TSから始まるヒロインアカデミア   作:破戒僧

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第114話 『個性』伸ばし

 『個性』とは身体機能であり、筋肉と同じように、使えば使うほど成長し、強くなる。逆に、使わなければ錆びつき、衰える。

 そして、筋トレと同様に、効率的な鍛え方ってものがきちんと存在する。

 

 私の家にはそのノウハウがきちんとあり、ここ数週間は母さんからそれを教わりつつ鍛えて来たが……私のそれは、やはり『コントロール』に比重を置いていたため、それによって瞬間的な馬力は上がっているものの、爆豪や常闇同様、絶対値的な量を増やすには至っていない。

 

 さっきのソフトボール投げは、あくまで『爆豪よりは効率的に鍛えてたし増えてるから』という結果であって、あくまで比較上の話なのだ。

 

 なので、その絶対量を増やすこと……つまりは全体的な『地力』の底上げこそが、私がこの合宿でやることの内容である。

 

 

 

 雄英ヒーロー科1年、A組とB組……そして、プラスアルファの特別枠で参加することになった心操と青山、総勢42名。

 

 この人数の面倒を一気に見るために、四位一体のヒーローチーム『ワイルドワイルドプッシーキャッツ』に声がかかった。

 

 ラグドールの『サーチ』で全体をモニターし、ピクシーボブの『土流』で訓練に見合ったフィールドを形成、マンダレイが『テレパス』で各自に、複数同時にアドバイスを飛ばし、虎が殴る蹴るの暴行……最後のは何か他に言い方はなかったんだろうか?

 まあ、やってることは単純に体を動かしたりする系の、相手が必要な指導のようだけど。

 

 雄英の人員にも限りがあるため、大人数の教員をこの合宿に動員することはできないし……最近は『敵』の活性化、特に『敵連合』の蠢動もあるため、あまり大規模に動くことはできない。

 ゆえに、最小限の人員で最大限の効果をたたき出せるこのチームに白羽の矢が立ったわけだ。

 

 しかし、そこに先生2人を加えた6人では……まだ足りないらしい。

 例年通りならそれでもよかったのかもしれないが、今年のヒーロー科プラスアルファは、うちの母さんこと『アナライジュ』の強化カリキュラムによって、例年より進んでいる。ゆえに、さっきソフトボール投げで明らかになったように、『個性』訓練の進捗状況に多少のばらつきがある。

 

 中には、例年同様のやり方では十分に成果を期待できない人もいる。

 

 今年のカリキュラムは、個々の実力を『最大限』伸ばすことを目的にしている以上、それを『仕方ない』『ある程度は伸びる』で妥協してちゃいけないってことで……さらに数名、追加の人員に声がかかっている。規模が大きくなりすぎないギリギリを見極めて。

 

 で、その1人が……

 

「授業参観かっての……」

 

「はい、文句言わない。手も口も止まってるわよ、永久」

 

「止めてるんだよ……ちょっと休憩させてくれ。もう腹に入んない……」

 

「だからペース配分考えなさいって言ったでしょうに……しょうがない娘ね」

 

 うちの母その人である。

 

 といっても、もちろん私の保護者としてきたわけではなく、プロヒーロー『アナライジュ』として、この合宿全体の総監督を行うために来たのである。まあ、今年度のカリキュラムの作成責任者みたいな立場にいるわけだし、立場的には自然なことではあるな。

 

 今は単に、私の『無限エネルギー』の操作のために、最初にコツを指導する係についてくれているだけだ。見通しがつけば、他に行く……というか、全体を見る作業に戻る。

 

 なお、これは私が特別というわけじゃない。

 

 微妙に自画自賛になるが、今回の合宿において、一定のレベル以上にまで『個性』の成長が既にみられる者や、そもそも個性自体が特殊な者に対しては、他の生徒よりもピーキーな指導・調整が必要になることが考えられるため、一時的にではあるが個別のコーチがついたり、むしろ個別指導をメインにしたりするのだ。

 

 例えばあっちでは、飯田がひたすら走って足腰を鍛えている。あいつの『個性』は脚力と直結するものだから、その鍛錬方法はシンプルなものだ。

 別な場所では、梅雨ちゃんが跳躍やら舌伸ばしを繰り返して、『蛙』としての力を鍛え上げてるし……さらに向こうでは、B組の拳藤がサンドバッグを殴っている。

 

 どれも、『個性』に由来する体の各部を、『個性』と合わせて鍛えているわけだが……注目すべきは、今言った全員が、腕や足に見覚えのある『ギプス』をつけている点だ。

 

 アレは言わずもがな、ラバーが作ったものである。私と緑谷に、『デウス・ロ・ウルト』で施したのと同じものだ。各自の体の状態に合わせて誂えた、オーダーメードの強化ギプス。

 もちろん、私らみたいに全裸の状態から着けさせるわけじゃないし、そもそも体の一部分にしか装着していない。飯田と梅雨ちゃんなら足、拳藤なら肩から拳にかけてだ。

 

 それでも、体に見合った動きを心がけたりしないと動きづらかったり、効果的に全体に負荷をかけて筋肉の成長を助けたりと、性能は十分。少なくとも、市販品なんかじゃ比にならないレベルのものであると言える。

 

 私達を鍛えた時のアレは……私らの羞恥心とか倫理観を完全に取っ払って、その分も修行に全振りすることが可能だったからできただけだ。あと、私も緑谷も増強系だから、全身満遍なく鍛える必要があったってことで。

 

 更に別なところでは……あの『魔獣の森』で出現した、アンデッドやら何やらが出現し続けていて、それを相手に戦い続けている者が多数。

 いや、一概に『戦い』かどうかはわかんないけども。

 

 やっているのはやはりというか『パンドラズ・アクター』だ。ラバーもそうだけど、やっぱりここ来てたのね……。

 

 パンドラズ・アクターによって生み出された無数のモンスター達を相手に、スパーリング……と呼んでいいのかどうか微妙なガチバトルを繰り広げている面々が多いわけだが、戦い方はそれぞれ違う。

 

 例を挙げれば、B組の鎌切は体から出す刃でひたすら敵を切り刻んでる。しかし、出せる刃には長さにも数にも限りがある。あっちこっちから敵が出てくるので、素早く出し入れして切り替えて迎撃しないと、数の暴力的なアレで組み伏せられて倒されてしまう。その訓練か。

 

 そのちょっと向こうにいる角取は、上空から飛んで襲ってくる昆虫型の奴を、『角砲』で撃ち落としている。彼女は、あの角のコントロールと馬力、それに同時に操れる数が課題らしい。

 

 他にも、単純作業の繰り返しでは対応できなかったり、ピクシーボブの『土流』や、虎の『我ーズブートキャンプ』ではカバーしきれない点を補填するのが彼の役目のようだ。

 

 しかしあの人の『個性』、ホント謎だな。いろんな人に変身できて、その『個性』まで使えて……一体どんな『個性』なんだ? 個性名が『ドッペルゲンガー』だってこと以外、制限とかデメリットも含めて一切不明だし……まあいいや。

 

 ま、他の人は置いといて……私の場合は、さっきも言った通り『底上げ』だ。

 

 なので今何をやっているのかというと……ひたすらゼリーを食べている。

 

 ただのゼリーじゃない、特別製の、超高カロリー、超高速消化の栄養補助ゼリーだ。少量で大量のエネルギーを、栄養素的にもバランスよく摂取できる代物。

 ただし市販品ではない。栄養価が高すぎるため、普通の人が下手に取ると逆に体を壊す可能性が高いためだ。

 

 というかコレ、そもそも食品ではなく、どっちかっていうと医薬品にカテゴライズされる。本来は病院とか指定医療機関・施設なんかで、栄養失調で即時のカロリー補給が必要な人や、胃腸が弱っていたり異常があるため、普通の食事が食べられない人向けに使用されているものなのだ。

 今回、私の訓練のために、特別に発注してもらって大量に届けられた。それを私は、どんぶりに山盛りにして片っ端からかき込んでいる。

 

 私の『個性』なら、どれだけのオーバーカロリーだろうが太らず、体調も壊す心配はない。その分が全て『エネルギー』に変換されるから。

 たださっきまでずっと食べてたせいで、物理的に容量オーバーになって……お腹たぷんたぷんになっちゃったので、ちょっと休憩してた。

 

 で、あらかた消化できたようなので、その補給したエネルギーを使って……今度は、筋トレ。

 

 立ち上がり、そばに置いてあるロープを手に取って……その先につながっている、おもりが大量に積まれたそりを引っ張って歩き出す。指定されたコースを、延々と引っ張って歩く。

 気分は、サンタさんのそりを引っ張って走るトナカイか何かである。

 

 要するにあれだ……野球部員とかが、タイヤをロープで体につないで、それを引っ張って走って足腰を鍛えたりするじゃん? それと同じようなことやってるんだ私、今。

 

 そして、そりに乗ってるおもりはただのおもりではない。期末試験の時に先生たちが使っていた、小型でもとんでもない重量のある超圧縮おもりだ。

 ブレスレット状のものが8つほどで、オールマイトの体重の半分……100㎏オーバーの重量になるそれを、何十個もそりに積んでいる。そして、そのそりから繋がるロープは、引っ張っても切れないように、金属繊維を編み込んだ特別製だ。

 

 早い話が、超重い。

 

 具体的に言うと、このおもり満載のそりは、私が『個性』を使用して、強化上限まで強化して全力で引っ張っても動かせないくらいには重い。

 なので、ほんの少しではあるが、限界を超えた強化をした上で引っ張らないといけない。それによって体全体への負荷をかけ続け、慣らしていき、『上限』を上げる試みだ。

 

 エネルギーが尽きるまでこれを続け、尽きたらまたゼリー食べて補充して、また引っ張る。この繰り返し。

 

(なんか……私が、一番最初に緑谷にやってあげたのと、同じようなことやってるな……偶然だろうけど……なんか、無駄に感慨深い……)

 

 今の私の、サポートなしでの強化上限を、10~20%かそこら上回る形で『エネルギー』を充填し、全身に鈍痛を覚えながらも、そりを引っ張って引っ張って引っ張り続ける。

 今日はこれを、午前中いっぱい続ける予定だ。午後からは……別な何かメニューに行くらしい。

 

 しかし、やっぱきついなコレ……限界を超えて力を使うのは、負荷もそうだけど、コントロールも精度だだ下がりになるから、エネルギーの枯渇が速い……

 

 枯渇したら……いや、枯渇してからじゃ消化間に合わないので、エネルギーが少なくなってきたタイミングで、そりに積んでいるゼリーを開けてかっこんで、また歩く。その繰り返し。

 

 時々、走り込みがてら飯田がやってきて、『補充だ!』とゼリーの箱をどさっとそりの上に置いていってくれる。マンダレイから『テレパス』で受け取った指示で、配達役やってくれてるらしい。そりに積んでるゼリーが丁度なくなるタイミングで来てくれるので助かる。

 

 しかし、繰り返すほど体中が痛くなってくる……それでも、続ける……めっちゃきつい。

 

 ここまでやってんだから、伸びてくれよ……私の『個性』よぉ……!

 

 

 ☆☆☆

 

 

Side.緑谷出久

 

「んん……見事ですね、緑谷出久君。少し見ない間に……また1つ、いや2つも3つも段階を上げてきましたか」

 

「ありがとう……ござい、ますっ!」

 

 褒められたことにお礼を言いながら……僕は、重くて動かない手足を懸命に、しかし雑にはせずに最適な動きで動かしながら、戦い続ける。

 

 相手は、今しがた僕の成長に驚いていたパンドラズ・アクター……ではなく、その彼が作り出した巨大なアンデッドだ。

 それも、昨日『魔獣の森』で戦ったスケルトンっぽい奴とは比較にならないほど危険そうな奴。

 

 一応、『死の騎士(デス・ナイト)』という名前があるらしいそいつは、デカいわ怖いわ……あとでかい剣と盾持ってるわで、どう見てもゲームとかの中にしか出てこないような凶悪な見た目をしていた。そして、見た目通り強い。

 

 剣は刃を潰してあるようだけど、当たれば大ダメージなのは変わらないし……それ以上に守りが素早く、そして堅牢で、中々ダメージを与えられない。盾でことごとく防がれるし、あまり大きく動くと攻撃後の隙を突かれる。

 

 しかも僕は今、ラバーエンプレスによって作られた、懐かしき『ハードラバースーツ』を身にまとわされている。服の上から着る簡易版だが――ここでまた『全裸になれ』とか言われなくてよかった――性能は健在なので、雑に動くとあっという間に体力が尽きる。

 

 満足に動かない体……超がつくほど強力な敵……一瞬も油断できない戦い……なるほど、いかにも強くなれそうな、地獄の特訓だ。

 

「前もそうでしたが、緑谷出久君……君の『個性』は、『伸ばす』というより『起こす』と言った方が正しい伸び方をする。君自身の成長や経験と合わせて、相乗効果的なそれが期待できます。ならばただ単に体を鍛えるよりも、その使い方を同時進行で学習すべき。まあ、やっていることはいつもとあまり変わりませんから、不満かもしれませんが……」

 

「そんなこと、ない、です……強くなる、ために、できることは……全部っ、やりたいですから!」

 

「うむ、その意気やよし! ではまず、その『死の騎士』を倒すところからです。私は他の生徒を見に行きますが、倒されたら察知できるようになっていますから安心しなさい」

 

「はい!」

 

 もちろん、こうして話している間にも攻防は続いている。剣をかわして攻撃し、盾に防がれて後ろに飛んで追撃をかわす……単純に攻めてたんじゃダメだ、いつまでたっても終わらない。体力がなくなる前に、こいつの動きを見切れ……

 

 今までと同じように……

 

 摘発の時に『死穢八斉会』の乱破を、

 追試の時に栄陽院さんを、

 それぞれ、観て、学んで、超えたように……

 

 考えるな、感じろ……全てを……僕の、糧に……!

 

 

 ☆☆☆

 

 

「期待通り……いえ、それ以上の成長速度ね。また強くなってるわ、彼」

 

 パンドラズ・アクターが去り、緑谷が、極限の集中状態……永久が冗談交じりに『身勝手の極意』と呼んでいる状態になった際、それを見ている者がいた。

 

 木立の向こうから……邪魔にならないように気配を消している、アナライジュである。

 

「彼に何よりも必要だったものは、『自信』……言葉そのまま、『自分を信じる』ということ。完全にものにしていると言ってよさそう……ふふっ、いい仕事してくれたみたいね……永久」

 

 呟くようにそう言ったアナライジュは、先程よりも速く、力強く、そして危なげなく……徐々に余裕まで出して『死の騎士』の猛攻をさばいていく緑谷を見ながら、笑みを深めた。

 

 いわゆる『無我の境地』や『ゾーン』といった呼ばれ方をする、スポーツ選手などがしばしば体験する極限の集中状態。一説には、そうなるために必要なのは、『自分を信じること』だと言われている。

 

 まるで体が勝手に動いているような状態になるそれらの境地においては、無論、実際にはきちんと脳が考えて体を動かしているわけだが……一切の迷いも無駄もない思考と、それと一続きになった体の反応、動作が、そう錯覚させる。

 そんな不思議で不確かな感覚にも構わず、今までの自分の経験と努力、そして力を信じて『託す』ことができなければ、それ自体を『強さ』として形にすることはできない。

 

 10年以上もの人生を『無個性』として卑屈に生きて来た緑谷には、それが決定的に足りていなかった。自分は弱い、周りより劣っているのだと、心の底にまでしみついていた。

 

 ゆえにアナライジュは、『デウス・ロ・ウルト』のプランの中で、なるべく緑谷に、自分の成長を目で見て感じ取れるようにさせることで、自分は確かに強くなれているのだと自覚させ、少しずつその卑屈さ、後ろ向きさを取り払っていった。

 

 ともすれば、初期の爆豪のように、過剰な自信や傲慢さにつながりかねない手法ではあるが……言っては何だが、緑谷はそもそものラインが低かったので、むしろちょうどよかったと言えた。

 

 さらに幸か不幸か、緑谷の場合は、オールマイトという雲の上の存在が常に頭にあったことや、グラントリノやサー・ナイトアイ、ルミリオンといった、自分よりも強い『壁』に適宜出会えていたことにより、天狗になることなく、強さを積み重ねていくことができていた。

 

 着実に力をつけていき、それを驕らず諫め、正確に認識・把握する。

 その繰り返しでここまで来た緑谷は、その過程で、アナライジュの狙い通り、『自信』をも育て上げてきた。傲慢には結び付かない、堅実で健全な自信を。

 

 そして、その最後の一押しになったものが……他ならぬ、永久だった。

 

 フィクションなどではよくある話である。男が一人前になるのはいつか。

 ありがちな物言いになるのかもしれないが……緑谷の場合も、『それ』を経験し……それが最後の一押しとなって、自分への自信につながった。

 

 あるいはそれだけではなく……永久という、誰に聞いても『美少女』と評価される容姿を持ち、また将来有望なヒーローの卵でもある彼女が……自分のことを認め、『主』としてついていきたい、と伝えて来たこともまた、永久という1人の女を通して、自分という存在を見ることができた理由なのかもしれない。

 

 いずれにせよ、緑谷出久は、栄陽院永久を自分のものにしたあの日、同時に確固たる自信を持った。

 かつてターニャに言われた、『欲するならば、それに足るだけの者となれ』という言葉の通り……永久の主として、彼女に釣り合うだけの男であろうと、胸を張って前を向いて進もうと決めた。

 

 そしてそんな、たった1つの決心が、精神の成長となり……かけがえのないピースとなった。

 今までそれがなかったがゆえにできなかったこと全てが、緑谷の手に収まった。

 

(見初めた主の強さの一部になる……『幾瀬』の者としてこれ以上の喜びはない。ふふっ、よかったわね永久……そして、緑谷君がそうなったのなら……次はあなたの番)

 

 ここはもう問題ないだろうと、結局最後まで存在を悟られることなく、踵を返すアナライジュ。

 去り際に、緑谷が『死の騎士』の頬に拳の一撃をクリーンヒットさせたのを見た後、そのまま歩き去った。

 

 歩きながら……誰にも聞かれることのない独り言を、つぶやくように口からこぼす。

 

「あの子も、『主』と定めた緑谷君に、身も心も女にされた……緑谷君は、『個性』も含め、着実に成長している……となれば……そろそろ、だと思うのよね……」

 

 呟きながら、歩いて行く。

 行き先は……恐らく、もう間もなく全身の痛みが限界になり、『エネルギー』の量に関係なく動けなくなっているであろう、娘のところだ。

 

(あの子の『個性』は……『オール・フォー・ユー』は、間もなく本性を現す……。その真価は、エネルギーの貯蓄や譲渡でもなければ、その操作でもない。己の『全て』を主に捧げて尽くすための、献身の極致たるその力こそ……私達『幾瀬』の誇りにして、理解されえぬ狂気……!)

 

「明日以降が楽しみね。ふふ……永久、あなたはどう『変わって』いくのかしらね……愛しい彼のために……!」

 

 

 

 

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