TSから始まるヒロインアカデミア   作:破戒僧

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えー……すいません、寝落ちしました。ひっさびさに気が付いたら日付変わってた……
くっ、ほぼ書き上がってたのに……せっかくここまで順調に来てた連続投稿が……(悔しい)

まあ仕方ないので、変な時間ですが更新します。どうぞ。


第156話 仮免試験・1次

 

 あっという間に訓練の日々は過ぎ……『仮免試験』当日。

 

 場所は、国立多古場競技場。なんか、緑谷や爆豪の家(実家)から近くらしい。

 ここを試験会場として、仮免試験が実施されるわけだが……当然ながら、雄英以外にも、色んな他の学校から来てる人達がいるわけで。

 

 その中でも、『東の雄英、西の士傑』と並び称される『士傑高校』と、到着早々に絡むことになったりして。

 さらにその後は、相澤先生の昔馴染みらしい『Ms.ジョーク』というヒーロー……が、教師として受け持っている『傑物学園高校』ってところの人達とも交流したり。

 

 ……なんか、爽やかすぎて笑顔が胡散臭い人とかいたな……いやまあ、初対面の人にそんな変な偏見持つのはよくないかもしれんけども。

 

 あと、なんかその『士傑』からの人で……変わった経歴を持つ人がいた。

 

 いきなりうちのクラスの円陣に乱入してきた、かなり大柄な坊主頭の……いかにも体育会系、って感じの男子だった。その場のテンションとか勢いで全部持っていきそうな感じの。

 

 瀬呂曰く『切島と飯田を足して二乗したような』奴だったが……名前は、夜嵐イナサ。

 

 昨年の雄英の推薦入試の時に、トップの成績で――つまりは轟すら抜いて――合格していたにもかかわらず、なぜか入学を辞退したとかなんとか……まあ別にいいけど。何か事情あったんだろ。

 

 向こうの方では、なぜかMs.ジョークが相澤先生にプロポーズしながら爆笑してるが……他校のヒーローや学生にもなかなか濃い奴多いな……

 

 

 

「えー……では、仮免の奴を、やります。あ、僕、ヒーロー公安委員会の目良です。好きな睡眠はノンレム睡眠……よろしく。仕事が忙しくてろくに寝れない……人手が足りてない……眠たい! そんな信条のもと、説明させていただきます……」

 

「他に人いなかったのか、説明役っていうか、司会進行……」

 

「まー……今まさに『人手が足りてない』つってたしな……仕方ないんじゃね?」

 

 と、瀬呂は返すが、だからってあんな、適材適所って言葉に真っ向から喧嘩売ってるような人選せんでも……思いっきり演台に寄りかかりながら話してんぞあの人。どんな信条だよ。

 

 今私達は、コスチュームに着替えて、競技場内で開会式やら内容説明を受けてるところだが……いやまあ、壇上で現代社会の闇を隠そうともしないブラック勤務の被害者は、まあいいとして。

 人、超多いな……さっき聞いた話じゃ、今日の受験者、1500人超えてるって話だし。

 

 それがこんなひとところにまとまってれば、まあ……当然人口過密状態になるわけで。ちょっと動くだけで隣の人とぶつかりそうな感じだ。

 なお、それを利用してぶつかろうとしてくる峰田は、男子に頼んで前後左右を男子で囲んでもらった。全く油断も隙も無い。

 

 で、今あった説明だと、その1500人のうち……第一次試験で合格できるのは、なんと上位というか、条件を満たした先着100名だという。会場にどよめき走る。

 

「合格率5割を切る……どころじゃねーじゃん。えらい倍率だな……15倍か」

 

「まあ、大丈夫じゃね? 私ら雄英入る時に300倍競り勝ってるし」

 

「けろ、それとこれとは違うと思うわ。油断大敵よ」

 

 さらに続く説明で、各自体に的というかターゲットをつけて、それ目掛けてボールのぶつけ合いをする、というルールが周知された。ターゲットはボールをぶつけられると点灯し、3つ全部点灯したら『倒された』ことになり、失格。

 2人『倒した』者から勝ち抜け、とのことだ。

 

 で、この試験の本質……学校同士の対抗戦になる、と即座に見抜いた緑谷により、一塊になって協力しよう、という方針で動くことになった。先着順なら、同校でつぶし合いはない……最もだ。

 

 ただ、相変わらず協調性に難ありな爆豪が早速離脱。それについてって切島と上鳴も離脱。

 

 それとこっちはきちんと戦略考えてかもしれないが、轟が離脱。密集してちゃかえって力を発揮できないからって。

 

 まあ、あの連中なら大丈夫だとは思うけども。性格アレだが、強いし。

 

 それに、私達の方だって、必ずしも余裕があるわけじゃない。

 これも緑谷の予測……というか、私や、その他にも大勢同じこと考えてる奴いると思うけど。

 

 試験開始までのカウントダウンが始まり、それがゼロになった瞬間……

 

(そら来た)

 

「杭が出てれば……そりゃ打つさ!」

 

 固まってる私ら雄英に向けて、他校から一斉攻撃。

 まあ、『体育祭』のせいで『個性』はばっちり割れてるし、実力的にも野放しにしとくと危険なのが揃ってると言える――自画自賛失礼――学校だしな。そりゃ標的になるだろう。

 

 ただ、そのくらいは皆わかってるし、即座に反応して防御する。蹴り飛ばし、酸で溶かし、『もぎもぎ』やテープで絡めとってくっつけて……etc。ちなみに、私は単純に『バリア』で防いだ。

 脱落者ゼロ……どころか、1人としてポインターに当たってすらいない。

 

 その後も、様々な『個性』を駆使して私ら雄英を仕留めようとあちこちから狙ってくるが、全部防いでいる。

 

 暫くそれが繰り返された後……よぉし、来たな。

 

「離れろ! 彼ら、防御は堅そうだ……割る!」

 

 と、駐車場で爽やかスマイル(疑)で交流してきた、傑物学園高校の人が、何やら地面に両手を押し付けるようにして構え……次の瞬間、

 

「最大威力……『震伝動地』!!」

 

 そこから発生した『揺れ』が地面に伝わり、とんでもなく広い範囲を、言葉通り『割る』。

 

 そのせいで、いくらなんでもまとまって立ってなんかいられなくなり、狙い通りに、私達雄英は分断されて少数ずつの集団に分かれ……纏まっている他校からは格好の的になる……

 

 

 ……と思ってたんだろうが……

 

 ところがぎっちょん、そうはいかないんだよなあ。

 

 

 ―――バ ツ ン!!

 

 

「……っ……!?」

 

 と……割ったはずの地面の大部分が、一瞬にして『修復』されてしまったことに、驚きを隠せない様子の、傑物のスマイル君(名前何だっけな)。

 他の連中も……傑物の思惑が外れたことにか、はたまたいきなり割れた地面が、これまたいきなり直ったことにか、驚いている様子。

 

 ……まあ、誰が何をやったかなんて言うまでもないけどね。

 

「ナイス、永久!」

 

 と、芦戸の言う通り……私だよ、犯人は。

 私の『オーバーホール』で、『分解』して『修復』したんだよ。

 

 『必殺技』の訓練の追い込みの中では、皆の自主トレにつき合って、セメントス先生の代わりに『TDL』の地形操作とかやって、慣れて、鍛えまくってたからな。この程度、造作もない。

 いきなり思惑を外されてご愁傷様だけど、まだ終わらないからね。

 

「さて……作戦なのはわかるけど、こんな危ないことを遠慮なくされたらさあ……こっちもガチでやるしかないじゃんね?」

 

「お、何栄陽院、アレやる気?」

 

「ああ……注意が入らないとこ見ると、このフィールドぶっ壊そうが何しようが、何でもありっぽいしな……なら、好き勝手やらせてもらおうかと」

 

 言いながら私は、再び手を床に着ける。そして……『オーバーホール』発動。

 

 

 ―――バツン、バツン、バツン、バツン、バツ、バツ、バツ、バツ、バツ、バツ、バツバツバツバツバツバツバツバツバババババババババ……!!

 

 

 大規模に、連続して『分解と修復』を行い……私の周囲、固まってる雄英メンバーを囲むように、地形を激変させていく。

 いやまあ、最早『地形』とかでも何でもないんだけどね、コレ。

 

 地面が盛り上がり、あるいは抉れ、盛り上がった部分が形を変え……形作られていく。

 

 ほんの十数秒ほどで、そこには……

 

「お城―――!?」

 

「こんなの、ありかよ……」

 

 城が、建っていた。つか建てた。

 観光名所になりそうな、日本風の煌びやかな城じゃない。アレよりは、西洋風の、本来の用途である『戦争時の前線拠点』としての城だ。五稜郭とかそのへんをイメージしました。

 

 周囲をいくつもの堀と塀で囲まれ、堅牢な壁に物見台も備えている。

 

「名付けて『風雲雄英城』!! 未だかつてコレを攻略できた奴はいない!」

 

「そりゃ今回初披露だしな」

 

 瀬呂シャラップ。

 

「怯むな! あんなもん見かけだけだ……むしろ一カ所、狭いところに立てこもってくれるなら攻めやすいぜ!」

 

「戦争とかならともかく、こんな試験の場で城なんか作られても怖くねーんだよ!」

 

 とまあ、そんな感じで皆さん、ひるまず、むしろやる気出してこの『風雲雄英城』を攻略するため、次々と塀や、堀を飛び越えて突入してこようとするが……

 

(さーて……それはどうでしょうねえ……?)

 

 ことごとく狙い通り。楽しくなってきた♪

 覚悟しなよ先輩方(年数的な意味で)……ここから先、私らの独壇場だぜ……?

 

 

 

 そもそも私が何で、こんな派手で……しかし、この試験の場においては、目的その他を考えればさして意味もない『城塞』なんてものを作ったのかと言えば……もちろん、狙いあってのことだ。

 

 大前提として、この試験は、守って閉じこもってれば勝てるものじゃない。

 きちんと攻めて、相手の『ターゲット』にボールを当てる必要がある。閉じこもってても、他人がよそで戦って抜け出ていくだけだ。

 

 加えて、この試験……的当てみたいに考えてる人が多いみたいだが、こんなもん投げても当たるかと言われれば……ねえ。

 むしろ、そんな射的の技術よりも、逃げられないように抑えた上で、確実に当てる……というか、ボールを押し付けるなり、ボールで殴るなりすればいい。というか多分コレ、そういう試験だろ。

 

 だったらそうすればいいという話にはなるんだが、ここでやっぱり出てくるのが、数と地形の不利。

 全国生放送の『体育祭』により、それぞれの『個性』が割れており、実力もあるがゆえに『出る杭』として狙われる雄英。やられる前にやれとばかりに、他の学校からまー狙われる狙われる。

 例年その『雄英潰し』とやらにやられて落ちる生徒が何人かいるらしい。

 

 混戦状態になればなるほど、どうしても『事故』は起きやすくなる。戦場で流れ弾に当たるように。

 

 だからこそ、それを避けて……同時に、確実に『獲物』を取るためにコレを作ったんだ。

 

 例えば、こう。

 

「こんなもんで俺達から隠れられるつもりかよ!」

 

「こんなんひとっ飛びだぜ! 見つけて追い詰めて当て……ああぁぁああぁあ!?」

 

 とまあ、軽業系、あるいは飛行系の『個性』を駆使して、堀や塀を飛び越えてきた連中を……私が『気象操作』で暴風を起こして叩き落す。

 

 塀の内側に落下した彼らだが、そこにスタンバイしていた瀬呂と峰田が、『テープ』と『もぎもぎ』で速攻で拘束し、城の中に連れて行く。

 

「なっ、なん、コレ……は、放せ、放せぇ!」

 

「ちょっ、何コレ、何で私達拉致られ……え、マジで何!?」

 

「やめろっ、雄英! ぶっとばすぞ!」

 

「うへへへ……大丈夫、何もしないよォ、お兄さん達とちょっと奥へ行こうねうへへへ……」

 

「ちょっ、このちっちゃいのガチで怖いんだけど……ねえ、大丈夫だよね雄英!? ねえ!?」

 

「峰田、お前やめろ顔やべえから……ああ、大丈夫っすよ、変な真似はしないっすから……脱落は覚悟してもらいますけど」

 

「あ、ならよかっ……え、いや待ってダメやっぱよくないって。ちょっ、放して……た、助けてー!」

 

 はい、あんな感じでがっちり拘束の上、回収されていきます。

 あとあのエロ葡萄……回収班に入れない方がよかったなやっぱ。

 

 ……っと、そんなことを言ってる間にまた別な獲物が。

 

「ちっ、対策バッチリってわけかよ……なら正面突破だ! 地に足着けて確実に攻める!」

 

「ああ、力なら負けねえ! 閉じこもってなん―――」

 

 

 ――パカッ ← 落とし穴が開く音

 

 

 WELCOME。八百万特製の麻酔ガスがたっぷり充満してる落とし穴へようこそ。

 はいこれでまたさらに生贄確保、と。

 

 こんな感じです。この『風雲雄英城』は、籠城のための城じゃない。攻めて来た連中をはめて落とすためのトラップダンジョンだ。

 

 そして同時に……私達A組の力を最大限発揮できるように調整した、闘技場でもある。

 

 例えば、城の中の一室は、まるで森、あるいはジャングルジムみたいに、縦横に突き出て飛び出すように柱が設置されている部屋なんだが、

 

「尾空旋舞!」

 

「がぁっ!?」

 

「ちっくしょ、このサル野郎、あっちこっち飛び回ぐはっ!?」

 

「だめだ、逃げろ! ここ完全にアイツのホームグラウンドだ、動きが立体的過ぎて追えねえ!」

 

「逃げろっつったってお前、扉があかねえ……っていうか扉なくなってんだけど!?」

 

 とまあ、その部屋では柱を足場として生かし、尾白が縦横無尽に飛び回って敵を倒していく。

 なお、迷い込んだ哀れな獲物達には、退路は残していません。戦いが始まった時点で、私が『オーバーホール』で入り口は消しましたので。

 

 こんな風に地形が味方になってる場所であれば、今の尾白の錬度なら、たかが10人程度沈めるのはわけない。

 

 それに加えて、

 

「ちっくしょう、まずは守りを……ん? おい、あいつどこいった?」

 

「え、さっきまでそこに……いない!? まさか、はぐれた!?」

 

「バカいえ、こんな閉所でどうやって……しかし、今ここではぐれるのはまずい……おい、探すぞ! 早いとこ合流して……おい、返事を……!? い、ねえ……だと……!?」

 

 その尾白を陽動に、スニーキングで影に隠れて行動する梅雨ちゃんと葉隠が奇襲で沈めていく。

 

 葉隠はもちろんのこと、必殺技『保護色』を体得した梅雨ちゃんのスニーキング能力もまた脅威のレベルになっているので、気付かれずに近づいて、静かに仕留めていく。

 見ていないうちに、1人、また1人と減っていく光景は、割と見ててホラーだ。

 

 さて……それでもムキになって攻め込んでくる奴に、漁夫の利を狙って侵入を試みる奴、まだまだ獲物はいる。

 

 あと、城作る段階で内部に巻き込んで閉じ込めた奴なんかも実は結構いる。

 『壁の中にいる』状態にはならないようにだけ注意したけど……何人かちょっと危なかった。

 

 なのでどんどん行こう。テンポよく行こう。

 

 

 

 敵が誰もいない通路を通っている時に、曲がり角で向こう側を警戒して止まっている時、

 

 ―――ドックン!!

 

「「「ぎゃあああぁぁあああ!?」」」

 

 何の前触れもなく、壁の向こうから響いた耳郎の音波攻撃が直撃して全員気絶。そのまま捕獲、とか。

 

 八百万に協力してもらって、この一部分だけ、音波をよく通す素材で作ってたんだよね。曲がり角なら、待ち伏せを警戒してほぼ確実に止まるから、そこを突けるように。

 

「よっし、3人捕獲……と。んじゃ、運ぶの手伝って、口田」

 

「……!(こくり)」

 

 

 

 また別な通路では、

 

 ―――ガシャン! ガシャン! ガシャン!

 

「なっ……い、いきなり壁が!」

 

「ちくしょう! 閉じ込められた……」

 

「おい、大丈夫か! くそっ、何のつもりだ一体、こんな壁……」

 

「そりゃもちろん……こういうつもりだよ!」

 

「「「!?」」」

 

「『セントルイススマッシュ』!」

 

「『シュガーラッシュ』!」

 

「『深淵闇駆(ブラックアンク)夜宴(サバト)』!」

 

「「「ぐわああぁああっ!?」」」

 

 こんな風に、壁で区分けして各個撃破とか。

 

 

 さらにまた別な通路……縦方向一直線に長い通路なんだけど、そこに可燃性の粉塵を満たして……

 

 ――ドッゴォォオオォオン!!

 

「「「ぎゃあああぁぁあああ!?」」」

 

 通路そのものを砲身に見立てて『粉塵爆発』で全部吹き飛ばしたり、

 

 

 あるいは、ちょうど近くにある他のエリアにこっそりパイプラインをつなげて……

 

「う、うわあぁぁああ!? な、なんだこれ!?」

 

「み、水!? やばい流されゴボゴボ……」

 

 そこから水を引っ張ってきて水攻めにしたり。

 そのまま溺れないように必死で水面より上に顔を出させたところで……そこに麻酔ガスを流したり(溺れないようにちゃんと配慮はしてるよ)。

 

 水洗トイレよろしく流され、あるいは盛大に吹き飛ばされ……あえなく気絶した面々は、中庭部分に排出されるようになっている。

 死屍累々、中庭に力なく転がる面々を、回収班がよっこいせと運んでいく。意識なんてとっくに失われていますとも。

 

 

 あ、ちなみに今、私は、戦場全体を俯瞰するために、城の屋根……天守のあたりに立っているので、戦場全体がよく見える。

 

 使える『個性』の1つである『個性看破』によって、相性のよさそうなのを選んで各種トラップゾーンに送っているのだ。確実に狩れるように。

 まあ、『風雲雄英城』を作る前からそうしてはいたけど、ヤバそうな『個性』を持ってる奴がいないかとか、確認して対策するため。

 

 ついでに言えば、さっきの傑物高校の爽やかスマイル君の一撃もこれで見破ったというか、気付いていた。『個性』が見えると、やろうとしてることも予想できて楽でいいな。

 

 ちなみにそのスマイル君は、さっきもう1回『割ろうと』してたけど、この城は何気に耐震構造きっちりしてるので(思いっきり彼対策だが)さして揺れなかったし、破損個所は速攻直したので、その後は諦めて立ち去っていった。賢明な判断である。

 

 そんな中、ふと気になったらしい耳郎(索敵担当)と八百万(参謀兼素材作成担当)が、

 

「しかし栄陽院、いつの間にこんな、何だろ……戦略拠点みたいなののアイデア練ってたの? しかも、瀬呂とか峰田とか……何人かはコレの存在知ってたみたいだったし」

 

「フォーメーションとして考えて、練習や打ち合わせでもしてらしたのですか?」

 

「いや、実はこの城さ……こないだ暇つぶしに皆でやってたマ○ンクラフトで作った奴なんだよね。結構な力作が出来上がったなーってみんなで言ってたんだけど、ふとコレ、現実でも使えるんじゃないかってその時話題になって……で、実際にやってみた」

 

「マジかよ」

 

 驚きと呆れと感心が入り混じった器用な表情になっている耳郎。マジなんだよ、これが。

 その時にノリノリで皆で武装とかトラップとか考えてさ、だから作った私以外にも、何人かこの城の構造理解してる奴がいて、即座に連係プレーに移れたわけ。

 

 その時、ふと下の方を見ると、巨大な牛に変身する『個性』の持ち主が、その巨体で『風雲雄英城』に突っ込んでくるところだった。この城ごと壊す気かなアレ?

 まどろっこしいことはやめだとでも言いたいのか、はたまた捕らわれた仲間を助けたいのか。

 

 まあ、どっちにせよ好き勝手させるわけにはいかないが。

 

 外側の門を破り、今まさに城の壁をえぐって砕いて突っ込もうって時に……

 

 

「『撃龍槍』! 発射ァ!」

 

 

 ―――カラカラカラ……ズドォン!!

 

 

『ゴげっフッ……ッ!?』

 

 入り口のすぐ上の壁に隠して設置しておいた、体が巨大な『敵』を相手にした場面で活躍できるように設置しておいた、巨大な槍……『撃龍槍』が発射され、直撃。突っ込んできた生徒はひっくりかえった。

 某ハンティングアクションゲームなら、BGMが切り替わる瞬間である。

 

 その受験者はそのまま気絶したようだが……あ、大丈夫。先はとがらせてないので、ぶっ飛ばすにとどまってるから。多少の怪我は許せよ?

 

 しかしあれだな……今の牛も含めて、この、眼下に広がる死屍累々の光景……

 

「ふははははは! 見ろ、人がゴミのようだ!」

 

「ここで言うんかい……」

 

 

 

「えぇー……いやいやいや、ちょっとコレ今回の雄英ヤバすぎだろ……どんな教え方してんだよ?」

 

「体育祭の時にも言った気はするが……俺は何も。あいつらが火ィつけ合って、自主的にガンガン向上心燃やしてんだよ。……おかげでむしろ、合わせるこっちが大変だ」

 

 そんな、呆れの混じった声で相澤先生とMs.ジョークが言い合ってるのを聞いていたが……その直後、城の内部を通しておいた伝声管を通して連絡が入った。

 トラップその他でとらえた人数が40人を超えたそうだ。

 

 なので、監禁ルームに全員で行って、拘束して転がしてある連中のターゲットを、各自ポンポンと事務的にボールで叩いてクリアしていく。楽なもんである。

 

 ……あ、でも爆豪達が別行動だからその分の人数余るな、忘れてた……まあいいか、普通に開放しよ。もう要らんし。

 

 で、その爆豪達や轟も、行った先で同じようにクリアできたらしいことをその後知った。クリアした人がいく控室に入っていくのが遠目に見えたから。早いな、流石だ。

 

 ここまでの時間、実に僅か10分弱。この時間で、なんと雄英1年A組、全員1次試験を通過しました。よかったよかった。さあ、私らもさっさと会場出て控室に移ろう。

 

 あ、でもその前に……八百万に頼んでレコーダー作ってもらって、わざわざ用意していた最後の仕掛けもせっかくだから起動させて、と。

 私達が全員外に出ると同時に、もうネタでしかないその最後のギミックを発動。

 

 やっぱ、こういうイベントとかをダンジョンでやるには……コレが付きものだろう。

 

 

 

『『風雲雄英城』にいる皆様にお知らせします。只今を持ちまして、雄英生徒全員の合格を確認できました。それに伴い、本施設の『自爆装置』が発動しましたのでお知らせします。本施設は、90秒後に木っ端微塵になりますので、早めに避難してください。繰り返します……』

 

 

 

「「「ふっっざけんなァアア!!」」」

 

 

 

 なお、アナウンスの声は飯田に頼んだ。『可能な限り業務連絡っぽく』って注文つけて。

 

 で、90秒後、ホントに自爆させました。そうなるようにセットしておいた。

 

 あー面白かった。

 

 

 

 




Q.この会場トガちゃん来てる?

A.来てません。来たら永久の『個性看破』とか、緑谷の『感情感知』で悪意を察知されて速攻見つかるので流石に自重したようです。


Q.お肉先輩どうなったん?

A.遭遇して早々、強化爆豪に瞬殺されました。試験官ごっことかしてる暇もなく。
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