アズールレーン&艦これ ~蒼き航路に集いし少女達~   作:モンターク

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ニーミちゃんはいいぞ



第3話
艦として、ヒトとして(前編)


「お前は……ロイヤルの……!」

 

「噂は聞いております、ユニオンの最強にして最高の空母……おさがりを。損傷しているのでしょう?」

 

「……だが、お前だけでは……」

 

「大丈夫です。陛下達もいらっしゃるので」

 

「……まさか」

 

そのまさかであり、ベルファストが来たその方向からクイーン・エリザベスを旗艦としたロイヤル主力艦隊が接近してきたのだ。

戦艦「クイーン・エリザベス」を中心に戦艦「ウォースパイト」「フッド」軽巡「エディンバラ」「シェフィールド」空母「アーク・ロイヤル」などで艦隊を組んでいる。

 

「各艦、戦闘用意よ!」

 

「あれが深海棲艦…まさに深海から来たようなものね」

 

「ヒトの形をしている艦もいるようね。一部のセイレーンとも似ているわ」

 

フッド、ウォースパイトは戦闘形態を取りつつ、深海棲艦の容姿についての感想を述べている。

そして一部のセイレーンとも似ていることに気づいた。

 

もちろんプリンツ・オイゲンもロイヤル艦隊の接近に気づいた。

 

(ロイヤルの主力艦隊とここでぶつかるのは得策とは言えない……ここで潮時ね。深海棲艦とやらはロイヤルに任せてしまいましょう…)

 

「ニーミ、綾波、撤退するわよ」

 

「…わかりました」

 

「……了解です」

 

プリンツ・オイゲンの指示によりすぐさまニーミと綾波は撤退に入った。

 

「あ……」

 

「ばいばい」

 

「………」

 

ジャベリン達は二人を引き止めることはできなかったが、当の綾波とニーミは複雑な表情をしたままであった。

 

「翔鶴、私達も撤退しましょう」

 

「あれをロイヤル艦隊に任せちゃっていいの?翔鶴姉」

 

「三つ巴の戦いになったら瑞鶴も危険よ。だから早く…!」

 

重桜の翔鶴瑞鶴もプリンツ・オイゲン達の撤退に伴い、撤退していった。

 

「あいつら……」

 

「仕方ないわ瑞鶴、私達は深海棲艦の迎撃に集中しましょう。村田さん、第二次攻撃をお願いします!」

 

その後、ロイヤル艦隊の鮮やかな加勢により深海棲艦の艦隊を撃破することに成功した。

敵に戦艦棲姫などの主力艦がいなかったのも、不幸中の幸いだった。

 

だが限界を迎えていたエンタープライズは艦隊の撃破を確認するとそのまま気を失い、ベルファストの介抱にされていた。

 

――――――――――――

 

そしてその日のある海上では実艦を展開した綾波は重桜基地への帰還の航路を行きつつ、また夕日を見ていた。

その隣にはニーミがいた。

 

「………」

 

「ニーミ、どうしたんですか?」

 

「私達が戦っている敵……いや、あの人達のことについて考えていたんです」

 

「あの人達……あの二人の駆逐艦達のこと?」

 

「はい、綾波は…その様子だと会ったことがあるんですよね?」

 

「……作戦前の潜入中に遭遇しただけ…です…それ以外は何もないです」

 

「そうですか……いえ、ただ確認したかっただけです」

 

ニーミは顔を上げ、夕日を見つめる。

その顔はどこか苦いものであった。

前に綾波に言った義務のことを自分自身で疑問に思ってしまったからである。

 

(私も綾波のことを言えなくなりました……。私達を助けた人を討つ理由……あの行動はおかしいですけど、でも否定できなくて………あの人達を本当に討つ必要なんてあるんでしょうか………?)

 

(……綾波には……どうすればいいのか……わからない……)

 

綾波とニーミは表面上は普通であったが、中ではよくわからない「モヤモヤ」が積もっていた。

そのモヤモヤは暫く二人が夕日を見つめていても解消できるものではないほどの大きなものである。

 

「「はぁっ……」」

 

思わずため息もシンクロしてしまうほどであった。

 

――――――――――――

 

そしてその次の日

ジャベリン、ラフィー、そして時雨、夕立、吹雪、綾波で昼食を取っていたのだが、やはりと言って良いのかジャベリンは食が進んでいないようだ。

それについて最初に指摘したのは時雨であった。

 

「ジャベリン、進んでいないようだけど大丈夫?」

 

「えっ、あ、ごめんなさい。考えごとしてて……」

 

「考え事って…重桜の綾波のことっぽい?」

 

「うん、そうみたい」

 

「ちょ、ラフィーちゃん!?」

 

夕立からの問いにジャベリン本人よりラフィーがさきに答えてしまっている。

まあジャベリン自身がかなりわかりやすいほうだからラフィーもすぐにわかるというわけであるが。

 

「……一体どうすればいいのかわからなくて……あの時咄嗟に綾波ちゃん達に届くはずだった敵の攻撃を弾いたけど……」

 

「体が勝手に動いたってやつですか?」

 

吹雪はサンドイッチをもぐもぐと食べつつもこう問う。

 

「はい……ラフィーちゃんも動いたんだよね?」

 

「うん……ニーミって子にも当たりそうだったから……」

 

そうして酸素コーラを飲みつつも、もぐもぐとラフィーもハンバーガーを食べている。

その様子を見ていた艦娘の綾波は思いついたことがあったのか、こう話し始めた。

 

「……もしかして、その子と友達になりたいってことじゃないですか?」

 

「え?……ええ!?」

 

「あ、危ないっぽい!」

 

「あ!」

 

ジャベリンは滅茶苦茶取り乱し、サンドイッチをぶちまけそうになるが、夕立がカバーにはいりなんとか事なきを得る。

そしてなんとか落ち着こうとしつつも、こう話す。

 

「で、でも……あの子とは敵同士で!」

 

「敵同士とかそういうことは関係ないんだと思います……彼女と友達になりたいという思いは……ラフィーさんもなんですよね?」

 

「うん、ラフィーも綾波やニーミって子とも友達になれると思った……わるいひとじゃない」

 

「ら、ラフィーちゃん……でも、そんなことどうやって……敵同士だし……」

 

ジャベリンがそう言うと、綾波はこう返した。

 

「……時間はたっぷりあります。だからその方法をよく考えてみてください。もちろん私達もできる限りのサポートはします」

 

「もちろんっぽい!大船に乗ったつもりでいるっぽい!」

 

「あ、ありがとうございます……!艦娘の皆さんって優しいんですね!」

 

「いえ、これくらいは……ではそろそろ食べてしまいましょうか」

 

「はい!」

 

ジャベリンはこの相談で、だいぶ楽になったようで

先程までとは打って変わって元気に朝食を完食したそうな。

 

 

その後ろではシグニットのフィッシュアンドチップスにケチャップを掛けたKAN-SENのサラトガに艦娘のサラトガが注意をしていた。

 

「ダメですよ、先生。勝手に人の食べ物に調味料をかけては」

 

「えーでも、このほうが美味しいんだよ?同じ「サラトガ」だし見逃してよー」

 

「ダメです。シグニットさんにちゃんと謝ってください」

 

「私のフィッシュアンドチップス……普通はビネガーなのにぃ……」

 

当のシグニットは泣き出してしまった。

どうやらシグニット自身はモルトビネガー…つまり酢をフィッシュアンドチップスにかけたかったらしい。

なお補足ではあるが、フィッシュアンドチップス本場のイギリス(ロイヤル)は酢と塩をかけるのが定番であるのに対し、アメリカ(ユニオン)は酢を出されることはあるものの、トッピングとしてはもっぱらタルタルソースやケチャップなどのソース類とコールスローが定番である。

出身国の違い故にこんな事態になってしまったようである。

 

「あ、の……ご、ごめんね。代わりに何も掛けてないサラトガのあげるから…」

 

「……ホント……?」

 

「う、うん!ホント!」

 

その瞬間シグニットの顔にはどうにか笑顔が戻ったようで、サラトガから渡されたフィッシュアンドチップスにビネガーと塩をかけると元気に食べ始めた。

 

「というわけで先生、次からは気をつけてくださいね。文化の違いは大きいものですから」

 

「う、うん……なるべく気をつける……」

 

KAN-SENのサラトガ自身は改めて艦娘のサラトガは色々と違うなぁと思っていたそうな。

 

(不思議……どっちかと言うとお姉ちゃんに似てるよね……)

 

そして自身の姉のことも思い出していたそうな。

肝心の本人は今は用事のようであるが。

 

――――――――――――

 

そして外の作業ドックでは、苦い顔をしている明石と夕張の姿があった。

その前には無残にもかなりの傷どころかもし普通の艦であるなら間違いなく廃艦レベルの損傷があった実艦のエンタープライズがある。

 

「あの……いくら私でもあんなボロボロな上、艦橋が根こそぎ折れる艦って見たことないです…」

 

「私もないわよ……普通ならこれ轟沈前の大惨事じゃない…」

 

明石と夕張はそう言って妖精さんと饅頭に修復の指示を出しつつも、血の気が引いていた。

このレベルの損傷は前世ではもちろんのこと、艦娘時代でもそうめったに無いことであったゆえである。

 

「幸い。今日ようやくユニオンの工作艦が到着するみたいですから……少しはマシになりますね……」

 

「ええ……そして肝心の当人は……」

 

夕張と明石はエンタープライズ当人のほうを見る。

艦載機の翼に乗り、携帯用のレーションを食べている。

本人はどうってことはない表情をしているが、明石から見れば危なっかしいことこの上ないものであった。

 

「まともな食事を取らないで、弾薬とかの補給だけは受け取って……そしてこの上じゃ、普通の艦なら5回は轟沈していると思いますよ……なんであれだけ戦えるんでしょうか……?」

 

「戦いがすべて…と思っているのかしら……いずれにしろいつかは取り返しがつかない状況になるわ……」

 

そして工作艦「ヴェスタル」が到着すると、案の定彼女の顔は真っ青になった。

ポッキリと折れているエンタープライズの弓を持ちつつ、ヴェスタルはこう言い放った。

 

「随分と無茶しましたね……エンタープライズちゃん!」

 

「………」

 

「艦娘の工作艦にも迷惑をかけて……一歩間違えば沈んでしまうところだったんですよ!」

 

「やむを得ない事態だった」

 

「自分を大切にしなさいといつも言ってますよね?」

 

「……私たちは戦うための存在だ」

 

「エンタープライズちゃん!!」

 

エンタープライズは聞く耳を持たないようで、ヴェスタルから背を向けてしまった。

その様子を見て明石はホーネットにこう質問した。

 

「あの、エンタープライズさんっていつもあんな感じなんですか……」

 

「ああ、姉ちゃんは前からあんななんだ……一番上の姉ちゃん…ヨークタウンが戦線離脱してからは特に…」

 

「戦線離脱……ですか」

 

「まあ色々とあって………妹の私ももっと頑張れればなぁ……」

 

はぁっ…とホーネットはため息を付きつつ、エンタープライズのほうを見ている。

そのエンタープライズはヴェスタルの説教を聞き流しつつ、まだ海を見ていた。

その先に何かがあるように……。

 

(……姉さん……)

 

――――――――――――

 

その後、基地の浜辺では水着を着て遊んでいる子たちが居た。

 

「負けないっぽーい!」

「やられたー……」

「サラトガちゃん可愛いよー!」

「僕も負けていられないね……」

「鳥海にはまだまだ負けねえよ……おら!摩耶スペシャルだ!」

「やりますね……!ですが、まだまだ…!」

 

KAN-SENはもちろんのこと、艦娘も混ざって遊んでいる。

戦時下であるがゆえに、息抜きは大事である。

なのでこうなったらしい。

 

「あの……どうしてこうなったの…?」

 

ジャベリンはパラソルと浮き輪とバスケットを持ちつつも、疑問に思っていたらしい。

どうやらラフィーが誘ったようだ。

 

「時間はたっぷりあるからまず遊んだほうがいい……そのほうがスッキリする」

 

「あ、うん……」

 

(そう……なのかな……)

 

そう二人が話していると、ピーッと笛が鳴る。

その笛の元は艦娘の戦艦「長門」であった。

どうやら監視員をやっているらしい。

 

「そこのエリアはかなり深いぞ、艦とは言え気をつけてくれ」

 

「はーい!」

 

「あと熱中症にならないよう水分補給は万全にだ。ない物は言ってくれ、長門印のラムネもあるぞ」

 

「ありがとうございまーす!」

 

どうやら面倒見が良いらしく、長門は頼れる存在としてKAN-SEN、特に駆逐艦から見られているようだ。

 

(うむ、こう頼られているのは……悪くないな……ん?)

 

何かを察知した長門は別の方に目を向けた。

そこではグリッドレイが水着姿ハムマンを撮っているのだが、その奥の木々が生え茂った森の方向を見ている。

当然ながら何も居ない。

 

(おかしいな、あちらから何かが反射していたような……気のせいか…)

 

「サンディエゴちゃん!?」

 

「うし……?」

 

海に入っていたサンディエゴの後ろから襲いかかる背ビレ

それは言うまでもなく…サメであった

 

「う、うわああああああああああああっ!?サメエエエエエエエエエエエエ!?」

 

そのまま襲われ、サメに喰われかけ、KAN-SEN特有の馬鹿力でなんとか口を無理やりあけている。

それを見たサラトガはすぐさま艤装を展開する。

 

「待っててサンディエゴちゃん!今助けるから!」

 

「あの、それは……過剰戦力では…?」

 

「大丈夫!魔女っ子アイドル、 サラトガちゃん只今正式デビューよ!無敵マジック!」

 

艦娘のサラトガのツッコミを気にせず、すぐさま艦載機を発艦させる。

 

「ちょっ!?」

 

「……ああ……」

 

「ま!?」

 

そのサメは爆撃機の爆撃を受け、無残な姿になった。

今夜はサメの料理になることは確定であろう。

 

「は、はあっ……」

 

それでサンディエゴはなんとかギリギリで脱出してはいたが、爆撃のせいで黒焦げ寸前になったのは言うまでもない。

そしてそのまま砂浜に倒れ込んだ。

 

「全く……大丈夫か?サンディエゴ」

 

「だ、大丈夫……」

 

長門がすぐさま駆け寄って、サンディエゴの無事を確認するが――

 

「……なんだ?」

 

すぐさま再び背ビレが接近してくるのに気づいた。

 

「くっ!皆、下がれ!」

 

「ええ!?」

 

サンディエゴや他の艦をすぐに下がらせると、そのサメが水面から飛び上がってきた。

そのサメは先程のものより数倍ほど大きいものであった。

サメ映画ででてきてもおかしくないほどである。

 

「さっきより大きいっぽい!?」

 

「先程の仲間…か……!」

 

長門はすぐに艤装展開した。

 

(おそらくは先程のものと同じく群れから飛び出てきたのだろう……許せ……!)

 

「全主砲、斉射!ーてっ!!」

 

そのサメが再び飛び上がった瞬間、長門の41cm連装砲4基が一斉に火を吹いた。

その弾はサメに全弾命中した。

徹甲弾ではなく、演習弾を使用したのだが、それでも41cm砲の破壊力である。そのサメはとても良い姿ではないとだけは言っておこう。また、料理の材料が増えたとも言える。

 

「ふうっ……まさか仲間まで来ているとはな……」

 

「………す、凄い…!」

 

「ん?」

 

そしてその攻撃の光景にすっかりと浜辺に居た殆どの駆逐艦達は虜となり、いつの間にか長門周辺にわーわーと騒がしく集まっていた

 

「お、おい!集まりすぎだ……!」

 

(だが……悪い気はしない……むしろ良いことだ…!)

 

なお補足しておくと戦前までは長門型は長らく連合艦隊旗艦を務めていたため、また大和が進水・就役したが、それ自体が軍最高機密の代物であるため、長門型が帝国海軍の象徴として見られ、日本国民の間ではカルタとしても詠まれるほどであった。

そのため元々は人気があったのである。

 

だが戦後になると秘密とされていた大和型がクローズアップされ、それがモデルとなった創作作品も多数作られて長門型の知名度は低下したため、艦娘となったその今では大和に「アニメや映画になるのは大和ばっかりじゃないかーっ!」に言ってしまうほどいじけてしまった時もある。

それ故にこうやって初々しく尊敬の目で見られるのは久しぶりであった。

 

「流石主力戦艦……ロマンがあるって言うのかな?そこらへんはどうしても戦艦に負けちゃうよなぁ……」

 

一部始終を見ていたホーネットもまた、飲み物を飲みつつ、長門に対して少し呟いていたそうな。

 

 

 

 




3話のあの反射は間違いなくアレだろうなぁ……


あんまり書きすぎると11話公開前に10話書き終えそう
伏線やらの関係でなぁ……まだかなぁ……
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