宇宙戦艦ヤマト2199 妄執の亡霊   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「妄執の亡霊」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」の続編になります。


妄執の亡霊 番外編1 結婚の知らせ編

エピソード1 古代の場合

 

 古代と雪は、連れ立って新東京市の郊外にある土方の自宅を訪問していた。

 ちょうど、太陽系外縁パトロール艦隊が交替で、ヤマトは地球に帰還しており、この機会に結婚することを決めた二人だった。土方は、山南にパトロール艦隊を任せて以降、地上勤務となっていたので、自宅まで報告に向かったのだ。

 土方の家はノスタルジックな雰囲気の日本家屋の一軒家だった。古代は、二人で家の門の前に立って、インターホンの呼び鈴を押そうとしていた。しかし、手が震えてなかなか呼び鈴を押すことが出来ずにいた。

 雪は、少し苛ついて古代の方を見た。

「どうしたの?」

 古代は、雪の方を向いたが、その表情は、緊張が頂点に達しているのが明らかだった。

「な、何でもない。こ、心の準備はいいか?」

 雪は、待っていられないと思って、おもむろに呼び鈴を押した。

「ちょっ。こ、心の準備…!」

 雪は、笑顔で言った。

「早く行きましょ?」

 古代は、何か言おうとしたが、雪の目が笑っていないのに気がついた。

「はい…」

 

 玄関には、家政婦の中年の女性が現れ、中に通された。二人は、玄関で靴を脱いで、和風の住宅の廊下を歩いていくと、障子の扉の前まで通された。家政婦が「こちらです」と言って、お辞儀をして去っていった。

 古代は、生唾を飲んで、小さく咳払いをしていたが、雪が、肘で脇をつついてきたので、慌てて大きな声を出した。

「古代、参りました!失礼します!」

 古代は、勢いよく、開き戸を開けた。そこは、畳の部屋で、中央に木製のテーブルがあり、座布団が置いてあった。そのテーブルの向こう側に、着物姿で腕を組んだ土方が、鋭い眼光で座っていた。

 古代は、思わず扉を閉めようとしたが、後ろにいた雪が、その扉を力強く手で抑えて、もう片方の手で古代の背中を押してきた。

「土方さん、失礼します」

 雪は、古代を部屋に無理やり押し込みながら、挨拶をした。

「ご無沙汰して申し訳ありません」

 そして、二人で畳の上に正座すると、手をついてお辞儀をした。

「この度は、お時間を頂き、ありがとうございます」

 古代は、緊張しつつも、考えてきた台詞を言わなければと、心の中で暗唱した。

 古代が顔をあげると、仕事でも見たことも無いほど、恐ろしい顔で睨み付けられた。土方が、そこで初めて口を開いた。

「で? 何しに来たんだ」

 古代は、その一言で、言おうとしていた言葉が一瞬で何処かへ飛んでいってしまった。もはや、苦笑いをするしかなかった。

 雪は、笑顔を土方の方に向けながら、古代の足をつねった。

「ひっ」

 思わず変な声が出た古代は、もう行くしかない、と心に決めて、顔を上げた。

「土方さん。雪さんとの結婚の許可を頂きに参りました! 一生、彼女を大切にします。どうかお許しを頂けないでしょうか!」

 土方は、古代を睨み付けたまま、黙って口を閉じていた。

「お願い致します!」

 古代は、再び頭を下げた。

 土方は、それでも古代を睨んだまま動かなかった。しかし、その緊張状態を雪が破った。

「土方さん。もう、古代くんをからかうのは止めて頂けませんか?」

 雪は、目を細めて、逆に土方を睨み付けた。雪と睨み合った土方は、突然、吹き出して笑いだした。

「すまん、すまん。やり過ぎた」

 その笑い声に驚いて、古代は顔を上げた。

 そして、土方は立ち上がって古代たちの傍にやって来ると、笑顔で古代の肩に手を置いた。

「その約束、ちゃんと守れよ。なかなか、結婚するって言いに来ないから、痺れを切らしていたところだ」

 古代は、少し涙目になっていた。その土方の笑顔に呆気にとられて、ここまで、ずっと緊張していたのは、何だったんだ、と彼は思っていた。

 

 

エピソード2 ランハルトの場合

 

 古代と雪は、結婚式をあげるため、市内の式場を巡って場所や日取り、参列者を歓待するパーティーの内容を検討していた。そして、おおよその内容が決まった頃、古代は、ユリーシャや、メルダたちにも報告すべきではないか、と話し合った。

 そこで、せっかくガミラス大使館があるのだから、そこを通じて連絡入れて貰おうと、古代は提案をした。雪は、要領を得ない返事をして、どうやら大使館には、あまり行きたくないようだった。

 そうして古代は、気乗りしない雪を伴ってガミラス大使館を訪れた。そこでは、大使の秘書が出迎えてきて、大使の執務室に通された。部屋のソファーに座った古代と雪は、向かい側のソファーに座った大使のランハルトに報告をした。

「デスラー大使。この度、私と雪は、結婚することになりました。式は、まだ半年ほど先の事ですが、私たちは、ガミラスにもイスカンダルにも友人がいるため、出来ればこのことを伝えて頂けないかと思って参りました」

 ランハルトは、ソファーに座って話を黙って聞いていたが、途中から、足を組んでソファーの背に寄りかかっていた。非常に偉そうな態度に見える。

「ふん、なるほど。そういうことか」

 ランハルトは、古代に対して冷酷そうな無表情で応じた。

「お前は、本当に雪を幸せに出来るのか?どうなんだ」

古代は、それを聞いて、前からおかしいと思っていたが、この男は雪に何か特別な感情があるに違いないと確信をした。

「もちろんです。あなたに、そこまで言われる理由がわかりませんが?」

 古代は、ランハルトを睨んで堂々と言い放った。二人は、そのまま、視線がぶつかり合って、あたかも火花が散っているようだった。

 雪は、古代の横で、苦笑いをしつつ、そのやり取りをはらはらとしながら見守っていた。

「ほう。理由か。そうだな」

 ランハルトが、何か言いかけた。ちょうどそこに、執務室の隅でお茶を入れていた秘書が、入れたばかりのお茶を運んできた。

「ガミラス星のお茶です。どうぞ」

 秘書のケールは、にこにこしながらお茶をそれぞれの席の前のテーブルに並べていった。

「古代さん。私と大使は、前に雪さんに大変お世話になったことがあります。初めて地球に来てから出来た友人ですので、幸せを祈っているだけですよ。ちょっと口が悪くて態度が大きいのは、いつものことですから」

 ランハルトは、ケールの方を睨んだ。

「おい」

「悪気がある訳じゃないので、あまりお気にせずに」

「ケール」

 ケールは、ランハルトが何か言おうとするのを無視して、彼の横に尻を押し込んで、無理やりソファーに座った。

「どなたに連絡したいのか、教えて頂けますか? 私から連絡をいれておきますよ?」

 古代は、拍子抜けして、ケールの方を見た。

「はぁ。それでは、私たち二人の友人のユリーシャさんと、メルダさん。後は、ネレディアさんとバーガーさん、ですね。すいませんが、お願い出来ますか?」

 ケールは、それを聞いてメモをとっていた。

「わかりました。ディッツ提督のお嬢様と、イスカンダルのユリーシャ様。それに、軍のリッケ大佐とバーガー少佐ですね。この後、すぐに連絡しておきますので、ご安心下さい」

 ケールは、にっこりと笑顔を向けた。

 雪は、ケールに感謝して、こっそり彼に会釈した。

 ランハルトは、せっかく古代の覚悟を試そうとしていたところに、水をさされてしまっていた。

「ったく」

 ランハルトは、古代から視線をずらして、露骨に雪の方を真っ直ぐに見た。雪は、自分に向けられた視線が痛くて、部屋のあらぬ方向をみたりして、視線から逃れようとした。

「仕方がない。俺も、雪の幸せを優先することにしよう。だが、だからと言って、この男のことを認めた訳じゃないからな」

 古代は、彼に何か言ってやろうと考えてたが、せっかく丸く収まりそうな雰囲気だったので、ぐっと堪えて思いとどまった。

「だが、なるほど。ディッツ提督の娘に、ユリーシャ様たちが友人だとすれば」

 ランハルトは、しばらく考えを巡らせていた。そして、思い付いたことをそのまま口にした。

「この際、国賓として、君たちをガミラスに招待して、ガミラス式の結婚式を執り行ってやろう。俺から言えば、バレル大統領から、閣僚や軍の高官を全員を揃えて、盛大に行うのは簡単なことだ。おい、ケール。大統領にすぐに連絡をいれておけ。それから、ガミラス艦隊の一個師団を迎えに来させろ」

 雪が、慌てて言った。

「あー、ランハルト? ちょっとそれは~」

「どうした」

 ランハルトは、訝しげに雪を見つめた。

「いくらなんでも、それは、ね?」

 雪は、勝手に盛り上がろうとするランハルトに、迷惑だと伝えたくて、目配せをした。

 ランハルトは、雪を見つめながら、更に考えた。

「そうか、不足だったか。それならば、どうにかして、スターシャ元女王にも連絡をつけてみよう。きっと、俺の頼みなら、彼女と一緒に叔父も来てくれるだろう」

 雪は、スターシャとデスラー総統に祝福されるのを想像して、背筋が凍った。

「さすがに、皆さんお忙しいでしょ? 大体、私たち、ガミラス星を往復するほどの休暇なんて、結婚式の為にとるのは難しいし」

「何だ、そんな理由か。全く問題ない。地球連邦の大統領に連絡して、俺から許可をもらってやろう」

 古代は、彼の話のスケールが、どんどん大きくなっていき、次々に外堀を埋めていくので、どうしていいかわからなくなっていた。

 そこに、雪が突然低い声で言い出した。

「ランハルト。いい加減にしようか。私、さすがに怒ってもいいかな?」

 ランハルトは、明らかに雪が、怒り出したのに気付いて、少し焦っていた。

「わ、わかった。ガミラス星の式の話はやり過ぎだったか。しかし、君たちの結婚式は、銀河を超えた友人を招いて執り行うのが筋だと思うが。連絡したいと言う、ユリーシャ様たちを、逆にこちらに招待するのはどうだ?」

 古代と雪は、それすら考えていなかった。

「さすがに遠いので。そこまでしなくても、話を伝えてくれるだけでいいんですが」

 古代も、ランハルトを思い止まらせようと言った。

「そこは、本人が来たいと言うなら、別に構わんだろう?」

「ま、まぁ、そうですが」

「当然、雪の友人の俺も参加するからな。必ず呼べ」

 ランハルトは、今の件をケールに連絡しておくように伝えて、話題を変えた。

「で? 地球の結婚式とは、いったいどんなものなんだ?」

 古代は、果たしてガミラス人に説明して、わかって貰えるのか不安を感じつつ、教会で挙げる式と、パーティーの催しのことを伝えた。

「なるほど。あまりガミラスのと変わらんようだな」

 だんだんいい雰囲気になってきたので、雪も日本式の神前の結婚式の話や、披露宴という催しの説明をして、場を和ませようとした。

「何? つまり、同じ地球でも、地域ごとのしきたりのようなものがあるのだな? ぜひ見てみたい。その神前とやらでやってはどうだ?」

 雪は、無表情に即答した。

「それは嫌。そんなことしたら、ウェディングドレスが着れないから」

 雪は、自分でその話題を言っておきながら、きっぱりと否定した。

「しかし、もし本当にイスカンダルやガミラスからの客人が来たいと言ったら、そういう伝統的な儀式の方がいい。必ず喜んで貰えるぞ」

「無理」

 雪が、即答で完全否定するので、ランハルトは、矛先を変えて古代に言った。

「古代、ならば、もう一つの披露宴、というのはどうだ? 先程の説明だと、なかなか面白そうな催し物だった」

 古代は、雪が望まないやり方をする気がなかった。

「大使。それは諦めてくれませんか?」

 ランハルトは、古代の方に体を寄せて話しかけた。

「ユリーシャ様たちは、きっと喜んでくれると思うぞ。なにせ、遠方から来るとなれば、伝統的な儀式の方が、興味深く見て貰えるだろう」

 古代は、雪の方をちらっと見ながら、返答をした。

「まぁ、喜んで貰えるなら、僕はそれでもかまわないけど……」

「古代くん?」

 雪が、笑顔で話しかけてきた。古代は、嫌な予感がした。

「はっ、はい?」

「これ以上は、大使もお忙しいでしょうから、この辺で帰りましょうか」

 古代は、再び雪の目が笑っていないのに気がつき、今度は彼の背中に悪寒が走った。

 

 

エピソード3 メルダの場合

 

「何だと!」

 夕食の並ぶテーブルに、握りしめた拳が叩き付けられ、皿や燭台が音を立てて派手に動いた。メイドが慌てて火のついた蝋燭を消していたが、当の本人は自らの感情に流され、周りが見えていないようだった。

 メルダ・ディッツは、その報せに感情を爆発させ、下を向いて呆然としていた。

 

 いつかは、来ると思っていたが、遂にその時が来てしまったか…!

 

 久しぶりに、一家で食卓を囲んでいたガル・ディッツは、倒れた酒の入ったグラスをどけ、ナプキンでこぼれた中身を拭き取っていた。彼の夫人である娘の母も、メイドから布巾を受け取り、自らの服の汚れを拭き取っていた。

「メ、メルダ。どうしたのだ。一体」

 ディッツは、困惑して娘に問うた。

「父上! どうした、ではないのです。一大事ではありませんか!」

 メルダは、顔をあげると、険しい表情で大きな声をあげて抗議した。

「一大事? さっき話した、テロン軍のヤマト艦長が結婚するという話のことか?」

「そうです!」

 再び、メルダがテーブルを叩いたので、メイドたちが慌てて倒れたグラスをテーブルから片付けた。

 彼女の母は、それを聞いて、思い出したように言った。

「あら。そういえば、あなた彼がお気に入りでしたね」

 ディッツは、その話に眉をひそめた。

「そうだったのか? 初めて聞いたぞ」

 メルダは、うるさいとばかりに、父に向かって言い放った。

「私のことを何もわかっていない! 父上は黙っていて下さい!」

 娘の剣幕に圧されたディッツは、開きかけた口を閉じるしかなかった。

「う、うむ……」

 ディッツ夫人は、娘に怒られて寂しそうにする夫に微笑を向けてから、ゆっくりとメルダに話しかけた。

「確か、古代さんと言いましたね。あなた、本気だったの?」

「そうです……。この国の男どもにはない、優しさもあって……。相性も良かったし、何よりとても素敵な男性でした」

 メルダの声は次第に小さくなっていった。

「しかし、会いに行くにも距離も遠く。いつかは、このような報せが届くのでは、と恐れていました。それが、とうとう現実に……!」

 ディッツは、その話を聞き捨てならず、口を開いた。

「お前、いくらなんでも遠距離にも程がある。ましてや奴は異星人ではないか。わが一族は、これまで純血を貫いてきたというのに……」

「黙っててって言いましたよね?」

 メルダは、父を険しい表情で見ながら、怒りを抑制した低い声で言った。

「う、うむ……」

 彼女の母は、ため息をついて娘に言った。

「そんなに、好きなら、行って止めてきたらいいんじゃない?」

 メルダは、顔を赤くして言った。

「そ、そんなはしたない! そんなことは……恥ずかしくて、出来ない……」

「大体、止めるほど彼との仲に、何か進展はあったの?」

 メルダは、顔を下に向けた。

「ない……」

 母は、呆れながらも、優しく言った。

「まったく仕方がない子ね。だったら、諦めるしかないわね」

 母が言うとおりだったので、彼女はがっくりと肩を落とした。

 彼女は、席を立つと、ゆっくりと足元をふらつかせながら食卓を後にした。

「あら。もう食べないの?」

 メルダはする少し立ち止まって、母に背を向けたまま言った。

「食欲がありません……」

 そう言い残すと、彼女は部屋を出ていった。

 

 メルダは、自室に戻ると、部屋を暗くしたまま、テレビだけをつけて、ベッドの上で膝を抱えてぼうっとその映像を眺めながら座っていた。ぼんやりと、今までの彼との関わりや、大切な思い出を思い返していた。

「そうだよな。もう少し、何か出来ることもあったような気がする」

 彼女の脳裏には、後悔ばかりが浮かんでいた。

 ふと、この思いを共有して、慰め合う者がいないか考えていた。考えて見ると、そのような話が出来る者が、この国には誰もいなかった。地球の友人に話が合うものがいたが、亜空間通信リレーもまだ整備が終わっておらず、リアルタイムに会話をするのは今は無理だった。

「あぁ……」

 すると、テレビのニュースの映像に、ユリーシャが映っていた。イスカンダルの最後の王族としてガミラスを訪問し、孤児院の慰問を行っている、というニュースだった。

「ユリーシャ様、来てるのか」

 ぼんやりと考えていた彼女は、せめて彼女と話せば、気持ちがわかってもらえるかも知れないと思い始めていた。

 軍の携帯通信機を取り出したメルダは、つてを辿って彼女と話せないかを試してみることにした。案の定、彼女がバレラスの迎賓館に宿泊しているのを突き止め、そこに連絡を入れてみた。

 先程、蔑ろに扱った父ではあったが、その名は伊達ではなく、あっさりとユリーシャ本人に通信が繋がった。

「メルダ。どうしたの。連絡を寄越すなんて珍しいね」

 ユリーシャは、通信機の小さな画面に映っていた。

「聞いて下さい。古代さんが……」

 ユリーシャは、すぐに何の話しか気がついて言った。

「聞いたよ、私も! 私、お祝いに結婚式にいくつもりだよ。メルダはどうするの?」

 彼女は、嬉しそうににこにこと笑っていた。それを見たメルダは、この人に言っても無駄だったか、とがっかりしていた。

「わ、私は……」

 ユリーシャは、メルダの様子を見て、何か思い出したようだった。

「あ、ごめん。そういえば、古代のこと、好きだったんだよね」

 ユリーシャは、あっけらかんとして言った。

「は、はい……」

 メルダは、ストレートにそう言われて、更に落ち込んだ。

 ユリーシャは、落ち込むメルダが心配になった。

「結婚式、行くの? 行かないの?」

 ユリーシャは、寂しそうに聞いた。

「わ、私は……。行けません。私の気持ちがわかっているなら、お察し下さい……」

 ユリーシャは、うーん、と考えていた。

「玲も、きっと同じ気持ちだと思うよ。行って、話したら?」

 そう言われて、メルダは少し考えた。確かに、この気持ちをわかってもらえるのは、彼女しかいないに違いない。

「そう、ですね……。そうしようかな……」

「三人でね、またあの……なんだっけ? あれ食べようよ」

 あれ、と言われて、メルダは思い出した。

「あれ、ですね。そうか……」

 メルダは、ヤマトで三人で食べた、あれの味を思い浮かべ、決意を固めた。

「わかりました。結婚式に出るかどうかは、行ってから考えます。ありがとうございました。その時は、私が送って行きますので、一緒に行きましょう!」

「うん! 楽しみだね!」

 

 こうして、彼女は、結婚式への参加は不本意ながらも、思いを共有する友人に会いに行って、三人でまた「あれ」を食べるのを楽しみにすることにしたのだった。

 

エピソード4 ユリーシャの場合

 

 ユリーシャは、通信を切った後、少しうきうきとした様子だった。彼女は、意外に頻繁に地球を訪れることが出来ていたので、本当に楽しみにしていた。

 前回は、街に出て美味しいものを食べたり、地球の服を買い込んだりしたのが、とても楽しかった思い出だった。そして、今度は、何をしようかな、といろいろと思いを巡らした。

 しかし、その時に一緒に行動した「彼」のことを思うと、辛い気持ちが甦ってきた。

「私もね。メルダの気持ちは、本当はわかってるんだよ。私だって、諦めるしかないんだから」

 結婚式に行けば、きっと会うことになる彼を思い、寂しさが増していった。

「三人で、思いっきり遊んで、忘れなきゃ、ね」

 彼女もまた、決意を固めるのだった。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開しています。
注)但し、以前pixivに連載した小説の加筆修正版です。以前のpixiv連載版とは、一部内容が異なります。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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