主人公の名前の読み方はたばねです!
それではどうぞっ!
さて、僕は無事退院し宮城に帰るはずが何故か東京にいます。
理由としては、大地さんから送られて来た一通のメール。
『梟谷グループが主催している練習試合に参加する事になった!
詳細は後々連絡する』
そう。烏野高校まさかの東京遠征である。
前監督の烏養監督が辞めてから烏養監督経由で練習試合をしていたチームとの縁が切れたウチのチームがこんな強豪ぞろいのチームと共に練習できるとは。
こんなチャンス中々ないな。
更に追い討ちを掛けたのがうちの両親からの連絡だ。
『一学期の授業休んだ分の課題出てるから! 二学期の始業式に夏休みの宿題と一緒に提出だって!』
そう。僕は2年生になってから休学している。とは言え僕も立派な学生である。学生の本文は勉強。期末試験は無いにしろ休んだ分の課題はしっかりとあるのだ。
正直僕は西谷や田中程馬鹿ではない。
ただし、天才と言う訳でもない。しっかり授業を受けた上でなら出来るが、授業で習ってない事をやれと言うのは無理難題だ。
しかし、僕には救世主がいる事を思い出した。そう、アリサだ。
アリサは現在19歳。高校の勉強なら多分出来るはず。幸いな事に、祖父母の家は東京にある。
この思考にたどり着いた瞬間、課題を祖父母の家に宅配してもらう様親に頼み、僕は宮城に帰ること無く、東京に在住する事を決意したのだ。
まぁ、退院してからの期間、何やかんやあったけど無事、合宿初日の朝を迎えた。
眠むい目を擦りながら、音駒高校を目指す。
今日久しぶりにバレーが出来る。そう考えるだけでワクワクが止まらない。
退院してから、徐々に徐々に運動を再開し始めたし、入院中だって僕のプレースタイル的にも、ボールを触り続けた。
だけど、試合なんて久しぶりだし、何よりずっと1人のトレーニングだったから、チームでの練習が楽しみで仕方ない。
音駒高校に着くと、小型バスが校門の前に停まっていた。
すると、そのバスから見慣れた男2人が現われる。
「「おぉー! あれは、あれはもしや! スカイツリー!?」」
ただの鉄塔を見ながらそう叫ぶ2人を見て思わず苦笑いをしてしまう。
「ほんと、2人とも元気だね!」
僕はそう言うと、後ろから近づき、ガバッと2人の肩を組む。
「やっ、久しぶり。西谷、田中」
急な事に驚いた2人がこちらを振り返ると目を見開き、口をパクパクしている。なんか金魚みたいだな。
「なっなんで潮崎がここに?」
先に口を開いたのは縁下だった。
「久しぶり、縁下。あれ? 聞いてない? 僕この遠征から練習復帰するんだけど……」
えっ? と思い大地さんの方をむく。
「よっ。退院おめでと」
「ありがとうございます。まさか伝えてなかったんですか?」
「俺達は知ってたけどな」
ひょこっと、スガさんが顔を覗かせる。
どうやら3年生組は知っていたそうだ。
「大地が当日のサプライズにしようって言ってな」
Mr.ガラスのハート。東峰さんが申し訳なさそうにそう言ってきた。
「あの、あの人は?」
潔子さんの隣にいる女の子がこちらを見て、潔子さんに問いかける。
あの子は新しいマネージャーかな? よく見たら金髪のチャラそうなお兄さんや初めて見る顔の子が何人かいる。
それに気づいた大地さんが俺に自己紹介を促す。
「1年はまだ知らないんだったな。潮崎、とりあえず自己紹介頼む」
「はい。はじめまして。潮崎束、2年生です。ちょと病気で入院してた為、休学、休部をしてました。好きな食べ物はコロッケ。ポジションはリベロ以外ならどこでもやります。詳しく聞きたい人は後ほど聞きに来てね。よろしくお願いします!」
自己紹介を終えると、音駒の主将さんの指示に従い移動し、準備をはじめる。
僕も例に漏れず準備をしていると、武田先生に呼ばれる。
そこには先程の金髪のお兄さんがいた。
「はじめましてだな。俺は烏養繋心。今年からバレー部の外部コーチをやってる」
「よろしくお願いします。潮崎束です」
「澤村達からある程度の事情は聞いてる。因みに、今のとこどのくらいなら、ぶっ通しでプレーできる?」
「大体1セット分ですね。それ以上は一旦間入れないともたないです」
これは僕の病気に関わる話だ。
僕は生まれた時から体があんまり強くなくて、長時間の運動が出来ない。
今烏養コーチに言った通り、1セットぶっ通しでプレーすると体にガタがくる。少し休めば一応、動ける様にはなるけど、それでも間1セット分位の休憩は欲しい。
これは僕の、いや、スポーツ選手からしたら大きな欠点だ。
「分かった。まぁ、今日は練習初日だし、体ならす意味も込めて、お前は基礎練で。様子みて、最後の1セット出る形でいくか」
「分かりました」
話を終え、体育館に向かっていると後ろから
「ヘイヘイヘーイ!」
何やら聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「久しぶりですね、木兎さん。知ってる人がいて安心しましたよ」
「よぉー、潮崎! 元気してたかー!?」
「まぁ、ぼちぼち。今日は最後の試合しか出ないんで、梟谷とは明日になりそうですけど、その時はよろしくお願いしますね」
「おう! 絶対負けねーぞ!」
この人は木兎光太郎。梟谷のエース。性格は少し抜けている所があるけど、バレーのセンスはトップクラスであり、全国五本の指は伊達じゃない。
木兎さんと別れ、チームに合流する。
「「「お願いシャース!!!」」」
体育館に入ると各々のチームがアップを始めてる。
うーん。どのチームもアップ見ただけで基礎の高さが伺える。流石全国トップクラスのチームだね。
僕がキョロキョロ周りを見ていると、ある1人の選手に目が止まる。
灰色の髪に緑の瞳をした長身の少年。あれは……
「集合!」
僕が考えていると大地さんの集合の声がかかる。
「アップ終わったら、全チームローテーションでゲーム。
1セット事に負けた方はペナルティでフライング、コート1周だそうだ。
気合い入れていくぞ!」
「「「おぉ!!!」」」
さて、早速始まった1試合目。初戦の相手は先程の木兎さん率いる梟谷学園。
うーむ。分かってはいたけど中々苦しい試合展開だな。
まぁ、梟谷が普通に強いチームってのはある。けど、ウチも決して弱い訳じゃない。基礎もしっかり出来てきてる。ただ、どーにも得点力にかける。あとは……
「経験の少なさ、かな……」
まぁ、そこはこの絶好の機会を使って、少しでも伸ばすしかない。
「それにしても、スガさんがセッターなんだね。凄い上手い1年生がやってるって聞いてたんだけど」
僕は疑問に思い、隣にいる木下に問いかける。
「あぁ、実はな……」
木下の話によると、そのセッターともう一人の変人コンビと呼ばれてる2人組は期末試験で赤点を取り補習を行っているらしい。
まぁ、僕も課題出てるし、人の事言えないんだけどね。
「それにしても、良く西谷と田中は合格出来たな」
「まぁ、そこは縁下を中心に頑張ったよ。それでも赤点ギリギリだったけどな」
「あぁ、なんかお疲れ様」
木下はそう言い遠くを見つめている。何となく想像つく所が辛いところである。
「けど、日向と影山も田中のお姉さんがここまで運んでくれるらしいから。
多分潮崎も、あの2人の速攻みたら驚くと思うぜ!」
「へぇー。楽しみにしてるよ」
そうこうしてる内に、試合は梟谷のマッチポイント。
相手のスパイクを西谷が上げるも、東峰さんが打ったスパイクは相手ブロックに捕まり、16-25でウチの負けが決定した。
うーん。流石に強い。
さて、僕もフライング1周しますかね。
ペナルティを終え、次はウチは休み。
生川と森然、音駒と梟谷か。
「うぉ、凄いサーブ」
「生川高校、毎日練習終わりに100本サーブやってるらしいよ」
俺の言葉に清水さんがそう教えてくれる。
サーブこそが最強の攻めって事か。
「それはまた……。中々キツイですね。あんな強烈なサーブ、この細腕で取れるのやら……」
「ふふ。潮崎なら取るって信じてる」
清水さんがそう笑いかけてくる。
うん。アリサがいなかったら恋してたかも。
「おっ、上がった」
生川の主将が放った強烈なサーブを森然の主将が上げてみせる。
すると、森然の選手達が同時に動き出す。
「へぇ。シンクロか」
しかも、相当卓越されてる。シンクロはチームの意思、タイミングが合わないと難しい攻撃。
それをこんなに、綺麗に決めるとは。森然は相当コンビネーションに力入れてるらしい。
もう1コートは……
言わずもがな、この5校の中で1番強いであろう、梟谷。
チーム全員のスキルが高く、その全員でチームのエースである木兎さんを輝かせるチーム。
それにしても、いつ見ても強烈なスパイクだな。正直僕には真似出来ない。
けど、そんなスパイクを恐ろしい程に拾う。
こちらも、音駒全員のレシーブ能力が高い。とにかく、拾って拾って拾いまくる。そして最後に決める。
相当、地盤が固まってなきゃ出来ないバレーだ。
それにしても、あのミドルブロッカー……
うん。絶対、アリサの弟のリエーフくんだよね……
何度もアリサに写真を見させられたから分かる。
けど、まぁ、今は試合中だし今夜にでも話しかけてみようかな。
さて! 次の試合まで僕は基礎練でもしますかね!
需要あるか分かんないけど、とりあえず書きたいんで、アリサとのお勉強会はどっかで書く予定です!
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