アズールレーン&艦これ ~蒼き航路に集いし少女達~   作:モンターク

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艦として、ヒトとして(後編)

「何をやってるんだ?あの子たちは」

 

浜辺で遊んでいる艦達に対してエンタープライズは疑問に思っていた。

その疑問にはもちろんベルファストがこう返す。

 

「息抜きも結構なことだと思いますが?」

 

「襲撃の後だぞ?気を抜き過ぎだ」

 

そしてベルファストについていたユニコーン、ベルファストに許可をもらい、その浜辺の方へ走っていった。

 

「だからこそ…ですよ」

 

「……」

 

そして浜辺まで走ったユニコーンは手を振っている。

どうやらエンタープライズを呼んでいるようだ。

 

「呼ばれていますよ」

 

「……私が?」

 

そう見るとユニコーンは目をうるうるさせている。

放っておくわけにもいかないため、エンタープライズはそのまま浜辺へ歩き出した。

 

――――――――――――

 

そして夕暮れ時、ユニコーンは少し海に浸かっているが、エンタープライズは思い出したように、彼女にこう問いた。

 

「私に用があるのでは?」

 

そう言うとユニコーンはエンタープライズに向けてこう答える。

 

「あのね、ちゃんとお礼を言いたかったの……エンタープライズさん、助けてくれてありがとう」

 

「…ああ、襲撃の時の話か……礼を言われるようなことではない。当然の責務を果たしただけだ」

 

「でも……」

 

そうして再びユニコーンは海の方を見ると、ちょうど夕日が沈む頃であり、その光が反射し、海がオレンジ色に染まっていた。

 

「綺麗……エンタープライズさん、海がすごく綺麗だよ!」

 

「みんな同じ事を言うんだな…」

 

「え?」

 

「海が美しいと思えたことはないんだ。思い出すのは轟く砲声や硝煙の匂い、燃える炎の熱さ、海の水の冷たさ……そういうものばかりだ」

 

「…海が怖いの…?」

 

「怖い?私が?」

 

「おーい!ユニコーンちゃん!」

 

二人が話していると遠くからジャベリンがユニコーンのことを呼んでいた。

横にはラフィー、吹雪、夕立、シグニットなどが居る。

 

「あ、う……」

 

「私のことはいい。行っておいで」

 

「う、うん!」

 

ユニコーンはそれ聞き、ジャベリンのほうに合流していった。

 

「……」

 

「海が怖い…か」

 

「……お前は……聞いていたのか」

 

そして後ろから来たのは艦娘の瑞鶴である。

 

「たまたま気になったから……で、どうなのよ?実際怖いわけ?」

 

「私は……そんなことはない。そんなことに怖がっていたら敵に対抗も何もできなくなる」

 

「どうだか……ま、良いけどさ…隣座るわよ」

 

エンタープライズの横に瑞鶴が並んで座った。

海の夕焼けは相変わらず綺麗だ。

 

「お前は……海をどう思っているんだ?」

 

「どうって……確かにいい思い出もないけど、悪いことばかりじゃない……そして海って綺麗だから」

 

「お前もそう言うのだな……私は」

 

「知ってる。だけど、私はこの海が好き……色々な思い出や出来事が詰まってるこの海が……まあ正確にはこの世界のじゃないけどね」

 

「……そう…か」

 

そうしてエンタープライズは再び海を見ている…だが、横の瑞鶴は少しポツっと何かを感知したようで…

 

「あ、これって……」

 

――――――――――――

 

その後、瑞鶴の思っていた通りに、黒い雲があたり一面を覆い大雨を降らせた。

 

艦達も一斉に雨宿りやらに走っている

 

「っぽい!っぽい!」

 

「凄い雨だね……!」

 

「ジャベリンさん、大丈夫ですか?」

 

「綾波ちゃん……な、なんとか……」

 

ジャベリンは急に走ってしまったため、少し疲れたようだ。

 

そんな中、瑞鶴はエンタープライズの手を取って

この雨の中を走ってた。

 

「私は……」

 

「ダメよ!艦とは言え、風邪を引くときは引くんだから!それで倒れたらそれこそ…!」

 

そのままの勢いで施設内へ駆け込んだ。

そのエントランスに居たのは、傘を持っていこうとしたベルファストであった。

 

「エンタープライズ様、瑞鶴様……」

 

「全く……エンタープライズ、一向に海を見たまま動くつもりなかったから無理やり引っ張ってきたわ!たちの悪い風邪でも引いたらどうするのよ!」

 

「艦が風邪など…」

 

「引くときは引くのよ!この人の形してるんだから!」

 

「エンタープライズ様……今お拭きしますね。瑞鶴様は…」

 

「私は自分で拭けるからいいわ。だけどこんな雨なんて……」

 

「ベルファスト……一体さっきから何故私に……」

 

ベルファストはエンタープライズの髪を拭きつつ、その問いにこう答えた。

 

「陛下にはそれとなく探りを入れるよう仰せつかっているのですが、お恥ずかしながら私そのような機微には疎いものでして…」

 

「何が言いたい?」

 

「単刀直入にお伺いします。いつまであのような戦い方を続けるおつもりですか?」

 

「…!」

 

「まあそうよね……エンタープライズ、あんたは自己犠牲の塊みたいなことになってる」

 

瑞鶴も髪を拭きつつ、エンタープライズのその「歪み」を指摘する。

 

 

「瑞鶴様の言うとおりです。あなた様は戦いを疎んじているようお見受けします。しかしその一方で自らの命を顧みることがない…あなたの在り方は歪んでいる。このままでは戦う意味さえ見失ってしまうでしょう」

 

「……!」

 

その時、再び施設の扉が開いた。

 

「た、大変だ!」

 

そこへ駆け込んできたのはクリーブランドであった。

 

「どうしました?クリーブランド様」

 

「はぁっ……はあっ……救難信号が……!」

 

――――――――――――

 

その後、ベルファストからプリンス・オブ・ウェールズに救難信号のことが伝えられ、救難艦隊が編成されることとなった。

編成は軽巡「神通」「ベルファスト」「クリーブランド」駆逐「ハムマン」「時雨」「夕立」

そして――

 

「ってなんで付いてきてるのさ!?エンタープライズ!艤装まだ直ってないんだろ!?」

 

クリーブランドの言う通り、無理をしてついてきたエンタープライズであった。

 

「そのような状態で出撃なさっているのですか!?」

 

「エンタープライズさん、流石にその状態では……」

 

ベルファスト、神通の指摘も意に介さず、そのまま前進を続けていたエンタープライズ。

そんな中、先行していた駆逐艦達が異変に気づいた。

 

「待って!前方に何か…!」

 

「本当だ…」

 

ハムマンと時雨が指を指した方にはなんとセイレーンが居たのだ。

 

「セイレーンっぽい!?」

 

「セイレーン!?」

 

「こんな時に!」

 

攻撃を開始しようとするクリーブランドと神通にエンタープライズは待ったをかけた。

 

「いや……よく見ろ」

 

その通りよくよく見てみると、その漂流物はセイレーン艦の残骸であった。

 

「ホントだ、戦闘のあとだ……」

 

「もしかして、救難信号を出してた船がセイレーンと戦っている!?」

 

「可能性はあるね……あれ?」

 

時雨もそう考えていると、また何かに気づいたようだ。

 

「時雨、どうしたっぽい?」

 

「いや、深海棲艦の残骸も流れてるみたいで……つまり救難信号の艦は双方と交戦していた…?」

 

「本当ですね……イ級のような残骸まで…」

 

神通も注意深くその残骸を観察していた。

イ級のようなものからハ級のようなものまであった。

 

「ならなおさらこうしちゃいられない!急がないと!」

 

「周囲の警戒を頼む」

 

「えっ!?」

 

エンタープライズはそのまま残骸やらが流れてくる方向へ速力を上げて行ってしまった。

度重なるこの行動に普段はあまり怒らないクリーブランドも流石に堪忍袋の緒が切れる寸前となっており。

 

「ああ…もう………なんでアイツはいつもああなのさ!」

 

いつも以上に狼狽し、ハムマンを慌てさせていた。

 

一方のエンタープライズは残骸の中を避けつつ、その救難信号の元を探していた。

 

「…あれか!」

 

そしてそれらしき艦があったので、その上に飛び移った。

 

「……」

 

その艦の中に居ないかと注意深く見ていると、二人の「艦」が目に入った。

 

「……!」

 

そしてその一人はエンタープライズを敵と見たのか、もう一人を守ろうとしながら、威嚇している。

 

(この格好、東煌の少女か)

 

東煌

「ロイヤル」「ユニオン」に続くアズールレーン所属の陣営である。

そしてその二人はその陣営所属の軽巡「平海」「寧海」であった。

 

その警戒心を解くために、エンタープライズはこう話し始めた。

 

「安心しろ、私はアズールレーンに所属する者だ。救助信号を追ってきた」

 

「………うっ…」

 

それを聞いて安心したのか、平海は寧海を抱きながらもそのまま泣き出してしまった。

 

「……周囲のセイレーン達はあなたたちが倒したのか?」

 

平海は泣くのをなんとか抑え、コクリと頷いた。

 

「……何があったか教えてくれ」

 

「……平海達、セイレーンに追われてて…全部やっつけたけど姉ちゃん私を庇ったから…」

 

「…うっ…ううっ……」

 

それと同時に寧海は唸り声を出した。

どうやら気がついたようだ。

 

「あ、寧海姉ちゃん!」

 

「……平海…!」

 

「う、ううっ……」

 

「よかった……ぐ、ううっ……!」

 

寧海は気がついてはいたものの、傷は深いようで、再び唸り声を出していた。

 

「姉ちゃん!」

 

「大丈夫だ、私達が助ける。仲間もじきに到着する」

 

そうエンタープライズが話すと、近くに沈んでいたはずのセイレーンの量産型艦船が再び音を出し、動き出していた。

 

「!?」

 

そして主砲の一門をこちらに向けてきたのだ。

 

「倒しそこねた……!?」

 

「逃げなさい……平海……うっ…!」

 

「やだ!今度は平海が姉ちゃんを助ける!」

 

「…!」

 

そしてその二人のやり取りにエンタープライズはあることを瞬間的に思い出していた。

自分の姉「ヨークタウン」のことを……。

 

それで「スイッチ」が入ったのか、エンタープライズはすぐに飛び出た。

 

「こっちだ!」

 

自分に注意を向けて、平海達から攻撃をずらそうということであった。

そしてそれに引っかかった量産型艦船は1門の砲でエンタープライズを捉えようとするあまり、可動範囲ギリギリまでねった挙げ句、そこで限界となり、エンタープライズから外してしまった。

 

その死角に入ったエンタープライズは攻撃をしようとするも

 

「……ぐっ……!?」

 

元より損傷が激しく、無理を押して出撃したため、艤装から攻撃機が発艦できるはずもなく。

ビリビリと電気が弾いているようであった。

 

 

そして量産型艦船もバカではない。

なんと自分の一部を切り離し、死角をなくしたのだ。

 

「……!」

 

それだけではなく、その量産型艦船の上からは深海棲艦の駆逐ハ級も顔を出したのだ。

万全な状態なら空母などにとっては豆鉄砲も良いところなのだが、損傷に損傷を重ねたエンタープライズにとっては致命傷となりうる。

砲も発射され、万事休すと思われたその時――

 

「はああああっ!」

 

「てーっ!!」

 

ベルファストと神通の砲撃がその砲弾を貫いた。

 

「エンタープライズ様…少しだけあなたのことが理解できました……あなた、お人好しなのですね」

 

「ベルファスト…!」

 

「神通さん!」

 

「了解です!雷撃戦用意、てーっ!」

 

ベルファストと神通の雷撃により、量産型艦船は爆散し、海の藻屑と化した。

流石に53.3cm魚雷と61cm酸素魚雷には耐えれなかったようだ。

 

――――――――――――

 

その後、東煌のその二人は保護され、基地へ運ばれることとなった。

幸い、深い怪我はないようだ。

雨も止んだようだ。

 

「止まない雨はないからね……よかったよ」

 

「で……なんでハムマンはこんな残骸を運んでいるの…!?」

 

「ごめんなさい、夕張さんから「どこかで深海棲艦とセイレーンの残骸が入手できる機会があるなら是非お願い!」って言われてしまって」

 

「技術屋は大変っぽい……」

 

神通、時雨、夕立、ハムマンはセイレーンと深海棲艦の重要そうな残骸を運んでいた。

なお神通が見繕って、時雨と夕立とハムマンがほかのKAN-SENの実艦に運んでいるらしい。

 

 

そしてベルファストはエンタープライズに興味を持ったようで。

 

「私事で恐縮ですが、あなたに興味を持ちました」

 

「なんだと?」

 

「僭越ながらこのベルファスト、エンタープライズ様に淑女としての礼節を教示させていただきます」

 

「……礼節?」

 

「ふふっ……」

 

「はぁ……?」

 

そのベルファストのセリフにエンタープライズはただ首を傾げることしかできなかったそうな。

 

――――――――――――

 

 

「………深海棲艦……そして艦娘……この世界にいい感じに混ざりあったわね……」

 

「さて、どうなるのかしら………」

 




ちなみに艦娘達は改二実装艦は全員改装済みな感じです。
コンバート艦はその時々によって変わるけど
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