二人は夢を歩む   作:水甲

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08 幸せな夢

朝、目を覚ますと目の前に歩夢ちゃんの顔があった。

 

「ん?あれ!?」

 

何で歩夢ちゃんが僕の布団の中に?

起こしに来てそのまま寝ちゃった訳じゃないよね。

 

色々と考えていると、あることに気がついた。

それは自分の左手の薬指に指輪がある。

 

「そっか…………結婚したんだっけ?」

 

大切なことなのに忘れてしまうなんて我ながら情けない。

一人でため息をついてると、歩夢ちゃんが目を覚ました。

 

「ん?あれ、おはよう……」

 

「おはよう。歩夢ちゃん」

 

「ふふ、ちゃんって昔みたいな呼び方してどうしたの?」

 

「えっ?」

 

そうか……結婚したから……

 

「あ、歩夢」

 

「なぁに?あなた」

 

ヤバイ、可愛すぎる。僕は思わず歩夢を抱き締めた

 

「何々?どうしたの?」

 

抱き締められて驚く歩夢。

 

「歩夢が凄く可愛くって…………」

 

「えへへ、何だかよく分からないけど、嬉しいな」

 

歩夢と結婚生活…………本当に夢みたいだ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう。いい天気だよ」

 

目を覚ますといつもと変わらない歩夢の笑顔。でも何で制服?あれ?もしかして…………

 

「あ、歩夢…………ちゃん」

 

「どうしたの?何だか元気ないけど…………」

 

あ、あははは、夢だったよ…………

 

夢だと気がついて物凄く落ち込む僕。

歩夢ちゃんはそんな僕を見て戸惑っていた

 

「ど、どうしたの?怖い夢でも見たの?」

 

正直話していいのか迷う。だって結婚して、幸せな夢を見ていたなんて、恥ずかしくて言えない

 

「えっと…………えいっ」

 

歩夢ちゃんが突然抱き締めてきて、頭を撫でてきた。

 

「よしよし、もう怖くないよ」

 

子供を諭すように頭を撫でる歩夢ちゃん。撫でられて嬉しくなるけど、顔に歩夢ちゃんの柔らかいものが…………

 

「あ、あの…………大丈夫だよ。怖い夢見た訳じゃないよ」

 

「そうなの?本当に?」

 

「本当にだよ。でもまだ元気ないよ?」

 

「その…………」

 

心配そうにしている歩夢ちゃんに事情を話した。話を聞き終えた歩夢ちゃんは…………

 

「け、結婚!?」

 

顔を赤らめる歩夢ちゃん。その……将来的には結婚したいけど、まさかそんな夢を見るなんてとは思っても見なかった。

 

「その……夢の中の私たちって…………幸せだった?」

 

「うん、凄く。と言うか……」

 

僕は歩夢ちゃんにキスをした。そして歩夢ちゃんを見つめ…………

 

「幸せにするよ。絶対に…………夢で見た以上に歩夢ちゃんを幸せにするよ」

 

「…………うれしい。ありがとう」

 

今度は歩夢ちゃんからキスをしてきた。それからしばらくキスをしあい…………その日は二人して遅刻してしまうのであった。


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