異世界で俺がモンスター娘達と契約しまくる話。   作:ワロリッシュたん

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モンスター娘っていいですよね。
僕はドMなので、大好きです。


Stage2 エリーゼ・ディミヌエンド

 

俺は雨宿りの為に逃げ込んだ廃墟で水を吸った服を絞りながら、神様から与えられた自分の特別な能力について考えていた。

 

それは

 

"護神術"

 

"万能言語"

 

"多重契約可能"

 

の三つだ。

 

まず、"護神術"は自分の身を護る護身術と神を掛けたヘンテコネームな術だ。

決して神を護る術ではない。

 

簡単に説明すると"護神術"はある特定のキーワードを口にすると人知を超える力を発揮する事ができるのだ。

勿論、リスクは存在するので万能ではないが。

 

次に、"万能言語"だ。

これは単純に、あらゆる生き物と会話を可能にする能力だ。

この世界に住むモンスターですら例外でなく、俺は奴等と意思疎通が可能だ。

しかし、文字は読めない。

 

最後に"多重契約可能"だ。

これに関しては俺はあんまり理解できていない。

神様が前の二つを説明してくれた後、めんどくさくなったのか、この能力の説明を端折りやがったのだ。

「行けばわかる、行けば」みたいな感じで幾ら聞いても説明してくれなかった。

 

字面だけで判断するなら

"契約を多重にできるよ"ということになる。

俺はそもそも契約というものがなんだかわかっていないので、意味がわからん。

しかし、これは神様がモンスター娘達を伴侶ーーーつまり、嫁にする為に必要な能力として俺に与えてくれたものである。

だから、『契約=モンスター娘との結婚』と解釈しても問題ないだろう。

よって、この能力は

"モンスター娘でハーレム作成許可証"なのだと俺は考える。

 

 

さて、ある程度服から湿り気が無くなったのでこの謎の廃墟の探索を始める事にする。暇だし。

 

「・・・・うわっ、やっぱ湿った服着ると気持ち悪いな。」

 

などと独り言を言いながら廃墟の奥へと進む。

最近独り言が増えたような気がする。

たとえ異世界でも一人旅は寂しいものだ。

 

すると、今まで瓦礫で洞窟のようになっていたが、急に開けた空間に出た。

ここは大広間だったのだろう、天井には明かりを失い傾いているシャンデリアがあり、床にはボロボロのカーペットが敷かれている。

ここでかつて舞踏会でも開かれていたのだろうか、所々ハイヒールやドレスが落ちている。

俺がキョロキョロと大広間を見渡していると、声が聞こえて来た。

 

俺は驚き、咄嗟に瓦礫に身を潜めて耳を済ませる。

 

「おい!この吸血鬼が!」

 

「ん?なんじゃ?」

 

声は二つ、男と女だ。

男は怒っており、それと対照的な態度の女。

 

「弟の敵ぃっ!!」

 

「妾の好物は血液よ。」

 

この会話で俺の頭に電流走る。

男は恐らく女に弟を殺され、その仇討ちに来た人間であろう。

更に、男と女の会話は微妙に噛み合っていない。

よって、女は人外ーーーモンスターなのだろう。

 

そして、女は男に吸血鬼と呼ばれ、好物が血液。

完全に雌の吸血鬼だろう。

 

「遂に出会えたモンスター娘!!!」

 

俺のテンション急☆上☆昇!!!!!

早速、結婚もとい契約を申し込まなければ!!!

ダッシュで吸血鬼娘の元へ。

そして、頭を下げて

 

「俺と契約してください!!

お願いします!!」

 

数秒の間の後、俺が頭を上げるとそこには・・・・

 

人間の男の首に噛み付いてキョトンとした顔をしている金髪の幼女がいらっしゃった。

 

見つめ合う二人。

とりあえず、彼女に微笑みかける。

すると彼女は口を男から離して

 

「お主、妾と契約したいと申すか?」

 

「は、はい」

 

ついつい幼女相手に敬語になってしまう。

それは彼女の纏う雰囲気の恐ろしさからだ。

金髪の腰までかかるロングヘアーに整った顔立ち、そして大きな二つの真っ赤なつり目が気の強さと妖艶な雰囲気を醸し出していた。

幼女だけど。

 

たとえ姿が幼女だとしても彼女は紛うことなき吸血鬼なのである。

 

「あっはははははーーー貴様のような矮小な人間と契約なぞするわけがなかろう!!

出てゆけ!!!」

 

「ひえぇっ」

 

彼女は一通り笑うと、俺に目掛けて吼える。

俺はその咆哮だけで数歩後ろにジリジリと後退してしまう。

こ、怖いぃぃぃっ!

これがモンスター娘か・・・・

おいらの妄想と違うよう!!

ちくしょう、こうなったらーーー

 

「ごめんなさい、調子乗ってました。

契約とかどうでもいいんで、雨が止むまでここにいさせてください。」

 

契約を諦めて、ジャパニーズ土下座。

流石にこの世界に来たばっかりでまだ死にたくないです、はい。

モンスター相手に土下座が通じるのかどうかわからないけれど、頭を必死に地面に擦り付け、誠意をアピール。

 

「・・・・ところで」

 

吸血鬼のお嬢様は顎に手を当てて考える仕草をする。

そして

 

「どうして妾は人間のお主と会話をすることができるのか?」

 

えっ!?

お嬢様、今更ですか!?

どうやら、彼女はあまり頭が宜しくないようだ。

 

「お、俺が特別だからです。」

 

「ほぉ、特別か。

うむ、妾はお主に興味が出てきた。

殺すつもりだったが気が変わった。

雨宿りを許そう。」

 

生☆存☆成☆功!!!

 

「あ、ありがとうございます!!」

 

俺は土下座をやめて彼女を見つめる。

よく見ると、彼女の着ている服ーーー真っ赤なワンピースは所々穴が空き、汚れていた。

彼女の口調から言って貴族なのだろうと思う。

しかし、その口調と不釣り合いな服装。

もしかして彼女はーーー

 

「その代わり、妾の話を聞いてはくれまいか。」

 

と考えを巡らしている間に彼女が俺に話しかける。

 

「わかりました。

俺なんかで良ければ話し相手になりますよ。」

 

俺はできる限り丁寧に応答する。

殺すの諦めたと言っても彼女の気が変わる可能性は無くなってはいない。

まだまだ俺の命は彼女に握られたままだ。

くそっ、なんで身長が俺の腰くらいしかない幼女に命を握られなきゃならないんだよ!

 

「そうだな、これから妾が話すことは全ての妾の自虐話じゃ。

聞いてて苦痛になるかもしれぬが、耐えておくれ。

・・・・誰かに話しておきたいのだ。」

 

「わ、わかりまーーー」

 

悲しげな表情の彼女に俺は微笑みかけ返事をするが、言い切る前に俺の腹からぐう〜と大きな音が鳴った。

そういえば、この世界に来てから水以外口にしてなかったな。

 

「お主、腹が減ったのか。

人肉なら山ほどあるぞ、食うか?

ほれ」

 

彼女は先ほどまで血を吸っていた人間の死体を俺に向かって投げて寄越す。

・・・・うわ〜人の死体初めて見たよ。

身体中の血を全部抜かれて顔色は真っ青、更に白目を剥いた酷い死に顔である。

つーか、吸血鬼って人肉食うのかよ・・・・

契約、本気で諦めようかな。

命が幾つあっても足りない気がするよ、マジで。

 

「え、遠慮しときます。

俺にはこれがあるんで。」

 

リュックサックから非常食の缶詰と乾パンを取り出す。

吸血鬼のお嬢様は俺に近づいてきて、缶詰に対して興味深そうな顔をする。

 

「要りますか?これ」

 

俺はそれを空けて彼女に手渡す。

鯖缶だった。

すると彼女は悲しそうな顔をして

 

「妾にもこういった魚などを食べることができた時代があった。」

 

「え、えっと血液が主食なんじゃないんですか?」

 

「いいや、妾達、吸血鬼は血液を好んで口にするが、主食ではない。

肉も魚も口にするぞ。

血液はいわば、デザートなのだ。

食事のメインではない。」

 

衝撃!

吸血鬼の食事は血液だけでは無かった!

 

「おや、すまぬ。

お主の食事の邪魔をしてしまったの。

食事を続けるがよい。

で、食事をしながらで良いから、妾の話を聞いておくれ。」

 

「はい、わかりました。」

 

そう言って俺は乾パンを頬張る。

素朴な味だが、美味いなこれ。

彼女は美味しそうに乾パンを食べる俺に微笑み、話を始めた。

 

「妾の名前はエリーゼ・ディミヌエンド。

吸血鬼の名家、ディミヌエンド家の長女だった。」

 

「長女だった?」

 

俺は吸血鬼、エリーゼの話に相槌をうつ。

彼女は少し悲しそうに表情を陰らせると

 

「もう、ディミヌエンド家は妾一人になってしまったのだ。

両親や兄弟は皆殺されてしまったーーーー」

 

それから彼女は自分の身の上話を少し涙声になりながら語ってくれた。

 

彼女は吸血鬼の中でも力を持つ上位の階級の御令嬢で、はじまりの街周辺を支配していた。

今、俺がいる廃墟は元々は彼女の一家がかつて住んでいた屋敷だったそうだ。

彼女は生活に支障無く、両親や兄弟達と楽しく暮らしていた。

 

だが、その幸せな生活は一夜で終わってしまう。

人間達が彼女の一家の屋敷を攻めてきたのだ。

人間達は吸血鬼の弱点を知り尽くしており、それを利用して一家を崩壊へ導いた。

 

そして、生き残ったのは偶然その時遠出して屋敷に居なかったエリーゼだけだった。

彼女が屋敷に帰ると屋敷は荒されていて、心臓に杭を打たれた家族や召使の死体がゴロゴロと転がっていた。

 

その後、彼女は行く宛も無いので、ボロボロの廃墟となったこの屋敷にて一人暮らすことになったそうな。

 

「それから妾は家族を殺された腹いせにこの屋敷の近くに足を踏み入れた人間を襲い、彼等の血を吸い生き永らえておる。

・・・・どうだ、哀れだろう?

家族を失い、無駄に生き永らえている妾は。」

 

エリーゼは自嘲気味に溜息を吐き、肩を落とす。

俺はそんな様子の彼女に近づいてーーー彼女を抱きしめた。

 

「ぅふっ、に、人間なにをする!?」

 

「・・・・人間じゃねえ、瀬尾英人だ。」

 

「ならば、エイト!

妾を離せ!」

 

俺の腕の中でもがくエリーゼ。

こんな小さな身体で重たい物を背負って生きてたなんて・・・・。

 

「嫌だ、離さない。

お前が自分を哀れだと言うのを止めるまで絶対に離さない!」

 

「・・・・」

 

俺は吼える。

その叫びを聞いてか、エリーゼは抵抗を止めた。

 

「お前は哀れなんかじゃねえよ。

そんな小さな身体で家族の死なんて重たい物を背負って今まで一生懸命生きている。

俺だったら自殺しちまうよ。

 

生き永らえる事は哀れでも愚かでもなんでもねえ!

今を必死に生きること、それは胸を張っていいことなんだよ!!」

 

頬を冷たいものが伝う。

どうやら俺は無意識のうちに涙を流していたようだ。

 

俺は彼女の一人で生きてきた姿とぼっちだった自分の姿を無意識に重ね合わせて悲しい気持ちになった。

 

「・・・・エイト、もう良い。離せ。

お主の気持ちは十分伝わった。」

 

「ああ」

 

俺はエリーゼから手を離した。

そして、彼女は涙目になりながらも俺に微笑む

 

「お主は本当に面白い人間だな。

妾の話を聞いてくれてありがとう、エイト。」

 

「どういたしまして、エリーゼ。」

 

二人は微笑み合う。

俺が彼女に抱いていた恐怖心はもう既に無くなっていた。

 

 

「申し訳ないのだが、人間のお主に頼みたい事がある・・・・」

 

「なんだよ?」

 

エリーゼは何かを思い出したかのように俺に言う。

 

「街で酒を買ってきてはくれないだろうか。

今夜は酒に溺れたい気分になったのだ。」

 

「そうか、奇遇だな。

俺も酒が飲みたくなってきたよ。

じゃあ、行ってくる。」

 

俺は彼女の願い事を叶える為に彼女の屋敷を後にするのだった。

 

 

外に出ると既に雨は上がっており、夜になっていた。

真っ暗な視界の中、街の灯りだけが見える。

その灯りを目印に歩いて行く。

 

その途中、複数の人間の話し声が聞こえてくる。

人数は10くらいだろう。

人影が見える。

 

「本当にこれであの吸血鬼を殺す事ができるのかよ。」

「当然だ。

それは俺が帝都から持ち込んだ代物だからな。」

「で、作戦は?」

「単純さ、奴の館に乗り込んで、大量の銀のナイフを投げて奴の不意を突く。

その隙にこの十字架を模した杭を奴の四肢に打ち込み、身体の自由を奪う。

最後に心臓に杭を打ち込めば、チェックメイトさ。」

「本当にそんな上手くいくのか?」

「いくさ。

俺に任せておけ。」

 

 

会話の内容から察するに人間達の目的は十中八九エリーゼを殺す事だ。

たかが10人程度の人間が束になったところで彼女を殺す事など不可能だと思うが・・・・"十字架の杭"、これは昔から吸血鬼の弱点として有名だ。

更に、彼女の家族は人間に弱点を突かれて殺されている。

嫌な予感がした。

 

俺は人間達に気付かれないようにこっそりと彼等の後をつけるのであった。

幸運な事に夜なので見つかる可能性は少ないが、夜は静かなので、足音や呼吸で見つかってしまう可能性がある。

だから、俺は必要以上に彼等と距離をとって移動した。

その距離は約100m・・・・とりすぎかな、距離。

 

まあ、あいつらが向かう場所はエリーゼの屋敷一択なんだから焦る必要はない。

 

そして、人間達は屋敷に辿り着く。

彼等が屋敷に入ったのを確認して俺も屋敷に乗り込む。

恐らくそこにはエリーゼによってバラバラにされた人間達の死体が転がっているのだろう。

 

「なっ!?」

 

・・・・屋敷の大広間で俺が見たのは四肢を十字架の杭で壁に縫い付けられたエリーゼの姿だった。

俺は驚愕で足を止めてしまった。

 

「うひょひょ〜楽勝〜!」

「こんな楽に吸血鬼が狩れるなんて思ってもいなかったっす!」

「こいつを殺して、その死体を持ち帰れば、俺達は大金持ちだ!!」

「こんな楽な商売あんのかよ!あっはっはっはっ」

 

人間達は巫山戯ながらもエリーゼに止めを刺す為の準備をしていく。

十字架を模した大きな杭を彼女の心臓にあてがい、木槌を構える。

 

エリーゼは己の死を既に受け入れているのか、暴れる事も嘆き叫ぶ事もせずに、目をつぶって己の終わりを待っていた。

 

俺とエリーゼまでは大広間の端から端までの約80m程。

いくら全力で走ったとしてもエリーゼに辿り着く前に杭を彼女の心臓に打ち込まれてしまう。

 

そして、人間の一人がエリーゼの心臓に杭を打ち込もうと木槌を振りかぶり、それを振り下ろそうとする刹那

 

時間停止(タイムブレイク)

 

俺は神様に教わったキーワードを口にする。

すると、俺以外の全ての物がその動きを止める。

これは神様から頂いた"護神術"の一つ、『時間停止』だ。

 

時間が止まっている間に俺はエリーゼの元へ駆け寄り、杭を打ち込もうとしている男の顔面を蹴り飛ばした。

男は動きが止まっており、まともに受け身をとれず手から木槌を離して、頭を床に打ち付けて気絶する。

 

「そして時は動き出す・・・・なんてな。」

 

俺は時間停止を解除する。

その直後、凄まじい程の疲労感が俺の身体を襲う。

身体が鉛のように重くなり、足がふらつく、時間停止は強力だがその代わりに体力消費が凄まじいのだ。

体力を全て時間停止にあてたとしても20秒程度しか時間を止めていられないだろう。

 

で、さっき止めていた時間は10秒程。

・・・・体力の半分くらい持っていかれたな。

倒れそうになるのを歯を食いしばって必死に堪える。

 

「誰だお前は!?」

「何もないところから人が現れたぞ!?」

「新手のモンスターか!?」

「いや、人間っす!」

 

時間が止まっていた人間達には何もないところから俺が現れたように見えただろう。

得体の知れないモンスターを見るような目つきで彼等は武器を構える。

そんな彼等を尻目に俺は震える足を無理矢理止めて平静を装い言う。

 

「俺は瀬尾英人。

ただのしがない旅人さ。」

 

相手はさっき1人倒したから残り9人。

1対9か。

やれる事をやるだけさ。

 

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