やはり俺のモカしか飲まない青春は間違っている。   作:狐月狗沙狸(黒

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50を超えるお気に入り登録やしおり機能の使用、評価を入れてくださった3名の方、感想をくださった方ありがとうございます
続きを書くことになると思ってなかったので
ストックとか特にないし
タグ足りてないしと思ったので
焦りました

というわけでやっぱり反響が個人的に良いと感じたら
更新することにします
皆さん軽率に評価、お気に入り、しおり、感想をお願いします

さて前回はお試しで短めでしたが
今回は区切りいいところで次に行くのをやめたので短めです


彼女は“幸せ”を望む

 昼のチャイムに合わせるように携帯が鳴り出す。表示された名前はリサさんだった。なんだろう、嫌な予感がする。

 

「もしも〜し、超絶かわいい美少女のモカちゃんでーす。どうしました〜?」

「あのねモカ、放課後モカたちのマンションにお邪魔することになったんだけど、いいかな?」

 

 ああ、これか。八幡の周りには魅力的な人が多過ぎるのかもしれない。他の有象無象ならともかく、リサさんは駄目だ。八幡と二人きりになんてさせたくない。この人は尊敬できる素晴らしい先輩で、その上家庭的な面や女子力だって申し分ない。少しでも私が『この人なら八幡に相応しいんじゃないか』そう思ってしまうから駄目だ。

 

「あのですねー、今日はちょっとですねー、うん、ダメです」

「そっかー、もしモカが良かったら()()()夕食にしようと思ってたんだけどね☆」

「え? 三人ですか〜?」

「そうだよー。八幡はモカが今日蘭達とつぐみのお店に行くから三人では無理だって言ってたけど、夕飯なら三人で食べれるでしょ☆」

 

 やっぱり、リサさんは尊敬できる先輩だった。気遣いが上手くて、きっと私が誰かと八幡が二人きりになることを嫌がっていることも理解してくれている。

 

「だったら、いいですよ〜。モカちゃんはリサさんの美味しい手料理を希望しま〜す」

「はーい! お姉さんに任せなさい。二人は、たまにご飯抜いちゃったりするからね。今日は腕によりをかけて作ってあげる☆」

 

 なんとなく、昔見た夕焼けを思い出した。どうしたって沈んじゃうのが夕日だけど、この陽だまりはいつでもここにある気がして八幡との関係が変わらない限り大丈夫な気がした。私と八幡さえいれば、そこにリサさんがいても、たとえ蘭が来たとしても大丈夫。私の幸せはちゃんとここにあるから。

 

「じゃあ、また放課後会おうね!」

「はい、また〜」

 

 少し頬が緩むのを感じた。まだお昼ご飯のパンも食べてないし、これからカフェにだって行くのに、夕飯の時間が楽しみでしょうがない。

いつも通りのお昼へ向けて足を伸ばす。仕方がないからひーちゃんで遊ぶことにしよう。

 

***

 

「あ、これだよ! 八幡」

 

 下のほうにある棚から商品を取る今井。持っているのはカップラーメンだというのに、傾げた首と覗かれる双眸からは僅かな色香が感じられた。揺れるウサギのピアスを見ながら尋ねる。

 

「今井なんで急に俺達の部屋に来るなんて言ったんだ?」

「あ〜、それ聞いちゃうー? ……あのね、二人に話したいことがあるの。ちょっと大切な話。だからモカには夕食を三人で食べようって言ってあるよ。これ、今日は食べれないね」

 

 棚に品を戻すと、さっきと同じ構図で、より影を持った今井が笑う。何故か他人事みたいに、こいつもこういう顔をするのかと思った。

 

「夕食、今井が作ってくれるのか? 俺は軽食しか作れないし、モカもちゃんとした料理は出来ないぞ」

「うん、任せといて。美味しさは保証するよ」

「そりゃ楽しみだ。辛いものとトマト使った料理じゃなけりゃ、俺もモカも一通り食べれる」

「りょーかい。そしたら和食でいい? 材料足りないだろうから買いに行くことになるけど」

「ああ、近くのスーパーでいいか?」

「そうだね、じゃあ行こうか」

 

 いつもより落ち着いた雰囲気の今井の背中は酷く冷たく見えた。ふと同類なのかと思えて、考えるのをやめる。たとえ、そう見えたとしても同じわけがないんだ。こいつと俺では環境が全く違うんだから。

 

***

 

 小さめの里芋を六個、人参を一本、干し椎茸を一パック、他にも蒟蒻、筍、鶏肉。色々な食材をカゴに入れていく今井は先程の暗い様子を潜めていつもの調子を取り戻していた。

 

「八幡ってさ、トマト嫌いだったんだねー。イメージなかったからびっくりしたよ」

「誰にだって苦手なモンくらいあるだろ。たまたま俺の場合それがトマトだっただけだよ」

「そーだね。でも、八幡って何でも好き嫌いなさそうだったからさ。人間関係もそーじゃん。誰かが八幡の悪口いってるのを聞いたことないし、八幡が誰かの悪口いってるのを聞いたこともないよ」

「そういうのはわざわざ人にいうことでもないしな」

「……アタシ、八幡のそういうところ好きだな」

「俺も今井の自分が気遣いしたいから、人の面倒を見てるところとか好きだぞ」

「……もう、モカに怒られるよ?」

「確かにな」

 

 赤く染まる耳を眺めて笑った。何だか今日はいつもと違う今井をよく見るようだった。

 

***

 

 会計を済ませて店を出る。マンションに着くまで他愛もない会話が続いた。話すなら嫌いなものより好きなものだ。今井は筑前煮が好きだそうで、今日の夕飯は筑前煮となった。

 モカが帰って来るまでに仕込みをしておくらしい。リサがキッチンに立っている間にカフェモカを淹れて飲んでいた。今朝よりも少し味の落ちたそれは今の状況を表しているように思える。コーヒーに余計なものはいらない。甘味のある人生には苦味のやや強いコーヒーが相応しかった。

 

 

 

 




作者はリサさん大好きなんですが
この小説のリサさんは原作よりも少しだけ器用で
少しだけズルいリサさんです
ちなみに、どうしてこうなった方1号さんだということも暴露しておきます
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