「うふふふふっ・・・」
暗い部屋、その中にいるのは1人の人形。
「新しい子もいいけど・・・やっぱり
その手に握られているのは、AR小隊の
「居場所は掴んでる・・・後は向こうが来るだけ・・・楽しみだなぁ♪」
人形が楽しげに笑う足元には、さっきまで戦術人形「だった」ものが転がっていた。
《一方その頃・・・》
R03基地の作戦会議室にて、ナターシャは上官であるヘリアントスからの通信を受け取った。
『ナターシャ・E・ロックハート、貴官の管轄区域であるR03地区内に鉄血の部隊を確認した。位置情報の確認が取れ次第、すぐに対応にあたるように。』
「了解しました・・・既に先行部隊が偵察に向かっています。今日中に作戦行動を開始できるでしょう。」
『クルーガーさんの情報が正しければ、今回動いた鉄血の部隊にはハイエンドモデルが配属されている可能性が高いそうだ。しかも貴官とも関わりが深いらしい《アレ》がいるとの報告が上がっている・・・』
その瞬間、ナターシャは目の色が変わった。まるで捕らえるべき獲物を見つけたかのように。
『・・・期待しているぞ。』
「・・・了解しました。」
2時間後、先行部隊の偵察が終わり作戦会議が開かれた。
「みんな、今回はちょっと厄介な事になるよ。」
R03基地の面々を相手に、ナターシャはそう言い切った。
「指揮官、厄介な事とは・・・?」
「・・・R03地区内で鉄血の部隊が確認されたの。しかも・・・」
手元の機械を弄って、映像を出力しながらM4の質問に答える。
「・・・コイツがいる。」
映し出された映像には、1人の人形が写っていた。
「指揮官、この人形は・・・?」
「鉄血のハイエンドモデル『
ナターシャは厄介さがどうとか言ってるが、映像を見る限りそんなに厄介な存在には見えないような・・・
「まあ・・・実際にコイツと会えば私が何を言っているのかわかるはずだから、それじゃ作戦の説明ね。」
作戦自体はとても単純なものだった。『AR小隊が釣り、待ち伏せとライフル部隊の狙撃で迎え撃つ』というシンプルな内容だが、その中にはいくつもの利点がある。
「鉄血がAR小隊の情報を握っているなら好都合、後退する四人を追ってくる敵が多ければそれだけ他が手薄になる・・・最悪罠だと勘付かれても鉄血の部隊をいくらか倒しておけるから損は無い。」
「しかも手の内は仕掛けるまでバレないからこっちが有利・・・でしょ?」
「よくわかってるね、流石Vector。」
「もうずっと一緒にやってるからね、わかるよそれぐらい。」
若干の惚気話は置いておくとして、後は全員の配置と予想される敵の戦力を説明するぐらいで作戦会議は終わった。
《R03地区、グリフィン陣地内》
「AR小隊、配置に着きました。」
「ライフル部隊、作戦配置完了です。」
「遊撃部隊・・・準備完了。」
『オッケー・・・作戦、開始!」
作戦の始まりと共に、AR小隊は敵地に突入した。
「M4、前方から鉄血の通信反応がある。だが、これは・・・」
「はい、敵が
「きっとみんな逃げちゃったんだよ。」
「SOP、相手は鉄血よ。そんな筈はないわ。』
自分達は鉄血の陣地に入っている。なのに敵がいない。それはつまり・・・
「罠か・・・」
「ハイエンドモデルがいるならあり得るわ。当然のように何でも仕掛けてくるし。」
見渡す限り無人の街を潜り抜け、鉄血の陣地(と推測できる地点)に辿り着いた。だが、やはりここも無人だった。
「指揮官、鉄血の陣地を制圧しました。ですが・・・」
『こっちでも察しはついてるよ、静か過ぎるんでしょ?』
「はい・・・まるで私達を誘導してるみたいで
『待ってたわ。』
ッ!?」
突然通信に割り込んできた謎の声、聴き覚えの無いその声はまるで透き通るかのように4人の聴覚モジュールに溶けていく。
『やっと来てくれたのね・・・待ちくたびれて1人でいっちゃう所だったわ。』
「なんの話だ、こっちはお前なんかと話す気は無い。」
『つれないわね、アタシは聞きたい事があるからこうやって通信に割り込んだのよ?ちょっとはお話しましょ?』
「・・・お話?」
『ええ・・・個人的にとっても気になる事なの。』
ハイエンドモデルが直々に聞きたい事、そう言われては無視できなかった。このまま会話を続けてあわよくば向こうの情報を頂こう・・・と考えたが、それは出来ないようだ。
『・・・・・・・・・・今日下着何色?』
「「「「・・・・・・・・・・は?」」」」
想像を遥かに超えた話題に、一瞬4人の思考がフリーズした。
『何色なのかなー、白かなー?黒かなー?もしかして、ピ・ン・ク?どうなのかな・・・M4A1みたいな大人しい子の下着がすごいエッチだったりしたらそれはそれで抜けるし、大人しめなやつだったしてもイメージどおりで濡れてくるし・・・』
「M4、こんな奴の相手する必要ないわ。行きましょう。」
『あー待って待って、一応話したい事なら他にもあるの。例えば・・・ナターシャ・E・ロックハートの事とかね?』
さっきまでのクソみたいな会話とは打って変わり、今度は真面目そのものだった。
『彼女とはー、それはそれは複雑でビショビショな関係で結ばれてるんだけどー・・・まあ、それはいつか何とかするとして・・・AR小隊のみんなとはどんな関係なのかな?愛人?』
「・・・・・・・・・・。」
「SOP、そこで黙るのはほとんど答えてるようなモンだぞ。」
『あ、やっぱり?やっぱりあの性犯罪者
しれっと人を性犯罪者呼ばわりした挙句、ただ答えに困って黙っちゃったSOPをナターシャの愛人だと思っちゃうあたりAIがバグってるんだろう。じゃなきゃ初対面であんな性欲全開の質問しないし。
「M4、さっさと決めなさい。コイツを無視して先に進むのか、それともこの茶番に付き合うのか。」
『付き合う?今付き合うって言った?期間は!?同棲の予定は!?両親の許諾は!?ていうか挨拶行こ!?』
「うぅ・・・」
「鉄血のクズめー!M4をいじめるなー!!」
『ああ良い!すごく良い!田村ゆ○りボイスで罵倒されるの股間に来る!!』
「気持ち悪っ・・・」
SOPに罵倒されるのが大変気持ちよかったですようで、通信では伝わらないがラヴァーのアレはビッショビショだった。なんなんコイツ。
『じゃあね〜・・・今夜はラブh『黙れ腐れ変態』ブツリッ
「指揮官!?」
『よ〜くわかったでしょ?ラヴァーがいかにサイコな性犯罪の化身かって!』
「「「「は、はい!」」」」
通信越しに伝わってくる怒りの声。何がそこまでナターシャの怒りを増長させるのかは不明だが、少なくともラヴァーの通信に割り込んで無理矢理回線を閉じさせるぐらいには怒り心頭なようだ。
『それよりも!北部で鉄血の部隊が移動してるよ!遊撃部隊だけじゃ抑えきれないからAR小隊も協力して!!』
「了解しました!」
この出会いが後に重大な事件を生むのだが、それはまた別の話し・・・
しれっとヘリアンさん初登場。