アズールレーン&艦これ ~蒼き航路に集いし少女達~ 作:モンターク
その襲撃の情報が通達された基地内でもすぐさま救援部隊を編成しようという動きがあったのだが――
「ホーネットたちの援護に向かうぞ。誰か動ける船はいるか?」
そこへ真っ青な表情でイラストリアスが駆け込んだ。
「ウェールズ!エンタープライズ様が!」
「何!?」
――――――――――――
「エンタープライズ、先走るなって!」
「事態は一刻を争う!」
先程の翔鶴からの報告の後すぐさま出撃したエンタープライズ。
当然ながら近くには見かねて共に出撃したクリーブランドしかいなかった。
「……ぐっ!」
体がよろけるも、歯を食いしばり、なんとか痛みを逃がす。
当然ながら体はかなりの限界であろうというのは明白であった。
「やっぱりダメージが残ってるじゃないか!こんなの無茶だよ!」
「ホーネットは私の妹だ……」
おそらくこちらに向かっていたユニオンの艦隊にホーネットもいるというのは知っていたゆえに、警戒を解くわけにはいかなかったのであろう。
「エンタープライズ……なんだ、人間らしいとこあるじゃないか……って艦なのに変な感じだけど」
「クリーブランド……」
「私も妹が沢山いるんだ…気持ちは分かるよ。……でもせめて護衛艦がいてくれればな…」
その時、後ろから接近してくる6つの艦影
「ラフィーも行く…」
「皆を助けに行きましょう!」
「吹雪、行きます!」
「全速力でいきます!」
駆逐艦「ジャベリン」「ラフィー」「吹雪」「綾波」と
「全く、放っておけないわよ……急に飛び出していくんだから」
「あら、瑞鶴も飛び出す時はそう変わらないと思うけど……前の緊急出撃のときも…」
「しょ、翔鶴姉!それとそれは別!」
五航戦の空母「翔鶴」と「瑞鶴」である。
「ああ、艦娘の艦たちも……助かるよ」
「ま、乗りかかった舟よ……そしてあっちにも「私」がいるみたいだしどんな面か見に行くのもある。さっさと行くわよ!」
「ああ!」
――――――――――――
一方のホーネット達は大多数の艦はほぼやられてしまっていた。
「ブクブクブク……」
「なのー……」
ハムマン、ロング・アイランドなどの随伴はほぼ行動不能に
「くっ……!防戦一方ってのは……!性に合わないんだけど……な!」
残る主力空母ホーネットがなんとか戦闘を続けていた。
「この船の調べは亡者を静める鎮魂曲……」
「おりゃあああっ!」
だが重桜空母の翔鶴・瑞鶴が相手なのは流石に分が悪すぎる。
「しまっ!?」
「もらった!!」
瑞鶴がホーネットに一太刀を浴びせようとする……が。
「!?」
間一髪で戦闘機の機銃斉射が間に合い、瑞鶴をそちらの迎撃行動を即座に取った。
これによりホーネットはなんとか避けることができた。
「姉ちゃん!」
「いけ!」
「ありがとう姉ちゃん!」
「来たかグレイゴースト!」
そして重桜の瑞鶴はエンタープライズに突撃を試みるが…
別の航空機によりそれも邪魔された。
「なに!?」
その航空機は先程のものとは異なる緑色で日の丸を背負う物
もちろん重桜の瑞鶴も目にしたことがあるもの。
「くっ!?」
そして重桜の瑞鶴が目にした先には、白基調の弓道着のような格好した二人の空母
言うまでもなく艦娘の五航戦である「翔鶴」と「瑞鶴」であった。
「あんた一体……!」
「そうね……あえて名乗らせてもらうわ!第五航空戦隊所属、翔鶴型航空母艦2番艦の瑞鶴!」
「同じく五航戦所属、瑞鶴の姉の翔鶴です!」
「瑞鶴……翔鶴……な、なんのよ!?」
「どこを見ている!」
「なっ!?」
重桜の瑞鶴はエンタープライズの攻撃を避け、すぐに後退した。
「同じ艦って……」
(アズールレーンの作戦……?でも……あれは間違いなく私……?)
「私が二人……瑞鶴が二人……!?」
重桜の翔鶴瑞鶴もまた目の前の二人を他人とは全く思えなかった。
元の艦のその魂がそう思うのか?それ二人にはわからなかったが、ともかく否定は全くできなかったとも言えよう。
「くっ……私が二人いようとも今の相手はあんた……グレイゴーストよ!!」
次の瞬間、エンタープライズに飛びかかり
「相手にとって不足なし…いざ尋常に勝負!!」
「くっ!」
エンタープライズと瑞鶴は接近戦に移行した。
そして重桜の翔鶴は艦娘の翔鶴瑞鶴との航空戦に入った。
「同じ艦と戦う日が来るなんて思いもしませんでしたが……今はこちらの瑞鶴を守ることだけ…!行きます!」
「うわっ!?あっちの翔鶴姉も滅茶苦茶強いみたい!」
「こっちも負けてはいられないわ……いくわよ!全航空隊、発艦始め!村田さん、お願いします!」
そうして空母がドンパチやっている中、ホーネットはクリーブランド達との合流に成功する。
「ナイスタイミング。間一髪だったよ」
「ああ、艦娘達の協力のお陰だよ」
「艦娘?ああ、通信で聞いたよ。異世界から来た艦とかで」
ホーネットはその艦娘である吹雪と綾波のほうに目線を向ける。
「は、はい!特型駆逐艦、吹雪です!」
「同じく駆逐艦の綾波です……そして今あちらでエンタープライズさんと交戦してるのは五航戦の翔鶴さんと瑞鶴さんです」
「はぇ、あっちと同じ艦ってことか……つまりドッペルゲンガーみたいなのか?」
「ドッペル…ではないですけど……でも同じ艦ですね」
「うーん……まあ、でも助かったよ。ありがとな…くっ」
そしてその疲労と損傷からか、少しぐったりとなり、クリーブランドに支えられる。
「今のうちに撤退しよう!今船を出すから」
そうしてクリーブランドが実艦を展開しようとすると、どこからか砲撃が飛んできた。
「!?」
そして負傷艦とともに緊急回避を行い、なんとかその攻撃を避ける。
「あ……ううっ……うぐっ……」
そのせいでハムマンは更にブクブクと溺れる羽目になってしまったが……。
「ふふふふっ……」
そしてその砲撃が飛んできた方向には浮かぶ艦が一人
「今度はなんだよ!?」
クリーブランドのその問いに、その艦はこう答えた。
「グーテンターク。私達とも遊んでよ、アズールレーン」
鉄血所属 アドミラル・ヒッパー級重巡洋艦3番艦 「プリンツ・オイゲン」である。
「グーテンターク……ということはドイツ…いや鉄血の船…」
「飛んでる……のはもう慣れましたけど、あの艤装って…」
吹雪と綾波はその艦に注意深く観察する。
どこか生き物のように見えるその艤装ではあるが、そこに乗っている砲などはすべて吹雪達も見たことがあるもの。
そして彼女の中にある「ある種の勘」は彼女が「プリンツ・オイゲン」であることを指し示していた。
なお彼女の下には量産型艦船などがいる。
「KAN-SENのオイゲンさん……ってこと……?」
「そうみたいですけど、雰囲気が全く違います…」
「どこか重桜の艦と似ている艦もいるみたいだけど……任せてもいいかしら?ニーミ」
「……」
そしてそのオイゲンの下に居たニーミはコクリと頷いて、攻撃態勢に入った。
「鉄血駆逐艦Z23と申します…。あなたたちはここで倒します」
それに遅れて重桜の綾波も横に並んだ。
「あ、綾波ちゃん……」
綾波はジャベリンを見て、表情を少し暗くするも、同じく攻撃態勢に入っている。
それを見たラフィーとそして艦娘の綾波は自ら前に出た。
「みんなを連れて撤退して」
「ここは綾波が食い止めます!」
「ラフィーちゃん!?綾波ちゃん!?」
「あやなみ……」
「ほう、そちらの艦も綾波って言うんですね……。自ら殿を買うその行動、敵ながら敬意に値します……では……!」
そのニーミが引き金を引こうとしたその時――
「!?」
再び別方向からの砲撃が飛翔してきた。
この攻撃はそれほど精度がなかったため、誰にも当たらなかった…が
「何!?」
「なんだ!?」
「何なの…!?」
味方であるアズールレーン側はもちろん、敵であるレッドアクシズ、そしてプリンツ・オイゲンですら予想していなかったその砲撃。
「……もしかして!」
吹雪はすぐさまその方位へ注意深く目を向けた。
その光景はこの世界ではありえないものであった。
「これは……深海棲艦の艦隊です!」
「しんかいせいかん?なんだそれ」
ホーネットや他のKAN-SENは首を傾げる中、吹雪はすぐに簡単に説明をする。
「深海棲艦は私達の敵です。あなた達で言うセイレーンみたいなものです!」
「セイレーンのようなもの!?」
「綾波さん、艦影わかりますか?」
「わかりました。ヲ級2、ル級2、ホ級2、ロ級2です!」
そして少し離れて交戦していたエンタープライズらもその深海棲艦襲来に気づいた。
「なんだ…これは……?」
「まずいわね……こんな時に深海棲艦が来るなんて…」
「なによ!?そのしんかいなんちゃらって……」
「簡単に言えば敵よ!私達はもちろんのこと、あんたもやられるわよ!……くっ!」
そして深海棲艦の艦隊は、KAN-SENと艦娘を敵とみなしているのか、容赦ない攻撃を開始した。
「あぶない……」
「危ない!」
「!?」
綾波とニーミに当たりそうであったル級の砲撃を間一髪で弾いたジャベリンとラフィー。
戦艦ル級の砲撃に駆逐艦がまともに当たれば甚大な被害となりうる。
「大丈夫ですか!?」
「だいじょうぶ……?」
「……なぜ…?」
「あなた方は……!」
綾波とニーミはその行動に疑問を抱くが、そんな悩む暇もなく
敵の攻撃は続いた。
「航空攻撃来ます!回避運動を!」
「!」
もちろん砲撃だけではないヲ級の航空機攻撃も含んでいる。
防空艦も居ない上、負傷艦を抱えている中での攻撃を受けたため、回避するしかなかった。
一方の空母らもこの攻撃の最中では発艦行動を取れないため、バラバラに回避運動をとっていた。
ただエンタープライズはすでに無理をしすぎており、限界ギリギリになってしまっている。
「くっ……!まだだ……!」
――――――――――――
そして一方の基地は吹雪より連絡を受けた大和がプリンス・オブ・ウェールズらに事態を知らせていた。
「深海棲艦と呼ばれる敵…か」
「はい、あの艦隊では反撃も難しいと思われます。至急支援艦隊の編成をお願いします!」
その大和の要請のさなか、執務室の電話のベルが鳴った。
「陛下」
その相手はロイヤル所属の戦艦クイーン・エリザベスであった。
『待たせたわね。このクイーン・エリザベスの高貴なる艦隊が到着よ』
「助かりました陛下。実は今、友軍が深海棲艦と称する敵生物から敵襲を受け…」
『もちろんお見通しよ!すでに手は打ってあるわ』
えっへんとクイーン・エリザベスは胸を張っていた。
どうやら相当その作戦に自信があるようであった。
――――――――――――
「少し攻撃が止んだわね……」
「ええ……」
「瑞鶴、大丈夫?」
「お姉ちゃんこそ……でも一体……」
艦娘の瑞鶴は敵の攻撃が少し止んだと認識している。
翔鶴も同様であり、KAN-SEN側の二人もである
(さっさと反撃しないと……この攻撃は生半可じゃないわ……あんまり出しすぎるこっちも損害が出る)
そう艦娘の瑞鶴が考えると、エンタープライズの姿が目に写った
「……あいつ!?」
その姿は完全に限界を迎えていた。
(くっ……!ここで……限界が……!)
ただでさえ動けるのが奇跡であったため、こうもなってしまった。
そこへ――
「あ、グレイゴースト!」
「やばっ!?」
ツ級の雷撃のコースのど真ん中に居たということが二人の瑞鶴はわかった。
だが庇おうにもその距離は遠い。
(こ、ここまで……なの……か……?)
もはや立っていることすら限界であった彼女はそのまま倒れ込み、その「死」を覚悟した。
だがその時――
「!?」
エンタープライズの目の前にすかさず入った一隻の艦
その艦の機銃攻撃により魚雷は寸前で爆発した。
それはクリーブランド達や瑞鶴達ではない。
白をメインとしたメイド姿を身に纏った「艦」
「あ、あなたは……」
「大丈夫でしょうか?エンタープライズ様」
ロイヤル所属 エディンバラ級軽巡洋艦 二番艦「ベルファスト」であった。
地味に色々と変えてみたりはするけど難しい……。
ニーミちゃんも地味に………?