アズールレーン&艦これ ~蒼き航路に集いし少女達~   作:モンターク

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絆のカタチ、人のカタチ(後編)

「ジャベリン達、言うことができたんだ」

 

「でも逃げられちゃったっぽい…?」

 

「はい……」

 

一方、綾波は先程の作戦で起こったことを時雨と夕立に話していた。

 

「でも、ジャベリンさんとラフィーさんの気持ちは伝わったと思います…あちらの二人に」

 

「うん。でもいきなり敵から言われたら戸惑う気持ちもわかるよ……。仮に僕がソロモンとかの時にそういうふうに言われてたら混乱するし……」

 

「まあ史実だと絶対にありえないっぽい……。でも今こうしてヒトの形を持ってるっぽいから…」

 

「はい、確かに綾波達は元は軍艦で、今も「船」であることには変わりません……でも前がああだからといって今も変わらないというのは変です。こうしてヒトの形を得ることができたのに……」

 

「まあ、昔ならともかく今もそれを貫く必要はないからね……まあでも僕からしてみれば少し理想論が高めだとは思うけど…ジャベリン達なら行ける気がするよ…なんとなくだけど」

 

本来なら「そんな理想論は捨てろ」と誰もがそう思うであろう。

だが時雨達にとっては可能性があると自然に思えたのだ。

それは彼女達の輝きがあるからか…というのかは定かではないが。

 

「そうっぽい!!第一、川内さんから聞く限り、あっちの子達は悪い子じゃないっぽいし…」

 

夕立のその声に時雨は少したじろぐ。

 

「おっとと…まあ夕立の言うとおりだけど……でもそれなら余計に開戦した理由が謎だよ…。領土拡大や利益を得るためじゃない戦争……意見の違いで対立しているだけなら冷戦状態が続くだけのはず……相手を服従させるだけならリスクが高すぎるし、そしてこの世界には敵のセイレーンもいる」

 

「でもそれで開戦したレッドアクシズ……そしてそのセイレーンと組んだ重桜の赤城……やはりこの戦いにはなにか裏があるかもしれませんね……」

 

時雨、夕立、綾波がこの「歪み」がある戦争の考察をしている中、吹雪、ジャベリン、ラフィーはKAN-SENの実艦の清掃を行っていた。

 

「……私達敵同士……」

 

ただじ、ジャベリンは綾波達について考えて、いい表情をしていなかった。

 

「ジャベリンちゃん…」

 

その様子のジャベリンに吹雪も心配した表情を見せるが、ばしゃっと水がかかる

 

「うわあっ!?」

 

「ジャベリン、吹雪…サボらない」

 

どうやらホースの水をラフィーが二人にぶっかけたらしい。

 

「もう、お返しだよ!」

 

「全力で行く…」

 

「うわわわ、私も…!」

 

そしていつの間にやら3人で報復合戦(?)を始めている。

そしてその水が飛び散り、光の屈折により虹ができていた。

――――――――――――

 

そして場所は変わり、海岸では

艦達が開くお店が増えていた。

 

「お得な品がいっぱいあるにゃ!買い逃したら後悔するにゃ!」

 

「お役立ちになるものも色々とありますよー!」

 

W明石による明石商店である。

 

「はあっ…はあっ……明石、こんぐらいでいいの?」

 

そしてそれを手伝うのは夕張である。

 

「ありがとうございます。夕張さん」

 

「たく……結局明石も「アイテム屋」なのね…」

 

「いやー、こっちの猫明石さんがやると聞いたらうずうずして……混ぜてもらいました」

 

「そうにゃ!あーちなみに利益は折半だからにゃ?」

 

「わかってますよ。はいというわけでいらっしゃいませー!」

 

そのほかにも平海達のパンダまんの出店を含め、数々の出店があった。

その光景を見て、エンタープライズはこう話す。

 

「店が増えてる…まるで人の街みたいだ……」

 

「私達はヒトですよ?」

 

「また同じ事を言うのだな…私にはよく分からないよ」

 

その街のように艦達によって大きく賑わっている。

戦いがない時の彼女達はまさに普通の少女とも言えよう。

そしてベルファストは続けてこう話す。

 

「エンタープライズ様に必要なのは心の優雅さでございますね」

 

「優雅さ?本当に訳がわからないな……まさか一緒にメイドでもやれとでも言うつもりか?」

 

「あら、よろしいのですか?どこに出しても恥ずかしくない立派なメイドに躾けてみせますが」

 

「いや…それは……」

 

「メイドはともかくとして新しいことを始めてみるのは良い考えだと思います。趣味でも何らかの仕事でも戦い以外の何かを……」

 

「私にとっては難題だな……」

 

「何事も挑戦ですよ。人生とはいつだって冒険なのですから…」

 

「そういうものかな?」

 

「そうです……そしてあなたのお名前の意味はなんでしたか?」

 

「名前の意味…エンタープライズ……「冒険心」「困難への挑戦」……!」

 

その名前の意味を確認した彼女はハッとした。

そういう名前であるのに、その自分が冒険しないのは少し名前負けしてしまうことになってしまうのである。

 

「はい……ですから様々な挑戦をしてみてください。何か合うものはきっとあるはずです。案外メイドも…」

 

「いや、メイドは遠慮しておく……しかし冒険か……」

 

自分の名前の意味の通り、その冒険をしてみようと

エンタープライズは思うのであった。

 

――――――――――――

 

その後、夕方

基地内の大浴場では、様々な艦が入浴しに来ており、賑やかである。

 

「………」

 

その入口ではユニコーンが入るか入らないか悩んでいたようで

そこへジャベリン、ラフィー、吹雪、綾波、時雨、夕立が通りかかる。

 

「あれ?ユニコーンちゃん?」

 

「どうしたっぽい?」

 

「あ……どうしてジャベリンちゃんとラフィーちゃんと吹雪ちゃんは濡れてるの…?」

 

「はははは……まあ色々とあったので……」

 

吹雪はごまかし笑いをしていた。

 

「でも…ユニコーンちゃんもお風呂?じゃあ一緒に入ろ?」

 

「えっ、ユニコーンは……」

 

「寒い……」

 

「さっさと入るっぽい!」

 

「このままだと風邪ひいちゃう……早く早く」

 

ジャベリン達の勢いに押され、ユニコーンも入っていった。

 

――――――――――――

 

そして着替えてる最中、ジャベリン達が色々と話す中、ユニコーンの手は遅いままで

 

「……」

 

チラチラと他の人の「胸」を見ている。

そして自分のその胸を見ていた。

ユニコーンは身長こそ駆逐艦達と同じか変わらないものの、胸は豊かなものであった。

 

「早く入るっぽい!」

 

「夕立、そんな急がなくてもお風呂は逃げないよ?」

 

「はははは……夕立ちゃんは相変わらずだね…」

 

「そうですね……」

 

「でも早くしないとお湯が冷めるっぽい!」

 

「うん、お湯が冷める……」

 

「冷めないよ!ユニコーンちゃん、先行くね!」

 

「う、うん…」

 

そしてジャベリンたちが先に行き、ユニコーンは遅れてその場から離れた。

 

――――――――――――

「やっほー、おっふろー!」

 

「ぽいぽい!湯船っぽい!」

 

「こら、走ると危ないでしょ!」

 

「そうだよ、危ないよ」

 

ハムマンと時雨の注意を無視して、夕立とサンディエゴはある風呂にそのまま飛び込んだ。

 

「ああ、そっちは!」

 

「ぽぽぽぽぽぽぽぽいいいいいいいっ!?」

 

「あばばばばばばば!ビリビリするううううううっ!?」

 

そのまま風呂から弾き出される二人。

 

「な、なんでっぽい………」

 

「な、なんで、お風呂がビリビリするの…?」

 

「エルドリッジちゃんから電気が出てるから…」

 

ノーフォークの言う通り、その湯船の中にはキャノン級護衛駆逐艦のエルドリッジが居た。

エルドリッジはお風呂が好きなのであるが、なぜか出るようになってしまった電気のせいで同じ湯船の中に入ったら夕立とサンディエゴの通りになるため、エルドリッジが居る時は他の艦は他の湯船に避難するらしい。

 

「大丈夫?夕立」

 

「な、な、なんとかっぽい……」

 

 

時雨が夕立を起こそうとする中、同じく二人の明石もお風呂に入ってるようで

 

「仕事終わりに温泉には入れるなんて最高にゃー」

 

「そうですねー……生き返ります……」

 

「我がロイヤルの手によるテルマエ式大浴場よ!温泉が重桜だけの物とは思わないことね!」

 

「流石、陛下」

 

クイーンエリザベスはえっへんと立ち上がって自慢をして、ウォースパイトはそれに合いの手を入れていた。

まあ実際すごいものであるのは事実である。

 

一方、同じく入っていた長門は駆逐艦達に声をかけた

 

 

「おーい、駆逐艦達!あまり入りすぎるとのぼせるぞー!はいりすぎるなよー!出たらラムネを用意してるからなー!」

 

「「「「はーい!」」」」

 

長門はすっかり駆逐艦達に好かれてしまったようで、長門周辺には駆逐艦が集まっている。

 

(うむ……やはりこういう事は悪くない……)

 

「…………!」

 

そんな面倒見が良い長門を鼻血を垂らしながら凄まじい目で見ている「空母」が一人いるのだが、それに関しては触れないでおこう。

 

「長門さん、あの時から他の駆逐艦さん達に好かれてる感じがします…」

 

「確かにそうだね……流石長門さん…」

 

綾波と吹雪がそう話していると、その隣ではユニコーンが泣き出してしまっていた。

 

「うっ……」

 

「え!?どうしたのユニコーンちゃん!?」

 

「大丈夫ですか?」

 

「何かあったんですか!?」

 

ジャベリン、吹雪、綾波が驚いていると、ユニコーンは泣きながらも続けてこう話す。

 

「ユニコーン…背低いのに……胸だけこんなで……すごく変……」

 

彼女はどうやら自分の身長と胸が比例していないということをすごく気にしていたようだ。

だがジャベリンと綾波、ラフィーは彼女を励ますべく、こう話す。

 

「そんなことないんじゃないかな?」

 

「そうですよ?変じゃありません」

 

「うん、ユニコーン、スタイル良くてカッコイイ」

 

「うそ……」

 

「嘘じゃない……本当」

 

「そ、そうです!ユニコーンさんは私なんかよりスタイルが良くて…」

 

吹雪も遅れてそう話す。

 

「でも、ユニコーン…みんなと違うし…」

 

「みんな違うの当たり前…変な人なんていない」

 

「はい、皆が皆、違ってるんです……」

 

ラフィーと綾波の言う通り、皆が皆違っている。

胸が大きいやら小さいやら……まさに十人十色であった。

 

「………」

 

その後、プリンス・オブ・ウェールズとイラストリアスがお風呂へ入ってきた時には――

 

「うふっ…」

 

「何かいいことでもあったのか?」

 

「ええ…とても……」

 

そのユニコーンはジャベリン達とともに笑顔で湯船に入っていたそうな。

 

――――――――――

 

「よく拭くんだぞー!まだ吹き足りんようだな……それ!」

 

ワシワシとシグニットの髪を拭いている長門

 

「うわわわわっ!」

 

そして風呂から上がった艦達はそれぞれ自由時間を過ごしている。

ゲームをする者、盆栽をいじる者

読書をする者、飲み物や中にはお酒を飲む者もいる。

 

そんな中、ジャベリン、ラフィー、ユニコーン、綾波、吹雪、夕立、時雨はジャベリンの部屋に集まり、皆でお菓子を食べていた。

そして当然ながら「綾波」と「Z23」のことについて触れ始めた。

 

「綾波ちゃんとニーミちゃん?…ニーミちゃんは知らないけど、綾波ちゃんはあの時の子?」

 

「うん……私たち敵同士だけど、こんなの間違ってるかもしれないけど…」

 

「でも関係はない…だよね?」

 

「うん、時雨ちゃんの言う通り…諦めるつもりはない…。私、綾波ちゃんとニーミちゃんと友達になる!敵同士は無理って言うけど……私はこうして吹雪ちゃん、こっちの綾波ちゃん、時雨ちゃん、夕立ちゃんと友達になれたし…」

 

「うん、私達は元の元は敵同士っぽいけど、こうして仲良く話せてるっぽい!」

 

「ラフィーも吹雪とかと普通に友だちになれたし……いけると思う…ね?」

 

「そ、そうですね!…奇妙な縁ですけど、こうして仲良くなれましたし」

 

ラフィーはそう言って吹雪のほうを見る。

それで吹雪は少し照れくさいようで、ちょっとぎこちなくになっている。

 

「そうです……前にも言いましたが、こっちの綾波も付いてますから…」

 

「ゆ、ユニコーンも!」

 

「うん!」

 

二人のその言葉にジャベリンは元気よく返事をした。

そしてその日の夜はジャベリン達にとってとても良い夜になったそうな。

 

 

――――――――――――

 

一方の重桜基地

こちらも同じく夜であり、艦達はそれぞれ色々な娯楽をして過ごしているのだが…。

 

「………」

 

「………」

 

ニーミと綾波は如何せんいい表情をせずに、夜の海を見ていた。

やはり「友だちになりたい」にずっとひっかかっているのであろう。

 

「……敵同士なのに……変です……」

 

「はい……あの方々は……おかしすぎます……」

 

((でも………))

 

「敵」であるジャベリン達が行ったその宣言は「戦場」というところでは間違っていると言える。

殺るか殺られるか……それが全てであるからだ。

 

 

だがその「友達」という選択は本当に悪いものと断定できるのか?

それはできるはずもない。その行為自体はとても良い気持ちであり、悪いことではない。

その輝きを完全に否定できるものではないというのも事実であった。

当然その答えは見つかるはずもなく……

 

「…綾波にはもう何が正しいがよくわからない…です…」

 

「……私にも……わからなくなりました……結局…何なんでしょう…」

 

「…………」

 

そのまま悩み続ける二人であった。

おそらくはまたどこかで出撃をする機会はあるのであろう。

その時、自分たちはどうすればいいのか?

銃を向けて良いのか、手を取って良いのか。

 

その悩みはまるで長い長い迷路のようであった。

 

 




次回は短編を何回かで分けて出す予定です。
投稿タイミングは不定期です。

7話以降の投稿は2月下旬~3月に入ってからになるかも……。
3月13日の11話放映次第なところも少々あるので……。
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