このくらいの文字数で続けていく予定ですがネタ次第で減ったり増えたり減ったり減ったりすると思います!減る方が多いです多分!
蝶との出会い
少年はひたすら黙って夜道を走っていた。屋敷の近所に鬼が出たと言う。
「くそ!柱合会議の帰りでこれかよ!ほんとに多いな鬼!さっさと滅びろよ!」
訂正、鬼への愚痴を零しながら。こんな物騒なことを言うのはなぜか。
鬼が悪だから?存在してはいけないものだから?人に対して害でしかないから?
様々な理由があるが彼にとっては少し違う。鬼に対してではなく、亡くなっていく人に対しての無力感からだ。彼はいつも救えない命に対して責任を感じているのだ。
「間に合えよ俺の足!死人の顔とそれに悲しむ顔は見たくねぇ!頼む!」
ようやくたどり着いた時、鬼が2人の少女を食べようとしていた。近くからは鉄のような匂いが充満している。
「くそっ!少し遅かったか!」
そう言って、鬼の頸を刎ねる。
カナエside
私は恐怖した。異形の存在に。
いきなり現れたそれは両親を食い殺した。
私は妹と共に一心不乱に逃げた。
だが、鬼は速かった。
すぐに追いついて私達の正面に立った。
終わった。すぐに私達も行くからね。
両親に心の中で告げて目を瞑った。
だがいつまで経っても攻撃が来ない。
そして私が目を開けた時、肩から下のみになった異形と血の付いた刀を持った少年が立っていた。
煌之介side
今回の鬼は弱かった。と言っても一般人からすればそんなことは無いが。
だが血気術を使ってこなかったし鬼になったばかりだったんだろうな。
なんて考えてると2人の少女がじっとこちらを見ていた。一応声を掛けてみるか。
「お前ら、無事か?」
「はい、怪我はないです」
姉と思われる方が答えた。
「なら、良かっt「良くないわよ!父さんと母さんが殺されたのに!気軽に良かったなんて言わないで!」っ!…すまない。2人の気も知らずに。気に触ったのならいくらでも謝る」
妹と思われる方に噛み付かれた。狂犬みたいだな。今もめちゃくちゃ睨んでる。
「しのぶ、助けてもらってその言い方はダメよ」
「でも…」
「いいんだ。俺は言われ慣れてる。どれだけ罵ってくれても構わない。君達の親を死なせてしまったのは俺の力不足のせいだ。」
「っ!この“人殺し”!」
「しのぶ!」
頬を叩く乾いた音が響く。
「それ以上はお姉ちゃんが許さないわよ!この方に謝りなさい!」
「っ!…ごめんなさい…」
姉に気圧されたらしく素直に(目を逸らしながら)謝ってくれる。
「いいんだ。君の気持ちは痛いほど分かる。俺も君達と同じような境遇だから」
そう言って妹の方の頭を撫で…ようとしたら手を弾かれた。これは姉も苦笑い。まぁこれは俺が悪いな。うん。とりあえず(誤魔化すために)自己紹介しとくか。
「俺は天宮煌之介。鬼殺隊の虹柱だ。今日就任したばかりだがな」
「…鬼殺隊?虹柱?」
姉の方が何言ってるのか分からないと言わんばかりに首を傾げる。
「あぁ、説明しないと分からないよな」
俺は姉妹にこの世に鬼が存在していること、人を鬼に変える鬼舞辻無惨のこと、そして、それらを滅するための政府非公認の鬼殺隊の存在について話した。
「そうだったんですね。私は胡蝶カナエです。こっちで拗ねてるのは妹のしのぶ。あと、遅くなってしまったけど助けてくれてありがとうございました」
「改めて、鬼殺隊 虹柱の天宮煌之介だ。敬語は要らない。歳はそんな変わらないだろう?それに敬語を使われるような大した人間では無いからな」
「そうなの?分かったわ」
「さてお前ら、行く宛はあるのか?」
「…これからは日銭を稼いで生活していくわ」
カナエが苦々しい顔で答える。うちに人手が必要だったしこいつらに頼んでみるか?
「…そうか。じゃあお前らにとっておきの仕事があるんだ」
「え?」
「とある兄妹がな、屋敷を貰ったんだがそこは2人で暮らすには少し広すぎて困ってるんだ。そこで医療の勉強をして鬼殺隊士用の医療施設にしようとしてるんだが兄は鬼殺隊士だから妹1人しかいなくて人手が足りないんだ。そこで医者をやらないか?もちろん住み込みだし合わなければいつでも辞めてくれて構わない。3食付いて給金もたんまり出る。休日もちゃんと与える。どうだ?」
「やります!是非やらせてください!」
しのぶの方が食い気味に答える。カナエも頷いている。
「そうか。じゃあ近いし早速家に行くぞ」
そう言って2人を担いだ。
「歩けますけど!」
しのぶは言うが
「悪いが俺が早く帰りたいんだ」
そう言ってひたすら走る。そしてあっという間に屋敷に着いた。
「ここだ」
そう言って扉を開ける。
「ただいまー」
「おかえりなさい兄さん!ご飯にしますか?お風呂にしますか?それとも琥珀にしますか?そうしましょう。琥珀にしましょう。きっとそれが最善だと神様も言っています!そうと決まれば布団へ行きましょう!…っと、その方達は?」
一瞬で態度を変えてカナエ達について聞いてくる。2人とも琥珀の態度の変わりようにかなり驚いているようだ。
「カナエとしのぶだ。鬼から助けた。とりあえず行く宛も無いようだったから住み込みで医療の勉強をさせることにしたんだ」
「そうでしたか。私は妹の琥珀です。どうぞ上がってください。ちょうど人手が足りなくて困っていたところなんですよ」
「ありがとう。私は胡蝶カナエ。こっちは妹のしのぶよ。これからよろしくね。ほら、しのぶも挨拶なさい」
「胡蝶しのぶです。よろしくお願いします」
かなりぶっきらぼうに挨拶をするしのぶ。これはなかなか手強いな…
しのぶside
速すぎて怖かったけどいつの間にか着いていたらしい。てか屋敷広!。
この広い屋敷の主人は誰かと思ったら天宮さんだそうだ。
はぁ、私も姉さんも医者になりたいと思ってたから来たけどこんなやつと一緒に暮らすの?耐えられなかったら即出ていってやる!それと姉さんに何かしたら絶対に許さないんだから!
なんて睨みを効かせてたら天宮さんの妹が出てきた。てかこの妹やばい。天宮さんのこと好きすぎでしょ。この男のどこがいいんだろうか…
はぁ…これからの事を考えると憂鬱だ…
煌之介side
「腹減ってないか?」
2人に聞いてみる。カナエは苦笑して頷いているがしのぶはそっぽを向いた。しのぶのその態度に琥珀は異を唱える。
「兄さんが飯食わせてくれるって言ってんのにその態度はなんです?兄さんのこと舐めてるんですか?」
「落ち着け琥珀。しのぶも疲れてるんだろう。だから食べれたらでいい。もし無理なら何か食べやすいお粥でもおにぎりでも作ろう」
「…食べれます」
しのぶはかなり渋って答えた。多分腹は減ってるんだろう。
「はぁ…兄さんは優しいですね。こんな失礼な人には道端の雑草でも食べさせればいいのに。まぁ兄さんのそんな所も素敵なんですけれど!」
琥珀も何とか許してくれた。かなり刺々しい言葉が聞こえた気がするけどまぁ気のせいかな。
「分かった。じゃあすぐ作るから待っててくれ」
「あ、私も兄さんのお手伝いをします!」
「大丈夫だ。そんな手のかかるものは作らないから。琥珀は2人と親睦を深めてくれ」
琥珀は早くしのぶと仲良くなって欲しい。喧嘩とかされても止めれる気がしないしな。いや、琥珀は止まるか。でもこの調子だとほんとにいつか喧嘩しそうだな。カナエにも相談して何とかしないと…
カナエside
どうやら煌之介くんがご飯を作ってくれるらしいわ。
お腹は空いてるからとても助かるけれどしのぶはかなり渋ってたわね。
それに琥珀ちゃんとかなり険悪な雰囲気になってたからお姉ちゃん心配だわ。これは早く煌之介くんと相談して何とかしないとね。私が1番年長なんだから!
軽やかにリズムを奏でる包丁の音を背景に打開策を考えてるととてもいい匂いがしてきたわ!煌之介くん相当料理上手ね。完成が待ち遠しいわ!
しのぶside
はぁ…
ほんとになんなんだろうあの人は。
お節介というか何というか。まぁ、助けてもらってそんなこと思うのは失礼だしやめておこう。
それよりも彼の妹が怖いんですけど。ずっとこっちを睨んでる。
なんて恐怖しているとお腹が空いてきた。そしてそれを待ってましたと言わんばかりに鼻腔をくすぐる美味しそうな匂い。
くっ!天宮さん!あなたの料理には屈するしかないようね。おとなしく(楽しみに)料理を待つとしましょう。ええ、食材に罪はありません。美味しく味わっていただきますとも。
2人が空腹と戦っている事なんて露知らずひたすら料理を続ける煌之介。彼の料理が出来るまで2人が必死にキャラを保とうとしていたのは作者も知らない。
琥珀side
ふふん。どうやらこの姉妹は兄さんの作ってる料理に心を奪われかけてるようね!
それもそうね。だって兄さんの料理は天下一品ですもの。その辺のお店で食べるものより美味しいに決まってるわ。
まぁ私は兄さんの出す料理ならたとえ生肉だろうと雑草だろうと完食してみせるんですけどね!!
煌之介side
もうすぐ料理が出来る。今作っているのはオムライスというハイカラな洋食だ。
家庭ではあまり見かけないかもしれないが、簡単に作れてとても美味しいので俺も琥珀もとても気に入っている料理だ。
さて、これを食べた時の彼女らの反応が楽しみだ!
なんて考えながら調理していたらあとはケチャップと呼ばれる調味料をかけるだけになった。
そこに器用にケチャップでそれぞれのデフォルメされた似顔絵を描く。しかも無駄に上手い。
「出来たぞー」
そう言いながら人数分の料理が乗ったお盆を持って行く。
「美味しそうね!見たことないけどなんて言う料理なの?」
「これはオムライスっていう料理だ。ケチャップっていう調味料と具を混ぜて炒めたご飯を卵で包んだ料理だ。そして仕上げのケチャップで描いたお前たちの似顔絵は俺の最高傑作だぜ!」
わぁっと感激しているカナエと必死に涎を我慢してオムライスを凝視するしのぶ。まぁ腹減ってるみたいだしこれ以上我慢させたら可哀想だよな。
「それじゃあ、みんな手を合わせて」
「「「「いただきます!」」」」
カナエは1口食べてすぐに
「美味しい!こんな美味しい料理を作れるなんて煌之介くんはすごいわね!」
と絶賛。
しのぶは怪しみながらも1口食べて
「っ!?」
一心不乱に食べ進める。
どうやら2人の口に合ったようだ。このまま仲良くなれるといいんだがなぁ。琥珀がどうもしのぶの方に敵意を向けているみたいだし早く何とかしたいところだ。
次かその次くらいの話でしのぶちゃんをデレさせてやります!