アズールレーン&艦これ ~蒼き航路に集いし少女達~ 作:モンターク
夜の重桜基地
その桟橋では重桜の赤城が佇んでいた。
何かを思い出し、何かを想っているのか、どこか淋しげな表情である。
そして……
「…もうすぐ…もうすぐ会えるわ………「天城姉さま」」
今は居なくなった赤城の姉「天城」のことを呟いていた。
――――――――
「はぁっ……こりゃ完全にお手上げですね…」
「だにゃ……」
二人の明石が基地内の工廠でため息を付いていた。
そして台の上には黒いメンタルキューブと普通のメンタルキューブがあった。
そこへ軽巡夕張が訪ねてきた。
「どうしたのよ、二人共ため息ついて」
「ああ、夕張さん……いや、ウェールズさんに「このメンタルキューブと黒いメンタルキューブをもっと詳しく調べてくれないか?」と言われまして、色々と検査装置やらコンピューターやらを駆使してこの2つのメンタルキューブについて解析やらをしていたんですが……」
「ですが?」
「全くわからなかったのにゃ……」
KAN-SENの明石も首を振る。
そして通常のメンタルキューブは光り輝く中、黒いメンタルキューブは邪悪なオーラを出し続けていた。
「……でも、黒いメンタルキューブが解析できないのはなんとなくわかりましたが、一応KAN-SENの元である通常のメンタルキューブまで解析できないのは予想外でした…確かKAN-SEN達を構成するリュウコツの元でしたよね?」
「そうにゃ……メンタルキューブは人類のイメージを投影して、具現化するものにゃ……あと整備とかにも使ったりするけど、明石も詳しいことはわからないにゃ……」
「そう……使えるけど中身はわからないブラックボックスってこと?」
「そうですね、夕張さん。一応まだ色々と解析してみますけど、期待はできないと思います」
「念押しにゃ」
そう3人が話していると、今度は赤城が工廠の中に入ってきた。
「明石さん、艦載機のことなんだけど……あら、それは…」
「ああ、赤城さん」
「ウェールズさんにメンタルキューブの解析を頼まれまして…猫の私といろいろとやっていたところなんです」
「もっとも結果は芳しくないのにゃ…」
「そう……」
明石達のことを聞くと、赤城はそのメンタルキューブをじっと見てみる。
「こっちの綺麗ね……そしてこっちのは……」
「ホント邪悪な力みたいなものですね……多分セイレーンが作ったものでしょうけど…」
「間違いなく横流し品にゃ……はぁ……壊そうにも壊せないものにゃし……」
「恐ろしく頑丈にできてますからね……トンカチでもびくともしないし……まあ仮に割れてもかなり危ないことになりそうですが……」
「まあ、ろくでもない物なのは確かね…」
二人の明石と夕張がそう話している中、赤城はそのメンタルキューブを見ている。
輝きは依然として失ってはいないようだ。
(一体あちらの私は何をしようとしているの…?敵に下ってまで……戦力増強というだけで……?)
――――――――
そして再び、「プリンス・オブ・ウェールズ」「ベルファスト」「ホーネット」「エンタープライズ」「大和」「霧島」「赤城」で話し合いが行われていた。
内容はやはり「重桜」のことである
「この黒いメンタルキューブと明石を奪い返しに来るのは明白と言っていい……だが重桜はまだこちらに来てはいない……哨戒も強化しているのだが、網にはまだ引っかかっていない」
「はい、現行段階における哨戒活動でも確認はできませんでした」
「そうですか……」
プリンス・オブ・ウェールズとベルファストの情報に赤城がそう頷くと、ウェールズは赤城に対してこう問いた。
「来るとは思うか?赤城」
「…はい、奇襲は一回しか通用しない以上、次は大艦隊で来ると思います」
「そうか……」
そうして話していると、クリーブランドが異変を知らせにクリーブランドが駆け込んできた。
「た、大変だ!」
「何事ですか?」
「ああ、大和さん達も居たんだ……ってとにかく大変なんだ!哨戒に出てたユニコーン達の偵察機が重桜艦隊を捕捉したらしいんだ!」
「やっぱり……!」
「……!」
霧島と赤城は予感が的中したと考える中、ウェールズはその仲間を心配する。
「なんだと!?ユニコーン達は?」
「偵察機は撃墜されたみたいだけど、哨戒艦隊はなんとか退避して今は基地周辺にまで戻ってきてるよ」
「そうか……だがこうして話している時に来るとは怖いものだな……」
「どういたしますか、ウェールズ様」
ベルファストのその問いにウェールズは迷いもなく、この宣言を出す。
「これより我らは基地へ接近する重桜艦隊を迎撃する!各隊、出撃用意!」
「「「了解!」」」」
――――――――
こうしてロイヤル、ユニオンそして艦娘による連合艦隊が速やかに編成されることとなった。
一部の艦こそ基地に置き、突然の深海棲艦・セイレーンの攻撃に備えることにしたものの、ロイヤルとユニオンの大部分の主力艦は出撃することとなり、艦娘は全艦が出撃するということとなった。
なお連合艦隊総旗艦はロイヤルの戦艦「クイーン・エリザベス」である。
そしてその作戦の出撃準備の最中、加賀はある疑念を赤城へ伝える。
「赤城さん、あちらの私達についてだけど…」
「加賀さん…どうしたの急に」
「あの時の奇襲の際、あちらの私があちらの赤城さんのことを「姉さま」と言っているのが気になって」
「ああ……でもここじゃ違う艦種でも姉さまと呼ぶことがあるから、そういうものじゃないの?姉妹艦じゃなくても…そもそも私達艦娘でも初風とかは……」
「いえ……それにしてはどこか……言い表せないものですが、あちらの明石さんの言う通りにあちらの赤城さんが他の重桜艦に詳細を伝えずにオロチ計画を推進していることを含めて、何か関係があると思うんです」
「関係…ですか……」
「私の思い過ごしなら良いんですが……」
(……)
加賀の意見を聞いて、赤城も少し考えていた。
オロチ計画…そして史実の八八艦隊計画…
思い過ごしといえばそれまでだが、艦としての「勘」そして「記憶」からのものなのか、赤城も妙な違和感を覚えていた。
おそらくは自身の姉になるはずだった艦「天城」が絡んでいる…と。
(一体……この戦い、何があるというの…?)
――――――――
重桜の大艦隊は加賀と赤城が先程の偵察機撃墜の件を含めて話しているところであった。
「良いのですか姉さま、偵察機を撃墜した上で予定コースを直進するのは待ち伏せされる可能性がありますが…」
「加賀、それが狙いよ……あえて撃墜して私達の居場所を伝える…そうするとあちらも大艦隊を差し向けるはずよ……そうすれば」
「しかし、量産型セイレーンや深海棲艦で水増ししたとしてもこちらの戦力差は……」
「その点については心配ないわ……私達にはセイレーンが付いているもの……」
不敵な笑みを浮かべる赤城を空より見ているセイレーン「オブザーバー」
「……さて、どれだけのエネルギーが得られるかしら…赤城…」
そのオブザーバーもまた、不敵な笑みを浮かべていた。
2つの陣営を試しているかのように……。
不穏要素増々で7話へ進む……。