アズールレーン&艦これ ~蒼き航路に集いし少女達~ 作:モンターク
絆のカタチ、人のカタチ(前編)
「うっ……!」
そしてラフィーとジャベリンから手が差し向けられた。
だがニーミは別の状況を察知したのか、冷静になろうと、綾波にこう告げる。
ただし、顔は隠しながらである。
「くっ………他の艦が撤退したようです……私達も撤退を」
「……!」
その手を払い除け、綾波とニーミはそのまま全速力で行ってしまった。
「綾波ちゃん……ニーミちゃん……」
「……大丈夫だと思います、きっと」
「え?」
「はい、ジャベリンさん達の気持ちはきっと届いたと思います。では私達も撤退しましょう」
吹雪、綾波がこう話しつつ、4人も撤退行動に入った。
――――――――――――
同じ時刻の別の場所では、高雄型の戦いが続いていた。
「火力が弱いぞ!摩耶!」
「おっと、防空巡洋艦になったから主砲が一つなくなってな!でも…!」
そして機銃や高角砲の射撃で高雄を牽制し、摩耶が飛びかかる。
「こんなこともできるんだぜ!」
摩耶はそのままエネルギーを纏った拳を浴びせようとするが、高雄はそれを剣の表面のところで止めた。
「くっ……!流石だ……わが妹よ…!」
「へへっ、サンキュー…な!」
一方愛宕と鳥海の戦いも白熱しており――
「はあああああっ!」
「あらあら…でも……まだよ!」
こちらもこちらで愛宕は近距離で攻撃をしようとして鳥海はそれを避けつつ、中距離からの射撃をして、距離を保ってる形だ。
「はあっ…やりますね…!」
その戦いが続く中、愛宕はニーミと綾波が撤退するところを見つけた。
そして鳥海との距離を取ったところ、愛宕は同じく距離を取った高雄へ撤退の話をする。
「……高雄ちゃん、今日はここまでみたい」
「……ああ、そのようだな……」
「はあっ…なんだよ、もう終わりかぁ?」
「ああ、残念ながら今日のところは降りよう……だが次は決着をつける!」
「じゃあね。摩耶ちゃん、鳥海ちゃん」
そして重桜側の高雄型2隻も撤退を開始した。
「はあっ……はあっ…」
「大丈夫ですか?摩耶」
「ああ……しかしやっぱ強いな…」
「はい、やはり彼女達は間違いなく姉さん達です……あの強さに偽りはありません」
「だろうな……じゃあアタシらも撤退するか…」
摩耶と鳥海は疲れつつも撤退を開始する
こうして救助作戦はベルファスト考案の策もあり、損傷こそあれど成功することができた。
そして追撃を諦めたレッドアクシズ艦隊は周囲から撤退した。
――――――――――――
そして別の日の朝、エンタープライズは朝食をとる気になったようで、ベルファストとともに食堂のほうへ来ていたが、やけに騒がしかった。
「すごい!こんな朝食はじめてだよー!」
「流石大和っぽい!」
「夕立、あんまり駆け込まないで……」
「本場の方々へ料理を提供するのは不安でしたが…喜んでくださり、なにより」
そう大和が言う通り、今日は大和が朝食を作っているようで、その評判が良いようだ。
ビュッフェ方式であり、洋食のスクランブルエッグやベーグルはもちろん、和食の鯖の味噌煮や白飯などを取り揃えている。
大和型は居住性能が高く、そして厨房は本格的な設備などを取り揃え、その上本職の料理人が調理を担当したりしていたため、連合艦隊司令部や士官はもちろん、下士官や兵卒にも良い食事を提供していたと知られる。
そしてトラック泊地では保養所としても利用されていたためか、大和ホテル及び武蔵旅館と揶揄された。
そのため――
「まるでホテルみたいだなぁ……」
「……ははっ……」
ホーネットから言われるように、ホテルみたいとユニオン、ロイヤル艦からも言われている。
当然本人的には複雑であり
(ホテルじゃありません……ううっ…)
内心はこう思っていたそうな。
そしてエンタープライズはご飯をよそわれて、食べているが
そこを瑞鶴が同じくプレートを持って通りかかる。
「あら、お一人?」
「瑞鶴か……おはよう」
「おはよう………隣、良い?」
「ああ……構わん」
そうして瑞鶴はエンタープライズの隣の席に座る。
そして一緒に食べている中、瑞鶴は思ったことがあったのかこう話す。
「あんなに戦ってるのにあんま食べないのね……」
「そうか?」
「だって赤城さんなんかあんなに食べてるし」
そうして瑞鶴は赤城が居る方をさす。
そこではモグモグと大盛りのご飯やおかずを食べている赤城の姿があった。
「やっぱり大和さんの料理は格別ね……もぐもぐ……」
「赤城さん、食べ過ぎです。周りが見ています…」
もちろんその赤城に注目の目は色々と集まっていた。
「す、凄い……ハムマンの何倍…?」
ハムマンも驚愕していた。
「……あそこまでは食えん」
「…まあ、そうよね…」
その赤城の光景にはエンタープライズも流石に顔が少し引き気味であった。
だがこうして誰かと一緒にご飯を食べるという光景は今までエンタープライズにはなく、彼女が変わっているということが目に見えてわかった。
「………」
「どしたの?」
「いえ、ホーネットちゃん……エンタープライズちゃんの雰囲気が少し変わったかなって」
それを見たヴェスタルは嬉しそうな表情であった。
――――――――――――
その後、朝食を終えた後、黒いメンタルキューブについて話をするために一部の面々は集まった
その面々はプリンス・オブ・ウェールズ、ヴェスタル、クリーブランド、エンタープライズ、ホーネット、ベルファスト、重桜の明石と艦娘の長門、赤城、加賀、明石であった。
「黒いメンタルキューブ…ですか…」
「セイレーンの技術を使った「重桜」の切り札ということか……」
「真っ暗ね……」
「本当にこっちにも長門や赤城、加賀がいるんだにゃ……そして明石も…」
そう話す赤城達を見つつ、重桜の明石は艦娘にやはり驚いている。
なお話は続いていく。
「これがあれば向こうの量産型セイレーンを無力化できるんじゃないの?」
クリーブランドのその問いには首を振る明石
「量産型を操ってるのはオロチの方にゃ。こっちは補助にすぎないにゃ」
「巨大軍艦オロチ…重桜がそんなものを建造してたなんてね」
「オロチとこのキューブ、どんな関係があるんでしょう…?」
ヴェスタルの問いにも首を振る。
そう話していると赤城はその建造であることを思い出していた。
「確かその計画は重桜の希望と言っていましたね、そっちの明石さん」
「そうにゃ……何かわかったのにゃ?そっちの赤城」
「いえ、「八八艦隊計画」を思い出してたんです」
「「八八艦隊」か……」
「なんだそれ?」
「ああそれは……」
ホーネットのはてなに長門がその計画について話し始める。
八八艦隊計画
第一次世界大戦後に大日本帝国において計画されたものであり、艦齢8年未満の戦艦8隻と巡洋戦艦8隻を建造し、海軍の中核戦力として運用する計画である。
そしてその一環としてその主力艦の補助艦艇として古鷹型、球磨型、長良型などを合わせて100隻を建造するものであった。
戦艦は長門型、加賀型、紀伊型、巡洋戦艦は天城型、第十三号型であったとされる。
完成すれば、日本は一気に仮想敵のアメリカに対抗できる艦隊を持つことになるのだが、国家予算としてはいくら大戦景気で一気に成長した日本でもとてもじゃないが負担しきれるものではなかった。
そして諸外国もある種似たような状況下になったため、大戦後の軍縮ムードも合わさり、ワシントン海軍軍縮条約が締結されることとなった。
そのためこの八八艦隊計画は破棄されている。
その計画を聞いてホーネットはこう話す。
「なるほどなぁ……凄まじい計画だなぁ…」
「まあそれで私と陸奥が生まれたのだが……そして赤城と加賀も…」
「はい。私と加賀さんは元は戦艦で、私は天城型巡洋戦艦、加賀さんは加賀型戦艦なんです」
「でもそれは珍しくないことだ。レキシントンとサラトガも改装空母で…」
「いえ、ウェールズさん…このことにはあることがあったんです…元々は天城型の2隻が空母改装の対象で、加賀型は二隻とも廃艦になる予定だったんです」
「なに?」
「赤城さん……」
加賀はその赤城を心配して彼女の肩に手をあてる。
そして赤城は少し顔を下に下げつつも続けてこう話す。
「だけどそうじゃなくなった……その原因は私達の世界での西暦1923年9月1日に起こった「関東大震災」です」
「震災…だと?」
関東大震災
1923年9月1日に相模湾沖で観測された地震による一連の災害のことである。
そしてその地震により、空母改装中の天城が船台から外れ、竜骨を損傷し、艦としては使い物にならなくなり、廃艦となった。
その代わり、空母改装の白羽の矢を立ったのが加賀であり、改装され「空母加賀」は誕生したのである。
そのため、天城の損傷がなければ加賀はそのまま廃艦となっていた可能性が高く、非常に複雑な経緯を持っていると言えよう。
「その震災で天城は廃艦で…そして加賀さんが空母になった……ということです」
「赤城さん……」
「加賀さん、大丈夫です。今は今ですから…時は戻ることなんてできませんし」
加賀の心配に赤城は顔を上を向け、元気をアピールしていた。
「そうか……」
プリンス・オブ・ウェールズは一航戦の話を聞いた後、再び黒いメンタルキューブを見ている。
そして艦娘の明石が黒いメンタルキューブについての私見を述べる。
「私からしてみてもあれは尋常じゃないものがあります。詳しく見ないと言い切れませんが莫大なエネルギーを内蔵しているとは考えられます」
「分かっているのはこのキューブはセイレーンが与えた物で。赤城がそのセイレーンと手を組んでいることか…」
「それが確かなら重桜自体が騙されているということになります」
プリンス・オブ・ウェールズとベルファストの指摘通りであれば、それを重桜にとってもまずいことであった。
その「オロチ計画」や「黒いメンタルキューブ」の内容次第では重桜も莫大な被害を受けることとなる。
「…赤城、何考えてるにゃ…」
「あちらの私は何を考えているのか……」
赤城と重桜の明石がそう言っていると、エンタープライズはふと黒いメンタルキューブに触れる。
「……!」
そしてエンタープライズはどこか別空間へと飛んだ。
そこで見たものは炎ととも変貌した「自分」であった。
「これは……!」
「エンタープライズ様?」
「……はっ…?」
「いかがなさいました?心ここにあらずといったご様子でしたが……」
「いや、なんでもない。大丈夫だ」
黒いメンタルキューブは黒き光をまだ輝かさせていた。
邪悪な力そのもの…そう言っても差し支えはなかった。
史実ネタは適度に入れつつ…
艦娘のほうの瑞鶴はエンタープライズのことを放ってはおけない感じです。