「ディバイーーーン、バスターーーー!!!!」
「か〜め〜は〜め〜波ァァァァァァ!!!」
ズガアアアアアアアアアアン!!!
「...結界壊れないよね?大丈夫だよね?」
「アクセルシュート!」
「フンッ!」
バキィン!
「...殴り返せるものじゃないと思うんだけど」
「いいねぇ!頂戴頂戴そういうの頂戴もっとぉ!」
「じゃあいっぱいあげる!」
ドババババババババババババ!
「アッハッハッハッハッ!」
ズドドドドドドドドドドドド!
「...何で笑顔で受け止められるんだろう」
「滾るなぁオイ!」
「やるね!ジンくん!」
「おらおらもっと来いやぁ!」
「うん!ディバイン─────」
なのはも戦闘狂の気があるのでは?
それと、これってなのはがどこまで出来るか確認のはずだよね?
ユーノは訝しんだ。
「─────バスターーーー!!」
「波ァァァァァァアアア!!」
「...結界をもっと鍛えておこう」
〇月△日
魔法ってすげえわ。
結局昨日はジュエルシードが見つからず、そのまま解散になった訳だが、ジュエルシードが見つかったとしてなのはは戦えるのか疑問に思った。
だってこの前は変身するのに俺が時間稼ぎしてたからね。封印だけしかしてないなのはは、どこまで出来るんだろう。ユーノ曰く素質はあるらしいが、そんなもの現時点で戦闘になったら何も関係ない。所詮は素人でしかないんだ。
こっちとしても共に戦う上でなのはの戦いを知っておきたい。それが分からないと立ち回りも悩む。それは戦闘において致命的な隙になる。そう、致命的な。
はっきり言って、あの時、俺が入らなければなのはは死んでいただろう。ジュエルシードの暴走体とやらがどれほどまで驚異になるか分からないけど、今後もっと強いやつが相手になることもきっとある。あの程度であの体たらくじゃとても役に立たない。なんなら、俺が戦うから封印だけしてくれとも思う。
でもそれじゃダメだ。暴走体が複数の地点で出たらどうする。俺の身は1つだけ。全部対処なんて出来ない。なのはには戦って貰わないと困る。
ってことで、探すのもいいけどまずはどこまで戦えるのか知るのが大事。と説得して、なのはと戦うことに成功した。やったぜ。
色々と理由を述べてきたが、ぶっちゃけなのはと戦いたかったというのが本音。そらすぐ近くに強いやつがいるんだもん。手合わせしたいに決まってるよなぁ!
もちろん、言ったことも嘘では無いのでユーノも納得してくれた。そしたら、結界を貼るからその中で戦えば良いと提案してくれた。この結界が最高なんだ。
結界とは、もう1つ同じ世界を作り出すって言うのかな。まぁ、その中でいくら建物を壊そうが何しようが、現実世界には何も影響を与えない空間のこと。理屈なんて知らない。
つまりは周りの被害なんて気にせずに戦えるということ。結界最高かよ。
ってことで、なのはがまず何が出来るのか。適当に何かやらせてみた。
空を飛んだ。
へぇ、飛べるのか。まぁ魔法少女ならこれぐらい出来ないとな。
気弾みたいなのを出した。
おお、結構速いし牽制に使えそうだな。威力はどんなもんなんだろう。
かめはめ波みたいなのを出した。
よろしい、ならば手合わせだ。
いやいや、あんなもん見せられて我慢なんて出来る訳ないじゃん。それにほら、より実践的な訓練が出来た方が良いでしょ。なのはの為でもあるから。
なぜあんなにどん引きされたのか。理解に苦しむね。ていうかなのはだって途中からノリノリだったじゃん。
それにしても、なのはがあれだけ戦えるのは素直に驚いた。つい一昨日魔法少女になったばかりだと言うのに。もちろん、動きはまだまだ拙いけど、戦う内に徐々に洗練されて行った。まさかかめはめ波を相殺されるとは。飛ばされた先の世界でこんな逸材に会えるなんて。
彼女は間違いなくもっと強くなる。それに合わせて、俺ももっと強くなれる。最高だ、最高だよ。
だからもっと手合わせしような。ユーノももちろん結界頼むぞ。それともユーノも手合わせする?
って言ったら、丁重にお断りされた。解せぬ。
あと、はやてっていう子の家に居候する事になった。流石に野草だけじゃ限度があるから助かった。食事って大事だね。改めて思うよ。
手伝えることがあったら言ってくれ。恩はちゃんと返す主義なんだ。
☆☆☆☆☆☆☆
病によって休学しているはやてにとって、日々の暇つぶしは主に読書だった。はやて自身読書が嫌いではないし、健常者と同じように学校に行けない寂しさはあるものの、これはこれで楽しいとも思っていた。
この日も、本を借りる為に車椅子を走らせて図書館に居た。今日はどんな本を読もうかと本棚に視線を巡らせていると、1人の少年が目に映った。
平日の、時刻はまだ昼頃。普通なら学校に通っている時間である。それだけではなく、着ている服。亀と背中に印された道着を着ていた。明らかに場違いである。
頻繁に図書館を利用しているはやてでも、少年は見知らぬ存在であった。この時間帯に図書館に居るだけでも目立つのだから、見た事があるなら覚えているはず。
(最近引っ越して来た子かな?)
もしくは何らかの事情持ちか。自分自身そうであるだけに無いとは言い切れない。あんまり詮索はしない方が良いだろうとは思う。
とはいえ、気になるのも事実。繰り返しになるが、はやては休学中である。それに、事故により家族が居ない。1人暮らしということだ。まして9歳、まだまだ精神的に未熟。つまるところ、人恋しいのだ。
いくら医者やたまに会う子どもが居ようと、寂しさは感じる。話したいと思うのは当然の事だった。
(何探しとんねやろ?)
どうやら本を探しているように見えるが。地図のコーナーで行ったり来たりしている。
(...地図?)
「あのさ」
「ひゃい!?」
「何か用?ずっとこっち見てるよね?」
「あ、ええと...」
まさかバレていたとは。いや、これはチャンスだ。意図しないものではあったが、話す切っ掛けが出来た。攻め時はここだ!
「ずっと何か探しとるな〜と思って、同じくらいの子やし気になってん」
「ふーん、なるほどね」
淡白に返された。少年はさして気にしていない様子だったが、はやては心象を悪くしたかと頭を悩ませた。
第一印象というのは非常に大事である。その人の印象はほとんどが第一印象で決まってしまう。それを覆すにはそれなりの時間と関係性が必要となる。はやてはそれを理解していた。
思考を巡らせる。ここからどう挽回したものか。
(アカンどうしよう。あんまりガツガツいくと引かれるやろし、何も話さんとそれはそれで気まずいし...)
「ちょうどいいや。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「え、うん。何や?」
「ここってさ、この中のどこ?」
「......どゆこと?」
「えーと...確かウミナリ市って言ったっけ。そのウミナリ市が乗ってる地図ってどれ?」
「日本地図なら乗ってると思うけど...それとも、もっと詳しく場所知りたいん?」
「日本地図ね、これか。ここは日本っていうのか」
「......?」
なんだろう、この子。日本語を話しているのに日本を知らない?それに、海鳴市も曖昧?
外国で日本語覚えて来た子だろうか。いや、それなら日本を知らないなんてありえない。それに、見た所アジア人の様だし、それどころか日本人にしか見えない。
(一体どういうこっちゃ...)
日本を知らないのに日本語を話す。この時間に図書館にいる。亀と書かれた道着。
これらが意味するものは...。
(ああ、なるほど)
「ウミナリ市...ウミナリ市...あった。ここにあったんだな。へぇ、海鳴って書くんだ────」
「厨二病か」
「表出ろやテメェ」
「あ、ヤバ...」
思い至った瞬間、つい口をつついて出てしまった。クイズ番組を観ながらつい答えを言ってしまうアレみたいなものである。皆さん経験ありません?あまり共感されないのよねこれ。
「誰が厨二病だ誰が」
「いやしゃーないやん、そう思うやろ普通」
「どこがだよ。どこからどう見ても普通の少年だろうが」
「俺は普通の少年〜とか言いつつチート持って異世界でハーレム無双するやつやね分かります」
「俺は何もしちゃいないしチートもハーレムも無双も無い」
「異世界は否定しないんやね」
「それは事実だし」
「厨二乙」
「よろしい、ならば戦争だ」
打てば響くような会話のキャッチボールに、ようやくはやては気を取り直した。少年も決して本気で怒ってはいない様だし、どことなく茶化しながら話している様に感じる。
ようやく話の道筋が見えた。後はもう少し話して、彼の性格を掴みたい。
「だいたい、普通の少年は今頃学校通っとる。ほんでその格好。道着着て図書館て。あと日本知らんてなんやねん」
「学校は通ってないし、道着はこれしか服が無いから」
「...え?」
「日本はさっきも言ったけど異世界だから」
「いやそれはもうええわ」
掴みかけた流れが引いていき、同時に血の気が引いていくのを感じる。
彼は何と言った?
学校に通っていない?
服がこれしかない?
まさか...。
「...親御さんは?」
「親?居ないよ」
「...そっか。ごめんな」
到底嘘を言っているようには思えなかった。あまりに淡々と話すのだ。それが当たり前の事実であるように。流石に異世界云々は信じられないが。
人は嘘をつく時、何らかのアクションを起こす。視線が逸れる。数瞬間が空く。身体を触る。眉が動く。それが、彼には何も無い。
ああ、彼も同じ境遇なのだ。少なくとも、家族が居ないことに関しては。きっとこの格好も、自分なりに気を引こうとしたのだろう。結果として私が釣れている訳だし、効果はあった。
1人の寂しさははやてもよく知っている。1人は慣れたと思っていた。それでも、家で、外で、ふとした瞬間に感じる寂しさは何時まで経っても訪れる。
なぜ。どうして。私が1人に成りたくて成った訳じゃないのに。詮無いことだと分かっていても、そう思ってしまうことがある。意味も無く泣いてしまった事もある。
理解出来る。出来てしまう。
「なぁ、ってことは今一人暮らしなん?」
「そうだね」
だからはやては─────
「あのな...もし良ければやねんけど...ウチに住まん?」
「え?」
「ウチも一人暮らしなんよ。だから...」
「金も何も無いよ、俺」
「そんなんどうでもええ。ウチが一緒に居たいんや」
これは同情か。憐憫か。あるいは利己か。保身かもしれない。それでも、彼なら、もしかしたら、心の隙間を埋めてくれるかもしれない。そう思った。
断られる覚悟もしていた。所詮は自分の都合。会ったばかりの、しかも子どもに、唐突にこんな提案をされたのだから。
「俺は良いけど...むしろ良いの?」
果たして願いは届いた。
「ホンマに?ホンマにええんか?」
「こっちが聞きたいよ。さっきも言ったけど、何も無いよ?」
「ええんや!」
はやては、心が晴れるのを自覚する。決して一般の家族とは違う。同じくらいの子どもどうしの2人暮し。
それでも。
それでも。
家族が出来た。
「ウチは、八神はやて」
「俺はジン」
「よろしく、ジンくん!」
「こっちこそ、はやて」
病で、事故で、暗く沈んだ人生だった。明るく振る舞った。限界があった。ずっとこのまま、一人ぼっちで。そう思っていた。
きっとここから、何かが変わる。まだ何も分からない、不確定の未来への道が、漸く動き出したのだ。それでも、はやてには不安は無かった。
根拠なんて無い。
強いて言うなら、女の勘だろうか。
「ありがとう、ジンくん」
「何が?」
「なんでもない」
ウチと出会ってくれて。
「さぁ出来たで!ジンくん歓迎パーティーや!たんと食べてや!」
「おおうめぇ!はやて料理上手だな!」
「褒めても料理しか出ぇへんでー」
「ひゅー、太っ腹〜」
「女子に太っ腹は止めい」
「いやー、ここの所野草しか食べてないからほんと助かったよ」
「ジンくん...」
はやてはそっと涙を流した。
「どこの家に住んでたん?」
「山の中にあるボロ小屋。空いてたから使わせてもらってた」
「ジンくん...っ!!」
はやてはめっちゃ涙した。
異世界とか言っちゃってるけどいいの?
:別に隠す事でもないしなぁ、って楽観的に考えてる。とはいえ、魔法は一般人が関わると危険が危ないので隠している模様。魔法と異世界転移が主人公の中で繋がっているのに、この体たらくである。
ジンはなぜ図書館に?
:異世界であることを改めて確認するため。それと、こっちの世界に興味があったから。
日本語分かるのに日本が分からない
:天下一武道会とか漢字で書かれてるしサタンシティとか英語で書かれてるし、言葉は同じでしょ。つまり日本語は統一言語。
親?居ないよ。
:正確には、こっちの世界に居ないよ。元の世界では農家をしてる。放任主義で、ジンが亀仙人の所へ行くのも「強くなりたいから旅に出る」「行ってら〜」くらいのノリ。息子が元気でいればそれでいいタイプ。
ちょっとした勘違い要素。これが活かされることは恐らくない。