しのぶside
兄さんが少女を連れてきた。
どうやら親に売られた子を人売りから(無理矢理)買い取ったらしい。
私は少し不安になった。
新しい妹が増えたことで私のことを放り出すのではないだろうか。
私のことを妹として扱ってくれなくなるのではないだろうか。
良くない想像が何度も頭をよぎる。
特に最近は素直になるのが恥ずかしくて冷たく当ってしまうから嫌われているかもしれない。
ううん、兄さんは優しいから多分気にしていない。
頭では分かっているはずなのだがやはり不安感が拭えない。
いっそ私も姉さんみたいにバk…天然だったら良かったのに…
「しのぶー、カナヲの治療おねがーい」
「分かりました姉さん。先に診察室へ行っていてください」
「りょうかーい!」
考えるのはやめて早く診察室に向かおう。
兄さんの料理のいい匂いもしてるから早く終わらせて食べたいな。
煌之介side
だいたい具材に火が通ってきたな。味もしっかり染みている。あとは3人を待つだけだな。
そう思っていると3人が入って来た。
「兄さん、治療も終わりましたよ。どうやら致命傷は避けていたみたいでそこまで酷い怪我は無かったです」
「そうか、カナヲが無事で良かったよ。それにしても可愛いな。似合ってるよ、カナヲ」
そう言ってカナヲの頭を撫でてみると一瞬不思議そうにこちらを見たがされるがままに大人しくしている。
「ずるいわ煌之介くん!私も撫でる!」
2人でカナヲを撫でる。何ともシュールな光景だ。
「しのぶもどうだ?」
「そうよ!しのぶもカナヲを撫でましょ!」
「もう!兄さんも姉さんもふざけてないで早くご飯にしましょうよ!カナヲもお腹すいてるでしょうし!」
「そうだな。カナヲ、一緒にご飯を食べようか。沢山あるから腹いっぱい食べてくれ」
みんなで食卓の席に着く。隣にカナヲを座らせ向かいの席にカナエとしのぶが座っている。
「今夜はカナヲが来たから記念にすき焼きを作った。肉も沢山あるからしっかり食べてくれ。カナヲも遠慮しなくていいからな」
カナヲはただ黙ってすき焼きを見つめていた。
「カナヲもこういう風に手を合わせて」
カナヲが俺をまじまじと見つめ同じように手を合わせる。
「「「いただきます!!」」」
2人が肉を取り合い始める。
「あ、姉さん!そのお肉は私が狙っていたんですけど!」
「残念だったわねしのぶ!早い者勝ちよ!」
「落ち着けお前ら。肉はまだまだあるんだから仲良く食べろ。飯はその方が美味いぞ」
このペースだとすぐに無くなりそうだな。早めに取っとかないと…
ふとカナヲに目をやると、
「…」
2人とすき焼きを交互に見ていた。
「カナヲ」
呼びかけるとこちらを見る。
「ほら、取り分けてやったから、しっかり食えよ」
カナヲにたっぷりと具を盛り付けた器を渡す。
「私が、こんなに食べて、いいの?」
「あぁ、好きなだけ食べればいい。カナヲはもう、俺たちの家族だからな!」
2人も頷いている。
一瞬だけカナヲの目に光が灯った気がする。
そしてカナヲはゆっくりと食べ始めた。
「美味いか?カナヲ。おかわりもまだまだあるからしっかり食べろよ」
カナヲは食べながらも頷いた。
俺も無くならない内に食べておこう。
出汁がしっかり染みていて美味い。うどんと合いそうだな。雑炊にしてもいいかもしれない。
まぁそれは後で考えるとして、今はこの団欒を楽しむとしよう。
「姉さん!またお肉ばかり取って!野菜も食べてくださいよ!私たちの食べるお肉が無くなります!」
「しのぶ、これは戦争よ。先にお肉を取った方が勝者なの。敗者は野菜を食べてなさい!」
「兄さん!姉さんをどうにかしてください!本当にお肉しか食べないし言及したらこんな言い訳ばかりするんです!もうお鍋の中に野菜と豆腐しか残ってません!」
「落ち着けしのぶ。まだ冷蔵庫に肉は沢山ある。無くなったら追加しよう。カナエ、主役のカナヲが全然肉を食べれてないんだから少しは野菜も食え!」
「はーい。カナヲ私のお肉分けて上げるわね。特別よ?煌之介くんもあまり食べれてないわよね?私のお肉あーんして食べさせてあげましょうか?」
「貰おうか(馬鹿野郎!そんなのに釣られると思うなよ!)」
本音と建前が反対になってしまった。参ったな。
「あらあら〜」
「兄さん、心の声が出てますよ。気持ち悪いので姉さんに色目使わないでくださいね」
「冗談だよしのぶ。そんな辛辣なこと言わないでくれ。心が痛む」
「そうよしのぶ。煌之介くんにそんなこと言ったら可哀想じゃない」
カナエ……天使かよ…
「姉さんは兄さんを甘やかしすぎです!兄さんもすぐに綺麗な女の人に騙されそうですから気をつけてください!」
しのぶ、精一杯毒を吐いてるように見えるが実際はただ俺の心配をしているだけ。可愛すぎかよ…
「何ニヤニヤしてるんですか兄さん!私は兄さんのしんぱ…コホン、兄さんの為ではなく私の為に言っているんですよ!兄さんが騙されてお金を失ったら私たちも困るんですからね!」
「ハハハ、可愛いしのぶの為に騙されないよう気をつけるよ。安心しろ、カナエやしのぶ、カナヲに匹敵するような美少女は多分世の中に存在しないだろうからな。そんな家族を持てて俺は幸せだよ」
「あらあら〜、嬉しいことを言ってくれるわね煌之介くん。私も煌之介くんに助けて貰った上に家族が増えて嬉しいわ!」
「な、何恥ずかしいこと言っているんですか。頭打ちましたか?」
「………」
三者三様の反応を示す。
俺も少し恥ずかしくなって熱くなる。
「あら、照れてるわね!可愛いわ!」
「自分で言ってて恥ずかしくなったんですか?おかしい人ですね」
「………」
「やめてくれお前ら、そんな微笑ましそうな目で見ないでくれ…カナヲまで……やめて、羞恥心で死にそう」
穴があったら入りたい…
ってカナヲまで!?感情戻ったの!?いや、気のせいか。一瞬だけ微笑んでた気がしたけど違ったか?
とりあえず落ち着け、俺。平静を保て。
「はぁ、別に恥ずかしがってない。今言ったこと全て真実だし、お前らのことは全力で幸せにするって約束するよ。その為に今は肉を焼くとしよう。じゃんじゃん食べろ!」
「わーい。煌之介くん、ありがとう!」
「カナエ止まれ。それはまだ焼けてない。」
「姉さん!もうお肉は取らないでください!さっきいっぱい食べてたでしょう!私たちがお肉食べてるのを見ながら野菜を食べててください!」
「しのぶ、これは戦争よ。勝者が肉を食べられるの。敗者が食べられるのは野菜だけよ」
「さっきと同じことを言わないでください!兄さん!姉さんを止めて!私がみんなにお肉を取り分けますから!」
「あいあいさー!」
カナエを羽交い締めにする。
「やめて煌之介くん!これじゃあ私が幸せになれないわ!約束をやぶるの!?」
「くっ、それを盾にされると何も出来ないな!仕方ない、カナヲ、行け!」
「カ、カナヲ?どうしたの?お姉ちゃんに近づいても何も無いわよ?ちょ、やめて!離して!お願い!私にはお肉を食べる使命があるの!それを果たさないといけないのよ!」
「………」
カナエを無言で羽交い締めにするカナヲ。これ面白いな。
さて今のうちに肉を…
「あ、兄さん、分けましたよ!」
そこには半分以上の肉を自身の器に盛り付けたしのぶの姿があった。
俺とカナヲの器には少量の肉と野菜、カナエの器には山盛りの野菜が入っていた。
……敵はここにもいたか。仕方ない、この手は打ちたくなかったんだが…
「はぁ、具材無くなったな」
そう言って鍋を台所に持っていく。
そしてしばらくして2つの器を持ってくる。
勝ち誇っていたしのぶとカナエの顔が凍った。
「カナヲ、あんまり食べれてないだろ?鍋焼きうどんを作ったんだ。食べてくれ」
カナヲは2人を見て少し申し訳なさそうにしながら食べているように見える。
さて、俺も食うか。
「兄さん、ずるいです!私たちにもくださいよ!」
「そうよ!カナヲばっかり贔屓しすぎじゃないかしら!」
「お前らのせいでカナヲが全然食えなかっただろうが。だからこれは公平な処置だ。カナヲ、こいつらのことは気にせず食えばいい。可哀想だなんて思うな」
「カナヲの分は分かりました。では兄さんのをください。姉さんと分けますから」
「俺はカナヲよりも食べてないんだよ!主にお前らの喧嘩を止めてたせいでな!俺にもこのうどんを食べる権利はある!だいたい、お前らもう腹いっぱいだろ?もう食べれないんじゃないか?」
そう言って俺も容赦なく食べる。
その光景を2人は終始無言で、恨めしそうに見ていた。
結構先まで構想は出来てるんですけどもそれを文章にする文才がなくて…
投稿はかなり遅くなりますけれども暫くは執筆を続けていくつもりです。
それとリメイク前の物を削除させて頂こうと思います。もはや何もかもが違う作品となってしまっているので。
通算UA2400、お気に入り39件感謝です!
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