アズールレーン&艦これ ~蒼き航路に集いし少女達~ 作:モンターク
たまにはドンパチ行きます!
交差する少女たち(前編)
「……一体ここはどこなんでしょう……?」
特型駆逐艦であり、艦娘である吹雪はこう呟かずにはいられなかった。
彼女達は本来、作戦行動中であり、別の前線基地に移動している真っ最中であった。
ただ途中の大嵐でかなりの人数とはぐれてしまい、嵐が過ぎ去ったあとにその残った面子でなんとか艦隊を組み今に至る。
「駆逐艦は「吹雪」「綾波」「夕立」「時雨」……やはりこれで全員か?」
「はい、他は一切連絡が取れません」
「そうですか……電探にも反応はありませんし」
霧島の報告を聞いて、臨時に旗艦を務める大和とその補佐をする長門は頭を痛めた。
なにせ他の無線も一切通じず、電探にもそれらしいものもない。
「完全に孤立してしまった」というしかなかった。
そんな中、空母達が口を開く。
「見渡す限りは海ばかり……水平線がよく見えるわね……ねえ、加賀さん?」
「赤城さん……まあ確かに綺麗ね……戦いがあるなんて思えないくらい」
「そうね……そういえばこうして海を見ることなんてないよね?飛龍」
「まあ確かに……いつもいつも上ばっかり見てたし」
「ふふふ……そうですね」
「悠長に見てる場合じゃないと思うんだけど……」
「………」
「ん?どうしたの。サラトガ」
サラトガは別の方向を注意深くみている。
彼女は日本艦ばかりのこの中で唯一の米国艦である。
艦隊への合流当初は少し避けようとする壁があったものの、割り切ることができ、今はすっかり馴染めている。
「ズイカク……いえ、あちらのほうに何か飛んでいる物体が見えて…」
「飛んでいる?鳥かなんかじゃないの?」
「それにしてはなんか大きくて……あ、また!」
「ふーん……確かに何か飛んでる……神通、遠視お願い」
「了解しました」
軽巡神通はサラトガが指し示した方向を注意深く見つめる。
「どう神通?なんか見える?」
横から川内が彼女にこう問いかける。
「確かに……みえ……!?」
そしてそれを見ていた神通は急に驚きの表情となる。
「どうした!?」
「深海棲艦の艦載機らしきものを見つけました」
「何!?」
「本当なの?神通?」
「ええ、姉さんも見てみて」
「どれどれ………ホントだ!確かに深海棲艦の黒いやつだよ!……でも見たこともないのもあるけど……」
「おそらくは新型ね。深海棲艦も白い艦載機や緑色の陸上機を出しているときもある」
「艦隊を襲撃、もしくは基地を襲撃する感じね、あの数だと」
赤城と加賀がそれに対して補足していると、大和はある決断を下す
「皆さん、その敵が向かう方向に向かってみましょう」
「向かう方向に?」
「向かうっぽい?」
駆逐艦の綾波と夕立は首を傾げた。
それにやれやれと思った時雨はこう補足する。
「あっちに深海棲艦の編隊が向かっているなら、目標…つまり私達のような艦隊や基地があるはず……つまりその方向に行けば私達も友軍と合流できるかもしれないんだよ」
「なるほどっぽい!」
「うむ、そういうことだ。艦隊はこれより大和を中心に行動を開始する!全員離れるなよ!」
「明石さんは夕張さんと長門さんが護衛してください。他の艦は私を中心に固まってください!」
「「「了解!」」」
そしてなんとか話がまとまった艦娘達は行動しないより行動することを選び、その敵が向かう方向に進路をとった。
その途中、吹雪はある違和感を覚える。
「……ん……?」
「どうしたっぽい?」
「いえ……なんか変だなって」
「変って、なんかあったの?」
川内の問いに吹雪は要領を得ないものの、なんとか答える。
「いえ、なんか言い表せない違和感みたいなのが……」
「まあ今まで大嵐の中だったし、ちょっと酔っちゃったんじゃない?」
「……だと良いんですけど……」
吹雪はなんとも言えない違和感を消せず、むしろ大きくなっている。
だがその違和感に確証を得られてないのもあり、とりあえずは心のなかに仕舞うことにした。
一方の後方の明石と夕張も同じく違和感を感じ取っていた。
「はぁ……しかしこのまま合流できるんでしょうか……?」
「できると良いけど……変な感じがして気分が悪いわ」
「夕張さんも?」
「も…って明石さんも?」
「ええ、なんとも……これだけじゃ終わらないって感じがして……」
「二人共大丈夫か?」
「まあ大丈夫と言ったら大丈夫なんですけど……」
「うーん……いまいち引っかかりが……」
心配した長門の問いかけに、二人は歯切れの悪い返ししかできなかったようだ。
「そうか……まあいずれにしろ合流すればはっきりする」
「だと良いんですけど……」
――――――――――――――――――
アズールレーン
前線基地
この基地にはユニオン、ロイヤル双方の戦力である「KAN-SEN」が集結している。
レッドアクシズの戦力範囲からそれほど遠くないところであり、レッドアクシズを監視する目的でこの基地は建設されたのだが、
その勢力とは別のある「別の勢力」がその基地に牙が向けた。
「セイレーンだと!?迎撃急げ!」
「「はい!!」」
基地の指揮を臨時で担当する戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」はその報告を聞いた途端に急いで各方面に迎撃の指示を通達した。
それと同時に基地内には警報が鳴り響く。
停泊中であった一部艦艇も攻撃を受け始めている。
「こんなときにセイレーンとは……」
セイレーンにより、一時期は制海権を喪失した人類であるが、KAN-SENの奮闘により奪還し、セイレーンも数を減らしたとされる。
ただ依然健在であり、脅かす存在であることに変わりはない。
だが、それにしては少し不自然なこともあった。
報告によれば従来型セイレーンとは異なる新型らしきものも同伴しており、その敵艦はセイレーンとは形状がかなり異なるものであった。
(一体、何が起きているというのだ……)
プリンス・オブ・ウェールズは不安を隠せなかった。
ただでさえ重桜、鉄血との摩擦は悪化しており、いつ爆発してもおかしくはない故である。
(これ以上何も起きないと良いが………まさか……)
そして基地迎撃戦は開始され、敵航空機を多数撃墜し始めるKAN-SEN達
損害を出しつつも、迎撃は滞りなく進んでいると思われた。
だが――
「きゃあああっ!?」
「ちっ!大丈夫か!」
新型と思われる編隊の攻撃の勢いが予想以上に強く、そして数としても五分五分の戦いとなっていたのだ。
「くそ!これじゃあ…!」
軽巡クリーブランドもこの状況は不味いと感じている。
ここで消耗してしまえば、この先あると思われる「戦い」で不利になってしまうからだ。
「だけど……!まだ……!」
そして新型が再びクリーブランドを襲おうとしていたその時――
「!?」
目の前でその新型が爆発した。
いや正確に言えば、爆散したというべきか
「あれは……!」
クリーブランド、そしてジャベリン、ラフィーが目にした別の航空機、それは
緑の翼に日の丸をつけた戦闘機とクリーブランドそしてラフィーもよく目にしたことがある蒼き戦闘機であった。
――――――――――――
「よし、なんとか間に合ったわね……」
「しかし見たことがない艦娘ばかりです……というより本当に艦娘なのでしょうか?」
「水上に女の子が浮かんでいるなら間違いなく艦娘よ、ね?」
「まあそうとしか考えられないけど……」
赤城、加賀、蒼龍、飛龍がそう話す中、翔鶴、瑞鶴、サラトガも手応えを感じたようで
「迎撃成功!妖精さん、更に散開して叩いて!」
「翔鶴姉の部隊に続いて!残らず叩くのよ!」
「attack!OK!そのまま進んで!」
「「「オーオーオー」」」
妖精さん達も元気に働いている。
なお空母から発艦させたのは「試作烈風 後期型」「烈風一一型」「零式53型(岩本隊)」及びサラトガの「F6F-3」である。
各機は新型でもあり、熟練機でもあるため、続々増える敵を難なく撃墜していく。
「しかし釈然としませんね。見たこともない艦娘達がいるなんて……一体……」
「ですが霧島さん、目の前で深海棲艦に襲われてるとなれば見過ごすわけには行きません……今は迎撃に務めましょう。考えるのは後です」
「了解です。重巡、軽巡、駆逐は先行してあの島のほうまでお願いします」
「了解だ!いくぜ鳥海!」
「了解……」
――――――――――――
「なんとかなったけど、こいつは一体……F6Fも混ざってるけど……ユニオンの空母はまだこれないと聞いてたし…」
「ラフィーちゃん、なにか知ってる?」
「ううん……見たことあるのも混ざってるけど……よくわかんない。でも、敵じゃない」
「!?!?」
謎の航空隊の迎撃もあり、なんとか上空の敵は掃討された。
だが次の瞬間、あるはずのない桜が散り、ある「声」が聞こえてくる。
『セイレーンと戦うため、人類は私達を作った』
「ん?なんだ、この声」
「?」
その声は接近中であった摩耶達にも聞こえていた。
『だけどやがて理念の違いにより四大陣営は2つの勢力に分かれる……』
『一つはお前たち。あくまで人類の力だけでセイレーンと戦うユニオンとロイヤル』
『そしてもう一つは……』
それと同時に桜吹雪でかくされたその「艦」が露わとなる。
「その紋章は……!」
『セイレーンを倒すためならセイレーンの技術をも利用する。鉄血と私たち「重桜」』
そしてそのセリフと同時にその艦の甲板から航空機が形を変えて、多数飛び立つ。
赤き炎と蒼き炎となって……。
「嘘……これって……」
「なん、だと……!?」
摩耶達はその光景に驚愕する。
見たことないはずなのに見たことがあるその艦。
聞き慣れない単語もあったが、それは些細なことであった。
そしてその二人の「艦」はこの名前を言い放った。
「重桜一航戦「赤城」」
「重桜一航戦「加賀」」
「「推して参る!」」
「な」
「え!?」
「な、なんだって!?」
摩耶達はその宣言に驚くばかりであった。
当然だ。自分の後方に居る自分たちの味方である艦と同じ名前を言い放ったからだ。
「どういうことっぽい!?」
「これって……」
夕立、綾波も驚いていた。
――――――――――――
そしてその宣言は後方で展開する戦艦及び空母と夕張、明石に伝わっていた。
「なんですって!?」
「私と……赤城さんの名前……」
言われた本人である赤城と加賀は当然ながら混乱している。
偽りならすぐに否定もできよう。
だが、偽りとは断言することはできなかった。
彼女たちの勘があの二人を「一航戦」であることを指し示していたのだ。
そんな中、霧島はこの状況を冷静に解釈し、ある判断を出した。
「……わかりました。ここは私達が知る世界じゃありません」
「霧島、どういうことだ?」
長門のその問いに霧島は冷静にその理由を話していく。
「深海棲艦とは別の新型、私達も知らない艦に浮かぶ女の子……そして赤城と加賀と宣言したその艦……ここは間違いなく私達の世界じゃない……つまり異世界と断言します」
「異世界……だと?」
「確かに……そう断言するしかなさそうね……私達が何故ここにいるかはわからない。だけどこうなっている時点で事実なのは明白よ」
大和もそれに頷いている。
信じられないことだらけだが、事実ではあるため、それを受け入れるしかなかった。
「で、どうします?この異世界で……私達は……」
改めての霧島の問いかけに大和は間髪入れずにこう言い放った。
「……これより艦隊は「重桜一航戦」と呼称する艦を迎え撃ちます!……良いですね?赤城さん、加賀さん」
「ええ、構わないわ……よく考えてみるとこの状況はあの時に似ている」
「あの時って……まさか……!」
「そうです瑞鶴さん。この攻撃は…あの作戦…「真珠湾攻撃」です!」
真珠湾攻撃
日本時間1941年12月8日未明に発生した大日本帝国海軍が南方作戦の一環としてイギリスに対するマレー作戦とともに行った作戦であり、太平洋戦争勃発の元となった物である。
これによりアメリカ太平洋艦隊の戦艦戦力は大幅に打撃を受けて、以降のミッドウェーまでの快進撃に繋がった。
だがこの戦いは外務省側の対米への通達の遅延により宣戦布告がなされない形での奇襲攻撃となってしまったため、以降のリメンバー・パールハーバーにも繋がった。
言わば彼女達の最初の勝利と最初の過ちであった。
そしてその「真珠湾攻撃」とも言えるそれに蒼龍は違和感を唱えた。
「真珠湾?でもそれなら私達二航戦や翔鶴達五航戦も参加してるはずじゃ……」
それに対して加賀はこう返した。
「異世界ならそれくらいの違いもあるはずよ。そもそも真珠湾ならハワイ諸島だけど。ここはハワイじゃない……限りなく近いけど、遠いわ」
「そして先程の深海棲艦と…謎の敵の攻撃の後にあの「赤城」が攻撃……とても偶然じゃない……ともかく、今はあれを止めるべきです!迎撃を!」
「ええ、霧島さんは摩耶さん達にもそう伝えて!そして私達も前に行きましょう!」
「ああ!機関全速!」
長門の掛け声とともに各艦は速力を上げるのだが――
「ちょ、ちょっと!おいてかないで!」
「ま、待ってください!」
夕張と明石はそれに遅れていたのは言うまでもない。
艦娘側参戦艦は以下の通りです。
工作艦「明石」
戦艦 「大和」「長門」「霧島」
空母「赤城」「加賀」「蒼龍」「飛龍」「翔鶴」「瑞鶴」「サラトガ」
重巡「摩耶」「鳥海」
軽巡「川内」「神通」「夕張」
駆逐「吹雪」「綾波」「夕立」「時雨」
KAN-SEN側はアニメ版は基準としつつ、色々と調整していきます。