TSから始まるヒロインアカデミア   作:破戒僧

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今回、ちょっと強引に思える展開というか思考があるかもですが……こういうのも心境の変化の一環だということで。
一応前々から決めてた展開ではありますが……気になりましたらすいません。

それと一応連絡ですが、年齢制限版を更新させていただきました。よければご覧ください。

では、第102話、どうぞ。


第102話 栄陽院永久:オリジン

 

 

 ……だるい。

 でも、嫌なだるさじゃない。

 

 心地よい疲労感というか、いまいち体力が足りて無い感じの中で、私はキッチンに立ち……体力残量とは裏腹に、最高の気分の中で鍋を振っていた。

 

 あ、いま朝食作ってるとこ。メニューは朝からガッツリ肉。でも重すぎないように気持ち赤味多め、脂身少な目の、スタミナの元になるようなあたりを、野菜と一緒に用意。

 ベーコンにウインナーとまあ、朝食の定番はこの辺かな。あとは卵とか……スクランブルエッグとオムレツのどっちがいいか……いや、あえてのゆで卵もありか?

 

 ……なんだ、この……こんな風に献立を考えてる時間すら楽しい。

 いや、いつも楽しいんだけど、今日は格別というかね。この後、これらを緑谷に食べさせることを考えると……うん、なんか、新妻気分というか。

 

 

 

 昨晩、私はついに、身も心も緑谷のものになった。

 

 なんかそこに至った経緯は色々とツッコミどころがあるものだったけど……いやまあ、まさかボディプレスで起こされるとは思わなかったって言うか……そもそも間違えて酒飲んで寝るとか何をしてんだ私は。

 

 けど人生万事塞翁が馬、何が転んでいい結果になるかわからないもんで。

 そのあと無事に手を出してもらえて、朝目が覚めたら……2人一緒の布団で。生まれたままの姿で。

 

 しばらくそのまま緑谷の寝顔を眺めていたものの、このまま寝続けるのもダメだろってことで、こうしてキッチンに立ったわけだ。

 

 昨日は『追試』のせいで体力のストックがほとんどなく、それも夜使い果たしてしまったので、起きて食事を作るのは少ししんどかった。

 けど、誰のためになる苦労かを思えば……まあ、現金なもので、その疲労感も、むしろ労働へのモチベーションに早変わりである。

 

 今まだ緑谷は寝てるけど、起きた時にすぐに美味しい朝食を食べてもらえれば……いやむしろ、朝食の匂いで起きてくるなんてシチュエーションも王道で良きかな。

 

(ふへへ……あーだめだ、顔がにやける……コレ暫く続くな。今日休みでよかった)

 

 ずっと温め続けて来た思いが成就したっていう幸福感は、さっきからずっと私の心の中に居座り続けている。油断するとそれが表情に表れてしまうくらいに。

 ……今日が学校だったら、芦戸か葉隠あたりに『何かあったの!?』って迫られてた気がする。

 

 仮にその2人には大丈夫だったとしても……麗日とか取陰あたりには100%気づかれる。

 何があったかまではわからないだろうけど、何かあったことは気づかれる……と思う。

 

 いやまあ、私としては別にそれでもいいんだけどさ。

 前々から言っている通り、私の望みの形……その最も歪なところが『みんなで』幸せになるというものだ。だから、知られるどころか、ここに麗日や取陰なんかが『加わる』ことすら、別に構わないというか、むしろ歓迎……

 

「…………」

 

 そこで、思考がふと止まる。

 

 自分の胸の中に……昨日までとは違う何かがあることに気づく。

 ……えっと、何だろうコレ?

 

 ……優秀なオスは、群れを率いるべき。

 同じ男を愛する者同士、みんなで仲良く幸せになろう。緑谷は、そのくらいにはいい男だ。現に今もこうして、何人もの女の子に好かれてるわけなんだから。

 

 だから、彼が望むならハーレムだって全然ありだ。

 何なら私は、正妻が誰になるか、自分の順番がどこに来るかすら、別に拘らない。

 

 緑谷を中心に、麗日も、梅雨ちゃんも、取陰も、塩崎も……あと、はっきりとはわからないけど、それらしき気配がある他の同志たちも……皆で幸せになれるように尽力しよう。

 皆が納得してくれて、緑谷が望んでくれるなら、私は大歓迎だから。

 

 

(……そう、思ってたはずなんだけどなあ……)

 

 

 ベッドですやすやと眠る緑谷の寝顔を思い出すたびに……今まで私の中になかった『思い』が、何やら染み出してくるような感覚を覚える。

 彼と、『2人で』幸せに過ごしていたい、というそれが。

 

 ……え、もしかして私……ハーレム願望、なくなってる?

 

 

 ☆☆☆

 

 

 その後すぐに緑谷が起きて来たので、思考はいったん中止。

 

 ちょっと照れ臭い感じになりながらも、『あらためてこれからもよろしく』って感じでいい雰囲気になって、そのまま食事。

 朝食が終わった後は、緑谷は色々とやることがあるってんで、部屋に戻っていった。

 

 まあ、昼というか午後には、『追試』メンバーの反省会というか、お疲れ様会的なアレがあるので、また会うことにはなるけども。

 

 その間、午前中の暇な時間を使って、ぼーっとしながら考えてみた。

 さっき私の頭の中に浮かんだ疑問というかなんというか、について。

 

 ……結論から言うと、私の中にあったハーレム願望ないし、肯定的な感情は……なくなっていた、とは言わないまでも、大分なりをひそめていた。

 どっちがいいかと問われれば、断然『2人で幸せになる』に軍配が上がるくらいには。

 

 もちろん、全く魅力的に思わないわけじゃない。温泉で麗日達に語った『ハーレムの利点』その他についての評価とか考え、単純な魅力みたいなのも相変わらず持ってる。

 何より、緑谷がそう望むなら一も二もなくそうするつもりではあるが――とはいえ、彼は誠実で真面目なのでそういう感じには、少なくとも自発的はなさそうだが――何だろうな、自発的に『ハーレム作ろうよ、みんなで幸せになろうよ!』って感じの感情が……あんまり、湧き出てこない。

 

 何でだろう、と考える中で……ふと気付く。

 

 ……さっきから『ふと』思ったり気付いたりすることが多いな……それだけ、たった一晩の間に、私の心に大きな、あるいは数多くの変化が起こってるってことなんだろうか。

 

 そしてどうやら、その根源となっている『変化』にも気づけた。

 

「なんか、今の私……女だな」

 

 ぽつりとつぶやいたそのままが、私の気づいた内容だ。

 

 もちろん、あっちの意味での『女』にもなったというか、緑谷にそうしてもらったというか……ただし私が言いたいのは、そうではなく、私の『心』そのものだ。

 

 男だった前世の記憶を持っている私は……心とか人格は女だが、男としての感性や価値観みたいなものを結構持っていた。そのせいで、自分の容姿に無頓着だったり、無防備だったりっていう、今の私が形作られている。成長する中で、そういうのがうまい具合にミックスされて。

 よくあるTS転生ものの小説みたいに、心は男、みたいな感じではない。私は言ってみれば、男だった記憶を持っている女なのだ。

 

 しかし、『女』になって迎えた朝、ないし今日……それまであった『男』としての感情やら何やらが、ほとんど消え去っていることに、さっき気づいた。

 

 全部じゃない。まだ多少はそういう感性はあるし、今までの16年弱の人生で性格の一部として組み込まれているそれは普通に残っている。

 

 ただ、要所要所でちょいちょい現れていた、男っぽいものの考え方……『ハーレム願望』なんてその最たるものだと思うが、それらがあらかたなりをひそめているのだ。

 

 ……これってひょっとして、『女』になったことが原因というかきっかけで……私は本格的に、女としての私の感性を手に入れたとか、『前世=男』であるがゆえにこびりついてた、時に歪にも見えていた感性が洗われて落ちた、みたいな感じになるのかな。

 

 

 つまりこれが、私の……TS少女としての感覚ではなく、正真正銘、女の子である『栄陽院永久』としての感性、ってことなのか?

 

 

 ……わからん。実感わかん。

 

 よし、考えてもあんまり意味なさそうだこれ以上は。やめとこ(思考放棄)。

 とにもかくにもアレだ。究極的には、緑谷に喜んでもらえて、幸せになってもらえればそれが一番なんだから、いっそそれを基準にしよう。

 

 さて、と……休息は十分にとった。さーて、元通りの生活に少しずつ戻していかんと……まずは月曜日の授業の予習からだな。予習復習、大事。

 

 昼前には待ち合わせ場所に行かないといかんし、軽めにやろ。

 

 

 

 その日はもう、何事もなく終わった。

 

 いや、『何事もなく』はないな、色々はあった。

 

 昼食を取りながらやった『追試』の反省会では、A組もB組も一堂に会して、まー賑やかに行われた。

 

 もともとパーティや宴会系の企画にも沿った形で利用できる店だから、そのへんは問題なかったし……あっても私の方でどうにかするつもりでいたけど。

 

 比較的リーズナブルでありながら本格的な中華料理が楽しめる店だってことで、今話題の店だ。何人かこの店のこと知ってて、『ここで食べられるのかー!』って嬉しそうにしてたな。

 

 緑谷や飯田、塩崎や八百万なんかは、食べながらも色々と建設的な意見を交わしていた。今回の経験を糧にして、より一層強くなるため、ヒーローとして高みを目指すために。勤勉な面子が集まると、どこでもきちんと勉強会になっちゃうんだな……そういうの、嫌いじゃないけど。

 

 それに、いつの間にか、と言えばいいのか……八百万なんだが、少し前まであった、自信なさげな態度がなくなっている。入学直後……ともまた違うようだが、向上心に溢れて、なおかつ余裕もある、やわらかで力強い感じの雰囲気になっていた。

 

 というか、追試の前から割とそんなだった気も……期末試験で何かあったのかな? ペアは……轟と一緒だったはずだが。

 

 上鳴や瀬呂、芦戸といった基本賑やかなメンバーは、互いの健闘を称え、今後どうしたらもっと強くなれるかな、かっこいいかな、かわいいかな……なんて話しながら、楽しそうに騒いでいた。

 息も話題もよくそんなに続くな、って感じで。無事に林間合宿に行けることが決まった喜びもあってか、まだまだあのへんのにぎやかさは収まりそうにないな。

 

 賑やかに加えて暑苦しいのが、切島と鉄哲のいるあたりだな。ノリとかはガヤ組と近いけど、互いの健闘をたたえ合って『次もがんばろーぜ!』って火をつけ合ってるあたりがね。

 そして音量も大きい。普通の店だったらギリギリでアウトなレベル。店員さんに怒られるかも。

 

 砂藤、障子、骨抜なんかも楽しんでいるようだが、上鳴達よりは落ち着いた感じでゆっくり楽しんで、談笑しているようだ。

 

 ……というかこの3人、食事風景中々独特で見てて面白い。

 

 砂藤はスパイシーなものよりも、杏仁豆腐なんかの甘いものを好んで持ってきて食べてる。この店はそういうのも充実してるからな……テーブルに結構な量の甘味が並んでるのは壮観、かも。

 障子は触腕に口を複製して食べてる……のはいつもと同じだが、スパイシーなものが多いからか、時々口を休憩させて、新たに別な口を作り出してそっちで食べてたりしていた。舌酷使したのか?

 骨抜は歯がむき出しの(ぶっちゃけ初見、パッと見(ホロウ)みたいだって思った)形だから食べにくいのかなって思ったけど、普通に食べてた。……見た目はどうしても独特だが。

 

 あと、爆豪も参加してたのには普通に驚いたかも。こういうの『誰が行くかボケ!』ってバックレそうだと思ってたんだけど……切島に聞いたら、店のことを調べて、本格的な四川料理なんかもあると知って参加を決めたようだった。

 あー、爆豪辛いの好きだっけね…そういや、いかにもって感じの麻婆豆腐とか、火鍋(ほごう)とか、辣子鶏(ラーズージー)なんかも食べてたな。さらに唐辛子とか山椒振って辛くして。

 

 そして、そんな面々を順繰り回って煽ったり、しかし時には加わって騒いだりしているのが、ご存じ物間である。

 もっとも、さすがに今回まで空気悪くするつもりはないようで、あくまでにぎやかし程度に『煽る』にとどめてるようだが。そしてそれを横から吹出が『まあまあ』って抑えたりして。

 

 もちろん彼ら自身も食べて飲んで楽しんでるようではあるけど。

 

 皆、楽しんでもらえて何よりだ。場所とチケットを提供したかいがあったというもの。

 

 

 

 そんな感じで楽しいひと時を過ごし、2時間弱ばかりで解散。

 そこからは各自、買い物したり遊んで歩いたり、まっすぐ帰ったりと思い思いに過ごしたことだろう。

 

 ちなみに私は、ついでなので色々買い物して帰った。日用品とか、本とか。

 緑谷もそうみたいだが、別行動だったので何を買ったのかはわかんない。

 

 で、その買い物の最中……完全に偶然ではあるんだが、取陰に会った。

 

 彼女も買い物の途中だったみたいだが、私を見つけると『おー!』と機嫌よさそうにして歩み寄ってきて……しかし少しして、何やら訝し気な表情になった。

 かと思ったら、ニヤニヤといたずらっぽい笑みを浮かべて……え、嘘、気付かれた?

 

 この反応……朝に予想した通りか。

 何があったかは気づかれてない。が、何かあったことには気づかれた、らしい。

 

 ……ちょうどいいので、あんまり細かい部分はぼかしつつ……それとなしに相談してみる……というか、懺悔、ないし告白することにした。

 『ワーキングホリデー』の時、ハーレム願望とか推奨とか言ってたけど、心変わりしたかもって。

 

 ちょっとあることがきっかけで……女の子大勢じゃなく、自分という1人を緑谷に見てもらえるっていう形が魅力的に思えてきてしまって……私はもう、必ずしも『みんなで』幸せになるためには動かないかもしれないって。

 

 そしたら……

 

「あー、うん。大丈夫大丈夫、全然OK」

 

「軽!?」

 

 あっさりそんな……え、マジで?

 こっちとしては、あんだけ大口叩いておいて何さあ、くらい言われても仕方ないと思ってたんだけど……と言ったら、

 

「あっはっは、そりゃないって。だって半分くらいは『こうなるんじゃないかな』とか『なってもおかしくないな』って思ってたもん」

 

「……? 私が、こうって……え、何で?」

 

 私すら思いもしてなかったこの心境の変化を、取陰は予想していたという。

 何だってそんなことが……と、当然ながら不思議に思う私。

 

 しかし、理由を聞かされてみれば……なるほど、と思う他なかった。

 

「だって、緑谷ってそのくらいいい男だってあんたが言ってたじゃん。だったらさ……そういういい男を自分のものにしたい、自分だけを見てほしい、自分と一緒に2人で幸せになりたい……そんな風に思うのは、女として当然のことでしょ? それに……何があったのかはわかんないけどさ、あんた前より『女』っぽくなったって感じしてるし、だったらそう思ってもおかしくないじゃん」

 

「えっ、あ……」

 

「つまるとこ、女だからこそそう思うだろうし……より女らしくなったあんたにもそれは言える。ぶっちゃけ考えるまでもなく、そうなるって思えるよ」

 

 ……こりゃ一本取られた。

 

 なるほど、女であれば誰でもそう思う。そういう心理……か。

 ……本格的に私は、緑谷に……心も体も、女にされちゃったんだなあ。

 

 なんだかそうしみじみ思っていると、取陰は『それはそうと』と言葉を続け、

 

「まあ、何がきっかけになったのかはあえて聞かないよ。もしかしたら、あんたが私達……私や、麗日、塩崎や蛙吹とかよりも、1歩……どころじゃなくリードしちゃったのかもしれないけどね。それでいて、みんなで幸せに、っていう選択肢はなくなったのかもしれない。でも……」

 

 でも?

 

「そうなったらそうなったで、普通の恋愛と同じようになるだけだけどね?」

 

「……? その心は?」

 

「争奪戦。私……諦めるつもりとかは、微塵もないかんね? 多分だけど、他の連中もそうだよ」

 

「! ……はは、こりゃまいったな、油断できないことになりそうだ……ま、これが『普通の恋愛』になるかどうかは別として」

 

「確認できてるだけでも、恋敵5人のサバイバルだもんねえ……」

 

 その後、取陰ともしばらくとりとめのない話題で話して――結局取陰は最後まで、私に『何があったか』は直接には聞いてこなかった――そのまま別れ、私はマンションに戻った。

 

 家を出る前にはまだ『疑問』のままだったそれに、1つの答えを見つけて……それが、何のことはない、私も1人の『女』だったからだとわかったからには……あとはもう、自分を受け入れて、これからの幸せな生活のために、1日1日を大切にして邁進していくだけだ。

 

 午後の分の予習復習を済ませ……その後は、軽く体を動かす。鈍らない程度に。

 合間におやつ(買って来た)を食べてエネルギー補給。

 

 夕食を、今回も2人分(と言いつつ量は10人分をオーバー)作り、緑谷と一緒に食べ、食事中と食後、楽しく談笑して過ごし……

 

 ……その後は、2人そろってちょっぴり今日も夜更かしして……

 明日に影響が出ないように、きちんと後始末をして、部屋に戻って寝た。

 

 ……どうやら私は、緑谷の方から、遠慮せず『欲しがって』もらえるくらいには、壁を取っ払ってもらえたというか……気の置けない相手になれたみたいだ。実に嬉しい限りである。

 

 ともあれ、明日からまた学校。

 気持ちをきちんと切り替えて、しっかり学ぶ日々に戻るとしよう。

 

 マイナスイオンの100倍リラックスできる、彼の匂いの残る布団に包まれて……私は、ここ最近本日二度目の『心地よい疲労感』の中で、横になり、目を閉じた。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 ―――プルルルル……プルルルル……ガチャッ

 

「ああ、ようやくつながった……もしもし、ナイトアイ?」

 

『オールマイト……どうかしましたか? 何か急ぎの用件でも?』

 

「いや、急ぎっていうか……ほら、君から例の、栄陽院少女の話というか報告というか、まだ聞いてなかっただろ? それだけならまだしも、なんかここ最近連絡つかないし、事務所にも顔を出してないようじゃないか。少し気になってね……そっちこそ、何か急な仕事でも入ってたのかい?」

 

『それは……申し訳ない、心配をおかけしてしまったようで。そうですね……急、かどうかはわかりませんが、少し調べものをしていまして。例の件にも関わることでしたので』

 

「そうなのか。それならいいんだけど……それで、何かわかったりしたのかい? 緑谷少年から話を聞いた感じだと……彼女も『視た』んだろう?」

 

『……それについて、ちょうど、色々とお話ししたいことができたところでした。確か、雄英高校は期末試験が終わったくらいの時期でしたね。直接会って話せますか? できれば……そうですね、ご足労をかけますが、私の事務所だと一番都合がいいかもしれません』

 

「もちろん構わないよ。こっちも仕事がひと段落したところだったしね。今までよりも少し余裕ができたから、私も緑谷少年に指導する時間なんかが、今後少しはとれるようになるかもしれない」

 

『それは重畳ですね。いつでも好きな時にお越しを。疲れた胃に優しいハーブティーなどを用意しておきますので』

 

「HAHAHA、そりゃありがたい……けど残念ながら私、胃袋ないぜナイトアイ!」

 

『そうでしたね。ただ、時折あなたは『ないはずの胃が痛む』などということをおっしゃってもいましたので、今のうちにきちんと用意しておいた方がよろしいかと思いまして』

 

「……え、待ってナイトアイ。今、私の胃が幻痛を覚えるようなシチュエーションで話すことになるってことを前提にして話してる? え、ちょ、何を調べて何を見つけたの、ねえ君?」

 

『それについては当日お話ししましょう。……ああ、そう言えばグラントリノはたい焼きやどら焼きなんかの甘いお菓子が好きでしたね、用意しておかないと』

 

「ちょっとナイトアイ!? い、今なんて……え、先生来るの!? ひょっとして君の用事っていうか調べものにも1枚かんで……もしもし!? もしもーし!?」

 

 

 

 

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