朝、目を覚ますと目の前に歩夢ちゃんの顔があった。
「ん?あれ!?」
何で歩夢ちゃんが僕の布団の中に?
起こしに来てそのまま寝ちゃった訳じゃないよね。
色々と考えていると、あることに気がついた。
それは自分の左手の薬指に指輪がある。
「そっか…………結婚したんだっけ?」
大切なことなのに忘れてしまうなんて我ながら情けない。
一人でため息をついてると、歩夢ちゃんが目を覚ました。
「ん?あれ、おはよう……」
「おはよう。歩夢ちゃん」
「ふふ、ちゃんって昔みたいな呼び方してどうしたの?」
「えっ?」
そうか……結婚したから……
「あ、歩夢」
「なぁに?あなた」
ヤバイ、可愛すぎる。僕は思わず歩夢を抱き締めた
「何々?どうしたの?」
抱き締められて驚く歩夢。
「歩夢が凄く可愛くって…………」
「えへへ、何だかよく分からないけど、嬉しいな」
歩夢と結婚生活…………本当に夢みたいだ…………
「おはよう。いい天気だよ」
目を覚ますといつもと変わらない歩夢の笑顔。でも何で制服?あれ?もしかして…………
「あ、歩夢…………ちゃん」
「どうしたの?何だか元気ないけど…………」
あ、あははは、夢だったよ…………
夢だと気がついて物凄く落ち込む僕。
歩夢ちゃんはそんな僕を見て戸惑っていた
「ど、どうしたの?怖い夢でも見たの?」
正直話していいのか迷う。だって結婚して、幸せな夢を見ていたなんて、恥ずかしくて言えない
「えっと…………えいっ」
歩夢ちゃんが突然抱き締めてきて、頭を撫でてきた。
「よしよし、もう怖くないよ」
子供を諭すように頭を撫でる歩夢ちゃん。撫でられて嬉しくなるけど、顔に歩夢ちゃんの柔らかいものが…………
「あ、あの…………大丈夫だよ。怖い夢見た訳じゃないよ」
「そうなの?本当に?」
「本当にだよ。でもまだ元気ないよ?」
「その…………」
心配そうにしている歩夢ちゃんに事情を話した。話を聞き終えた歩夢ちゃんは…………
「け、結婚!?」
顔を赤らめる歩夢ちゃん。その……将来的には結婚したいけど、まさかそんな夢を見るなんてとは思っても見なかった。
「その……夢の中の私たちって…………幸せだった?」
「うん、凄く。と言うか……」
僕は歩夢ちゃんにキスをした。そして歩夢ちゃんを見つめ…………
「幸せにするよ。絶対に…………夢で見た以上に歩夢ちゃんを幸せにするよ」
「…………うれしい。ありがとう」
今度は歩夢ちゃんからキスをしてきた。それからしばらくキスをしあい…………その日は二人して遅刻してしまうのであった。