魂の行き着く先:短編集   作:しののめめ

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もしもの話:416編

今まで何人撃ち殺してきたのだろう?死が訪れる直前にふと走馬灯のように浮かんできた、少し思い出してやろうじゃないか。416は口を開き始めた

 

「確か最初に殺したのは…グリフィンで汚職を働いてたあのクソ親父だったかしらね…」

 

「次に殺したのは人形人権団体の男、あいつ狂ってた」

 

どんどんと殺した相手を思い出しては笑い飛ばす、100人目からはもう覚えていない。

 

「あの三人はうまく逃げれたみたいだし…私が死んでも私はまた生まれる。皮肉だけどね」

 

額にようやく銃口が突き付けられた、やっと出番が回ってきたらしい。覚悟を決めて目を閉じる

 

「どうせなら一思いにやってよね、鉄血のクズ…」

 

しかしいくら待っても反応がない、思わず開いた目が見たのは鉄血の人形ではなく違う人形のようだった。

 

「大丈夫ですか?助けに来ました」

 

そこに立っていたのは自分の身の丈程あろうかと言うほど大きなライフルを背中に抱えた小柄な人形だ。

 

「…あんたは?見たことない人形だわ」

 

当然の疑問にも毅然とした態度で彼女は答えを返してくれた。

 

「僕はM200です、指揮官の命令で貴女を救出に来ました」

 

「指揮官…?私に指揮官なんかいないけど」

 

M200はどこから話そうか迷った顔をしながらも面と向かって話し始めた

 

「貴女以外の404を救出したのは僕たちの指揮官、それで残りの貴女を助けて来いって命令を受けたんです」

 

「そう…こんなポンコツ助けたって良いことないわよ?」

 

「僕は指揮官の為に貴女を救うんです、そんなこと言わないで行きますよ」

 

M200に背負われてその場を脱した416は無事にメンバー達と合流し、修理された上で指揮官の為に戦うことを誓った。

 

「懐かしい話ね…」

 

「どうしたんだ?416」

 

指揮官の側でリラックスしていた416は思わず口に出してしまった。聞かれてしまった以上隠す必要もない

 

「指揮官に命を救われた事を思い出していたんです、懐かしいですね」

 

そう言われた指揮官はくすぐったそうに顔をそらしながらも言葉を紡いでいった

 

「そんな事もあったな…お前の事を救えてよかったよ」

 

「今こうして俺の側にいてくれるのが何よりも嬉しい、本当だ」

 

そう言って頭を撫でてくれた、途方もない程の幸せがそこにはあった。

 

「ん…好きです指揮官」

 

口が滑った、これは最大のミスかもしれない。取り繕おうと口を開きかけた瞬間指揮官の顔が嬉しそうなのに気づいた

 

「あー…俺も好きだぞ416」

 

これは夢か?夢なのであれば永遠に覚めてほしくない。

 

「お前が戦場にいる時に隠れて注文しておいたんだ…指輪受け取ってくれるか?」

 

指揮官が箱を開いて指輪を見せてくれる、少し青みがかったとても綺麗な指輪だった。

 

「私は独占欲が強いから他の人形に牙を向いちゃうかもしれない、それでもいいんですか?指揮官」

 

力強く頷いた指揮官が跪いて指輪を差し出す、後は指輪を通すだけだ。416はゆっくりと指輪を指に填めていく

 

「嬉しいです…とっても」

 

自分の左薬指に填まった輝く指輪を眺めてそう呟いた。

 

数日後に結婚式を済ませた二人は休暇を取って指揮官の自室で過ごしていた。

 

今や416の定位置は指揮官の側ではなく、膝の上になった。羨む人形も数多く悲しんだ人形は数知れない程だ

 

「指揮官の特別になれた…その実感はまだありません」

 

夢のような日々だからこそ、未だに夢なんじゃないか?そう疑う自分をどうしても拭いきれていなかった

 

「俺だって実感ないさ、フラれる覚悟だったんだから」

 

私の頭を撫でながら指揮官が尚も捲し立てる

 

「キスだって結婚式以来だしな…恥ずかしいから仕方ないんだけど」

 

私だってキスはしたいしその先だってしてみたい、でもお互い気恥ずかしくてなかなか先手を打てないのだ。でも今日こそは指揮官と一線を越えてみたい

 

「キス…しますか?指揮官」

 

指揮官の方に向き直ってじっと顔を見つめる、指揮官もしたかったのか少し周囲を見渡して優しくキスをしてくれた

 

「…もっとしたくなっちゃうな、これ」

 

指揮官が苦笑いしながら帽子で顔を隠してしまった、私はまだまだ指揮官で満ち足りていないというのに

 

「我慢の限界です、指揮官が悪いんですからね…」

 

「ベッド、来てください」

 

俺から離れてベッドに座った416がそんなことを言い始めた、ベッドで何をするんだろうか?まさかとは思うが大丈夫だろう

 

「これでいいか?なんか恥ずかしいな」

 

指揮官が私の横に座った、これはもうOKというサインだろうか?私はこんなにも待ったのだ。そろそろ許されるだろう

 

もう我慢の必要もない、軽い力で指揮官をベッドに組伏せる。指揮官もわかっていたようで抵抗はしてこなかった

 

「なぁ416…休暇中とはいえ良いのかこんなことして」

 

まだそんな事を言うのかこの指揮官は、なんと強い理性だろうか?しかしここまできた以上絶対に落としてみせる

 

「そんな事を言えるのも今のうちですよ…早くしないとどんどん服脱いじゃいますからね」

 

そう言いつつ早速上着を脱いで床に投げ捨てた、シャツのボタンを外してスカートのホックを外したところで流石の指揮官も覚悟を決めたようだった。

 

「わかった…わかったから一旦そこで脱ぐのをストップしてくれないか。心の準備がもう少しで終わる」

 

深呼吸をして気持ちを落ち着かせる、彼女をうまくリードしてあげられるだろうか。こういう事はしたことがないので全く分からない

 

ともかくさっさと心の準備をしないと416が今にも脱ぎ始めようとしているので急がねばならない

 

「よし…心の準備出来たぞ、そこから先は俺が脱がすよ」

 

起き上がった指揮官が私のシャツに手を掛けてゆっくりと脱がしていき脱がしたシャツを雑に放って私の体をまじまじと見つめてきた

 

「指揮官…あんまり見られると恥ずかしいですから…」

 

先に押し倒してきた416が逆に照れる、なんでこうも可愛いのだろうか。先ほどまで我慢していたのがアホらしく思えてくる

 

「ごめん…優しくするね」

 

位置を入れ替えてから優しく416をベッドに押し倒し、ホックの外してあったスカートも脱がせてシャツと同様に雑に放り投げてしまった。言葉を封じるようにもう一度キスをして二人は濃密な時間を過ごした。

 

指揮官と416が部屋から出てきたのはそれから5時間後、出てきた二人を見た人形はこう言った

 

「これはいい掲示板のネタになりそうだよね!これで私のフォロワーもうなぎ登り間違いなし!!」

 

その後の彼女を見たものはいないらしい。

 

 

 

 

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