TSから始まるヒロインアカデミア   作:破戒僧

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第139話 GIANT KILLING

 オーバーホールとの戦闘は、すぐには始まらなかった。

 

 先のキメラの時の反応から察するに、自分に近づいてくる、あるいは敵対行動をとるような存在がいなければ、オーバーホールは恐らく近づいてこない。それだけの理性が、もう残っていない。

 

 ゆえに最初、永久達はオーバーホールの破壊行動を放置することにした。見当違いの場所を破壊しているうちは、だが。

 地下シェルターに近づいて移動するようなら、その時は迎撃せざるを得ない。しかし、ギリギリまで様子を見て……時間切れで力を失うまで待つ。

 

 それが望み薄だということもわかっている。そしてその間に、もし戦うことになった場合に備えて、作戦を練る。

 雄英高校1年A組、B組、そして編入最有力の普通科2人も加えた全員の力で……シェルターの中で、悪夢が終わるのを待っている人々を、絶対に守り抜くために。

 

 

 

 そして、その時はやってくる。

 

「……あー、こっち来たー……ちくしょー」

 

「覚悟決めな上鳴! ウチらの手に、病院の人達皆の命かかってんだから」

 

「やれるだけのことはやった。作戦も、最善と言えるものを考えた。ならばあとは、俺達にできる全てを尽くして……あの巨神を倒すだけだ」

 

 後に引きこそしないものの、さすがに弱音が漏れてしまう上鳴。それを耳郎が叱咤し、常闇が鼓舞もかねて淡々と述べる。

 

「最善の作戦……そうだね。ちょっと怖いけど、これが一番確実で……効率的だ」

 

「戦力の逐次投入は愚策というのは、古今東西どこでも言われていることだからな。加えて、敵の『個性』を考えた場合、中途半端に損傷を与えても修復されてしまう可能性が高い。なら……再生する暇を与えないくらいに、一気に叩き潰さなければならない」

 

 緑谷と飯田がそう続け……締めくくるように、八百万と拳藤、そして永久が、

 

「皆さん、用意はいいですわね!? 勝負は一回きり……雄英高校ヒーロー科1年(予定含む)、全員の全力をもって、あの怪物を止めます!」

 

「練習する暇もなし、ぶっつけ本番、A組B組普通科混成、初の合同作戦! 不安なんかあって当然だよね……でも、やるっきゃないんだ、覚悟決めていくよ! じゃ、発案者、締めて」

 

「あいよ……よぉおし! 野郎共及び女性諸君! やろうとかやれるとかまどろっこしいことはもう言わない! 今私達がやらなきゃいけないことは……いつも私達がやってることだ! 敵が強かろうが、こっちはそれを超えていけ! 雄英高校、校訓!!」

 

 

 

「「「Plus Ultra!!」」」

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 一歩を踏み出した瞬間……どぷん、と、巨獣の足が地面に沈み込む。

 

『―――!?』

 

 骨抜の『柔化』によって、底なし沼のごとく変わった地面に足を取られ、バランスを崩す。

 

 しかしその瞬間、骨抜は逆に『柔化』を解除。足から下の地面の硬さを復活させ、足を固定する。

 

「よし、今! 芦戸!」

 

「オッケー! 濃度・粘度MAX! 『アシッドベール』!」

 

 さらにその直後、骨抜が右足へ移動してそれに触れ、『柔化』を発動。

 同時に芦戸が左足に、極限まで濃縮した酸を放ち、ドロドロに溶かしてしまう。

 反対側の足も、泥のように柔らかくなったことで、バランスを崩して盛大に倒れ込む。倒れ込んだ先の地面がまた『柔化』していて、沈み込む。

 

「成功……! そして、俺の『個性』で柔らかくできたってことは……このデカブツ自体は『生物』にカテゴライズされてない。あくまで装甲扱いってわけだ」

 

 しかしさすがに、いつまでもいいようにやられてはくれない。即座に腕の2本を横に伸ばし、柔らかくなった範囲外の地面に手を突く形で、オーバーホールは体を支えた。

 

「やはりそう来るか……轟君! 凡戸君!」

 

「おう……『穿天氷壁!』」

 

「行くよ! 『グレースコール』!」

 

 その着いた腕2つに、右からは轟の巨大な氷壁が、左からは凡戸の『セメダイン』が大量に襲い掛かり、動きを止める。

 しかし、いずれも、素の身体能力のキメラにも通用しなかった手だ。バランスを崩して上手く力が伝わらなくなっているとはいえ、すぐに抜け出されてしまうだろう。

 

 だが、拘束はわずかな時間だけで構わなかった。その間に、さらに次なる手が打たれる。

 

「よっし……常闇!」

 

「心得た……力を開放しろ、『黒影』!」

 

『ド派手ニ……行クゼェッ!!』

 

 常闇の号令と共に、夜の闇の中で最大限の力を発揮する『黒影』が、その力を開放し……巨大化してオーバーホールに突撃していく。

 凄まじいパワーで真正面からぶつかった『黒影』は、咆哮と共にオーバーホールをなぎ倒し伸び切って脆くなっていた腕2本を、拘束を振りほどくよりも早く粉砕した。

 

 しかし、オーバーホールもすぐに起き上がり、残る4本の腕で反撃を試みる。鋭い爪を持つ2本と、翼腕になっている2本。それらを叩きつけようとして……しかし、下側の2本のうちの1本が、塩崎の『ツル』によって拘束されて持ちあがらない。

 

 ただの『ツル』だけなら引きちぎられていたかもしれないが、今、巻き付けられているそれは、八百万が作った超硬合金製の鎖を巻き込んでいるため、拘束能力は倍増している。

 

 加えて、もう1本の腕には、2匹の青いドラゴンのようなものが巻き付き、噛みついている。そしてそのまま、締め上げて砕き、食いちぎってしまった。

 

「うっわー……何か意味わかんないことできるようになったね、永久」

 

「ほめ言葉として受け取っとく」

 

 残る2本の翼腕は、『黒影』が普通に受け止め、力で拮抗している。

 

 その間に、芦戸と骨抜が、塩崎が拘束している腕の所まで駆け寄り、その腕を『酸』と『柔化』で根元から落とした。

 

 さらにその隙に、足元(半ばからもがれているが)にも手が入っていた。

 吹出が放った『ツルツル』『スベスベ』という文字がいくつも地面に張り付き……押し込まれてそこに足をついたオーバーホールは、効果音のおかげで極度に『滑りやすい』状態になっているそこに足を取られ、転倒する。

 

 その決定的な隙に、『黒影』はマウントを取って猛攻を加える。巨大化した腕を、爪を何度も振り下ろし、残る腕2本に加え、胴体の大部分も粉砕した。

 

 だが、オーバーホールは、最後に残った胴体……そこから生えていた尻尾を勢い良く振るい、その反動で辛くもマウントから逃れる。胴体の大部分が粉砕され、拘束されていない状態になったことが逆に幸いしたようだ。

 

 そして、バツン! と音が鳴る。

 

 その周囲にあった瓦礫を再び取り込み……欠損した体を再生させる。今の一瞬では、さすがに元通りとはいかなかったようだが……それでも、翼腕2つと、猛禽の爪の腕2つは再生していた。残る腕2本と足は再生する暇がなかったようだが、質量を考えれば十分すぎる戦闘能力を取り戻したと言えるだろう。

 

 ただ惜しむらくは……それすらも、A組の頭脳、八百万の予想の範疇だったことだが。

 

「今です! 小大さん! 庄田さん!」

 

「ん! 『解除!』」

 

「了解した! 『ツインインパクト』!」

 

 その瞬間……オーバーホールの体のあちこちで爆発が起こった。

 それも……内側からはじけ飛ぶような形で……しかも、炎は上がらないという不自然な爆発だ。

 

 仕組みは簡単である。オーバーホールが倒れ込んだ場所の周囲には、庄田があらかじめ殴りつけた上で、小大があらかじめ『サイズ』で小さくしておいた瓦礫が無数に散らばっていた。

 

 再生する時、オーバーホールはそれらを巻き込んで体を作ってしまい……小大が『サイズ』を解除したと同時に、瓦礫が元の大きさに戻って、周囲を押しのけ、はじけ飛んだ。更に、同時に庄田の『ツインインパクト』が発動し、衝撃がまき散らされ……それも加わって、破壊が起こった。

 

 結果、再生したばかりの体は、たちまち飛び散って、先程よりも小さくなってしまった。先程、九死に一生を得る切り札となった尻尾も、空しく爆散してしまっている。

 

 そしてそこに……『無重力』で自分を軽くした麗日が、蛙吹に運ばれて素早く近づき……

 

「お茶子ちゃん、行ける?」

 

「まかせて! このくらいの大きさなら……浮かせる!」

 

 一瞬、すれ違いざまに指先の肉球で触れる。

 巨大な瓦礫の山が、融合した1つの物体として認識されているオーバーホールの体は、その瞬間、重さがゼロになって……ふわりと浮き上がった。

 

 すぐさま蛙吹は麗日を連れてそこを離れ……

 

 黒影が腕を伸ばしてつかみかかり、思い切り……放り投げる。

 

「よしやった! これで……あいつはもう、周りに取り込むものはない!」

 

「できれば真上に放り投げたかったが……位置と体勢が悪かったか。角度がついた。だが、落下さえしてこなければ構わんだろう」

 

「でかした麗日、常闇! 麗日、『無重力』はもうちょっと持たせて! 者ども! 集中砲火……撃てェエェエ!!」

 

 永久の号令で、遠距離攻撃系、あるいはそういう使い方ができる『個性』の持ち主が、一斉に、宙に浮いているオーバーホール目掛けて攻撃していく。

 耳郎の音波、鱗の鱗、青山のネビルレーザー、角取の角砲……それらが当たって、空中に浮いたまま、なすすべのないオーバーホールの体を徐々に削っていく。

 

 このままではまずいと思ったか、オーバーホールは体を構成する瓦礫を弾丸に変えて吐き出して反撃してくる。しかしそれも、大部分は遠距離攻撃と相殺される形で撃ち落とされ、残ったものも尾白や鎌切、宍田や回原といった前衛が叩き落し、打ち払い、円場が空気の壁で防ぎ、後衛を守り抜く。

 

 瓦礫を吐き出したことで余計に体積が減ったオーバーホールは、最後の反撃とばかりに……口を大きく開き、そこに赤い光を集中させる。キメラの『個性』……その必殺技とも呼ぶべき破壊光線を放つ。

 

「よし……ようやく俺達の……」

 

「出番ってわけだなァ!」

 

 だが、その前に立ちはだかるのは……A組、B組、それぞれで最堅の盾。

 

 全身を全力で『硬化』させた切島と、全身を鋼の塊に変えた鉄哲の2人。

 

「『安無嶺過武瑠』―――ッ!!!」

 

「なめんじゃ……ねぇぞォォオ!!」

 

 角度がついたことで、むしろかえってクラスの皆を守りやすくなっていた。その背の後ろに学友達を退避させ……真正面から1歩も引かず、2人は破壊光線を受け止める。

 激流が岩にたたきつけられるがごとく、2人に当たった光線は収束を散らされて弾け、その身を傷つけること叶わない。もちろん、その後ろにいるクラスメイトらも。

 

 そしてその間にも、他の面々の遠距離攻撃は続き……ついに、オーバーホールの体はその異形の首1つとなってしまった。

 

 そして、それを待っていた面々の……最後の攻撃のGoサインが出される。

 

「よし……緑谷! 爆豪!」

 

「うん」

 

「ッシャァ!」

 

「取陰! サポート!」

 

「はいよ!」

 

 手のひらで爆発を起こして爆豪が飛翔し、緑谷はそれを追うように跳躍する。

 

 その途中、空中に浮いているのは……取陰が『トカゲのしっぽ切り』で飛ばした無数のパーツたち。緑谷はそれを足場にして、空中で体勢を整える。

 

 その間に、高速回転しながらオーバーホールの横合いに到達した爆豪が……ためにためた一撃を解き放った。

 

「ハウザァアアァ……インパクトォ!!!」

 

 合宿の『個性伸ばし』によってさらに火力を増した爆豪の一撃は、瓦礫の外殻を粉々に粉砕し……中に潜んでいた、オーバーホールの本体をついに露出させる。

 

 キメラとナインを取り込み、6本腕に獣の特徴を発現した異形と化しているオーバーホールは、血走った目で、今の一撃を放った爆豪を睨む。

 その6本の腕のうちの2つは、瓦礫の巨獣の時と同じ、翼腕になっていて……それを羽ばたかせ、オーバーホールは爆豪に向き直った。

 

「邪魔を……するなァァアア!!」

 

 瓦礫の装甲がなくなった代わりに身軽になったオーバーホールは、その、触れれば即死と言っていい凶悪な手のひらを、爆豪目掛けて突き出してきて……

 

「『集光屈折ハイチーズ』!!」

 

「……っ……目がぁあ!?」

 

 取陰のパーツの1つに捕まって、いつの間にかその眼前に忍び寄っていた葉隠の目眩ましの閃光をモロにくらい、視界を奪われる。

 

 そして、『気象操作』で起こした暴風に乗って飛び上がり、隙だらけのその背後に迫っていた永久が……その背中に触れた。

 

 ―――バツン!

 

 その瞬間、『分解と修復』により、オーバーホールは6腕の異形から……元々の姿である3つの体に戻った。オーバーホール自身のそれと、キメラ、ナインの3人分の体に。

 

 それを待っていた緑谷が『黒鞭』でキメラとナインを絡めとり、地面に向けて投げつける。そして、残ったオーバーホールには……

 

「カリフォルニア……セントルイス……スマッシュ!」

 

 回転をつけて放ったかかと落としを空中で炸裂させ、地面に叩き落とす。

 

 奇麗に入ったその一撃で意識を刈り取られたオーバーホールは、落下して地面に叩きつけられる直前……柳の『ポルターガイスト』で浮かせられ、激突を免れる。同じく気を失っている、キメラとナインも同様に。

 

「拘束!」

 

 そしてトドメに、宙に浮いて無防備な3人を、残る待機していたメンバーが拘束する。

 

 既に体力を使い果たしているナインは、瀬呂が『テープ』でがんじがらめにして拘束。その際、着ている特殊そうなスーツが危険かもしれないと予想し、黒色が同化して操作することで脱がせ、その上で拘束した。

 

 下手な拘束は馬力で解除してしまえそうなキメラについては、峰田が『もぎもぎ』を体中に張り付けて動け無くした上で、『捕縛布』を巻き付けて心操が拘束。その上からさらに、八百万が作った鎖でがんじがらめにした。

 

 最も拘束が難しいオーバーホールは、腕以外の部分を『もぎもぎ』と『テープ』で拘束した後、あらかじめ作っておいた拘束具に泡瀬の『溶接』を組み合わせ、腕ごと固定し、手のひらを何にも触れさせないような形にすることで、『分解と修復』を封じた。

 

 こうして、付け入る隙を与えない連携攻撃で畳みかけ……終わってみれば、集中していた彼らは気づいていないだろうが、ほんの5分足らずの出来事。

 

 ネームドヴィラン『オーバーホール』は、雄英高校1年の、ヒーローの卵たちの手によって……再び拘束され、その野望は潰えることとなった。

 

 こうして、思いがけず始まった、永久達の、物騒で、危険で、しかしそれでいて……大切なものをつかむことにつながり、また貴重な経験を積むことができた夜は……ようやく終わったのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………と、誰もが思っていた。

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

「おったまげたな……勝っちまったぜ、あのガキ共……オーバーホールによ」

 

「袋叩きの上、戦略勝ち……なんて評価はできねえな。なるほど、世間の評判通りの『金の卵』だ」

 

 離れたところからオーバーホールと生徒達との戦いを見ていた、ウォルフラムとキュレーターは、感心したようにそうつぶやいていた。

 

 回収するはずだったナインが、オーバーホールの『個性』で取り込まれてしまったと知った彼らは、とりあえず合体したまま持って帰るか、という結論に達し、生徒達との戦いで、あるいは『イディオ・トリガー』の時間切れを待って疲弊したところを叩く作戦だった。

 

 しかし、予想に反して生徒達が勝利を収めたばかりか、合体していたナインを引きはがしまでして、無力化・拘束までやってのけた。これにはさすがに、ウォルフラム達も予想外だと認めざるを得なかった。

 

「ま、好都合ではあるな。これでオーダー通り、ナインを回収できる。無力化する手間も省けた。それに……何人か、面白そうなのもいる。ついでにドクターへの土産にするのもいいな」

 

 強力そうな、ドクターやAFOが好きそうな『個性』を持つ生徒に……とりわけ、事前に聞いていた『最悪の個性』を持っているはずの、永久に目をつけてニヤリと笑うウォルフラム。

 見ている限りだと、オーバーホールやナインのものであるはずの『個性』を使っている。一体何があってそうなったのかはわからないが、いずれにせよドクターが喜びそうだ。

 

「……確かにな。俺も今回は、仕事以上のことはする気はなかったんだが……売りに出したら高く売れそうなのが何人かいるな。東洋人は今人気があるし……雄英生ってブランドがあれば、いい値段がつきそうだ。いけそうなら、何人か攫ってくか」

 

 一方でキュレーターは、いつか取陰を狙ったある『敵』のように、人身売買の商品として生徒達に目をつけ、誰を狙うか考え始めていた。

 

 集団戦法でとはいえ、ネームドヴィランを無力化するほど優秀で、見た目もいい。売ればいい商売ができそうだ、と。

 

「さて、んじゃそろそろ行くかキュレーター。目の前の『敵』1人倒したくらいで油断して気を抜いたら痛い目に合うってこと、きちんと学ばせてやらねえとな」

 

「結局痛い目見るわけだけどな……まあ、学生の本分は勉強だ、ちょっくら手伝ってやるのもいいか」

 

「それには及ばない。その辺は後日……俺達がきちんと教えるからな」

 

 その時、突如として聞こえた声に反応して、ウォルフラムとキュレーターはとっさにその場から飛びのいた。

 

 その瞬間、一瞬前まで自分達がいたところに……ではなく、飛び退った先に、先読みしていたかのように『捕縛布』が飛んできて、2人を拘束しようとする。

 

 ウォルフラムは、地面に手をついて『個性』を発動し、それを防ごうとするが……

 

(……っ、やはり『消されて』いるか)

 

 代わりに、キュレーターが超音波を放って、飛んでくる布を弾く。

 そのまま、その向こうにいる者にも攻撃を届かせようとするも……

 

『音が温ィんだよ雑魚野郎ォがァァアアァア!!!!!』

 

 それをかき消す威力の轟音が飛んできて逆にダメージを受ける。

 

 どうにかそれに耐えて睨み返す2人。

 その視線の先にいたのは……今しがた彼らが狙っていた、雄英高校の生徒達……その彼らを、守り、導く立場にある者達。それが……4人。

 

 油断なく構えて、いつでも『眠り香』を放てるように風上に立っているミッドナイトに、血の鞭をうねらせてこちらの出方をうかがっているブラドキング。

 

 そして……常の無気力さやお気楽さが全く見て取れないほどの……殺意すら籠っていそうな、凄まじい怒りを宿した目で睨み返してくる……イレイザーヘッドとプレゼント・マイクだった。

 

 

 

 

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