TSから始まるヒロインアカデミア   作:破戒僧

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今更ですが、合宿編、神野編共に、結構ガッツリオリジナル展開が入っていく予定です。
なんかしれっとタイトルからしてそうなってますしね、最早……今回……


第118話 合宿、4日目、折り返し

Side.緑谷出久

 

 本日、合宿4日目。

 一週間ある日程のうちの……折り返し地点である。

 

 『個性伸ばし』の訓練もかなり順調に進んでいる。

 

 普段やっている、技量や体力づくりを重要視した訓練よりも、『個性』そのものの成長にしぼって行っているだけあり、成長をより実感できるってのがモチベーションにつながってるな。

 

 加えて、適度に用意されている息抜きとかも、僕らのコンディションを維持してくれている。

 

 3日目には、2日目同様の豪華な夕食に加え、クラス対抗肝試し大会っていうレクリエーションもあって、皆で楽しめたからね。

 

 夕食に関しては……2日目の夕食、食材だけ提供して、有志が揃ってプラスワンどころじゃない豪華メニューを作ってそれをみんなで平らげ、3日目もいいコンディションで行うことができた。美味しい食事って、やっぱ活力に変わるんだよね。

 

 それがもたらす効果を鑑みてか、先生達、夕食のメニューによる士気向上も利用することにしたらしく……3日目の夕食も、『食材はあるから作りたければ作れ』みたいな感じで、肉じゃがだけでなく、色々なメニューを自力で作って楽しめる形にされていた。

 

 そして今日もそこで腕を振るう、料理得意組。

 栄陽院さんや砂藤君を筆頭として、その他腕に覚えのある、多少なり経験のある人達が台所(といってもレンガとかで作った屋外の炊事スペースだけど)に立った。

 

 しかも今日は、昨日はそこにいなかった面々……青山君や麗日さんなんかも加わって、『今日は私も!』とばかりに得意なものを作っていた。

 なので、また昨日とは違ったメニューで舌も目も楽しめる食卓になった。

 

 種類は滅茶苦茶だったけどね。皆適当に得意料理作ったから……。

 

 皆で作るメインの料理である肉じゃがに加えて、豚の生姜焼きや肉野菜炒めといった家庭料理。

 

 そこに、スパニッシュオムレツ、ナポリタンスパゲティ、エビシュウマイ、カニチャーハン、フレンチトースト、ポトフ、鶏のから揚げ、ホイコーロー……その他色々。

 最初ご飯だけだったはずの主食が、パンと麺類までそろってるのに加え……おかずも充実したなあ。和洋中その他ごちゃまぜの、でもどれも美味しい料理ばっかりだった。

 

 これらの料理が僕らのエネルギーになり、明日の活力になり……そしておそらくだけど、明日の料理を作る活力にもなるんだろうな。なんか不思議。

 もちろん、今日も残さず食べました。

 

 ちなみにこれらの食材はどうしたのかというと、今日もワイプシの皆さんからの提供……ではなく、雄英の方で手配したそうだ。

 がっつり食べさせた方が効率上がると見たらしい。英断だと思う。

 

 それにしたって、昨日の夜か今日になってから注文してよくこれだけ用意できたな。しかも、こんな山の中に届けてもらって。

 

 と思ってたら、どうやらコレ、アナライジュが……栄陽院さんのお母さんが何かしたらしい。

 

 彼女、今年の1年生の指導に一役買っている関係者枠であるのに加えて、今回、ワイプシの皆さん以外にここに『講師』として来ている、ラバーやパンドラズ・アクターの紹介ないし手配に関しても一肌脱いでるらしいから、合宿自体のメニューにも色々口とか手も出せるんだって。

 

 例えばだけど、僕らの成長度合いが例年の1年生と同じか、さして違わないようであれば、講師は極端な話、ワイプシの皆さんと相澤先生、ブラドキング先生の合計6人態勢でも大丈夫だったらしい。大人数で動くのは目立つし、追加講師は手配しなかったと思う、とのことだ。

 

 しかし、自分で言うのもなんだが……今年の一年生は、個人差はあるとはいえ、例年よりかなり今の時点で強化されている。ゆえに、例年通りのやり方じゃ、この『合宿』の間に力を伸ばしきれない。それは、『合理的でない』。

 

 なので、僕らの成長という目標に最低限必要な面子を行使で揃える必要があり……その段階で、アナライジュの人脈やら何やらを使ったと。大活躍だな……というか、僕ら知らないところで、随分彼女の世話になってるな。

 

 僕なんか、親子二代にわたって面倒見てもらってる形になるのか……なんか複雑。

 

 ともあれ、そんな感じで、僕らが最も効率的に強くなれるように、全てのスケジュールを随時見直しながら進めているわけだ。食事や、レクリエーションによる気分転換もそれに含まれる。

 

 きついのを歯を食いしばって耐えながら一週間過ごすってのも、それはそれで根性やら忍耐力が養われるのかもしれないけど、より伸ばすなら、やる気を高く保った方が効率的だろうしね。

 

 僕らとしても、この合宿が『大変だった』というだけのものに思い出の中で染まってしまうのは寂しいし、楽しい思い出と充実した修行時間が両立した夏の日々でいられるのはありがたい。

 

 そんなところにも気を配ってくれている先生たちの思いに報いるためにも、残りの日程、全力で頑張らないとな……!

 

 

 

 その後の肝試しも、クラス対抗で『個性』を駆使して脅かし合って……怖いけど楽しい時間を過ごせた。

 

 B組……ガチだったな……

 結城さんが『ポルターガイスト』で物を飛ばしてきたり、黒色君が潜んだ黒いものを『支配』でいきなり動かして脅かしてきたり……。

 

 他のネタで脅かされて走って逃げよう、さっさと通り抜けようとしたところで、円場君が作った不可視の『空気凝固』の壁で通れなくて焦ったり。

 

 一瞬目を離した隙に、小大さんが『サイズ』で縮めて配置してたものをいきなり大きくして、そのせいで一瞬でその場に現れたように見せたり……

 

 あと、来るだろうとは思ってたけど、それでもやっぱり怖かった……取陰さんの『トカゲの尻尾切り』……バラバラ……生首……完全にホラー映画だったよ……

 

 後個人的に一番怖かったのは、最後の最後に待ってた物間君だった。

 

 失禁(リタイア)せずに最後まで来た人に対して、いつもの彼お決まりの彼の憎まれ口がマシンガントークで投げつけられて……けどまあ、これも無事に終わらせることができた結果みたいなものだと思えば、いいかな、とか思って油断してたところに、それは来る。

 

 作り物で偽装されていた背後の壁を切り裂いて、突如現れる鎌切君。

 その刃で切断される物間君の体。宙を舞ってごろんと足元に落ちる、驚いた表情の首や、ぴくぴくと痙攣し続けている手首。飛び散る血しぶき。

 驚いて逃げようとした先で道を塞ぐように出てくる、ビーストモードの宍田君。

 

 この、パニック映画のラストの奇襲かよってな感じの奴が……うん、怖かった……。

 

 あ、もちろん物間君のアレは、取陰さんの『個性』を『コピー』した結果のものだったんだけどね? 血糊ももちろん作り物だったんだけどね?

 ちょっと考えればわかったはずなのに……アレは本気で驚いたっけなあ……

 

 

 

 そんな感じで3日目を終えた僕らは、無事に4日目に突入しまして……そこで冒頭に戻るわけだが、この日はなぜか、朝一番でA、B組と心操君、青山君も含めた全員が集められた。

 

 宿泊所の入り口前に集合して並んでいる僕らの前には、この合宿で講師役をしてくれている人達が勢ぞろい。担任2名とワイプシの4人に加え、パンドラズ・アクターとラバーエンプレス先生、そしてアナライジュもだ。

 

 その中の1人である相澤先生が、全員を見回して口を開く。

 

「さて、今日も楽しく特訓なわけだが……その前にお前達にあらかじめ言っておくことがある。なので、始める前にこうして集まってもらった」

 

「といっても、別にこれから抜き打ちテストやら何やらが始まるわけではないから安心するがいい。今後の予定やら何やらについて通知・確認しておくだけだ」

 

 と、ブラドキング先生も続けて言う。

 

「まず、以前少しだけ話してある通り……今年の1年ヒーロー科、その当面の目標は、緊急時における公共の場での『個性』使用及び戦闘の許可……すなわち、ヒーロー活動の『仮免』の取得だ。昨今、『敵連合』を始めとした『敵』の活性化が無視できない規模になっていることを考えれば、お前らにも自衛の手段、ないし、ヒーローとして切れる手札も相応のものが必要だからな」

 

「また同時に、例年に比してお前達はかなりのハイペースで成長できている。現段階で既に1年生レベルを逸脱している者も珍しくないほどにな。であれば、それに即した進行度までカリキュラムを『前倒し』することも当然選択肢の一つ……ことを早く進めれば、それだけ多く、深く学ぶことができ、同時にお前達であればそれだけのことができるだろうという、雄英からの期待でもある」

 

 教師2人からの叱咤激励に――相澤先生のは事務的というか、ちょっとストレートでない分わかりにくいけど、よく注意して聞くときちんと期待してくれてるのがわかる――心身を引き締める僕達。ごくり、と誰かがつばをのんだ音が聞こえた。

 

「しかし当然、その取得の難易度はかなり高い。例年、合格率は5割を切る……まして、出てくるのはほとんどが他校のヒーロー科、2年生以降の生徒……要するに、お前達よりも経験を積み、より多くのことを学び、『個性』を磨き上げた連中だ」

 

「当然一筋縄ではいかん。今のままでは、いかにお前達の実力が例年以上のものがあれど、足りていないことが多すぎる……ゆえにこの合宿での『個性伸ばし』に加え、これ以降のさらなるカリキュラムの消化をもってその下準備とする予定だったが……先程も言ったように、お前達はこの短期間においてもわかるほどに成長が順調だ。ゆえに今のうちに、予定だけ話しておく。もし可能であるならば……合宿中にその領域にまで進むという選択肢も、場合によってはあるだろうし、『それ』を見据えて今の自分に磨きをかけていくというのもとれる手の1つだ」

 

 いいか、とブラドキング先生が……なんだろう、わざとらしくためを作って言う。

 僕らはその次の句を、固唾をのんで待つ。

 

「仮免試験の実施は、時期的に見て夏休み明け直前。それまでにお前達には、最低、1人2つ……

 

 

 

 『必殺技』を作ってもらう!」

 

 

 

「学校っぽくてそれでいてヒーローっぽいのキタァァア!!」

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 全員、おめめキラキラだな……緑谷も含めて。

 まあ、無理もないけど。この展開は……男の子にとっては、いや女でもたまらないだろう。

 

 仮にもヒーローを目指す者として、魅力的過ぎる単語だ。

 

 必殺技。

 読んで字のごとく、『必ず殺す技』。

 

 ……まあ、さすがにそれはないけども……要するに、相澤先生達の言いたいことは、『仮免試験』に向けて、自分にとっての『必勝の型』を作り出せ、というものだった。

 

 改めての説明にはなるが、『必殺技』というのはいわば『自分を象徴する技』。

 

 これさえ使えれば有利になる、という常勝のパターンであり、自分にとっても味方にとっても、そして守るべき市民達にとっても、その存在そのものがある種の精神的支柱になる。

 逆に敵にとっては、警戒すべき対象であり、自分の存在をそのまま脅威として決定づける要素になり、ものによっては戦意そのものを減衰させ、あるいは砕く要素足りうる。

 

 有利な状況で使って勝負を決定づけるもよし、不利な状況を覆すための切り札として使うもよし……そういう、状況を問わず安定した成果をたたき出せる、っていうのもまた、『必殺技』の存在意義であり、それができるというのはすなわち、その分高い実力を持っていることになる。

 

 当然、存在そのものにそんだけのネームバリューを持たせるんだ、相応の効果を持っていることが前提になるし……あるいは、それを使って勝利やら何やらの『実績』を積み重ねることで、ネームバリューそのものが持つ力ってやつも増えていく。

 

 だからこそ、先生達は伸ばした『個性』を十全に生かすものを、って指定したんだな。

 

 他の人にはない自分らしさ……それを最も簡単に表すには、自分だけの力……すなわち『個性』を使うのが一番確実だし、有効だから。

 

「うおおぉぉおお! やっべぇぇええ、テンション上がってきた! コレ、もう今日から修行入っていいんすか!?」

 

「落ち着け上鳴、さっき言っただろ……全員がすぐに『必殺技』作成に入るわけじゃない。そもそも、この合宿自体が『必殺技』の下準備だ。作成を見据えて修行をしたり、カリキュラムに取り込むのは構わんが、本格的に着手するのは、土台が十分に固まったと判断できた者だけだ」

 

「基礎となる『個性』の成長度合いが中途半端のままそういうのを作っても、小手先だけの技にしかなりませんからね」

 

 と、今度はラバー。

 

「ただ単に名前を付けて、ちょっと強力で見栄えのいいだけの技を作ったとしても、それがヒーロー活動……こと対人戦、ないし対『敵』戦において、十分な威力を発揮できるものでなければ、それは『必殺技』とは呼べません。例えば……今発言した上鳴電気君?」

 

「え? あ、はい」

 

「君の個性『帯電』は確かに強力ですが、デメリットも多く、そして重い。電撃の収束が甘いゆえに、名前の通りの『無差別』の放電で味方を巻き込みかねず、使いすぎればウェイになってしまう」

 

「あ、はい、確かにその通りなんですけど……一応その辺は今、サポートアイテムで改良中でして……あとウェイってすいませんちょっと間違ってないんですけど言い方もっと他に……」

 

 ちょっと切なげなトーンでの上鳴の抗議をさらりと流し、続けるラバー。

 

 なお、視界の端で耳郎が必死で笑いをこらえております。気持ちはわかる。

 

「ええ、もちろん知っていますよ。そうやって創意工夫を凝らして自分の長所の強化、弱点の抹消に努めることは重要です。そうでなければ……体育祭でも使っていた、君の『無差別放電130万ボルト』……あれは残念ながら、『必殺技』と呼ぶにはギリギリ不適格ですからね」

 

 それを聞いて、『うっ』とたじろぐ上鳴。

 事前にトークの中でその理由を説明されていたからだろう、反論もないようだ。

 

 まあ実際、あの技は……周囲に味方がいないことを前提にした、文字通り『無差別攻撃』だからなあ……加えて、『帯電』を『放電』にまで持っていくレベルの出力を要するから、高確率でウェイになる、継戦能力ってものと無縁の技でもある。

 

 そんな技は、威力がいくら強力でも、自分を象徴する『必殺技』にすることはできない……ってわけだな。最低限、デカすぎるデメリットをどうにかした上でないと。

 

「逆に、単純な技でも十分な威力、及び実用性を持たせることができるならば、それは『必殺技』足りうるということでもあります。なんならそれは攻撃技である必要性もない。例を挙げるなら……超加速で一気に戦いのペースを持っていく、飯田君の『レシプロバースト』や、大量のツルで一気に広範囲を制圧する、塩崎さんの『ヴィアドロローサ』、単純なストレートパンチながら、ヒットすればまさしく一撃必殺の威力を誇る、緑谷君の『デトロイトスマッシュ』なんかそうですね」

 

 その言葉に、飯田は『あれ『必殺技』でよかったのか……』と感激し、塩崎は『恐縮です』と一言言って一礼……しかしちょっと顔が赤い。

 緑谷は素直にうれしそうだけど……若干、何か考え込んだ風にもなってるな。

 

 ……緑谷の場合は……『デトロイトスマッシュ』っていう技自体が、オールマイトリスペクトのネーミングだからな。技名からくるインパクトの何割かはそこ由来になっちゃうし……同時に、憧れを背負うっていう重みにもなってるから、その辺複雑なのかもしれない。

 

 それでも今や、その名に恐縮するだけじゃなく、それにふさわしいヒーローに、男になろう、っていう思考ができるようになってるのが、今のこの……ぐっと拳を握って、力強く頷いている緑谷なんだけどもね。

 

「本来必殺技に優劣はあまりありません。ですが、今言った意味を基準として比較するならば……攻撃技なら、爆豪君の『ハウザーインパクト』、補助技なら、栄陽院さんの『コンセントヒール』や『エネルギーバインド』が強力なものとして挙げられるでしょう」

 

「「!」」

 

 お、今度は私と爆豪か……いきなり名前出されたからちょっとびっくりした。

 

 それにラバー、公の場だからか、私のこと苗字呼びだったな……まあいいけど。

 

 そして説明によれば、爆豪の『ハウザーインパクト』は、見た目も派手で威力も高い。また、きちんと『個性』そのものの強化による恩恵を受けて威力が上がるってことで、まさしく彼と彼の『個性』を象徴する技になるだろうから、ということだ。

 

 一方、私の技2つだけど……『コンセントヒール』は、味方を回復させられるってのはそれ自体が強力で、味方や市民にとっては精神的支柱足りうるものになる。彼女がいれば助かる、っていう希望になれる能力だから。

 

 また、『エネルギーバインド』は、相手を動けなくするっていう効果自体の強力さもさることながら、エネルギーを叩き込むと発動するっていう条件から、『触れるとまずい』っていう、接近戦そのものに警戒を持たせるような副次的・精神的な効果も期待できる。

 こっちも接近戦はしづらくなるけど、『補助・回復役』っていう私本来の立ち位置を考えれば、相手から交戦を避けてくれる要素はむしろありがたいだろうしな。

 

 攻撃力その他の『実用性』、見栄えその他の『話題性』……それらを両立させているこれらの技が、『必殺技』として優秀な部類に入ると評価されるそうだ。

 

「無論、いかにそういった部分のアイデアが秀逸であれど、元となる『個性』が未成熟ではその力は半減どころではない。ゆえに、『個性伸ばし』がその水準を満たしていない者は、『必殺技』を意識しつつも、引き続き『個性』を伸ばす訓練を継続。そして、水準を満たしていると判断された者は……『個性伸ばし』も続けつつ、順次『必殺技』の構築に移ります!」

 

 と、今度はパンドラ。そして最後に母さんこと、アナライジュが、

 

「皆さんの『個性』や、特訓の方針、これまでの成長の傾向や、修行時の注意点などについては、ここにガイドブックがありますので、この後順番に取りに来てくださいね。コレの中身と、教師陣が適宜行うアドバイスをもとにして修行を進めて、以降の日程の修行を進めてもらいますので」

 

 そう言って、テーブルの上にどさっと置いてある、ホチキス止めの紙束を指し示す。アレ、私ら1人1人に用意した指導要領みたいなものだったのか。こりゃガチだな、母さんも……

 

 あ、ちなみに彼女が私の母さんだってことは、昨日の時点でもう皆にばらしてます。別に、何が何でも隠しておかなきゃいけないようなことでもないしね。

 驚かれたけど、それでもすぐに気を取り直して皆、修行に戻ってた。

 

 もちろん、『親が教師陣だからってえこひいき云々』なんて言ってくる人も、物間以外はいなくて……その物間も、別に本気で言ってるわけじゃなかったしな。

 ただアイツは、弄れる、煽れるネタがあればいいだけの男だから。多分。

 

 そんなわけで……合宿もいよいよ折り返し地点。

 この日々を実りあるものにするために、今日も特訓、特訓!

 

 私や緑谷は『必殺技水準』をすでに満たしているので、そっちの開発にも着手することになって……しかもその際は、より実践に近い形で技を磨くために、先生方が持ってきてた『コスチューム』に着替えて修行することになったし!

 

 どんなのがいいかな、私の『必殺技』。『コンセントヒール』と『エネルギーバインド』以外にも、あと1つ2つ……継承した技じゃなくて、私だけの技が欲しいな。

 それこそ、より緑谷の役に立てそうな技だとなおよし! あー、どうしよ……

 

 

 ☆☆☆

 

 

 永久がやる気を出して、しかしそれゆえに、これからどうしたものか、と悩んでいるのを見ながら……アナライジュは、ほほえましいものを見るような表情の裏で……ある考察を進めていた。

 

(経過は順調……合宿としても、『オール・フォー・ユー』の進展としても……それは確実と言っていい。けど、1つ気になるのは……緑谷君と永久の間で、『夢』の共有や、感覚が通じ合う、というような現象が起こっている点ね)

 

 修行中、何の気なしに永久が相談してきていたその話。

 アナライジュは、『オール・フォー・ユー』の個性としての力を知る者として……知るからこそ、どういうことなのか思考していた。

 

 単なる成長、主とのつながりの強固さ、と片づけることはできない、なぜなら……

 

(夢や感覚で、ワイヤレスでつながる……そんな力は『オール・フォー・ユー』にはない。少なくとも、私にはなかった……だとすれば、これが意味していることは……この現象の正体は、原因は……? あの子にあって、私にないもの……となると考えられるのは、緑谷君の側の個性が特殊である場合。あるいは、『変容』の結果。あるいは……まさか……)

 

 ごくり、と、

 自身も気付かぬうちに、つばを飲み込んで喉が鳴っていた。

 

 

 

「まさか……あの人の『個性』……?」

 

 

 

 どこか遠い目をして、ごく小さい声でアナライジュが呟いたその言葉を聞いた者は、いなかった。

 

 

 




Q.あれ、しれっと4日目突入したんだけど……連合は? 襲撃は?

A.この世界では、諸事情でちょっと予定が変わっております。詳しくは今後本編で。
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