アズールレーン&艦これ ~蒼き航路に集いし少女達~   作:モンターク

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5話まではこの投稿間隔は変わりませんが、6話分からはペース落とします…。



第4話
外套と短剣と苦無(前編)


重桜基地にて

 

「……帰ってきた!」

 

赤城率いる艦隊が帰還したことを察知した方々が一斉に港に集まり始めた。

加古、古鷹、蒼龍、飛龍、雪風、時雨、夕立などの面々であった。

 

「赤城さん、お帰りなさい」

 

一航戦を出迎えたのは古鷹型重巡洋艦の加古、古鷹である

 

「ご苦労様。加古、古鷹」

 

「留守の間、何事もなかったか?」

 

「はい。これといっては……それと長門様がお呼びです」

 

「分かっているわ。報告に向かいます」

 

そして古鷹は綾波に声をかけた。

 

「おかえり、綾波」

 

「ただいまです……」

 

「怪我はない?」

 

「うん……」

 

そして雪風、時雨、夕立の三人が駆け込んできた。

 

「ほら帰ってきてるわよ!」

 

「わーい!綾波ー!」

 

「この雪風様がわざわざ出迎えてやったのだ!感謝するのだ!」

 

「でどうだった?何隻やっつけた?」

 

「え……あ……」

 

「ま、土産話はお茶でもしながら聞きましょうか」

 

流石に一度に聞かれて綾波も答えづらく、時雨の提案によりお茶を飲みつつの土産話となった。

 

その様子を見て、プリンツ・オイゲンはニーミにこう話す。

 

「微笑ましくていいじゃない……」

 

「………」

 

「あら?ニーミ、いつもなら「まったく、落ち着きのない」とか言うんじゃないの?」

 

「……あ、いえ……少し疲れてしまったようです…」

 

「そう?確かに暫くは働き詰めだったわね……後で休むといいわ」

 

「はい……」

 

ニーミはまだ「悩み」を引きずっているようで、少し暗い表情をしていた。

 

そして五航戦の翔鶴、瑞鶴は二航戦の蒼龍、飛龍が出迎えた。

 

「ただいま戻りました」

 

「はいお疲れ様。無事で何よりよ」

 

「もう聞いてくださいよ蒼龍さん。一航戦の先輩方ったら本当に人使いが荒いんですよ」

 

翔鶴が蒼龍に一航戦に対する長くなりそうな愚痴を話す中、考えている表情をした瑞鶴に飛龍が問いかける。

 

「どうしたんだい瑞鶴?浮かない顔してるけど」

 

「あ……ううん大丈夫。何でもないよ飛龍さん」

 

瑞鶴が思い出していたのはグレイゴーストと決着をつかなかった件もそうだが、もうひとりの「自分」のことであった。

 

『あえて名乗らせてもらうわ!第五航空戦隊所属、翔鶴型航空母艦2番艦の瑞鶴!』

 

『あんたもやられるわよ!』

 

「一体……なんなの……?」

 

――――――――――――

 

「………」

 

一方のアズールレーン基地ではベルファストに朝から色々と言われているエンタープライズの姿があった。

やはりといってなんだが「礼節」などを学ばされているらしい。

そして今は二人で表へ出ている。

 

「………東煌の少女たちの様子はどうだ?姉の方は深手を負っていたが…」

 

「それでしたら…」

 

ベルファストは指し示した方には一つの屋台があった。

そこではその平海と寧海がパンダまんの店を開いていたのだ。

そしてなかなかに繁盛していた。

 

「うん、美味しいです!」

 

「流石本場の人だね……艦娘には中国の艦はいなかったし」

 

「何個も食べられるっぽい!!」

 

「こらこら、食べ過ぎですよ?夕立さん」

 

艦娘の吹雪、時雨、夕立、綾波ももちろんそのパンダまんを食べていた。

 

「うぅ……なんでハムマンが手伝わされてるのよ!」

 

なおその繁盛のとばっちりはハムマンが食らってしまったが。

 

「加油、頑張って!」

 

「平海!売り物を食べるな!」

 

「商売を始めてる……」

 

「大変逞しいお嬢様方でございます」

 

どうやら、転んでもただでは起きないという言葉を地で行っているようだ。

 

そこへ平海が肉まんを持ってベルファストとエンタープライズに渡しに来た。

 

「はいどうぞ」

 

「いや、私は……」

 

「「お代は気にしないで」って姉ちゃんが言ってた」

 

そう平海は言うと、屋台に居た寧海は頷いている。

どうやら本当良いらしい。

 

「平海たちのこと助けてくれたお礼」

 

「……」

 

そしてエンタープライズはそのままパンダまんを食べている。

その表情にベルファストは少し微笑んでいた。

 

――――――――――――

 

そしてまた、ユニコーンも海辺でパンダまんをじっと見ている。

食べ慣れていないゆえに、不思議と思っていたのだろう。

 

だがジャベリンがパクっと食べているのを見て、ユニコーンもそのパンダまんをパクっと食べた。

 

「美味しい……」

 

「うん、美味しいね!」

 

そして口元に食べ物が少し付いてしまったため、横に居たイラストリアスが口元を拭いてあげていた。

 

その光景をジャベリンとラフィーが見ていると、ラフィーは唐突的にこう話し始めた。

 

「次は綾波やニーミとも一緒に食べたい…」

 

「えっ?」

 

「嫌?」

 

「ううん!そんなことないよ!……そうだね。綾波ちゃんも一緒だといいね…」

 

「そうですね」

 

「はい!」

 

「うわっ!?艦娘の綾波ちゃんと吹雪ちゃん!?」

 

「ごめんなさい、聞こえていたので……」

 

艦娘の綾波と吹雪が話に入ってきたのだが、それになにか思い出したのか、ラフィーは吹雪の手を触れた

 

「ラフィーさん?」

 

「……吹雪……来て」

 

「え?」

 

「良いから……」

 

そしてラフィーに手を引かれ、吹雪は行ってしまった

 

「ラフィーちゃんが…珍しい……」

 

「………まさか……」

 

その光景を見て、綾波はふとしたことを思い出していたのか、少し考えた表情になっていた。

 

「綾波ちゃん?」

 

「いえ、吹雪とラフィーさんには「前」にある事があって――」

 

――――――――――――

 

そして二人は基地内で人の気があまりないところへ来た。

 

「あの……どうしたんですか?」

 

「吹雪、ラフィー達が「あの時」に沈めた艦だよね……」

 

「……」

 

サボ島沖海戦

1942年10月11日深夜から12日にかけて行われた作戦であり、連合軍側はエスペランス岬沖海戦と呼称している。

その作戦でラフィーは重巡青葉を発見し射撃を行い、海戦の口火を切った。

結果アメリカ側は駆逐艦ダンカンが撃沈されてしまったが、日本側はその損害を上回り、重巡青葉は大破、古鷹…そして「吹雪」は撃沈されてしまった。

 

言わばラフィーは吹雪を前世で倒した張本人の一人であった。

 

「わかってたんですね……」

 

「うん、なんとなくだけど……なんで吹雪はラフィーと普通に接することができるの?怖くないの?」

 

そのラフィーの問いに、吹雪は少し息を吸って、こう答えた。

 

「まあ、一つに私はあの時のことをもう気にしていません…それは…あの時は「仕方ない」としか言えません……殺らなければ殺られますし…」

 

「………」

 

「過去のことなんか関係ありません…今は今……それだけだと思ってます」

 

「うん……ありがとう…吹雪」

 

その吹雪の言葉でラフィーは少し顔が笑顔になる。

そしてラフィーはあるものを差し出した。

 

「?」

 

「飲んで良いよ…ラフィーの酸素コーラ」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

(コーラ……好きなんですね…)

 

そして吹雪は勧められるがままにそのコーラを飲んでいた。

とても炭酸が効いていた。

 

 

――――――――――――

 

そして基地内の会議室のようなところでは、東煌のお二人が商売を切り上げて、今までの経緯を話しているところであった。

プリンス・オブ・ウェールズ、ヴェスタル、クリーブランド、エンタープライズ、ホーネット、ベルファスト

そして艦娘の大和、赤城が同席している。

 

「もぐっ……セイレーンの上位個体が動いてるってこと?そしてその中には深海棲艦とかなんとかもいる?」

 

「うん。大和の言う通りの特徴の艦もいたから…」

 

「お行儀悪いですわよ、ホーネットちゃん」

 

「上位個体…深海棲艦で言う「姫」のことみたいね」

 

「そうですね、大和さん……でも何故その上位個体が……深海棲艦まで率いて……」

 

「アズールレーンとレッドアクシズが戦ってる隙を突いて仕掛けるつもりかも……」

 

そのことを聞いてその場に居た艦は苦い表情をしていた。

当然ながらアズールレーン側からレッドアクシズに積極的に攻めることはない。

だがレッドアクシズ側からの攻撃が続けば受けざるを得ない。

そこでセイレーンに攻撃をしかけられてしまえば、アズールレーン側は過大な損害を負ってしまうことも想像に難くないのである。

そして深海棲艦までもセイレーンの傘下にいることがわかったので、艦娘側もまた悩んでいる。

 

(どうするべきか……私達は……)

 

――――――――――――

 

そしてエンタープライズはベルファストとともに基地内の廊下を歩きつつも、懸念事項について話していた。

 

「セイレーンの活動と重桜の新技術、量産型のセイレーンを操るあの力…そして突如現れた深海棲艦……無関係とは思えない。調べる必要があるな」

 

「それは我々ロイヤルが得意とするところでございます」

 

「なに?」

 

それを聞いてエンタープライズは首を傾げる。

そしてベルファストは続けてこう話した。

 

「既に私ども「メイド隊」が新しい任務に就いております」

 

「メイドが?任務だって?」

 

「はい…ただ今回の任務は敵地潜入のため、元が同じ方である艦娘の方からも一人応援にお頼みいたしましたが……」

 

「潜入…?」

 

「ふふっ……クローク&ダガー…そして「クナイ」でございます」

 

――――――――――――

 

「競争だー!」

「アイツら無駄に元気ね…」

「あんみつ食べに行きましょ!」

「あまり食べ過ぎたらダメよ?」

 

重桜の基地ではもちろん重桜の艦が行き交っている。

その中で巫女服を着て、仮面をした「3人」

 

エディンバラ級軽巡洋艦1番艦「エディンバラ」

タウン級軽巡洋艦5番艦「シェフィールド」

そして応援として川内型軽巡洋艦1番艦「川内」であった。

(しかしまあ……確かに日本っぽいけど……)

 

重桜の町並みを見る。

重桜の「桜」の木がたくさんあり、和風の建物なども立てられている。ただしどこか輝きすぎており、当然ながらこのような風景は「元の日本」では戦前・戦中はもちろん、戦後でもない。

 

(なんか日本のイメージが一気に凝縮した感じっぽいよね……流石異世界というのか…)

 

まさに率直な感想を思っていた。

 

なお応援として川内が呼ばれたのは、彼女が現在身に纏う改二の衣装が「忍者」であり、ロイヤル側の評判が良かったためである。

なお妹の神通からはいつものうるさい夜戦バカっぷりのせいで心配しており、念押しで騒がないでと言われてしまった。

 

――――――――――――

 

一方、赤城と加賀は長門のところへ出向き、作戦の進行などを報告していた。

 

「この黒箱がセイレーンを従えるのか…?」

 

赤城が出した黒いメンタルキューブを見つつ、長門は彼女にこう問うと、赤城はこう返した。

 

「はい……ですがそれはあくまで副産物に過ぎません。この黒箱もまた「メンタルキューブ」私たち「KAN-SEN」の素材そのものなのです」

 

「オロチ計画…」

 

「はい。我ら重桜の希望ですわ」

 

「…だが、そのために我らから仕掛けることになろうとは…」

 

長門は少し目をしたに下げる。

どうやら長門自身は開戦にはあまり賛成の立場ではなかったようだ。

それに対して赤城と加賀はこうも話す。

 

「避けられないことです」

 

「セイレーンとの大戦(おおいくさ)はこれまで幾度となく繰り広げられてきた。人類はかろうじて生き延びているに過ぎない」

 

「アズールレーンのやり方では間に合わないのです。重桜の明日のため計画は何としてもやり遂げなければ」

 

「……わかった、下がって良いぞ」

 

長門が黒いメンタルキューブを赤城へ返し、赤城達を下がらせた。

そしてこう呟いた

 

「……戦いはいつの世も変わらないということか……「あの時」から……」

 

――――――――――――

 

赤城と加賀の二人は階段を降りていた。

そして加賀のほうから長門に対して思うところがあったのか、こう話し始めた。

 

「この期に及んでまだ迷うとは…長門には覚悟が足りん……!」

 

「そんなことを言うものではないわよ。それもまた深い愛があってのこと…」

 

「ですが姉様!」

 

「でも足りないわ。赤城の愛は世界を焼いてなお燃え盛るの……」

 

そして赤城は黒いメンタルキューブを袖の下から出して、手を取りつつもこう呟いた。

 

「そう、もうすぐよ……」

 

「姉様……ですが、五航戦から報告にあったあの件は…」

 

「私達に似た船……そして深海棲艦のことね……気にならないわけではないけど…「あの方」に聞いて見る必要はあるわ」

 

(……やはりあの時のは……)

 

赤城がアズールレーン基地を襲撃した際の感じた「船」

それが間違いではないと、その報告を聞いて確信していた。




夜戦忍者、潜入するの巻
ぶっちゃけこのために川内をこのメンバーに加えたのかもしれない()
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