うちの指揮官はコミュ力が高過ぎる。   作:創作魔文書鷹剣

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 漢字がいっぱい並んでる言葉、好き(アホ)


前線基地奇襲作戦

 ナターシャの気質のせいで珍事ばかり起こるR03基地だが、たまには民間軍事企業らしい仕事だってする。いくら最前線から離れているとはいえ鉄血の脅威が無いわけではないし、部隊単位で鉄血の群勢を観測する事もあれば基地の類が観測される事もある。今日は後者だった。

 

「指揮官様、こちらが偵察部隊から送られて来た映像です。」

 

「ありがとう、カリン。」

 

「いえいえ!私は指揮官様のお仕事をお支えするのが仕事ですから!」

 

 カリーナに礼を送り、タブレット端末で偵察部隊からの映像を確認する。前線基地と思しきそれはナターシャの想定以上に頑強であり、正面入り口の警備は厳重で対空兵器や司令塔らしき施設まで備えられている。ハッキリ言って前線基地に配備するには過剰な火力と防御力である。普通ならばこのような鉄壁の守りを目の当たりにしたら迂回して他の地点を攻めようと思うのが道理だが、彼女には避けるわけにはいかない理由がある。

 

「ラヴァー・・・」

 

 映像の端に写り込んでいた宿敵の姿を見てしまったのだ。この基地にラヴァーがいるかもしれないと思ったナターシャの決断は早かった。

 

「カリン、みんなを集めて。作戦会議するよ。」

 

「はい!すぐにでも集めます!!」

 

《1分後・・・》

 

「すぐ過ぎないかなぁ。」

 

 宣言どおりすぐに集まった人形達、迅速が過ぎるかもしれないが何事も素早く動けて損は無いから特に触れずにいく。

 

「私達はグリフィンの偵察部隊が観測した前線基地を攻略する。そのための作戦を今から説明するんだけど・・・M4、何か言いたそうだね。」

 

「指揮官、偵察部隊が前線基地を発見したとの事ですが・・・本来なら迂回して後方を占領してからじっくりと干上がるのを待つべきでは?」

 

「その提案は至極真っ当で常識的なんだけど、どうしても時間をかけていられない理由があるんだよね。」

 

 ナターシャが指差したのは一枚の画像、前線基地の正面入り口に佇む人影が映っていた。画質が荒くてハッキリしないが明らかに目立つピンク色の髪は嫌でも目につく。

 

「ラヴァーよ、あの卑しくて薄汚いドブネズミがこの基地にいるかもしれない。それだけで理由は充分・・・他に質問は?」

 

 他人からしてみればそれはナターシャだけの理由であって他の誰かが戦う理由にはならない。一応この前線基地を攻略できれば防衛システムを一部再構築してグリフィン側の前線基地にできるメリットはあるが・・・

 

「質問いいか?」

 

「はいM16。」

 

「見た感じだと随分守りが硬そうなんだが・・・攻略の手立てはあるのか?」

 

「もちろん、とびっきりの『腕利き』が応援に来るからね。」

 

 ナターシャの見せた笑顔に嫌な予感がしたのはM16だけだろうか・・・この堅牢な基地に入り込めるような「奴ら」を知っているせいで寒気が止まらない。

 

「先ずは警戒網を掻い潜って基地まで出来るだけ近づく、その後は私が要請した『応援』が動き出す合図として簡単な暗号を発信する。そうしたら・・・基地の武力なんて塵みたいなものだよ。」

 

《前線基地近郊・・・》

 

 前線基地近郊に張り巡らされた監視の目を掻い潜り、夜の闇に乗じて最大限まで接近する事。それが作戦の第一段階だった。AR小隊をはじめ、他の部隊も基地の監視に引っかからないギリギリまで肉薄した。この先どうするかはナターシャが策を用意しているらしいが、その内容はこの場にいる誰も知らなかった。通信が傍受されている可能性を懸念しているようだ。

 

「M.I.V...1.0.14。」

 

 M4は当初の予定通り(通信先を偽造した)ナターシャに向けて原始的な暗号を交えて送られた・・・「M.IV」が「M4」、「1」が「第一段階」、「0」が「O」なのはいいとして、「14」を「K」と読むのは無理があるだろう。確かにこの通信が傍受されたとして、この暗号を即座に解読することは出来ないかもだが。

 

「・・・周囲に敵影無し、サーチライトの明かりが僅かに見えるだけ。」

 

「でもここまで誰もいなかったよね?みんな帰っちゃったの?」

 

「いや、この辺りは鉄血の巡回ルートから外れてる。向こうも私らがこんな近くにいると思ってないのかもな。」

 

「姉さん、だとしてもいなさ過ぎです。」

 

「ああ、少なくとも私ら以外に誰かが小細工を仕掛けてるようだ。」

 

 前線基地自体の防備に比べ、周辺に展開している部隊の密度と巡回はあまりにも手薄だった。誘われているような不安を感じながら、攻撃開始の合図を待つ。

 

《前線基地内、司令塔最上階》

 

「・・・来た、先生(・・)からの合図。」

 

 前線基地内の一角、司令塔の最上階に屯している4人の人影。「先生」なる人物から送られてきた合図を確認し、それぞれが行動に移る。1人が基地内のセキュリティと火器管制システムをハッキングによって無力化し、残る3人は退路を確保し一部の通路にトラップを設置する。誰もが洗練された動きで速やかに仕事をこなし、システムを完全に掌握する。

 

「火器管制システム・・・セキュリティシステム・・・オールグリーン、いつでも解除できる。サーチライトと非常シャッターは手動操作で動かせるから意味無し。『AW50』、外に出てサーチライトを狙撃する準備をして。」

 

「わかったよ・・・全く人使いが荒いなぁ。」

 

「退路は一つだけ、『AR-10』と『MP9』は退路の安全を保持。」

 

「はーい。」

 

「AR小隊もここにいるのかぁ、久しぶりに会いたいなー・・・」

 

 準備は整った。後は仕上げをするだけ。

 

「OK・・・全システム、停止!!」

 




 この作戦で第一戦役が終わります。この作品はまだまだ続きますが。
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