「ねぇ、覚えてる?」
日の光に照らされて、彼女が纏う白い衣装がより美しく、そして神秘的な印象を感じさせた。
「何を?」
「もう……言わないとダメ?」
言ってくれないと分からない。だって…………
「思い出が沢山あるから……」
「そっか……そうだよね……それじゃ……あの日の事……だよ」
虹ヶ咲学園を卒業してから数年後……歩夢ちゃんと同棲をすることになり…………
「おかえり」
家に帰ると歩夢ちゃんが出迎えてくれた。今日は歩夢ちゃんの方が早かったか……
「ただいま。今日は早いね」
「今日は講義そんなになかったから」
私服にエプロンを身に付けた姿の歩夢ちゃん……本当に似合ってるな~
「それにね。今日は記念日だから」
記念日?何のだろう?
「えっと……」
「もしかして……覚えてない?」
「その……ごめん」
謝ると歩夢ちゃんは少し悲しそうな顔をしたが直ぐに笑顔で……
「大丈夫だよ。気にしないで、直ぐにご飯の準備しちゃうから」
その背中は悲しそうだった。気にしなくていいと言っていたけど…………
僕は後ろから歩夢ちゃんを抱き締めた
「あ…ど、どうしたの?」
「ごめん…悲しい思いをさせたくなかったのに……」
「その……気にしないで……」
「気にするよ……歩夢ちゃんの事が大好きなんだから……」
「…………もうずるいよ」
歩夢ちゃんは抱き締めている腕に触れると……
「今日はね……彰くんと付き合い始めた日なんだよ」
「そうだったね……ごめんね……」
「本当に……気にしないで」
「うん……」
気にしないでと言うけど、やっぱり気にしてしまう……
夕食は豪華で、歩夢ちゃんは記念日だからと嬉しそうにしているけど、その記念日を忘れてしまっていたことに僕は落ち込んでいた
お風呂に入り、一緒のベッドで寝ていると……
「ねぇ、まだ気にしてる?」
突然歩夢ちゃんがそんなことを言ってきた。気にしてないよと言おうとしたけど、それは嘘だ
「ごめん、気にしてる」
「そっか……」
歩夢ちゃんは優しく微笑み、僕を抱き締めた
「しょうがないよ……私たち……沢山思い出があるんだもん。その分記念日を多いから」
「記念日が多い?」
「例えば……この指輪」
歩夢ちゃんが見せてきたのは、高校の時に旅行に行ったとき、歩夢ちゃんに送った婚約指輪……
「これを送ってくれた日も記念日だよ……」
「そっか……記念日沢山あるんだね。僕たち」
「うん」
僕はそっと歩夢ちゃんにキスをする。
「歩夢ちゃん……改めて言わせてほしい」
「うん」
「結婚してください」
「…………はい」
歩夢ちゃんは目に涙をうかべながら、笑顔で頷くのであった。
「それから色々と思い出と記念日が沢山増えたよね」
「うん」
「そして……これからも」
「沢山……増やそう」
僕らは誓いのキスをする
この結婚式は忘れられないものになった。
披露宴の出し物で、同好会の皆がライブをしたり……
本当に沢山の思い出が出来た
「パパ、ママ。何でカレンダーに沢山赤い丸がついてるの?」
娘が興味深々に聞いてきた。
「これはね」
「ママとパパの思い出が沢山あるんだよ」