異世界で俺がモンスター娘達と契約しまくる話。   作:ワロリッシュたん

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祝10話!!いえい!!


Stage10 責任とってくださいね?

「ーーーーエイトの為なら妾は全てを捧げよう!!!」

 

全身の傷からの出血で朦朧とする意識の中。

そんな中で彼女の声が聞こえた。

視界に映るのは迫りくる俺を死へ誘う白刃と俺を窮地に追いやった張本人、エドワードの姿のみ。

彼女の姿は無い。

しかし、確かに伝わってくる彼女の言葉。

それだけじゃない、俺には言葉だけでなく、彼女ーーーエリーゼの鼓動、そして何より、彼女の俺への思いが右手の痣から伝わってくる。

・・・・伝わってくる、それだけだ。

それだけだが、それだけで、力が溢れてくる。

もう、抑えていられない!!!

 

突然、時間が止まり、目の前に文字が現れた。

ここに来て二回目の世界から切り離される感覚。

そして現れた文字達は、俺がエリーゼと契約した時のものと同じものだった。

エリーゼの情報に取得した能力、なんら以前と変化が無い。

 

【名称:エリーゼ・ディミヌエンド

種族:吸血鬼

性別:♀

取得した能力

・自然治癒能力上昇、大

・身体能力上昇、大

・魔力上昇、中

・上級闇属性魔法使用可能】

 

全ての文字が以前と変わりなく表示された直後、変化は訪れた。

 

ーYou got Extra Skillsー

 

それは英語で"貴方はエクストラスキルを手にしました"という文章。

どういう事だ?

その疑問は直ぐに解決されるようになる。

英文が消えると

取得した能力の欄の真下に新しい項目が追加された。

 

【名称:エリーゼ・ディミヌエンド

種族:吸血鬼

性別:♀

取得した能力

・自然治癒能力上昇、大

・身体能力上昇、大

・魔力上昇、中

・上級闇属性魔法使用可能

エクストラスキル

・飛翔

・治癒能力上昇、極大

・身体能力上昇、極大

・魔力吸収】

 

追加されたのは"エクストラスキル"という項目。

書かれている事は取得した能力の欄と似たようなものだが、内容が違う。

より強力で有能なものが揃っている。

 

きっかけはなんだかよく分からないが結果的に強力なエクストラスキルが手に入ったということで。

時間が経つと段々と文字は薄れていき、最終的に消え去った。

そして、世界は動き出す。

 

気付いたら俺はエドワードの持つ剣をを掴み取っていた。

 

「何!?

どうして動ける!?

そんな傷でどうして動けるんだよぉ!?」

 

死にかけで完全に動けない程にボロボロだった俺が動いた事に驚くエドワード。

 

「・・・・どうしてだろうな?

俺も分からねえ。」

 

「黙れぇ!死に損ないがぁ!!」

 

エドワードは俺を殺す為に力任せに剣を俺の首に目掛けて突き出すが、それはピクリとも動かない。

 

「・・・・邪魔だな。」

 

掴んだ剣をエドワードごと投げ、立ち上がる。

エドワードは俺が立ち上がった事に驚きが隠せないようだ。

・・・・そりゃそうか、俺だって自分の事なのに驚いてるよ。

 

まだ痛みが消えていないが、血は既に止まり、傷は段々と、目に見える速度で塞がっていく。

どうやら、"治癒能力上昇、大"と"治癒能力上昇、極大"の効果は重複するらしい。

傷の治りの早さが異常だ。

先程まで指一本すら動かせなかった身体がもう立ち上がり、戦闘を続ける事が出来るまでに回復している。

 

「・・・・ははっ!?

立ち上がったからどうした!?

俺の無詠唱魔法と魔法壁は無敵っ!!

もう一度殺し直してやるよ!!

瀬尾英人クゥン!!!

『多重詠唱』!!

火×風!!」

 

『多重詠唱』・・・・それはエドワードの必殺技にして最強の魔法。

魔法というのは種類に限りがあり、『初級、下級、中級、上級』の四種類。

それが属性毎に存在する。

属性は『火、水、土、風、雷、氷、光、闇』の八種類。

よって、魔法は通常、32種類しか存在しないのだ。

 

しかし、『多重詠唱』はその32種類という常識を打ち砕く。

『多重詠唱』は簡単に言えば、魔法のミックスだ。

絵の具のように様々な色ーーー属性の魔力を混ぜ合わせて新たな魔法を生み出すことができる。

その威力は以前の『メテオ』で見たように凄まじい。

・・・・だけど、今の俺にはそれが全く恐怖に感じられない。

 

「『エクスプロード』ッ!!!」

 

俺を中心に半径10m程のドーム状の大爆発。

それに巻き込まれた者は高温と爆風によって一瞬にして命を落とすだろう。

・・・・まあ、巻き込まれればだけど。

 

「うわっ!?

高すぎるだろ!?」

 

俺がいるのは、爆発が起こった地点のはるか上空。

"飛翔"の能力を得た今の俺は背中に生えたコウモリの翼により自在に空を飛ぶ事が出来る。

・・・・それにしても飛び過ぎた。

 

初めてだったから加減が出来なかった、そして俺はこう言うしかなかった。

 

「ふはははっ!

人がゴミのようだ!!」

 

・・・・降りるか。

いや、普通に降りるだけじゃつまんないなぁ。

 

「あはははははは!!!

跡形も無く消え去ったか!!!!」

 

エドワードは完全に空中にいる俺に気付いて無い、さっきの爆発で俺が完全に消滅したと思っている。

絶好の攻撃チャンスだ!!!

馬鹿エドワードの間抜けな面目掛けて、レッツ直滑降☆

 

「うひょぉおおおおおおおおおっ!!!」

 

想像を絶するスピードだった。

ちょっと前までゴミ粒くらいの大きさだったエドワードの姿があっという間に大きくなってーーー

 

「食らえ!必殺!ライダーキィィィーック!!」

 

全体重をかけたライダーキック。

エドワードは所詮、魔女と契約した以外はただの人間だ。

超人的な反応速度を持ち合わせてはいない。

だから、俺の超高速キックを躱す事は出来ない。

 

しかし、奴には魔法壁があった。

魔法攻撃以外の攻撃を無効にする、鉄壁の術。

これを壊さない限りエドワードは傷一つ負わない。

 

そこで俺は考えた。

魔法壁は何で出来ているのか、と。

さっきも言った通り、エドワードは魔女と契約した以外はただの人間だ。

魔法を使えるだけの人間だ。

そんな奴が作る事の出来る壁はやはり魔法で出来ているに違いない。

なら、魔法壁を維持している魔力吸収してしまえば魔法壁は機能しなくなるのではないか。

 

俺はエクストラスキルの"魔力吸収"を発動させる。

俺の突き出す右足が黒く妖しい光を纏う。

恐らく、光っている部分に魔力が吸い込まれる仕組みなのだろう。

 

俺の予想通り、魔法壁は俺の足に触れた瞬間、消え失せた。

何一つ抵抗も出来ずに俺の渾身の蹴りを食らうエドワード。

 

「ぐっはぁアアアッ!!」

 

奴は数m吹っ飛ばされ、倒れ込む。

正直、俺はこれで終わりかと思ったが、奴はよろよろ俺の剣を杖にして立ち上がった。

・・・・俺ほどじゃないけど、お前も十分頑丈じゃねえか、エドワード。

 

「おいおいおいおい!!

なんだこりゃあ!?

どうして俺が血を流してんだぁ!?」

 

額が割れたのだろう、額から血が奴の顔を流れている。

それを目の当たりにしたエドワードは信じられないといった表情。

誰よりも早く発動できる魔法に鉄壁の魔法壁、更には多重詠唱。

奴に傷をつけられるのは、人間はおろか、モンスターにだって不可能に近いだろう。

 

だが、"魔力吸収"の効果で俺には奴の得意の魔法は一切通用しない。

魔法が使えなければ、奴はただの人間でしかない。

今まで、ここの世界で人を殺めた経験のある俺には最早エドワードは脅威ですらない。

 

ダッシュで近づき、拳を振るう。

俺の剣は未だにエドワードが握っているので、俺は徒手空拳での戦いを強いられている。

単純な戦法ですまないが、俺は不器用なので・・・・。

 

「くそったれぇ!!『水の嵐(アクアストーム)』!!!」

 

エドワードの必死の抵抗。

水属性中級魔法、『水の嵐』。

巨大な水流が現れ、俺に襲いかかる。

 

「無駄だ。」

 

襲い来る水流は俺が拳を振るうだけで吸収され、消えていく。

これでエドワードを守るのは魔法壁のみ。

だが、俺の前では魔法壁はただの薄っぺらい壁に過ぎない。

 

距離にして、三歩。

三歩分の距離をつめた瞬間、俺の拳が奴の顔面を撃ち抜くだろう。

一歩、右拳を硬く握り締める。

これ以上俺を近づけまいと、エドワードが剣を振るう。

横薙ぎの一閃、姿勢を低くして躱す。

恐らく、奴はずっと戦闘は魔法に頼りっきりだったのだろう。

剣を振る仕草は素人そのもので、身体能力が上昇しすぎている今の俺には止まって見える。

比喩じゃなくてマジで。

低い姿勢のまま一歩。

 

「おおおおおっ!!

砕けろォッ!!!」

 

そして、奴の顔面を目掛けて最後の一歩を踏み出しながらアッパーカットを放つ。

 

「ぐっ……!!」

 

俺の拳がエドワードの顎を捉える。

しかし、奴は倒れるが、直ぐに起き上がる。

・・・・ちっ、浅かったか。

顎の骨を砕くつもりで放ったアッパーだったが、手応えが無い。

それでも、効いていないわけでは無い。

奴の足はふらついている。

だが、目はまだ死んでいない。

 

・・・・なんだこの嫌な感覚は。

こちらが有利なはずなのに何故、こんなに嫌な予感がするんだ。

思えば、さっきのアッパーの時、俺は確実に奴の顎を破壊するつもりで放ったし、彼処まで近づいて狙いを外すとは思えない。

 

「・・・・ふはは、なんてザマだよ。

俺はぁ!?

悪夢の魔導師、最強の人間だぞ!!

だが、瀬尾英人ぉ、お前はこれで終わりだぁ、魔力の充電は完了した

『多重詠唱』ぉっ!!

水×風×闇ぃっ!!!!!」

 

頬がビリビリと震える。

今まで感じた事の無いような恐怖が俺を襲う。

・・・・なんて量の高密度の魔力を練り込んでやがる。

 

魔力というのは、基本目には見えないが、練り込み練り込み続けて高密度となった魔力は目に見えるようになる。

そして、エドワードの頭上には青紫色の魔力の塊が現れた。

可視化できる魔力の塊は言うなれば、超高密度エネルギー弾だ。

触れただけで、触れた身体の部位が飲み込まれるほどのエネルギー。

それを利用して放たれる魔法は桁違いの威力を誇るだろう、下手をすれば街が消えてなくなってもおかしく無い。

・・・・奴はこの一撃に全てを賭けるつもりだ。

 

 

拳を構え、"魔力吸収"を発動させる。

両手が黒い光を放つ。

・・・・準備は出来た。

 

「いつでもかかって来い、エドワード!!!」

 

「死ねぇええええ!!!瀬尾英人ぉおおおおお!!!

『メイルストローム』ッーーーー!!!!!」

 

龍の顎を模した水流が俺を呑み込まんと迫り来る。

水流は竜巻ように畝っており、少しでも触れようものなら、直ぐに身体がバラバラになってしまうだろう。

 

・・・・嫌な予感が的中した。

エドワードはこの一撃を俺に叩き込む為にずっと魔力を溜めていたのだろう。

だから、近寄った際に魔法ではなく慣れない剣を迎撃に使ったのだ。

横薙ぎに剣を振れば相手は八割がた姿勢を低くして躱すだろう、そしてその体勢から放たれる攻撃は十中八九アッパーのみ。

攻撃方法が分かれば、それを躱すまではいかなくとも衝撃を減らす事は容易だ。

俺は真っ直ぐ一直線に接近した事で手の内を晒し、更に奴に魔力を溜める時間を与えてしまっていた。

ただ真っ直ぐに突っ込むだけじゃなくて、搦手とか出来るようにならないといけないなぁと思った、反省。

・・・・後悔してても始まらないな。

 

目の前に迫る龍を見つめる。

本物の龍ーーードラゴンを見た事は無いけれど、それに匹敵するであろう大きさと威圧感。

意思の無い魔法のはずなのにまるで生きているかのように蠢いている。

・・・・怖い。

純粋にそう思った。

身体が警鐘を鳴らす。

人間がドラゴンに勝てるわけがない、諦めろ、逃げろ、と。

 

だが、俺は逃げない。

逃げるということは何かを諦めるということだ。

俺は今まで、元の世界で逃げて逃げて諦め続けてきた。

だから、俺はこの世界では逃げたく無い、もう何も諦めたくないんだ!!

 

"魔力吸収"を宿した両手を龍目掛けて突き出す。

全てのものには限界というものが決められている。

巨大な水龍、『メイルストローム』は俺の一度に吸収出来る魔力の限界を超えていた。

だから、今までの魔法のように一瞬にして消し去る事が出来ず、必死に龍の牙を掴んで押し留めることしか出来ない。

 

「GYAAAAAAAAAAA!!!」

 

水音がまるで龍の咆哮のように力強く響き渡る。

大地が震え、空気が震える。

その震えが俺にも伝わってきて、手足が痺れ、力が抜けてくる。

 

「おおおおおおっ!!!」

 

段々と俺が龍に力負けして、後退する。

このままじゃ、ジリ貧だ。

龍に呑み込まれて死ぬか、魔力を吸収しすぎて身体がそれに耐えきれなくなって死ぬ。

魔力は言うなれば、人間にとってのエネルギーだ。

機械で言えば、電気に対応する。

では、機械にその許容量を超えて電気を供給すればどうなるだろうか。

簡単だ、オーバーヒートを起こして壊れる。

人間も同じだ。

己の許容量の限界を超えた魔力を吸収し続ければ身体が・・・・どうなるかは想像したくないな。

・・・・せめて、魔力を消費しなければならない。

ん?魔力を消費?

今の俺は水龍のおかげで大量の魔力を吸収している為、普段の2、3倍の魔力を使う事が出来る。

今ならーーー

 

「【漆黒の闇よ、森羅万象全てを呑み込むーーー】」

 

ーーー魔力が足りなくて使えなかった上級魔法が使えるはずだ!!

自分の内に眠る全ての魔力を束ねて形にするイメージで、ゆっくりゆっくり言葉を紡ぎ、詠唱する。

すると、俺の足元に巨大な魔法陣が現れる。

 

「詠唱ぉ?そんなことさせるかよぉ!!」

 

エドワードが俺に目掛けて剣を投擲した。

流石は魔法使い。

俺の詠唱と魔法陣を見ただけで俺のしようとしている事の危険性を瞬時に理解し、詠唱の妨害をしてきたのだ。

両手は水龍を止めるのに使っていて、更に詠唱中なので地面から足を離してはならない。

 

・・・・どうする、どうすれば両手両足が使えないこの状況で飛んで来る剣を躱せるんだ!?

 

ーーーー思いついちまったよ。

いや、でも出来るのか?

飛んで来るのは刃渡り70cmくらいの鉄の剣だぞ!?包丁じゃないんだぞ!?

 

「・・・・成功したら本格的に俺、人間を辞めるハメになるかもしれん。」

 

・・・・だが、やらなきゃ剣の餌食だ。

全神経を飛んで来る剣に集中させる。

エリーゼとの契約で得た能力によって上昇しまくった俺の動体視力をもってすれば、剣をスローモーションに見る事が出来る。

後は、剣の軌道に合わせればーー!!

 

ガキンという音と共に剣は俺の目の前で静止した。

 

「な、口で剣を受け止めただと!?」

 

そう、俺は飛んで来る剣を口で噛んで止めたのだ。

・・・・まさか本当に出来るとは。

口を閉じるタイミング、スピード、力の調節、どれか少しでもずれていたら俺の顔面はトマトのように潰れていただろう。

 

「ペッペッ!!不味。」

 

剣を吐き出す。

・・・・鉄って不味いなまったく。

だが、これで詠唱再開できる。

 

「【無限の重力となれ】」

 

一旦、言葉を止め、大きく息を吸う。

・・・・あと一息だ、全ての魔力を解放する!!!

 

「【虚無の大渦、『ブラックホール』】!!!!」

 

詠唱が終わると魔法陣は消え去り、水龍の足元に黒い大穴が口を開いた。

そして、その大穴から黒い不気味な手が無数に出てきて水龍を掴み、穴へ引きずり込んだ。

あっという間に水龍の身体が全て穴に入り込み、穴は水龍を中に入れたまま小さくなって消えていった。

これが闇属性上級魔法、『ブラックホール』。

効果はゲームとかでよくある"即死技"だ、食らったら一撃("一撃"という表現が正しいのか分からないが)で死ぬ。

"即死技"というと、強いように感じられるが、人を殺すのであれば首を剣で撥ねるだけで事足りる。

わざわざ人を殺す為に長い時間詠唱して大量の魔力を消費しなければならないので、この世界ではあまり需要が無い。

だが、長時間詠唱ができる状況と大量の魔力の二つが揃った時、『ブラックホール』は超強力な武器となるだろう。

 

「さあ、これで終わりだ、エドワード!!」

 

俺は剣を拾い上げ、構える。

後はこれで奴の首を撥ねれば終わりだ。

 

「ひっ、ひぃぃ!?

お、オクタヴィア!!俺を守れぇ!!」

 

自分の死が間近に迫っている事を悟ったエドワードは無様に尻餅をつき、オクタヴィアの名を呼ぶ。

すると、魔法陣が現れてそこからオクタヴィアの姿を現した。

・・・・首輪の力を使ったのか。

 

「よ、よく来た、オクタヴィア!

は、早くあいつを殺せぇ!!」

 

オクタヴィアの背に隠れるエドワード。

・・・・大の男が女の背に隠れるとか、情けないな。

 

「・・・・エリーゼさんのご主人さん。」

 

オクタヴィアはエドワードの命令を無視して俺に話しかける。

彼女の瞳に俺への敵意は無い。

・・・・エドワードを殺したらオクタヴィアも死んでしまうんだよな。

 

「何だ?」

 

「私の首輪を壊して下さい。

最期は奴隷から解放されていたいですから。」

 

彼女の目を見る。

彼女の青色の瞳には、彼女の強い意思と覚悟が感じられた。

・・・・死ぬ覚悟は出来ているって事だな。

 

俺は彼女に近づき、彼女の首輪を握り潰す。

バキという音と共に崩れ壊れる首輪。

こんな直ぐに壊れるような物で奴隷の一生を縛っていたのか・・・・。

 

「ありがとうございます。

後は・・・・よろしくお願いします。」

 

オクタヴィアは自らに縋り付くエドワードの腕を払い、俺に奴への道を譲ってくれる。

 

「いいのか?お前も死ぬ事になるんだぞ?」

 

「構いません。

このまま生きているより死んだ方がマシですから。」

 

やはり、彼女の意思は固い。

死程度では揺るぎはしない。

ここで俺がエドワードを殺さなくても、いずれ彼女が奴を殺すだろう。

 

「・・・・分かった。」

 

「ひっ」

 

エドワードに一歩近づく。

奴は怯えた様子で一歩後ろに下がる。

 

「や、やめろ!止まれ!!

か、金ならくれてやる!!」

 

「金なんか要らねえよ。」

 

一歩。

 

「じゃ、じゃあ何が望みなんだ!?

な、なんでも、俺の提供出来る物なら全てくれてやるから、命だけは、命だけは助けてくれぇ!!」

 

「何も望んでなんかいねえよ。

お前を殺す理由は一つ。

お前はーーー」

 

一歩、更に一歩。

 

「ーーー女の子を死んだ方がマシだと思わせる程傷付けた。

ただ、それだけだ。」

 

剣でエドワードの首を撥ねる。

胴体から切り離された首は目を見開き苦悶の表情をしている。

これが多くの人間を殺した悪夢の魔導師の最期だった。

・・・・終わった、なんて呆気ないのだろう。

 

 

「うっ、ぐっ、げほっ…」

 

突然、オクタヴィアが心臓を抑えて蹲り吐血した。

彼女の手の甲から契約の痣が消え、契約の最後の呪いが発動したようだ。

死の苦しみが彼女を襲っているのだ、想像を絶する苦しみだろう。

だが、彼女は一切の涙も見せない。

そんな彼女だからだろう、俺は生きて欲しいと思った。

 

彼女は一生を人間の奴隷という悲しい形で過ごした。

・・・・そんな人生、悲し過ぎるじゃないか。

後は、ただの衝動だった。

 

「えっ、んっ、ちゅっ」

 

俺は衝動に任せるまま、オクタヴィアの唇を奪っていた。

血の味がする。

・・・・俺のキスは毎回血の味だな。

 

直後、俺の右手の痣が輝きだした。

そしてその輝きはオクタヴィアの右手にも宿る。

今、俺とオクタヴィアの間の契約が完了した。

契約が上書きされたからだろうか、先程まで真っ青だった彼女の顔色は回復し、死の苦しみから解放されたように見える。

 

【契約完了

名称:オクタヴィア・ノーゼン

種族:魔女/人間

性別:♀

取得した能力

・魔力上昇、大

・全属性中級魔法発動可能

・無詠唱魔法

・多重詠唱】

 

エリーゼの時と同じように世界から一時的に切り離され、オクタヴィアの情報と取得した能力についての文字列が現れる。

しかし、"エクストラスキル"の欄が解放されていない。

どうやら、それを解放する為には特定の条件を満たさなければならないようだ。

 

「・・・・ごめん、契約しちゃった。」

 

文字が消えたのを見計らって、オクタヴィアに謝る。

せっかく人間から解放されたのに俺の我儘で再び契約させられてしまった彼女。

 

「・・・・ふふふふふふふふふふふふふふっ」

 

彼女はただ、物凄い良い笑顔で笑うばかり。

笑顔が逆に怖いっすよ、オクタヴィアさん。

 

「え、えーと。

お、オクタヴィアさん?」

 

「責任とってくださいね、マスター?」

 

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