。
「ああ、悪い。彼女は────」
「自分で言うよ」
天龍が俺のことを紹介しようとしてくれるのを遮った。自己紹介ぐらいは自分でしておきたいからね。
「そうか」
「うん。初めまして、私はジェラルド・R・フォード。航空母艦だよ」
「こちらこそ初めまして~。私は天龍の妹の龍田です。よろしくね~」
「此方こそよろしく」
「私は暁よ。その、さっきは助けてくれてありがとう······」
次は暁が自己紹介してくれた。そして恥ずかしいのか顔を赤らめながらお礼を言ってくれた。端的に言って非常に可愛い。
「どういたしまして。私はジェラルド・R・フォード。フォードって呼んでね」
「分かったわ、フォード!」
そして暁の次は響が自己紹介してくれた。
「私は響。さっきは助けてくれて感謝している。よろしく頼む」
「うん、よろしくね。響も私のことはフォードって呼んでね」
「了解した」
響はクールビューティーって感じだった。やっぱり可愛い。今はっきりと自覚したが、やはり俺も
「私は雷よ。くれぐれも『かみなり』って呼ばないでよね!······それはそうと、助けてくれてありがとう。感謝してるわ!」
「ふふ。分かったよ。よろしく、雷ちゃん!私のことはフォードって呼んでね」
「これからよろしくね、フォード!」
雷ちゃんは背伸びしてる子供感が凄い良かった。やっぱり可愛い。
「あの、私は電なのです。あの、助けてくれて、ありがとう、ございます······」
「ふふ、よろしくね、電ちゃん。私のことはフォードって呼んでね」
「はい、その、よろしくお願いします。フォードさん」
大!正!義!
電ちゃんは最推しで!!!生で見るその健気な美少女感は誰をも魅了してしまう。
俺は一発で陥落した。他の天龍や龍田もどうやら既に陥落させられていたようで、ちょっとアブナイ顔をしている。
「くふっ。よ、よろしくね、電ちゃん」
いけない、いけない。危うく鼻血が出る羽目になるところだった。恐るべし
「て、フォードはどうしてこんなところに居たんだ?」
次に天龍から飛んできた疑問は至極全うなものであった。
「うーん、どうしてって言われても、私、気付いたらグアム島の近くで、それで取り敢えずグアム島を目指したけど誰も居なかったから今は日本本土を目指してて、それでたまたまその途中で天龍たちを見つけたんだ」
「そうか、グアム島で·······って、グアム島!!?フォード!お前、そんなところからここまでよく無傷で来られたな!!」
「いや、たまたま深海棲艦に出会わなかったからさ」
「そうだったのか······それにしても気付いたら、か。済まないがこれ以上はここで話していても進みそうにない。だから、ちょっとオレたちと一緒に佐世保まで来てくれないか?」
天龍の口から飛び出た提案は今の俺にとって渡りに船だった。正に天の助けだ。
「うんお願いするよ。正直行く当てもなかったし、これからどうしようって思ってたんだ」
「そうか、それじゃあ出発するぞ!」
こうして俺は天龍たちと共に佐世保鎮守府に向かうことになった。