合宿編は書きたい所意外、ボチボチはしょって書いてます。
その辺ご了承ください。
それでも良い方は見てってくださーい!
合宿6日目。未だに負けが多いものの、徐々に徐々に、勝てるようにはなって来た。
それに、負けは負けでも初日に比べればだいぶ、点差が縮まって来た方だ。
「潮崎、自主練つきあって」
「? 別にいいですけど、3対3やってるんじゃないんですか?」
黒尾さんの誘いに僕はそう答える。
影山の提案で、影山と日向が別練習になってから、確か、月島とか木兎さん達と昨日から3対3をやってるって聞いたんだけど……
「それが、昨日リエーフが夜久のレシーブ練から脱走して、今日は捕まってんのよ。
だから、リエーフがこっち来るまででも良いから、3対3参加してくんない?」
「あぁ、なるほど。そう言う事なら」
何となく想像がつくね。
黒尾さんに連れられ、第3体育館に着くと、そこにはいつものメンバー+日向がいた。
「じゃあ、潮崎はこっちチームなー」
「よろしくお願いします」
「うん、よろしく」
僕が入ったチームは黒尾さんと月島。そして相手チームが、木兎さんに赤葦、日向というチーム。
多分だけど、僕の枠がリエーフくんだったんだよね……
「なんか、身長のバランスおかしくない?」
「練習だし、いつも出来ないことしたいだろ?」
僕の問に、黒尾さんはそう答える。
まぁ、確かに。こういうのって、こういう機会じゃないと出来ないよね。
「そんじゃあ、揃ったことだし、早速始めようぜー!」
木兎さんのその言葉で、各々がコートに入り、ゲームがスタートする。
「レフトレフト!」
「ワンタッチ!」
木兎さんのスパイクを、黒尾さんが拾う。
「月島、取り敢えず高めのちょーだいっ!」
月島がアンダーで、要求通りの高めのボールを繋げる。
ブロックは日向1枚。クロスに打ったスパイクは木兎さんがレシーブに入るものの、その腕を弾き、このセットはこっちチームの勝ち。
「だぁー! まじ、潮崎のスパイク取りずれー!」
「確かに、潮崎はスパイクって異様に取りにくいよな」
「あの、潮崎さん。最後のスパイク、木兎さんがレシーブに反応した様に見えたんですけど……」
休憩がてら、ドリンクを飲んでいると、月島がそんな質問をしてきた。
「ん? あぁ、そういう回転かけてるからね」
「回転、ですか?」
僕の言葉に、日向が不思議そうに聞き返してくる。
「そう。打つ瞬間に、こう、クイッと手首使って、回転かけるの」
僕はそう言い、日向と月島に軽く打ってあげる。
「これを、通常の回転の中に何回か織り交ぜてあげると、ちょっと回転が違うだけでめちゃくちゃ取りずらくなるんだよね。
特にこういう攻撃は、音駒に良く効く」
「確かに、ウチみたいなチームからしたら、ホントっ嫌なスパイクだよ」
黒尾さんは、皮肉めいた声でそう告げる。
音駒は、ただ、スパイクを拾いまくるだけでなく、その殆どが、セッターが極力動かなくて済むように、Aパスを完璧にこなす。そういうチームだ。
こういうチームには、このスパイクが驚く程に良く刺さる。
音駒が、ここまでレシーブに力を入れる理由は、先程も言った通りセッターにある。
故に、このスパイクは、血液を破壊する事によって、間接的に、チームの脳にダメージを与えることができるのだ。
まぁ、僕は聖臣みたいに、コースの打ち分けは出来るものの、あそこまでの回転の打ち分けは出来ないんだよね。あいつの手首の柔らかさは異常だから。
だから、こうやって、普通の回転の中に上手く織り交ぜて、感覚を徐々に徐々に鈍らせていくのだ。
そんなこんなしてると、レシーブ練から解放されたリエーフくんが来たので、リエーフくんと交代。
僕はダウンがてら、この練習をみるとしますかね。
「赤葦カバー!」
リエーフくんが来た事によって、休憩は終わり、ゲーム再開。
日向がひろったボールを赤葦がカバーし、木兎さんにあげる。
しかし、そのトスも少し低く、リエーフくんと月島が囲い込む様に、しっかりブロックにはいる。
「今日もでけーなー! 1年のくせに!」
木兎さんのスパイクは壁に当たり、ふわりと戻っていく。
しかし、今のスパイクは、わざと軽く壁に当てている。
「おっ、リバウンド」
僕は木兎さんのプレーに思わず呟く。
そしてそのまま、木兎さんが赤葦に返し、赤葦のトスをしっかりと決める。
リバウンド。体勢が不十分だったり、ブロックに捕まりそうな時に使う技。
1度、ブロックに軽く当て、体勢を整えた所で、もう一度打ちに行く。
まぁ、失敗するとそのままブロックに落とされるけどね。
「赤葦ナイスー!
チビちゃん! ラスト頼んだ!」
リエーフくんのスパイクを赤葦が辛うじて拾い、木兎さんが日向に繋げる。
日向が助走に入るが、
「うわっ、大人気なっ」
日向にたいし、ブロック3枚。190cmの壁が、完全にキルブロックで止めに来ている。
壁と言うか、もう傘である。
しかし日向は、スパイクを上に打った。
そのスパイクは、リエーフくんの指先に当たり、見事ブロックアウト。
(! 今の狙って打ったのか?)
多分、成功したのはマグレだろう。けど、その思考に至った事が既に成長だ。
空中で落ち着き、戦い方を探す。
僕が求めていた第1ステップに、日向は足を踏み入れた。
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合宿最終日
「これが最期の1セット! 負けっぱなしのこの合宿! 最後はこの合宿最強の梟谷から1セットとって終わろうや!」
「「「しゃぁああああ!!」」」
エンジンを組み、澤村の掛け声でチーム全体の士気が上がる。
この合宿、青城戦の時の実力ならもっと勝っていたかもしれない。束の加入により、いくつかの勝ちは拾えているものの、進化を始めた烏野にとっては負け続きの合宿である。
「取り敢えず、梟谷戦は木兎さんに気持ち良くスパイク打たせない事を意識していきましょう」
束がチームにそう促す。ドシャット出来なくても、触り続ける。それが梟谷攻略への近道である。
「ラストよこせー!」
前半は、点差がはなれる事なく試合が進む。
木兎に上がったボールに、影山、束、東峰がブロックに入る。月島がいない今、現状最も高い壁。
しかし、その壁を、木兎は肩をしならせ超インナーに打ち込む。
3枚ブロックへのインナーへの強打。その難しいスパイクを難なく決めてみせた。
「くっそ、キレキレかよ」
殺すつもりで跳んだブロックを抜かれ、束も思わず声にでる。
ローテーションが周り、日向が中に入る。
そして、日向が入った1本目。西谷のレシーブに影山のトス。このコート上の誰もが強打を打つと思った中、それを嘲笑うかのように、日向のスパイクはブロックの上を超え、真下に落ちる。
(うぉ、木兎さん直伝の必殺技を梟谷戦でやるとは、やるな日向)
日向のフェイントを見て、束は昨日の木兎と日向のやり取りを思い出しながら、苦笑いをする。
烏野 7ー9 梟谷
木兎に感化されたのか、チーム全体の調子が良い。
そんな中、影山は思考する。
(朝食ったものが、腹に無くなった感じがする。
でも、まだ腹は空かない。
いつもより身体が良く動くし、周りの動きもよく見える。
自分の調子が良い事が、自分で分かる。
日向の調子も良い。無駄な動きもない。今なら……)
そんな時、日向が走り出す。あまりにも早いテンポでの助走。まるで速攻をやるかのような、そんなタイミング。
(あの速攻やる気か? でも今ミスったらチームの良い流れを崩すかもしれない。
新しい速攻は、もっと成功率を上げてからに……)
「やんねーの?」
日向の言葉が鮮明に影山の元へ届く。
影山の脳内練習の日向と動きが重なる。
まるで、2人だけの空間。
そして、影山は日向にトスをあげた。
滑らかに進むボールは、日向の元へ向かい、そして止まる。
日向が振り抜いたスパイクは、相手に反応させる事なく、地面へと落ちた。
「歯車、1つ目!」
とは言え、新しい速攻は未だ成功率は低い。
日向がワンタッチしたボールを影山が拾うと、西谷が走り出す。
「オーライ!」
そして、バックゾーンから踏み切り、トスを上げる。
「うっ、変な音した」
菅原がそう呟くが、ドリブルはとられていない。
そして、リベロのトスからエースのバックアタック。
「歯車、2つ目!」
最終日、最後のセットにて、チームの形が出来上がっていく。
西谷があげたボールに、澤村、東峰、束、田中の4人が一斉に走り出す。
各々が自分にボールが上がると信じて跳ぶ。
そうすれば、自ずとブロックは的を絞りずらくなる。その一瞬の迷いが致命的となり、影山が上げたトスを田中が撃ち抜く。
「「「おっしゃぁああああ!」」」
「歯車、3つ目!」
「影山、東峰さん」
束が影山と東峰を呼ぶ。
「どうした?」
「いや、ちょっとやりたい事がありまして」
「やりたい事?」
影山が首を傾げるのを見て、束はニヤリと笑う。
「目には目を歯には歯を。ってやつですよ」
ピィー!
「大地さん、ナイスレシーブ!」
相手のサーブを澤村がしっかり拾い、影山がセットアップに入る。その瞬間に、
「んん? 旭と潮崎がスイッチ?」
菅原の言葉通り、東峰と束がクロスする様にポジションを入れ替える。
影山がレフトにトスを上げ、束がしっかりと取った助走から跳ぶ。
しかし、流石は梟谷。スイッチに一瞬驚くも、しっかり3枚ブロックを仕上げてくる。
しかし、束の腕は鞭の様にしなる。
そして、超インナーにスパイクを叩き込む。
そう。それは先程、木兎がやったのと同じスパイク。
まるで、その位自分も出来ると言う様なスパイクを束は放ってみせる。
「くぅー! やるなぁ! 潮崎!」
「いやぁ、僕も負けてられないんでね」
おそらく、この合宿トップ2の両者。ネット越しに、木兎と束の視線がぶつかり合う。
ピィー!
これには梟谷も思わずタイムアウト。
烏野 18ー18 梟谷
梟谷相手に終盤まで同点で来ている。
ここに来て、チームの歯車が一つ一つ噛み合い始めている証拠だろう。
そんな中、束はチラリと梟谷ベンチを見ると、そこには段々アツくなって来ている木兎の姿が目に映る。
それもそうだろう。特に束が徹底的に木兎のスパイクに触る事で、木兎は中々気持ち良くスパイクを打てていない。
(よし、結構アツくなってきてるし、仕掛けるならそろそろかな)
タイムアウトも終わり、アツくなりだした木兎のサーブは虚しくも、ネットに突き刺さる。
徐々に徐々に、梟谷に不穏な空気が流れはじめる。
「田中、木兎さんはどっからでも狙ってくるし、サーブで狙って牽制しよう」
「おう」
田中が狙ったサーブは、ラインギリギリ、恐らくアウトだろうが、今の木兎は冷静さに欠けている。田中のサーブを木兎が拾い、赤葦にトスを要求する。
(少しアツくなり過ぎた木兎さんにトスを上げた場合……
A.普通に決まると問題なし。
B.ミスる、又はブロックに捕まると、何時もより割増でテンションが下がる可能性あり。
C.上げ無かった場合、いじける恐れあり。
……Cが1番めんどくさいな)
「木兎さん!」
この間僅か0.5秒。思考のすえ、木兎にトスを上げるが、それを読んでいる男が1人。
「分かるよー。確かに、木兎さんに上げないとめんどくさいもんね。
けど、だからこそ読みやすい」
(マズイッ!)
赤葦が気づいた頃にはもう遅く、束の指示に従い、タイミングを合わせて跳んだ3枚ブロックに、木兎のスパイクは捕まり、叩き落とされる。
このタイミングで、烏野逆転。
「はぁ、はぁ……」
そうしていると、急に木兎の様子がおかしくなる。
(えっ、もしかして?)
(あっ、あれ来ちゃった?)
(うっそ、はやくねー?)
(えっ、もう?)
(はやいな……)
(あー、来た)
「赤葦。今日はもう、俺にあげんな!!」
(((でたー! 木兎しょぼくれモード!!)))
こうして、ゲーム終盤。木兎の弱点の1つが発動されたのであった。
長くなりそうだったので一旦切ります!
多分、次辺りで合宿編は終わるかなー?って感じですね。