6章の盛大なネタバレを含むため攻略後に読んでください!!!!!
あとこれは【IF】の話でもあるため、シリアス希望、シナリオ改変を嫌う人は読まないでください!!!!
田沢湖よりも深く寛容な心を持つ人、IFを寄こせという人だけ読んでいってください!!!!!!
龍門移動都市、その出口にて4人が対峙していた。
白く、雪を、冬を連想させるコータスの少女は覚悟を決めた顔つきで3人を見据える。その視線に貫かれている3人は、その覚悟に、冷気に晒され動きが止まる。
「今ここで、決着をつけよ。もしお前達が私を破り、生き残ることができるならば───私はロドスの一員となり、お前たちの信条と共に感染者の敵と戦うだろう。」
重く、厳かに告げられた言葉。他の者が聞けば、その言葉が示すのは己の死か相手を降す事かどちらかと思うだろう。
しかし、今ここにいる人物達からすればその言葉が示すのは一つの結果…それも、ほぼ確定した事実のみ。
それに気がつかない白兎は己のアーツを蜂起させ、冷気を纏う。
「構えろ。ここから先は一切加減しない。私を降すか、お前達が死ぬか…」
「「あっ」」
「…?」
対峙する3人のうち2人、ロドスのアーミヤとブレイズが今の状況に合わない間の抜けた声を出す。同時に、そこに含まれた感情は「哀れみ」である。
そして白兎───フロストノヴァはふと気が付いた。
あの黒ずくめの男、ロドスのドクターの姿が忽然と消えていたことに。
『その言葉に二言はないと見た。ならば私の全力を持って君を降そ…いや、全力で【堪能】させて貰おう!!!!!』
「…は?」
『アーミヤァ!構わないな!!!!!!』
「…ブレイズさん、これから言うことを一字一句間違わずに復唱してください…。」
「……うん。」
「お前たち、何をふざけたこと───」
声だけで姿の見えないドクターと何かを悟ったアーミヤ。もう色々放棄したブレイズががっつり脱力して、フロストノヴァの方に「諦めな」と言わんばかりの目で同情を向けていた。
突然のことに、フロストノヴァは警戒しながらアーツで構成した氷剣を自身の周りに大量に配置する。しかし、ブレイズは「…うん。」っといった感じで見ているだけだった。
アーミヤは一際大きく息を吸い───猛獣の首輪を外す言葉を宣言した。
「私たちロドスのオペレーターはここに居ないし何も見てません!!!!」
「私たちロドスのオペレーターはここに居ないし何も見てません!!!!」
アーミヤの宣言を一字一句間違わずに復唱できたブレイズはある意味優秀だろう。そして叫んだ2人は……宣言通りに耳を塞いでフロストノヴァの方に背中を向けた。
これではただの隙晒し。
そう、本来であれば。
「お前達、一体何を」
『我人生の生き様と理由はここにありィィィィ!!!!!!さあ耳を出せ!!!尻尾があるであろう尾底部を上げて尻尾を見せたまえ!!!!!!まあ見せなくてもこちらから行くし触りに行くし堪能しに行くから関係ないんだけどね!!!!!』
凍った地下空間に響く変態の声。やけにハイテンションでありながら、その声を聞くだけで寒さに慣れているはずのフロストノヴァの背筋に悪寒が走る。本能が訴えてきている、逃げないと「失う」と。
そしてもう一つ、その声を発しているであろう人物の姿がいまだに見えないのだ。声は響いてどこから発しているか分からない、だが、いることは確実であり…視線を感じている。
「…どこだ?」
『こ〜こ〜だ〜ぞ★』
「っっっ!!??!?!」
やけにねっとりとした気持ち悪い声が自分の真後ろから聞こえてきた。フロストノヴァは咄嗟に剣を横薙ぎに振り抜く。が、手応えは一切なく、風切音が鳴るのみだった。
「なんっ…は?」
『はっはっは!元気があるようで何よりであるぞ!そう、そうだ!!もっと動いて揺らしてくれ!!私はそれを見たいのだよ!!』
「………。」
フロストノヴァは見てしまった。先程まで真後ろにいた筈の存在が、今いる場所を。
───そう、それは天井。視界の隅に見えてしまった。
ロドスのドクターは天井に足をつけ、両手を広げて「天井に立っていた」のだ。
「…………。」
絶句したまま思考を放棄するフロストノヴァ。事前の情報でドクターは戦闘能力は皆無でアーツも使えないと聞いていた。廃都でもそれを裏付けるように崩落に巻き込まれた。
だが今、目の前に映るあの変態はどうだろうか?天井を我が物顔で歩き、重力など感じないと言わんばかりに余裕で歩いている。物理法則に喧嘩を売っているレベルで気持ち悪い。何より発言が既に常軌を逸している。
「私は何も聞いてないし見てません…」
「あの白兎も同じ目に合えばいいんだ…うぅ…」
訳2名は耳を塞いでしゃがんだまま震えていた。アーミヤは何かを悟った諦めの声で、ブレイズは数時間前に自身に降りかかった悪夢を思わず思い出しての震えだった。
先ほどからフロストノヴァは冷気を強めているのだが、その矛先がドクターにだけ向いているのか、この2人にはそこまで影響が出ていない。それ故に、今はブレイズのアーツで2人は余裕で耐えている。ちなみにグレイスロートはドクターが常軌を逸した行動をし始めた時点で逃げた。
「なんなんだ…何なんだお前は!?あの町で見せたひ弱な姿が本来のお前ではないのか?!」
「フぅーーーっハハハハ!!いいや!事実だとも!だがしかぁし!今の私は枷から解き放たれたのだ!!この程度の冷気、今目の前にある至高のMOFUMOFUを前にして何ともないなぁ!」
「っ!!!っっっ!!!!」
『そうだ!いいぞいいぞ!!!その美しく白い毛並みが輝いて揺れるぅ!私の前でふさふさした毛並みが波打ってしっかりとこの目に見えて堪らない!!ああ早くその耳と隠れているであろう小さな尻尾を思う存分撫で繰り回してこの手で思う存分触れて揉んであげたい!!!さあ早く根を上げて大人しくしたまえフロストノヴァ!!!!』
「誰が…誰がお前のようなふざけた奴に!このような場所で!私の覚悟を、誇りを!」
ガシャンガシャンと天井を闊歩するドクターに向かって飛んで行った氷剣が壁にぶつかって砕け散る。フロストノヴァは目の前にいる奴が本当にロドスのドクターなのか疑っている。それと同時に、こんな危険人物に負けるわけにはいかないとさらにアーツの威力を高めていく。
それは命を削る行為、己の体を食らう忌々しい鉱石を蜂起させることで得る力。周りの空間はあり得ないほどに凍てつき、常人ならばそこで一呼吸するだけで肺が凍り、死に至るだろう。
「これは完全に…駄目ですね。」
「まだ私の時の方がましだったんだね…ごめん、流石にドン引きする。あそこまで他人の体に執着する人は初めて見たかも。」
「私も………ちょっと想定以上に暴走してると見ました…はぁ…。」
アーミヤのアーツで空間を作り、そこをブレイズの熱気で温めることで2人はしのいでいる。自分たちに攻撃が一切飛んでこない、と言う事実がドクターの恐ろしさと暴走具合を如実に証明していた。
「ぐ…、げほっ、げほっ…お前の、お前のようなふざけきった奴に…!兄弟たちは…!」
「それは違うぞ、フロストノヴァ。私たちは誠意と全力を持ってぶつかり、戦った。それは紛れもない事実であり、否定する理由もない。」
天井から降りたドクターは悠然とフロストノヴァの方向に向かって歩き始める。ゆっくり、一歩ずつ、だが確実に。無論、それを黙って見ているフロストノヴァではない。いくつもの氷剣を飛ばし、ドクターの周りの温度を下げ、ドクター自身の体温を、熱自体を奪っている。そのはずだ。
だが、ドクターは止まらない。それどころか、飛ばした氷剣はドクターの目の前で逸れ、壁にぶつかって砕ける。奪っているはずの熱は意味を為さないかのようにそこに残る。挙句、アーツの一つも使えないはずのドクターの周りは一定の温度を保っている。それこそ、フロストノヴァのアーツを介さないほどに。
カツン、カツン、とドクターの靴が氷の上を歩いて音を響かせる。フロストノヴァに近づくほどに下がっていく温度を全く気にせず、悠々と進む姿をみたフロストノヴァは戦慄する。
なぜ、こいつにアーツが効かないのか、と。
「不思議かね?なぜ私に君の冷気が効かないのか。」
「く…ゲホッ…。」
「なぁに、簡単な話さ。───ただ一秒間に800回ほど反復横跳びをして空気摩擦を起こしているだけだからね。」
「…は?」
何を言っているのか、一瞬頭が理解を拒んだ。反復横跳び?1秒で800回も移動しながら?だが目の前のドクターは一切そんなことをしている素振りが見えない。何より、そんなことをしていれば音があるはずなのだ。それすらも無い、と言うのは一体どういうことなのか。そもそもアーツを使わずにそんな動きをすれば間違いなく体が死ぬ、それ以前に生身でそんなことをする奴などもはや人間の皮を被った化け物以外の何物でもない。
こいつは、本当に、人間か?
「さて、君は言ったな?降したらロドスにくると。」
「おまっ」
「ではこれで……降したことになるかね?」
「ちょっ、まっ。───」
すぐ目の前まで迫ったドクターの姿が掻き消えた。どこに行った?そもそもどこを狙っている?
その疑問はすぐに晴れ、そしてフロストノヴァはついに【ドクターに捕まってしまった】
「アーーーーハーーーーーー!!!!!すっっんごぉくふっさふさで柔らかいしっとりした感触の毛並みの耳ぃだーぁ~あ~!!!おーっほぉぉおおん!!!」
「んっ!?そん、あっ…うっ。」
「あっ、捕まりましたね。」
「捕まっちゃったかぁー…白兎、哀れ。」
一瞬でフロストノヴァの背後を取ったドクターはその耳に触れる。触れればひどい凍傷を負うはずなのに、ドクターはそんなのを全くと言っていいほどに無視している。それどころか凍傷なんて負っていない上に、フロストノヴァの耳を両手で揉んで撫でてその手で毛並みを堪能している。
思わぬ感触にフロストノヴァは全身の力が抜けてしまう。それと同時に「ありえない」とも。幾ら弱点であろうとも、戦場で触れられただけで全身の力が抜けるなどあり得ない話だ。だというのに、このドクターの魔の手に罹った瞬間、体が勝手にそれを受け入れたのだ。揉まれ、撫でられるたびに頭の耳から伝わってくる感触は何とも言えぬ快感を伴って、フロストノヴァからアーツの制御力を奪っていく。
「おぉ、そうか…そうか君はここが特に弱いのか…ああいいとも、思う存分ここを好き勝手に揉んでいくからねぇ…うっふふふ。」
「く、ぅ、んっ…!あ、ありえ…あぅ。」
「諦めたほうがいいですよ…大人しくドクターの手が止まるまで無抵抗でいたほうが短く済みます。ほとんど誤差ですけど。」
「あちゃー…ドクターが完全にヤバイスイッチ入っちゃってるね。…うん、まあ、そういう事だよ白兎。」
フロストノヴァが魔の手に罹り、アーツの制御を手放したことで、周りの温度も普通に動ける程度に戻った。
完全に脱力し、半ば蕩けた目をしつつあるフロストノヴァとそれをちょっと離れたところで見守るロドスの2人組、そして脱力したフロストノヴァを膝枕しているやばいドクターという構図が出来上がった。
「ドクターの手にかかると大体鉱石病の悪性反応が消えるの、なぜなんでしょうね。」
「アーミヤ、それは触れちゃいけない。」
「でもそのおかげと言うか効果と言うか…どうやらフロストノヴァさんに触れても大丈夫そうですね。」
「えっ…あ、ほんとだ。さっきまで感じてた冷気が一切なくなってる。」
遠くから他人事で見守る二人は冷静に状況を見定めている。なお揉まれて好き勝手されているフロストノヴァは、完全に抵抗する気力を失うほどにへにゃへにゃになっていた。そしてドクターは覆面越しにも分かるくらいに滅茶苦茶ご機嫌でにへらぁっとしているのが分かる。
気のせいか、フロストノヴァはアーミヤとブレイズに不服ながらも助けを求めるような目つきで見ている、が2人は見て見ぬふりをした。触らぬドクターに祟りなし。自分も被害者になるのは勘弁なのだ。
「ドクター、気が済んだら彼女を連れて戻っていてください。私は少し行く場所があるので。」
「じゃあね白兎。……生きて。」
そそくさと龍門出口の空間から立ち去る2人。直後、ドクターのテンションはさらに爆上がりしたのか、聞くだけで震えあがる雄たけびが聞こえてきたのであった。
▽▽▽▽
「…なるほど。」
「いや『なるほど』じゃないよ!?ドクター呼んで!!今すぐ全身くまなく検査するから!!!!!ノヴァちゃんと一緒に検査するから誘拐してこい!!!何だったらサリアの尻尾を囮にして呼び出せ!!!!」
後日、ロドスの医療オペレーター達の決死の治療によってある程度回復したフロストノヴァと、物理法則をスルーしたドクターに対する精密検査が行われることとなり、フロストノヴァはあの戦いで好き勝手されたことを思い出しては暫く気絶していたのであった。
田沢湖
→秋田県にある湖。一応日本で一番深い湖らしい。広いのは琵琶湖で有名だけど孵化さはあまり気にされないよな…
それと、MOFUMOFU理性無きドクターはこれにて終了にしようと思っています。子のオペレーター書いてっていっぱい言われてたけどちょっと難しかった…悲しいね。実力不足なんや…
気が向けばセカンドシーズンで書くかもしれないので、その時にまた相まみえましょう!
MOFUMOFUは世界(理性)を救う