アズールレーン&艦これ ~蒼き航路に集いし少女達~   作:モンターク

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とりあえず後編も上げておきます。



交差する少女たち(後編)

「各機、残らず迎撃して!相手が例え零式や九九艦爆でも遠慮なく撃って!」

 

「attack!」

 

赤城率いる空母部隊は残りの戦闘機をすべて発艦させ、「重桜一航戦」を迎え撃つ態勢をとった。

 

「1番砲、2番砲、三式弾装填!電探とのデータ合わせて!」

 

「算出!主砲角度あげます!」

 

「主砲副砲三式弾装填!」

 

「戦艦大和、霧島、長門!攻撃を開始します!てーっ!!」

 

大和率いる戦艦部隊も三式弾による対空砲火を開始し、迎撃を行う。

 

そして一方の重巡以下は……

 

 

「対空要員準備良いか!」

 

「いけます!」

 

「よし!対空戦、いけーっ!」

 

防空巡洋艦である摩耶を筆頭に対空の陣形を組み、迎撃を開始し

こちらは多数の戦果を上げていた。

 

「なんだあいつら!?すげえ迎撃だ!」

 

そしてクリーブランド以下、KAN-SEN達もその存在に気づいていた。

だがこの攻撃の最中でいちいち所属を考えている暇はなかった。

何故なら攻撃が予想以上に激しかったからである。

 

「お友達を……いじめないで!」

 

そしてユニコーンはいつも抱えている「ゆーちゃん」を巨大化させ、それに乗り、迎撃行動に出た。

 

「なんだありゃ!?馬が飛んでる!?」

 

「一角の馬……つまりユニコーン?」

 

「鳥海は冷静だな……」

 

「す、すごい……」

 

「すごいですね……」

 

「僕、ああいうの初めて見るよ……」

 

「そうです……ん?」

 

もちろんその行動に艦娘達は驚愕しているが、神通はある駆逐艦に気づいた。

 

「行きます!!」

 

「あなたは…!」

 

「重桜、吹雪型駆逐艦改良型「綾波」!」

 

綾波がジャベリンに攻撃を与えようとするがジャベリンはなんとかそれを抑える。

 

「鬼神の力、味わうがいい!!」

 

「どうしてこんな……!」

 

「敵同士だから当然なのです!」

 

ジャベリンの問いかけも虚しく、綾波は容赦なく攻撃を加える。

あの時会ってしまったゆえにあまり戦いたくないジャベリンは防戦一方となり――

 

「あ!」

 

「貰った!」

 

一撃を喰らいそうになる…が。

 

「!?」

 

「なに!?」

 

カンっ!と弾く音が聞こえた。それは間違いなく剣と剣がぶつかった音

だがジャベリンは尻餅をついてしまった。ラフィーも攻撃機の迎撃に手一杯である。

それは――

 

「あなたは……!?」

 

重桜の綾波が思わずこう問うと、彼女はこう返した。

 

「川内型2番艦…そして第二水雷戦隊旗艦「神通」!」

 

「!?」

 

重桜の綾波は驚いた。

自分が知る神通とは違うはずなのに、目の前には間違いなく神通が居たからである。

 

「くっ!」

 

重桜の綾波はなんとか下がり、態勢を立て直す。

そして神通も持っていた日本刀を握り直した。

 

そして艦娘の綾波がジャベリンに駆け寄った。

 

「大丈夫ですか?」

 

「は、はい!あなたは……!」

 

「名乗るほどではありません。今は神通さんに任せて敵機の方を!」

 

「は、はい!」

 

 

そして上空の方もユニコーン自身の出撃、艦娘の航空隊と重桜の赤城、加賀の航空隊で凄まじい航空戦が繰り広げられていた。

 

史実真珠湾では奇襲によりアメリカがほぼ一方的にやられてしまっているため、これはまさに本来ならありえないことなのでだろう。

だがそれでも数で負けているはずの重桜側の赤城と加賀のほうが優勢である。

 

「数が多い!私と加賀さんだけのはずなのに……」

 

「うーん……深海棲艦との攻撃も止んでないし……一体……」

 

「やはり損害が多いわね……!さすが一航戦!」

 

赤城、蒼龍、瑞鶴がそう話しつつ、迎撃の指示を出す中

重桜の加賀はこう呟いた。

 

「数が予想以上に多いな……見たことあるようなものも混じっている……だが……良い獲物は居る」

 

そして狐のお面をてにとった後、加賀の艦が桜吹雪を舞い、姿を変えた。

 

「お、おい!?」

 

「なに!?」

 

その姿は大きな狐……そしてそれに航空甲板やら艤装がついていた。

だがその姿はまさに幻獣である。

 

「ちょ、鳥海!?なんなんだよあれ!?今日はビックリドッキリメカの日かなんかか!?」

 

「それ古いです……でもあちらの加賀さんが……?」

 

当然艦娘の加賀も――

 

「……なに……これ……」

 

「げ、幻獣よね……あっちの加賀はそこまで出せんの…?」

 

「わ、私に聞かれても困るわ……」

 

ただただ困惑するだけであった。

 

そしてその幻獣はユニコーンをも追い詰めた。

軽空母と正規空母であるがゆえ、これは限界でもある。

 

「ぐっ……!」

 

「どうした?これではあまりにも張り合いがないぞ」

 

「楽しそうね。加賀」

 

必死に迎撃を続けるが、あまりにも損害が多すぎる。

アズールレーン及び艦娘側は次第に消耗していった。

 

そして――

 

「うわあああああっ!!!」

 

「このままじゃ……ユニコーンちゃんが!」

 

「くっ!」

 

「やめろおおおおっ!!」

 

一角獣が幻獣に喰われようとしたその時

 

「!?」

 

一羽の鳥がその幻獣を貫き、

貫いた後、その鳥は航空機へと姿を変えた。

 

「なにっ!?」

 

重桜の赤城は驚き、鳥が来た方角を見つめた。

そこには、ある「空母」が居た。

 

「あの船は!?」

 

中型の通常空母でありながら大戦中に15回の大小の損傷がありつつも戦い抜き、アメリカ海軍を勝利へ導く原動力となった艦。

様々な愛称があり、ビッグE、ラッキーE、ギャロッピングゴースト(走り回る馬の亡霊)…そしてグレイゴースト(灰色の亡霊)とも呼ばれ、艦の中で最多の従軍星章(バトルスター)を得た太平洋戦争及び第二次世界大戦の最大のそして最高峰の武勲艦。

 

ヨークタウン級航空母艦2番艦「エンタープライズ」である。

 

「やはりお出ましね……ユニオンのグレイゴースト…「エンタープライズ」!」

 

「エンタープライズ、エンゲージ!」

 

その言葉とともに彼女は艦状態を解除し、艤装を身に纏う。

 

「エンタープライズ……彼女も居るのね……」

 

サラトガはやはりという表情で彼女の方を見ていた。

サラトガは大戦開始時にアメリカに居た空母としてはエンタープライズ、そしてレンジャーとともに生き残った艦であるため、当然のことながらよく知っている。

懐かしいとも思えても居た。

 

そしてエンタープライズは自身が召喚した実寸サイズの戦闘機に乗り移り、セイレーンの艦船からの攻撃を掻い潜り、重桜の加賀と交戦する。

 

「面白い!」

 

加賀は次々とエンタープライズに容赦なく攻撃を仕掛け……。

 

「くっ!」

 

エンタープライズは大型の弓を引き、その航空機を撃墜していく。

その手腕は一瞬のスキもなく、見事とも言える。

 

そしてそれでも撃墜できなかった航空機はエンタープライズが乗っていた航空機から少しだけ離れて、体術により蹴散らした。

 

「す、凄いっぽい……」

 

艦娘達は当然ながら驚きすぎてこのような反応しかでない。

本来艦船というものは遠距離戦が主であり、接近戦は大航海時代の海賊でもないのでほぼない。

艦娘になってもそれは暫く変わらないもので、艦娘は基本訓練を受けているため近接戦闘も可能あり、一部艦娘も行っているものの、基本は遠距離戦が主である。

 

ましてや遠距離が主であるはずの空母が目の前で殴り合うのはほぼないことであるゆえに、驚くのは無理もない。

 

「いけっ!」

 

「!?」

 

そしてエンタープライズ狐の幻獣に弓を引き、爆弾を投下し、その狐を突破する。

 

その後、その体を伝い、本体の加賀のほうへ一目散に走る。

 

「私を楽しませろ……亡霊よ!!」

 

加賀はその言葉と同時に体に蒼きオーラを纏い、目も光らせる。

 

「待ちなさい!加賀!」

 

それと同時に赤城は加賀を抑えようとするも、目の前に標的がいる以上、聞く耳は持ってない。

 

「ゔあっ!!」

 

そして加賀は攻撃をするも、エンタープライズは装備をフルに使いそれをすべて弾き――――

 

「貴様……!」

 

「取ったぞ……!」

 

「しまっ……!」

 

ゼロ距離による射撃……それは加賀を貫いた。

 

「ぐ、ぐあああああっ!?」

 

その射撃により加賀はもだえ苦しみ、それと同時に幻獣も断末魔を出しながらも消滅した。

そしてエンタープライズは海面に華麗に着地した。

 

「………凄いわね、さすがビッグE……」

 

「あちらの私も完全に倒れてはいないみたいだけど……でも……あれは……」

 

その一部始終を見ていた艦娘の赤城と加賀は複雑な気分であった。

 

「ぐっ、私の体に傷を……!この体は姉さまの……!!」

 

再び反撃に転じようとするも、ここで赤城の鶴の一声が入った。

 

「そこまでよ、加賀」

 

「姉さま!加賀はまだ戦えます!」

 

「わかっているわ……でも、そろそろ潮時よ」

 

そして残りのセイレーン量産艦及び深海棲艦の艦船は動きを取れなかったイラストリアスとプリンス・オブ・ウェールズが撃破していく

 

「お姉ちゃん!」

 

「遅いよ全く……」

 

「すまない、艤装の換装作業が予想以上に手間取ってしまってな……」

 

「対空攻撃中止。1番、2番、徹甲弾装填!」

 

「目標、敵未確認艦船及び深海棲艦艦船!」

 

「全主砲、斉射!てーっ!!」

 

艦娘の戦艦である大和達も航空機攻撃が弱まったことにより残存艦隊の掃討に当たる。

46cm砲、41cm砲、36.5cm砲の多重攻撃により、次々と撃破されていく。

 

「目標も概ね果たしたわ。予定通り上々の戦果よ…」

 

(ある一点だけを除いては…だけど)

 

赤城は黒き邪悪なキューブを見つつ、そして今も戦っている艦娘のほうを見る。

 

(……何……あの「艦」への違和感は……?)

 

「はい、姉さまがそう言うのでしたら………姉さま?」

 

「いえ、なんでもないわ加賀……」

 

(気のせい……かしら?)

 

「待て、逃がすと思うか?」

 

「あ~ら怖い怖い。そんな目で睨まれたら私どうにかなってしまいそう…」

 

わざとらしい声でエンタープライズを挑発する。

 

「んっ……!」

 

だがその時、別の方向からある飛行機の形をした紙のようなものが飛んできて、エンタープライズの弓の構えを崩した。

そしてその紙はすぐに燃え落ちた。

 

そしてその方角にいたのは翔鶴型航空母艦2番艦であり、五航戦の瑞鶴である。

 

「……先輩方、そろそろ時間です」

 

どうやら一航戦に撤退の時間を知らせに来たようであった

 

「ええ、御暇しましょう……」

 

そして一航戦は空へ撤退していく。

 

「まて!」

 

 

 

そして別の方で戦っていた綾波もその撤退に気づいたのか、すぐさま撤退を開始した。

 

「あ、待ってください!綾波さん!」

 

「ああ………」

 

綾波はそのまま全速力で駆け抜けた。

未練があったような気もあったが、それも振り切りつつ……。

 

 

『これは宣戦布告よ……アズールレーン』

 

『これより重桜は鉄血とともにお前たちの欺瞞を打ち砕く』

 

『未来とは強者に委ねられる物……天命はこの力で大洋を制する我々にある』

 

『我らは赤き血の同盟「レッドアクシズ」なり』

 

その宣言とともに桜吹雪が舞い、重桜艦は姿を消した。

 

「ううっ、一体何が何なのかわからないよ!ひりゅー!」

 

「うーん……」

 

二航戦の二人は混乱しているようで、頭を痛めている。

 

「重桜……つまり日本が宣戦布告したってことよね……」

 

「まだわからない……だけど翔鶴姉……このままじゃ不味いってことは確かよ……あの時みたいに」

 

「ともかく、今はあの「アズールレーン」に合流してみましょう……」

 

「え?でも大丈夫なの……私達、ジュウオウとかじゃないけど敵対したことがある日本艦よ!?」

 

「大丈夫、あの中には私の知り合いも複数いるみたい……きっとわかってくれるはず。なので赤城さん、接触行動に入りましょう」

 

「……ええ。大和さん達もいいですか?」

 

「はい。今はそれが最善かと……でもその前に負傷者の救助活動が最優先です。艤装が損傷し、浮遊艦が多数居ます。まずはそこから!」

 

「了解です。大和さん!」

 

――――――――――――

 

「はぁ……やっと終わったかぁ……疲れたぜ……」

 

「ええ、ではまずは…」

 

「ああ、先程大和さんの通信通りに救助活動だ!行くぜ!」

 

(まだまだ元気ですね……)

 

そうして摩耶達も救助活動に移行するのだが――

 

「ブクブクブク」

 

「ん?なんだ?この艦」

 

ブクブクブクと流れていた艦。

それを摩耶がそれを釣り上げてみると――

 

「ううっあああっ……」

 

「おお、大丈夫か!?」

 

ピンク髪でツインテールな彼女。

それはつまり軽巡サンディエゴであった。

 

「はあっはあっ……あ、ありがとう……」

 

「水用意してやるからちょっと待てよ……」

 

 

 

 

 

そしてプリンス・オブ・ウェールズとイラストリアスも色々と救助活動の指揮をしているが、当然ながら「謎の艦」も把握しつつあった。

 

「しかしあの艦……ユニオンとロイヤルであのような艦はみたことないぞ……」

 

「重桜艦……でもありませんね……雰囲気が全く違います……。でも悪い人じゃないと思います。現に救助活動を行っていますし」

 

「そのようだな……まあいい、そのことは後だ。今は救助と復旧を最優先とする」

 

「ええ」

 

 

「……」

 

一方戦いを終えたエンタープライズは鷲が飛んでいる空を見つめていた。

 

「戦いの次に……また……戦い……」

 

誰にも聞こえない言葉を小さく呟きながら……。

 




エンタープライズはアニメ版通り、かなり無茶してます。
次回からクロスオーバーの本番かも

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