うちの指揮官はコミュ力が高過ぎる。   作:創作魔文書鷹剣

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 一体誰がこの話が2部構成になると予想できただろうか。


結局こうなるんだよなぁ

 結局16labでの検査はほぼ「SOPの初恋を応援し隊」が結成しただけだった。因みに隊員全員が恋愛経験皆無だったため役にはたたなかった。何の時間だったんだろう・・・。そして、基地に戻ってくるや否や戦いは始まった。

 

「うぅ〜・・・」

 

 ナターシャの執務室を前にして、SOPMODⅡはずっと扉の前をウロウロしていた。会って話したいし自分の感情を吐露したいが、ドアノブに手を伸ばした途端に気恥ずかしくなって手を引っ込めてしまう・・・。そんな事を繰り返す事既に30分が経っている。

 

「どうしよう〜・・・どうしよう〜・・・」

 

 「何と言って部屋に入るか」を決めあぐね、ずっと迷っている。なんの話題も無しに入るのは変な気がするし、だからと言って何か話す事があるのかと聞かれれば特に思いつくものは無い。ならば他の方法でと考えるが彼女の(幼稚な)頭ではロクに閃かない。八方塞がりだ。

 

ガッチャ「あれ?SOP、どうしたの?」

 

「ひゃあぁ!!し、指揮官・・・」

 

「おやつあるよ〜、一緒に食べよ?」

 

「た、た・・・食べる!」

 

 不意打ちで部屋から出て来たナターシャに誘われて、「部屋に入る」という最初の難問は突破した。だが問題は山積みである。

 

「はい、あーん。」

 

「・・・///」←嬉し恥ずかし

 

 この指揮官、やたらスキンシップが過剰なのだ。SOPが幼児(ロリ)体型なせいで子供の相手をするように扱われている節がある上に、抱っこやあーんなど受け手にとっては嬉し恥ずかし入り混じるやり方で構ってくるのだ。

 

(うぅ〜・・・恥ずかしい、でも嬉しい・・・でもやっぱり恥ずかしいよぉ・・・)

 

「顔赤いよ、大丈夫?」

 

「だ、大丈夫・・・だよ?」

 

「よいしょっと。熱は・・・平熱に決まってるか。」

 

「!?!?!?」

 

 SOPが赤くなっているのに気づくや否や、急に近寄って自分の手で体温を確かめた。まあ人形が発熱などする事は非常に稀、しかもコンピューターウイルスなどによる外的要因でしか起こり得ない。だから彼女が熱っぽいわけないのだが・・・本当の理由を察した上でこの対応をとるナターシャはやはり乙女の敵かもしれない。本人曰く、「指揮官という立場上、部下の子達との衝突を避けるためには仕方ないのであるぞ。」との事。

 

「ちゃんとメンテナンス受けたの?体は大事にしないとダメって私いつも言ってるけど、皆聞く耳持たないんだよ。SOPは・・・ちゃんと言うこと聞くよね?」

 

「う、うん!」

 

「よかった〜、近頃の人形は自分はロボットで消耗品も同然(・・・・・・)だからって言い出す子ばかりなんだよね。『生きている』のに消耗品なんて、馬鹿な話だけど。」

 

 会話が思い、重すぎる・・・ついうっかり自分が常日頃思っている事を口にしてしまい、執務室の空気は「今から誰か殺されるんか」というぐらい張り詰めてしまった。しまったなー・・・などと軽い感覚で反省しているナターシャに対し、SOPの方は完全にフリーズしてしまった。

 

「あーっと・・・ゴメンね?思い話になっちゃって。」

 

「う、ううん・・・大丈夫だ、よ?」

 

「ホントに私ったらこうなんだよねー・・・、隙あらば自分語りしちゃうの・・・。治そう治そうって思ってるんだけど、自力じゃ中々治せないんだよ。ホントダメな指揮官だなぁって思っちゃう。」

 

「し、指揮官はダメじゃないよっ!!」

 

「ふふっ、ありがとう・・・。もしかしてその言葉って、私が好きだから言えるの?」

 

 SOPの顔が一気に熱くなる。ハメられた、と気づいた時には既に手遅れ。まるで「落ち込んでいる憧れの先輩を一生懸命応援する女の子」みたいな発言を引き出され、上手い具合に遊ばれてしまった。

 

「・・・冗談よ、SOPはちゃんと自分の事を大事にしてるってわかってるからね?まあ持ち上げてくれたのは嬉しかったけど。」

 

(ふぇぇ・・・顔赤いのバレちゃってるし、きっと全部バレちゃってるよぉ・・・)

 

 もうお喋りどころではなかった。あの手この手で乙女の純情を弄ぶロクデナシと張り合えるような話術をSOPが有しているはずはなく、ただ何も言い出せない気まずい時間が過ぎていく。

 

「・・・そうだ、ちょっと聞きたい事があるんだけど。」

 

「・・・ふぇ?」

 

「SOP。この作戦報告書、貴女が書いたんでしょ?」

 

 そう言って引き出しから出したのは、一枚の作戦報告書。SOPが書いたものらしいが、肝心の内容は「鉄血をいっぱい壊した」とか「目玉をいっぱい引っこ抜いた」とか小学生の日記ぐらいの文章量だった。普通の指揮官が相手なら即刻お説教モノである。

 

「だ、ダメだった・・・?」

 

 もしや自分はやらかしてしまったのではないかと恐る恐る尋ね、もし怒られたらと思うと怖くて目を瞑ってしまう。そして返って来た言葉は、彼女にとって予想もしていなかった言葉だった。

 

「・・・フフッ、ダメじゃないよ。」

 

「・・・・・・・・・・え?」

 

「頑張って書いたんでしょ?じゃあ全然ダメじゃないよ。提出してくれたらそれでいいの、後は私の仕事だから「上」にはちゃんと説明してあげるからね。」

 

「え、え・・・?」

 

「次からはちゃんと数も数えようね、そしたら『いい子いい子』してあげるからね。」

 

「う、うん!」

 

 ナターシャはSOPの報告書を読んだ上で、叱るどころか逆に優しく「アドバイス」してくれた。今まで何人もの指揮官と出会って来たSOPだが、その多くが人形を都合の良い道具として利用していたり優しいのかと思いきや裏では人形を玩具のように使い倒すクズだった。一方でナターシャは「多少」交友関係が滅茶苦茶なところはあれど、人形の個性と愛情表現を正面から受け止めてくれる人だ。

 

(ちゃんと数も数えたらいい子いい子・・・他にもやってくれるかな・・・///)

 

 そして人形達1人1人に真摯に向き合うからこそ、今までに出会った多くの人形達から深い信頼と愛情を受けてきた。勿論自分に対して恋心を抱いている相手との向き合い方もわかっている。伊達に「ドクター・ロックハート」などと呼ばれちゃいないのだ。その仕事の最後は決まって相談相手に「気づかせる」。

 

(そっか・・・わたしは指揮官に褒めてほしかったんだ。ぎゅ〜ってされてナデナデされて・・・えへへ///)

 

 後日、倒した敵の数を頑張って数えているSOPの姿が目撃されたとか・・・




 SOPの恋愛道はまだまだ続く・・・

 次回、最悪の鉄屑現る。
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