テンション上がって勢い任せに書いてしまった。後悔はしてない。
誤字脱字が酷いかもしれませんが、お許しください。
「横文字の名前。かっけーなぁー」
トイレにむかって歩いると、何か呟いている日向を見つけた。
「やぁ、日向。どうしたの?」
「潮崎さん! トイレ行こうと思って! 潮崎さんもですか?」
「当たり」
そう言い、日向とトイレへ向かう。
「気になってたんだけど、日向は何で、あのスパイク打つ時、目瞑ってるの?」
僕は、今日の最後のゲームでみた日向の速攻について疑問に思った事を聞く。
「いやぁ、恥ずかし話、俺自身、あの速い速攻のタイミング分かんなくて。
そしたら、影山がボール見ずに空いてるスペースに全力で跳べって言ってきて、取り敢えず、1回信じて跳んだら、本当にそのタイミングでボールが手に当たったんです」
なるほどね。技術も経験もない。けど最高のバネとスピードを持つ、日向をの力を最大限に引き出す為に生み出されたのが今のスタイルな訳か。
それにしても、それを完璧にこなすって……。今日の1ゲームだけでも、影山のトスの精度が凄いのは実感出来たけど、こりゃ、凄いなんてレベルじゃないな……。
「けどさ、日向は今のままでいいの?」
「えっ?」
僕はそう問かけ、トイレのドアを開ける。
するとそこには、ドアにのてっぺんに頭が届きそうな程の長身がたっていた。
急に現れた巨体に日向がテンパっていると、
「烏野の10番」
その少年は日向に声をかける。
「日本語!? お、俺、日向翔陽! 1年!」
「俺は、「灰羽リエーフ」……え?」
僕は少年、灰羽リエーフの自己紹介に割って入り込む。
「灰羽リエーフ、1年。ロシアと日本のハーフで姉がいる。日本生まれ日本育ちでロシア語は話せない。どう? 合ってる?」
「合ってる。けど、何で俺のこと……」
日向は「えっ? えっ? 知り合い?」と僕とリエーフくんを交互に見てる。
まぁ、確かに、知らない人にいきなり自分の情報当てられたら、恐怖以外の何ものでもないよね。
「僕は潮崎束。君のお姉さんのアリサと付き合ってる」
「えっ? ねーちゃんの!?」
「潮崎さん、彼女いたんですか!?」
「うん。凄い可愛い彼女がいるよ。
リエーフくんの事は色々とアリサに良く聞かされてるよ。彼女、弟大好きだから」
「たっ、確かに、ねーちゃんに彼氏がいるのは知ってたけど、まさか烏野にいるなんて……」
「うん。僕も今朝君を見つけた時はびっくりしたよ。
まぁ、色々話したい事もあるけど、今は日向に用があるみたいだから、また今度」
僕はそう言い、トイレの中に入っていた。
先程の話はリエーフくんに遮られてしまったけど、実際に今のままでいいのかい? 日向。
僕達は守りに入って、安定に戦えるほど強くはない。そんなチームが1番やってはいけないのは、退化じゃない。変化しないことなんだよ。
烏野はそれに何となくは気づきはじめている。
「あと必要なのはきっかけだね」
そう考えていると、「ゴン!」と言う鈍い音が聞こえる。
え? 何事?
音がした方を見てみると、日向がしゃがみこみ、頭をさ擦りながら唸っている。
「はは。何やってんだか」
トイレを済ませ、出ていこうとすると、丁度日向がリエーフくんと別れたとこだった。
僕は日向の頭をに手を置き、くしゃくしゃと撫でる。
「エースも良いが少しは焦れよー。今の烏野を見た感じ、僕がスタメン奪うとしたら、日向か月島っぽいからね。
確かに、変化をみせて退化するのは怖い。けどね、変化無くして進化する事はできないんだよ」
僕はそう言って日向を見つめる。
日向は一瞬呆気に取られた様に見えたが、直ぐに力強い目でこちらを見てくる。
「絶対負けません! 俺は、1分1秒でもコートに立っていたいから!」
「うん。その調子」
きっと、日向はこのチームを変える火種になってくれる。
「さて! 僕は眠いし寝るとするよ。日向もしっかり寝て、体力回復するんだよー」
「はい!」
僕は日向の返事を後目に歩を進めた。
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「今日の初戦の相手は音駒だ! 日向と影山は久しぶりの音駒戦だな。ここらで1発かましてこい!」
「「はい!」」
「潮崎は今日から色々な奴と変えてどんどん使ってく。今回は取り敢えず田中と変わってウイングスパイカーで入ってくれ!」
「はい!」
その言葉で澤村は東峰の方をみる。
「俺たちもウカウカしてらんないな」
「あぁ」
「ナイスレシーブ」
日向の速攻はスタート直後しっかり決まりはした。
「ドンマイ、リエーフ! 惜しかったぞ!」
しかし、山本が言う通り、音駒のブロックはあの速攻に追いついてきているのも事実。
特にリエーフの長身と手足の長さを使ったブロックは、すでにあの速攻を触りかているのだ。
(あっ、これ間に合わないな)
山本のスパイクに間に合わないと判断した束は、クロスだけを確実に閉めることに専念する。
触れないなら、塞ぐしかない。
(甘いブロックじゃ通用しない。確実に、そして正確に。ストレートへ誘導させる為のブロック)
クロスを完全に塞がれた、山本はストレートに打ち込むも、そこには澤村が待ち構え、しっかりと上げる。
「大地さん、ナイスレシーブ!」
澤村が上げ、日向も走り込み、AからCへ跳ぶ。
普通なら引っかかるとこだが……
「おいおい、まじかよ?」
束は思わず声を出してしまう。
日向のジャンプに一瞬で反応し、リエーフは斜めに跳ぶ。
(なんつー。反応の速さ)
リエーフに捕まったボールは、日向の後ろでゆっくりと落ち、バウンドした。
「おっしゃー!」
(2本目にしてもう捕まったか。対応が早いな)
喜ぶ音駒を後目に、束は思考する。
(まぁ、一旦、応急処置。普通の速攻増やしてくしかないか。
影山と速攻なんて、殆ど合わせた事ないけど……。影山なら良いトスくれるだろうし、多少のズレなら修正出来る)
しかし、そんな付け焼き刃な作戦が音駒相手に、そんな上手く決まるはずが無い。
研磨も普通の速攻が増えると予想し、リエーフを呼ぶ。
日向を囮に使うが、研磨にリードブロックを促されたリエーフは、つられ欠けるも、何とか対応し、東峰のスパイクを触ってみせる。
「ワンタッチ!」
「チャンスボール」
そして、夜久が上げたボールを、研磨がセットし、最後はリエーフがしっかり仕留めた。
ピィー!
「まぁ、落ち着けお前ら。最初から速攻は警戒されてんだ。取り敢えず音駒相手には、東峰と潮崎のレフト中心で攻めてけ!」
「「はい」」
タイムアウトを取り、烏養はそう促す。
しかし、烏養自身、その選択に自信が持てない。
確かに、このまま、あの速攻を使っても捕まるだろう。しかし、それは守りに入っていないか。弱腰になってはいないか。
(まぁ、今はそれで行くしかないか。ところで当の本人は……
うん。問題なさそうだね)
束が日向を見ると、日向は嬉しそうに笑っていた。
束としては、落ち込んでしまったかと思って見てみたのだが、どうやらそんなことは杞憂だったらしい。
「ブロック2枚!」
「ウォラァ!」
山本が打ったスパイクを影山が滑り込んで上げる。
「ナイス影山!」
拾われたにしても、1本目をセッターに触らせたのだから音駒からしてみれば悪くないスパイク。
「オッケー」
しかし、そのボールに束が中に入りこみ、スパイクモーションにはいる。
(はぁ!? あのまま打つ気かよ!)
「ブロック入れ! あいつなら打ってくるぞ!」
黒尾の言葉に、山本、リエーフ、海がブロックに入る。
(うぉ、速いな。どうする? このままじゃ確実に捕まる。
じゃあ、リバウンドか? けど、影山はまだ体制戻れてない)
束が、超速で思考を働かせ、一瞬チラリと横をみると東峰と目が合う。
(これしかないな)
束はぐるりと、体を90度反転させ、スパイクモーションからオーバーハンドパスに切り替える。
「あの体制から、トス!?」
普通に考えて、空中でこんなに体制を変えることは出来ない。
しかし、この読み合いと、無理な発想を実現させる柔軟性とテクニックこそが、束の最大の武器
多くの選手が驚愕し、山本とリエーフが釣られて跳ぶ中、海は釣られず、一瞬遅れるも逆サイドへ走り出す。
(流石、音駒の副部長。冷静だな。けど……)
「1枚なら敵じゃないですよね! 東峰さん!」
体育館が湧き上がる。
東峰が得意な、たっぷりと取った助走に、山なりで高めのトス。
完璧なセットアップだった。
しかし……
「えっ?」
ゾワリと。得体のしれない怪物に出会った様なそんな感覚。
意識的にか無意識かは分からない。しかし、日向はエースからボールを奪うかのように、ボールに向かって跳んでいた。
ドスッ!
と、言う音と共に、東峰と日向が接触する。
「おいおい。なにやってんだよ」
「どうしたって翔陽が吹っ飛ぶんだからな」
東峰と日向が青ざめて謝りあってる中、束と西谷は苦笑いをする。
「ちゃんと周り見ろボケェ! なんの為の声掛けだ、タコ!」
「はい。すみません」
「ボケ! 日向ボケ!」
「まぁまぁ、抑えろ影山」
澤村が一旦、中立に入り、影山をなだめる。
「それにしても、スゲーの上げたな! 束!」
「いやぁ、たまたまだよ、たまたま。正直、最初のスパイクで虚をつけると思ったけど、しっかり反応されたし、次のトスも2番は引き剥がせなかったしね」
「バッカ! まず、トスに切り替えられる時点ですげーんだよ!」
そんな話を束と西谷がしていると、
「ギュンの方の速攻。俺、目瞑んの辞める」
日向が影山にそう言い放った。
日向の一言で、殻にヒビがはいる。
今が、彼らにとって、進化の時なのかもしれない。
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