アズールレーン&艦これ ~蒼き航路に集いし少女達~   作:モンターク

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その手とその手(後編)

そしてアズールレーン側は重桜艦隊の位置を捉えた。

 

「重桜の主力艦隊、発見しました」

 

ヘレナからの報告を聞き、艦隊主力艦たるホーネット、プリンス・オブ・ウェールズ、クリーブランド、大和、霧島が緊急会議を開いた。

 

「なるべく見つけたくはなかったんだけどね……おそらくは敵も捉えていると思うよ」

 

クリーブランドの言う通り、見つけてしまえば戦わなければならない。

重桜がこのまま尻尾を巻いて逃げることはしないだろうとも思っていた。

 

「だが、重桜が持つセイレーンの力は危険だ。ここで完全に逃せば情勢は更に悪化しかねない……撃滅は不可能だろうが、戦力を削ぐ必要はある」

 

「ああ、まあ仕方ないさ。戦いだもの…」

 

「はい……やるかやられるか…です」

 

ホーネットは帽子を深くかぶりつつもそう呟き、大和も同じように氷の世界を見つつ、呟いていた。

そしてその話を聞いていた瑞鶴はある提案をしようとしていた。

 

「ウェールズさん、大和さん。この場は私達五航戦に預けてもらっても良いですか?」

 

「どういうことだ?」

 

「おそらく……「私達」が来ます」

 

瑞鶴は艦としての勘を働かせて、ある作戦を話し始めていた。

 

 

――――――――

そして重桜側もアズールレーン艦隊に気づき、こちらの艦隊を逃がすために翔鶴、瑞鶴といった五航戦が殿を志願した。

 

「決して早まらないでよ、2人とも」

 

「平気よ平気。こう見えても私だって幸運艦なんだから」

 

「みんなをよろしく頼むわね」

 

そう瑞鶴と翔鶴が話すと、その殿を果たすために直様出撃した。

 

「……行ったか」

 

高雄がそう確認すると、その様子を見ていた綾波が何かを思ったのが、こう話し始める。

 

「どうすればいいのか……綾波には分からないです」

 

「綾波……」

 

「でも……!」

 

「……ああ、行け」

 

そうすると綾波も遅れて出撃をし、

 

「綾波!待ってください!」

 

それを追って、ニーミも出撃した。

 

「……いいの?高雄ちゃん」

 

「ああ、あの二人の悩みを溶かすにはそれしかない……」

 

「まあ、高雄ちゃんらしくない……いつもなら「ビシっとしろ!」とか言いそうなのに」

 

「……あのな……」

 

高雄と愛宕はその二人の悩みに薄々気づいていた。

というより、いくらなんでもソワソワしすぎていたため、半ばバレかけていたというのが正しいが…。

それゆえに、背中を押したということである。

 

その後、重桜の五航戦は途中の戦艦からの砲撃をかわしている最中であるが、その様子を二人のセイレーンがみているようであった。

 

「つくづく面白いわね人類って。争いを恐れながら戦うことを選ぶ。度し難いほどに矛盾してるわ」

 

オブザーバーともうひとりは同じく上位個体である「テスター」であった

 

「彼女たちは人の思いと歴史を映し出す鏡。闘争こそが人類の本質よ。そう…戦いはいつの世も変わることはない……私達の外にいた艦娘達は少し例外みたいだけどね」

 

オブザーバーがそう話していると、テスターはオブザーバーが持っていたその艦について気になったようで。

 

「そう……ところで、それ…拾ったの?」

 

「ええ、この子にはまだ役割があるわ」

 

そこには眠りについたように横たわる重桜の赤城の姿があった。

ただ、死んだ…というわけではなく、少なくともまだ「息」はあった。

 

「エンタープライズのおかげで黒いメンタルキューブは膨大なデータを獲得したわ。計画には十分なエネルギーよ」

 

「そう…ようやくね」

 

「ええ、「オロチ」が目覚めるわ……」

 

オブザーバーはそう淡々と呟いていた。

 

――――――――

 

その後、砲撃などの攻撃を避けた重桜五航戦は氷山の隙間の中に入った。

 

「おかしい……ここまで攻撃してこないなんて……」

 

「瑞鶴!」

 

「!」

 

そしてその進路を阻むもの……それは艦娘の五航戦であった。

 

「また……アンタ…!」

 

「ええ、私が頼んだのよ……もちろんあんたたちが陽動だってのはわかってるわ」

 

「…まさか…!」

 

「本隊の方には手を出していません。仮に出したとしても、私達も無事じゃ済まないと思いましたので」

 

翔鶴の言う通り、アズールレーン側はそのまま動向を見守っている、

このまま攻撃してしまえば一捻りなのかもしれないが、そもそも殲滅戦は誰も望んでいない。

だが戦力は削ぐということには変わりがない。

艦娘の瑞鶴はあることを提示した。

 

「…「瑞鶴」、そしてそっちの翔鶴姉、私達に投降して」

 

「投降……降伏……!」

 

「はい、そうです……端的に言いますとあなた達のしていることは間違っています。セイレーンの力という敵の不安定な力に頼ったところで……その元は絶対に変わりません……」

 

「……瑞鶴」

 

「……なるほど……私達を捕虜にして、重桜の戦力を削ぐ寸法ってわけね……」

 

重桜の二人はこの意図を察した。

そして武器を構えた。

 

「お断りよ。そもそもあの時……私があの囮の時…に最後まで戦ったのを忘れたの?」

 

「ええ、わかってるわよ…あの捷一号作戦…レイテ沖海戦の時に…」

 

瑞鶴最期のであるレイテ沖海戦。なお日本側は当初は内部作戦名を「捷一号作戦」として戦闘詳報では「フィリピン沖海戦」として呼称しており、戦後よりアメリカ側の呼称であるレイテ沖海戦を使用している。

そこでは瑞鶴は小沢機動部隊旗艦として参加したのであるが、マリアナ沖海戦で翔鶴・大鳳・飛鷹などの艦を失った日本にはすでにまともに動ける艦載機もほぼなかった。

対するハルゼー大将率いるアメリカ海軍第3艦隊は航空母艦は17隻も持っており、戦う前に既に勝敗は決しているとも言えた。

だが連合艦隊司令部もそこまでのことは考えており、機動部隊である小沢艦隊を囮にし、そのスキに主力艦で構成された栗田艦隊でレイテ湾に突入し、敵上陸部隊を殲滅するという作戦を立てたのである。

その結果、小沢艦隊はエンタープライズ、エセックスなどから差し向けられた攻撃隊の猛攻撃を受け、瑞鶴は他の千歳、千代田、瑞鳳とともに轟沈した。だがその囮作戦は成功したと言えた。

 

――だが、肝心のレイテ突入は果たすことができなかった。

栗田艦隊がレイテ湾を前にして反転してしまったのである。

 

これに関しては様々な説があり、栗田自身もそう多くは語らなかったこともあり、謎に包まれているが、一説には瑞鶴からの囮作戦成功の電文が大和に届かなかったから、もしくは届いたが司令部にまでは伝達されなかったと言われている。

なお仮にここで突撃しても遅すぎたという説もある。

 

「だからこそよ……あの時とは違うのよ……」

 

「じゃあ……その違うのが正しいってのを証明しなさいよ…!私に勝って……」

 

再び五航戦同士の戦いが始まるかに見えたが……その戦いはある別の航空機により割り込まれた。

その航空機はSBD ドーントレスであった。

 

「グレイゴースト…!」

 

「エンタープライズ……!?」

 

その目線の先には氷の上で佇むエンタープライズの姿があった。

双方の瑞鶴はやはりといっていいか驚いている。

もちろん暴走状態なエンタープライズには何も声は届かず、敵である重桜の五航戦を攻撃しようとする。

 

「危ない!」

 

「くっ!」

 

「……!」

 

なんと艦娘の五航戦が重桜の五航戦を庇ったのだ。

艦娘のほうはそもそも装甲空母であるため、これくらいの爆撃はそうでもないので、できたことなのだが、重桜のほうの翔鶴、瑞鶴はこの行動に当然ながら驚いていた。

 

「あんた……!」

 

「全く……装甲空母じゃないあんたならあれくらいで一発で甲板に穴開くわよ?」

 

「……一体…」

 

「翔鶴さん」

 

「な、なによ急に……改まって……」

 

「私達はお人好しなんです。確かに戦場じゃ間違っているかもしれません……だけど…この人の形をした今…その思いを消したくはないんです……」

 

「思い……」

 

二人の翔鶴の話のその直後、エンタープライズは続けて攻撃隊の発艦体制に入った。

攻撃態勢が整っていない空母故に、反撃は難しいものであり、そして今度は味方であるはずの艦娘のほうにまで照準を合わせている。

 

「また……!」

 

「あちゃー……あの目は……」

 

だがそこへ割り込んだの重桜の「綾波」であった

 

「綾波!?」

 

綾波は氷の壁を登り、先ほどの爆撃で削られて飛んでいた氷を足場にして、エンタープライズを直接攻撃しようとした。

 

「……!」

 

そこにエンタープライズは戦闘機を差し向ける。

 

(どうすればいいか綾波には分からないです……でも…!)

 

その戦闘機を綾波はその剣を一刀両断しようとする。

 

(これは違う!嫌なのです!)

 

「綾波!」

 

そしてやっと追いついたニーミであるが、少し遅すぎてしまった。

何故なら綾波がその航空機を切った瞬間、燃料とともに爆発し、綾波が巻き添えになってしまったのである。

 

「………!」

 

その時、エンタープライズは正気を取り戻したが、今までのことを覚えていないようで、ひどく動揺していた。

 

「ま、待って……」

 

そしてそのまま綾波は落下し、不安定空間故に割れたその地面の中へ行こうとしたその時……。

 

「行きなさい!」

 

「行ってください!」

 

「行くっぽい!」

 

「どうか……「綾波」を……!」

 

別方向で待機していたジャベリン達

神通とベルファスト、夕立、綾波に押され、ジャベリンとラフィーは綾波を助けるべく、そのまま降りた。

 

「自己リミッター解除……!」

 

ジャベリンが氷の壁にアンカーをぶち込み、ラフィーはそのまま綾波の手をつかもうとする。

 

そして――

 

「届いた……」

 

「……あなた……は!」

 

ラフィーはしっかりと綾波の手を掴み、ジャベリンはそのラフィーを掴んだ。

これでなんとか落ちることはなくなった。

 

「重い……早く登ってきて……!」

 

「………ありがとう……なのです」

 

綾波は初めてその表情を緩めた。

 

「よ、よかった……」

 

その様子を見ていたニーミは急に力が抜けたようで、その場で少しよろけてしまった。

なおもしジャベリンたちがこなければニーミが飛び出していたことであろう。

 

「よかった……」

 

「良かったですね……」

 

吹雪と艦娘の綾波は安堵の表情を浮かべた。

だが時雨と夕立はそれを注意深く見ており……

 

「でも……あのままじゃ……」

 

「まずいっぽい……」

 

なにせアンカーを打ち込んだその氷がそろそろ崩れそうであったからだ

 

「え!?こ、氷が!」

 

「んー?」

 

このままでは3人とも落ちてしまう。

そこで神通とベルファストはある手を打った。

 

「偵察機、発艦してください!」

 

「水上機、お願いします!」

 

神通の水上機の零式水上偵察機及びベルファストの水上機のスーパーマリン ウォーラスを発艦させ、3人をなんとか助けようということだ。

艦娘・KAN-SEN用サイズで小さいとはいえ、一人か二人くらいなら吊って運ぶことくらいは可能である。

 

「それに捕まってください!」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

ジャベリンは腕が完全に疲れながらも、ベルファスト達に感謝を浮かべていた。

 




デレた(確信)

話の筋を改めて考える&自身の体調の関係で次回投稿は遅れます。
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