帰る場所を君に   作:小池蒼司

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2.希望

【バラ】

・・・バラは、バラ科バラ属の総称である。

花言葉は「希望」

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害虫駆除の連絡が来たのは、その日の昼だった。C級隊員まで動員した小型トリオン兵の一斉駆除作戦は昼夜を徹して行われた。

 

シオンも例外では無い。指令に従ってひたすら見つけたトリオン兵、ラッドを駆除した。

 

 

『流石迅さんだね』

 

関心するように宇佐美が言った。

 

「んー、まぁ僕のおかげでもあると思うけど」

 

シオンは茂みに隠れていたラッドを見つけると素早く捕え破壊する。ここら辺のはあらかた片付け終えたか。

 

『いやいやシオンくんは何もしてないでしょ、ずっと寝てたじゃん』

「それはそれ、これはこれ」

『今使う言葉じゃないんだなぁそれは』

 

そうかぁ。くすくすと笑う声がして少し疲れが吹っ飛んだ。あともう少し、がんばろう。

 

 

「ーーシオンさん」

 

急に声をかけられ肩をびくつかせるが、声で誰だかわかる。聞きなれた声だ。

 

「…どうしたんだ秀次」

 

三輪隊隊長、三輪秀次。確か駆除エリアは銀と別の場所だったはずだ。

 

「こちらのエリアが終わってこっちに来てみました。うちは陽介達がいたので、シオンさんは一人だと聞いて少し覗きに来た、ただそれだけで他意はないですよ」

 

無表情で話す三輪だが、恐らく駆除が上手くいってなかったら手伝うつもりだったのだろう。

 

ーー秀次らしいな

 

フッと微笑むと「なんですか」と不機嫌そうな顔をされた。

 

三輪はシオンの所属する玉狛支部が嫌いだ。特に一番嫌いなのは迅悠一、らしい。しかしそれでも何故かシオンにだけは懐いている。

三輪曰く、昔助けて貰った恩は返したいらしい。シオンにはさっぱりだが、嫌われていないのならそれで良しである。

 

 

 

『もう反応が消えたみたい、お疲れ様シオンくん』

 

宇佐美の声と同時に一斉駆除作戦の終了合図が耳に入る。

昼夜を徹して行われた小型トリオン兵一斉駆除作戦、これにて終了である。

 

 

 

 

 

 

 

ーー翌日

 

 

 

「よっ」

 

本部基地のロビーに奈良坂、辻、氷見の三人が談笑していた。

たまたま通りかかったシオンが軽く挨拶をすると三人はぺこりと会釈する。

 

「シオンさんこれから仕事ですか?」

 

氷見がシオンの片手に持つタブレットを指さして聞いた。このタブレットはシオン専用で、裏には小学生が好きそうなヒーローのシールが貼ってある。大分古いのか少し傷がついている。

 

「いーや、もう終わったよ」

 

へら、と笑って言うと次は奈良坂がシオンに話しかけた。昨日の小型トリオン兵一斉駆除作戦についてだ。どうやって小型トリオン兵に気付いたのか、作戦を実行することが出来たのか、奈良坂だけではなく氷見や辻も気になっていたらしく質問攻めにあうがシオンには答えられない。

 

「分かんないんだよね僕も」

 

ーー本当は近界民に教えてもらいましたなんて言えないし

 

実は昨日、迅に連れられイレギュラー門について知る人物へ会いに行こうと、三雲修と共に出かけたのだが。その人物がまさかの近界民だったのである。

 

分からない、と誤魔化しつつ迅のおかげだよ、さすがだねとここにはいない迅を煽る言えば納得したのか三人はなるほど、と頷いた。

とりあえず迅の名前を出しときゃ正解になるので楽なもんだ。

 

「あ、やば。そろそろ行くわ、じゃ!」

 

シオンはタブレットの時計を確認すると、ごめんねと一言断り駆け足でその場を抜け出した。

向かった先は玉狛支部だ。

 

 

今日は玉狛に帰って新入りとご挨拶をする予定が入っている。

迅が何日か前に新入りを連れてくると話していたのを、タブレットにメモとして残していた。シオンのタブレットには取引先との記録や迅の未来予知を元にしたスケジュールなどがあり、迅の暗躍に付き合わされる際にはこれを基準に行動している。

さて、早く帰らねば。新入りとはきっと昨日会った空閑遊真と三雲修の事だろう。

 

「また賑やかになるといいなぁ、昔みたいに」

 

支部の掃除をしなくちゃ、と軽い足取りで掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

「遅かったなシオン」

支部長室に招かれたのは迅とシオン。待ちくたびれたと迅はシオンに軽くチョップするが、実は迅達もシオンとそんなに大差なく玉狛に着いた。

 

「ごめんごめん、仕事が立て込んでて」

 

それで用件は?、書類にまみれた支部長室で、掃除もせず良く平気で過ごせるなと思いながら尋ねる。

 

「シオンは昨日の小型トリオン兵一斉駆除で空閑遊真と会ってるな?」

 

林藤は確認するように聞いた。シオンは頷く。

 

「遊真と三雲、それと千佳。三人が玉狛に入るらしい」

 

ーーらしいって

推測的な言い方をするのはきっと迅がそう言ったからだろう。

 

 

ーーそれにしても

 

 

「…千佳?」

遊真と三雲は昨日の一件以来知らない仲ではない。

しかしその千佳という人物は対面したことがないためちんぷんかんぷんだ。

名前からして女の子だろう。

 

「きっと三人でチームを組む。いいチームになるぞ」

 

迅は自分の事のように嬉しそうな顔をしていった。

 

「でも待って、近界民を入隊させるなんてそんなこと上が許すはずがないよ」

「だから多分、遠征中の部隊が帰還して俺達のところに来る」

「…戦わなくちゃいけないわけか…」

「戦わなくてもいいようになるべく話し合いで解決したい。シオンも俺と一緒に出てくれるか?」

 

出る、それは遠征部隊と戦う可能性もあるという事だ。

あまり戦いを得意としないシオンとしては、前線に出ることすらあまり承諾したくないが、仕方ない。

 

「分かった。でも僕と迅だけじゃ無理だと思う。人数とか、それに」

「大丈夫だ、策がある」

「策?」

 

策とは一体。しかし迅の事だ、きっとそれなりに考えているだろう。

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