異世界で俺がモンスター娘達と契約しまくる話。   作:ワロリッシュたん

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Stage12 リサ

 

噂や怪談は何時の時代も人々の心を掴んで離さないものである。

俺だって、学校の七不思議を信じて夜の学校に忍び込んだこともある。

・・・・まあ、そんな事はどうでもいいんだ。

 

人間が噂好きなのはこの世界でも例外じゃない。

そして、最近この街、商業都市でよく耳にする噂話がある。

 

『夜に独りで通りを歩いていると、突然"自分"に話掛けられる。』

というものだ。

 

"自分"というのは恐らく、"自分にそっくりな人間"ということだろう。

 

・・・・まあ、ありがちなドッペルゲンガーのお話ですよ。

そして、最後に

『ドッペルゲンガーを見たら死ぬ。』

と書き足せば、完璧。

 

さて、俺の話をしよう。

俺は今、商業都市の"メインストリート"と呼ばれる大通りにいまーす。

時刻は深夜。

 

・・・・もう分かったかな?

そう!俺は単独でドッペルゲンガーの実態を調査しようとしているのだ。

実態調査といっても本当に居るとは限らないし、もし居たら全力で逃げ出しますよ。

だから、危険は無い・・・・はず。

 

「・・・・それにしても雰囲気あるなあ。」

 

夜の街は真っ暗でポツポツと街灯が微小な光を放っているだけだ。

一応、持っているランプのおかげで近くのものは見える。

だが、視界が不自由なのはそれだけで恐怖だ。

全力で人の気配を探ってみるが、少しの息遣いすら聞こえてこない。

完全に無人だ。

 

噂の影響か、ここの人間の生活習慣なのか夜更かしをする人間がこの街では極端に少ない。

恐らく後者なんだろうけど。

 

「・・・・やっぱり、動かないと出会えるものも出会えないよな。」

 

ゆっくり、ゆっくりと歩き始める。

 

 

メインストリートの中心地の噴水広場を越えて、住宅地に足を踏み入れようとした時ーーー

"それ"は現れた。

 

「ねえねえ、私と遊ぼ?」

「っ!?」

 

突然背後から声を掛けられた。

声質からいって少女だろう、幼く無邪気な声だ。

 

「誰だ!?」

 

咄嗟に後ろに振り向き、声の主をランプで照らす。

 

「・・・・俺?」

 

そう、"俺"だった。

俺にランプに照らされたその姿はまさに俺そのもの。

白のワイシャツに黒のズボン、なかなか直らなくて遂には直すのを諦めた寝癖頭それに童顔。

完全に俺だ。

そっくりなんてレベルじゃない。

毎朝鏡で見る俺そのものだった。

 

「そうそう、私は貴方。貴方はわたしー♩」

 

呑気な声で歌う、目の前の俺(偽)。

しかし、物凄い違和感がある。

それはーーー

 

「いやいや、声が全然違うから。」

「貴方と私でーーーって、あれっ?」

 

そう、俺(偽)の口から発せられる声は少女のものだ。

俺の声とは全然違う。

男の口から女の子のアニメ声が発せられているのを想像してほしい、違和感だろ?

 

「あれ、あれ!?

どうして人間と会話出来るの!?」

 

・・・・これで確定したな。

どうやら件のドッペルゲンガーはモンスターのようだ。

しかも、女子。

 

・・・・それにしても首を傾げてアニメ声を発する俺(偽)。

そろそろ気持ち悪いな。

 

「もしかして、お兄さんモンスターなの!?」

「いや、人間だけど。」

「だよね!眼の色が人間だもの!」

 

なるほど。

どうやら人間とモンスターでは眼の色が違うらしい。

だから、エリーゼは初対面の時俺を人間だと一瞬で分かったのか。

 

「じゃあ、どうして人間と話が出来るのかなー?」

 

・・・・見た目は俺だけど、この子の年齢は低いようだ。

 

「それは俺が特別だから。」

「へー、そうなんだー!」

 

・・・・大袈裟に驚く俺の姿の少女。

そろそろ、精神的に限界だ。

耐えられない。

見た目は俺、中身は少女なんて存在に俺はもう耐えられない!!

 

元の姿に戻ってもらおう・・・・ドッペルゲンガーに"元の姿"なんてあるのかどうかわからないけど。

 

「・・・・俺の姿をするのやめてくれないかな?」

「えー、どうしてー?」

 

どうして・・・・だと!?

気持ち悪いから・・・・なんて言えるわけがねえ!!

無難な無難な言葉を考えろ、そして説得力のありそうな言葉をっ・・・・・・・・

 

「・・・・・・・・・・・・俺は本当の君とお話がしたいから。」

「やだ」

 

はい、二文字の拒絶。

やだ、入りましたー。

 

「どうして?」

 

こうなったら、俺もどうして攻撃だ!

 

「・・・・皆に馬鹿にされるから。」

「『皆』?」

「うん、私のほんとの姿を見たら皆馬鹿にするの。」

 

確かに"ドッペルゲンガー"なんて種族が存在するとは思えない。

彼女は人間でいう"突然変異"で生まれてきたのかもしれない。

まあ、想像の域を出ないが。

 

だが、俺の姿のままで居られるのは困るな、精神的に。

・・・・そういえば、ドッペルゲンガーの少女は最初になんて言ったっけ?

確かーーーー『私と遊ぼ』っ、そうか。

 

「ところで、君は俺と遊びたいのかな?」

「うん!!!」

 

俺の言葉に眼を輝かせるドッペルゲンガー。

物凄い食い付きだ・・・・この作戦はいけそうだな。

 

「だったら、元の姿に戻ってくれ。

そうすれば、遊んであげるよ。」

「えー・・・・・・・・わかった、いいよ。」

 

暫く悩んだ末、元の姿に戻ることを了承してくれた。

・・・・ふ、ちょろい。

 

「笑ったり馬鹿にしたら怒るからね!!」

「はいはい、わかったわかった。」

「えいっ」

 

直後、目の前の俺の姿がドロッと溶けて、黒い水溜りを作った。

そして、水溜りが"立ち上がり"、そこからドッペルゲンガーの元の姿が現れた。

身長は140cmくらいだろうか、小さい少女の姿だった。

つるつるぺたーん・・・・それ以上は言うまい。

彼女はほぼ全裸で、大事な部分は黒いビキニで守っていた。

 

ただ、普通の少女と違うのはその肌の色だ。

彼女の肌は灰色だった。

そして、足まである銀髪の超ロングヘアー。

銀髪と肌の灰色のコントラストで俺は彼女を綺麗だと思った。

顔はまだまだ幼さが残り、大きな赤い瞳、綺麗や美しいというより可愛らしい顔立ちと言えるだろう。

 

「・・・・やっぱり、私、変?」

 

俺が何も言わず、まじまじと彼女の身体を見つめていた事に不安になったのか、彼女は俺の顔を覗き込み、聞いてきた。

 

「いや、可愛いと思うよ。」

「ほんと!?・・・・可愛いなんて初めて言われた、ありがと!」

 

俺からしてみれば、ちょっと肌の色が灰色で眼が赤くても全然OKですからね。

十分可愛い。

 

「・・・・どういたしまして。」

 

こんなに真っ直ぐ"ありがとう"を言われたのは初めてかもしれない。

思わず照れてしまった。

 

「じゃあ、遊ぼうよ!

・・・・えーっと。」

「ああ、俺の名前は英人だ、よろしく。」

「うん、私はリサ、よろしくね!

英人お兄ちゃん!!」

「お兄ちゃんだと?」

「・・・・駄目かな?」

 

リサの上目遣い。

女の子の上目遣いってズルくね?

なんでも許してしまうよ。

こうして俺に妹(仮)が出来たのだった。

 

「じゃあ、お兄ちゃん遊ぼ!!」

 

・・・・長かった。

かくれんぼに始まり、にらめっこ、じゃんけん、だるまさんがころんだ・・・・etc

 

そんな小学生の頃よくやった懐かしい遊びを2時間程リサと一緒に続けた。

 

正直、途中から飽きてきて、リサに止めようと言おうとしたが、リサが「次はね〜」と物凄い良い笑顔で言ってくるので、断るに断れず、俺は2時間彼女に付き合ったのだった。

 

「あ〜、楽しかった!!」

 

両腕を振り上げ、体全体で喜びを表現するリサ。

 

「・・・・満足したか?」

「うん、満足したー!!

こんなに誰かと一緒に遊んだの初めてだから、凄い楽しかった!!

私は皆と見た目が違うから誰も遊んでくれなくて・・・・」

 

みにくいアヒルの子。

それはリサを表すのにピッタリな言葉はだと思った。

ここから先は推論でしかないが、恐らく、リサはスライムのような不定形なモンスターの血統なのだろう。

しかし、スライムといえば赤や青、黒なんて色は滅多に無い。

だから彼女は不気味がられ、友達も出来ず、今は1人でこんなところにいるのだろう。

 

「えっ!?なに?・・・・えへへ」

 

俺は思わずリサの可哀想な境遇に同情して彼女の頭を撫でていた。

一瞬驚くが、撫でられて気持ちいいのか頭を俺に向かって差し出すリサ。

 

そんな微笑ましい光景。

その為、俺は油断をしてしまっていた。

そう、俺は背後に迫る気配に気がつかなかった。

ドゴという鈍い音。

それが何者かが俺の後頭部を鈍器で殴った事と認識する前に俺の意識はだんだんと薄れていった。

 

「ふふっ、油断しきった契約者を襲うのなんて、赤子の手を捻るよりか・ん・た・ん」

 

その言葉を聞いたのを最後に俺の意識は完全にブラックアウトした。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「おい!小娘!!起きろ!!」

「んにゃ、なんですかぁ〜?エリーゼさん?真夜中ですよぉ?」

「エイトが攫われた。」

「へぇ〜・・・・って、えっ!?」

「ようやく目が覚めたか。」

「そんなことは問題ではありません!

マスターが攫われた!?本当ですか!?」

「ああ、本当だ。」

「いやいやいやいや、そんなわけありませんって、だってマスターは今日も私達と一緒に寝て・・・・あれ!?本当にいない!?」

「だから言ったであろう、本当だと。

確か外の噴水公園の辺りだったかな、そこで攫われた。」

「どうしてそんなにはっきりわかるんですか、エリーゼさん。」

「妾の一部(コウモリ)をエイトにつけておいたからな、大まかな場と状況所は分かる。」

「ああ、そういえばエリーゼさんは身体を蝙蝠に変化出来るんでしたね。」

「まあ、夜限定だがな。」

「・・・・なんでそもそもマスターは外に?」

「散歩だそうだ。」

「なんで、それを私は知らなくてエリーゼさんは知ってるんですか、同じベッドで寝てるのに。」

「普段はお前らにあわせているが妾は元々夜行性なんだ。

小娘が寝てる間にエイトは出て行ったぞ。」

「・・・・なんで止めなかったんですか?」

「さっきから『なんで』が多いな。

エイトが『すぐ帰ってくる』って言ってたからだ。」

「それフラグですって!!」

「ふらぐ?ふらっぐ?旗がどうした?」

「・・・・もういいです!!

マスターを助けに行きますよ!!」

「ああ。」

 

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