あ、ありがとうございます! 頑張ります! やばい、嬉しさで筆が進む(現金)。
今回は主人公の『個性』がちょっと明らかになります。
そして原作主人公とも遭遇。
第5話、どうぞ。
「ねえねえ栄陽院さん、ちょっといいかな?」
体力テスト終了後、着替えて教室に戻った私達。
そこで、唐突に私に話しかけてくる声がして……振り向くと、そこには、ピンク色の肌と黒い目、くせっ毛に……角?が特徴的な女の子が立っていた。前のめりになって、いかにもワクワクしていそうな感じで。
その後ろには、教室入ってすぐに目に入った透明人間女子や、体力テスト総合1位だった八百万に……って、女子全員いるじゃん。
「すごかったね体力テスト! 握力とか男子よりめっちゃ上だったし!」
「うんうん、でも持久走はもっとすごかったね! ずっと全力疾走してなかった?」
「あーそれ私も思った! ヤオモモの原付に追いついちゃいそうな勢いだったし」
ええと、確か……芦戸と、葉隠、それに耳郎だったかな? その後ろにいるのは、麗日と八百万はいいとして、蛙っぽい子が、蛙吹だったか。
「確かにすさまじい力でしたわね……パワーだけでなく、スタミナも……テスト中は聞く機会がありませんでしたが、どういった個性なのですか? 増強系かその類とお見受けしますが……教えていただいても?」
「ああ、うん。いいよ?」
別に隠してるわけじゃないからね……聞かれなきゃ答えないけど。
帰り支度の手を止めて、椅子に横に腰かけて答える。
「私の個性な……『無限エネルギー』っていうんだ」
「「「『無限』!?」」」
個性名を聞いて、驚いたらしい女子たちの声が揃う。
おや、女子だけでなく……密かに聞き耳を立てていた、あるいは偶然聞こえていた男子たちも驚いたみたいだ。女子たちの向こう側に、目を見開いて驚愕した表情がいくつも見える。
「そ。腕や足なんかに自在にエネルギーを充填して強化することができる『個性』。エネルギーが続く限り、パワーもスピードも爆発的に上げられるし、その間はスタミナ切れもない。エネルギー切れを起こしても、さらに充填すれば再度パワーアップや回復も可能、って感じの増強系だな」
「そ、それで……持久走を全力疾走で最初から最後まで、なんて真似ができたのかあ……」
「腕力や握力、脚力の強化も自在……スタミナも無尽蔵……とんでもない強個性ですわね」
「ていうか、そのエネルギーが無限にあるの? いくらでも強化できるの!? うっわー、それって超強いっていうか、え、最早ずるくない!?」
葉隠の言う通り、と言いたげな視線があっちこっちから突き刺さる。
そんな汎用性抜群なエネルギーが、しかも無限に使えていくらでも体を強化できるなら、そりゃチート級の個性だよねえ。うん、私もそう思う。
ただ……ちょっと違うんだよなあ。
「いや? 無限じゃないよ?」
「へ?」
「使えるエネルギーにはちゃんと限界がある。エネルギーが切れたらそりゃ、強化もできないしスタミナも減るよ」
そんな私の言葉に、何を言ってるの? って感じできょとんとする面々。さっきまでの興奮が大きかっただけに、今言っていることの意味がわからない、上手く飲み込めない感じだ。
「えーっと……エネルギーは無限じゃない?」
「うん。量に限りがある」
「でも、名前は『無限エネルギー』?」
「うん」
「……ややこしくない? ていうか、タイトル詐欺みたくなってるんだけど……何ゆえ?」
「『無限』の意味が違うんだよ。この個性はさ、無限にエネルギーを発揮できるんじゃなくて……無限に『蓄えられる』個性なんだ」
「…………!」
どうやら今の説明で、何となくでもわかったのは、八百万だけのようだ。
私の個性『無限エネルギー』は、食べたものを消化吸収し、『エネルギー』に換えて蓄積しておくことができるものだ。
それを必要に応じて引っ張り出し、腕や足に充填することでパワーやスピードを強化することができる。また、エネルギーが続く限りはスタミナも無尽蔵と言っていい。再生系・治癒系の個性ほどじゃないが、傷の治りも早くなる。
だから今回みたいに、腕力や握力を強化して、握力測定やソフトボール投げでそれに応じた結果を出したり、持久走で最初から最後まで全力疾走したり、なんていう無茶苦茶なこともできる。
某狩人漫画で例えるなら『オーラ』、某グルメバトル漫画で例えるなら『カロリー』になるか。というか、実際に食べ物からエネルギーを摂取するから、そのまんまカロリーな気もする。
ただし、蓄積しておいたエネルギーが底をつけば、当然強化もできないし、持久力無限なんてこともできなくなる。私自身の素の身体能力しか残らない。
それでもある程度戦える自信はあるけど。入試の時とか、ほぼ『個性』なしでやってたようなもんだし。そのくらいには鍛えてある。
ただ、最大火力がガクッと落ちるのはね、やっぱり怖い。
そんなだからまあ、矛盾とかややこしいとか『タイトル詐欺』とか言われても、まあ仕方ないわな……実際私としても、名前負けもいいとこな『個性』だと思ってるし。
ただしこのエネルギーは、溜めておける量の方には上限はない。
食べれば食べた分だけ、『無限』に絶対量を増やすことができる。
もしかしたら限界もあるのかもしれないが、今までそういうのにぶち当たったことはない。
ただ、それ以外にももう1つ……少々、ややこしいというか、厄介な『制限』があるが、まあそれはまた今度ってことで。
そしてこのエネルギーは、普通に日常生活を送っている分には……要は、『個性』を使わずに生活していれば、減ることはないし、栄養が足りなくなったら、このエネルギーを代替にして生きていくこともできる。肉体に限界を超えて栄養を貯蔵しているようなもんだと考えてもいい。
これまた某グルメバトル漫画で例えるところの、限界まで食材に感謝して食に没頭するアレである。
「なるほど……聞いた当初の想定とは違いますが、十分に強力な個性ですわね」
と、八百万。
「聞く限り、その『エネルギー』は……それ自体が使い道に相当な汎用性があります。肉体の強化、スタミナの代替物、治癒力の促進、さらには生きていくための栄養素としても使用可能……そしてそれを、事前に食事をしてさえおけばほぼ無限に蓄えておけると」
「そういうこと。さらに言うなら疲労そのものを打ち消すこともできるから、その気になればエネルギーがある間中不眠不休で動くこともできるよ」
肉体的にはともかく、精神的にはきっちり疲れるけど。
「……欠点は、エネルギーを蓄えておくには、通常の食事よりもより多く食事をとらなければならない、という点ですわね。普通の量の食事しかしなければ、その分のエネルギー、もといカロリーは、基礎代謝で普通に消費されてしまいますから」
「そっか、必要以上に食べないとエネルギー蓄えられないんだ」
そういうこと。
しかし今の所、私はそれで困ったりしたことはない。
「この個性のせいもあると思うんだけど、私結構大食いでさ? テレビでやってるようなデカ盛りメニューのカツ丼とかオムライスとか、普通にぺろっといけちゃうんだ。それをエネルギーに変換して日頃からため込んでる。だからいつでも使えるエネルギーはそれなりに蓄えられてるし、逆に何もしなければ私は数週間は飲まず食わずでも生きていける」
その分、『個性』使うと消費も激しいから、残量には常に気を付けてるけど。
「おぉ~、なんて都合のいい体質……いや、個性ありきの体質になったのかな?」
「多分そうだよ。私のこの肌もさ、私の『酸』の個性の影響で色がこんな感じになってるから」
あ、芦戸の肌ってそういう感じの理由だったんだ。……でもじゃあ、角は何でだ? 遺伝?
「それは……うらやましいですわね。私の個性も、体内の脂質を消費して物体を生み出していますから、貯蔵量は多いほどいいのですが……やはり限りがありますし、補充するのも大変なのです。脂質を必要量摂りたくても、満腹感がブレーキになってしまいますので」
なるほど、八百万の『創造』はそんな仕組みになってたんだな。ノーリスクでポンポン物を作れるわけはないと思ってたけど、なるほどそんな感じか……
「いや、十分あんたもそれに適した体質持ってると思うけどさ……発育の暴力……」
なんか耳郎が小声で恨みがましく何かを言った気がした。聞こえなかったし、八百万にも聞こえてなかったようだけど。
「でも確かに……ヤオモモが永久ちゃんの個性を併せ持ってたらさいきょーだったかもね」
「無限のエネルギーから無限に物質が『創造』されるわけか……確かにすごいねそれ」
「けろ。でも、その『エネルギー』が脂質の代わりに使えるかどうかはわからないわ」
そんな感じで盛り上がりつつあったところに、耳郎が声をかけて来た。
「……ところでさ、栄陽院。今の話聞いてて、ちょっと気になったところがあったんでききたいんだけど」
「? どうした?」
「あのさ……あんたさっき、食べた分の余剰エネルギーは蓄えられるって言ってたじゃん。余分に食べなきゃ蓄えられないって。でもそれってつまり、逆にさ……」
一拍、
「……あんた、何をいくら食べても……それこそ好きなだけ食べても絶対太らないってこと?」
「「「…………っ!?」」」
「? まあ、余剰分のカロリーは全部エネルギーに変換しちゃうから……」
あれ、何か周りを取り囲む女子たちの大半が怖いオーラを纏った気が……
「何それー!? ずるいー!」
「ちょっと待ってその体質はガチでうらやましい! 女の子はいつだってスイーツその他のカロリーと戦ってるもんなのに、そんな悩みと無縁なんてうらやましすぎる!」
「……けろっ。さすがにちょっと不公平だと思っちゃったかも」
「……ッ……神はなぜ、こうも持つ者と持たざる者を区別するようなことを……!」
芦戸に葉隠、蛙吹まで!? あと最後、謎の呪詛をつぶやいてる耳郎が怖いです。
何を考えてるかは……大体わからなくもないけど。目線が私と八百万の胸を行き来してるから。
なお、その八百万はというと、
「そうでしょうか……? 私も脂質の補充のために、なるべく多く栄養価のあるものを食べるようにしていますが、それほど……」
ぐりん、と。
それを聞いた耳郎の首が回って八百万の方を向いた。ちょっと動きがホラーじみてて怖ぇ!
葉隠と芦戸も同じように振り向いて(こっちはホラー要素なしで)、
「ヤオモモ――! お前もか――!!」
「ここか! ここだな! ここに蓄えられてるんだなー、食べた分全部ここにいってるんだなーそうだなーちくしょー!」
「ちょっとよこせぇ……!」
「ふあっ!? ちょ……やめてくださいな芦戸さんに葉隠さん! そこ、触らないで、あっ……じ、耳郎さんはその、め、目が怖いです! あの、私何かまずいことを……」
「待て待て待てちょっと待て! 特に耳郎は待て! おちつけ! 教室でキャットファイト始めるなって、まだ今日入学初日だぞ……」
「うっさいわ! あんた達持つ者に持たざる者の気持ちがわかってたまるかあー! こうしてやるぅー!」
「ひあっ!? ちょっ、やめ、痛っ、こら……こん……上等だコラァ!」
「うわ、永久ちゃんがキレた!?」
「耳郎ちゃんのわきの下がっ、ホールドからの超高速こちょこちょで大変なことにぃ! 汗かいて涙流すほど笑わされて見た目的になんか色っぽく!?」
「それでも栄陽院ちゃんの胸を放さない耳郎ちゃんの執念がちょっと怖いわね……」
「……俺、今年この学校のこのクラスに入れてよかった……」
「俺も……うわ、栄陽院の胸部装甲が、耳郎の手でわしづかみにされて変形して大変なことに……」
「信じられるか? 今日、入学初日なんだぜ……?」
「峰田、流石に撮影はやめとけ、アウトだ」
男子達がそんな会話をしていたのが耳に届いたが、女子のかしましトークにかき消されて私らの意識に入ってはこなかった。
ちなみに、『食べても太らない』論争にただ一人参戦して来なかった麗日はどうして黙っていたのかと聞いたら、
「1日3食お腹いっぱい食べられるなんて……それだけで幸せやん」
何か別種の闇が垣間見えたのでそれ以上聞くのはやめた。
☆☆☆
Side.緑谷出久
「あぁ~、疲れたぁ……」
雄英高校、登校初日。
入学式だと思ってたらいきなり体力テストが始まり、そこで除籍のかかった(実際にはかかってなかったけど)真剣勝負に挑まされ、その後、自業自得だけど指バッキリいって保健室で手当てしてもらって、その治癒に体力を持ってかれてすごく疲れた……
全体通しての感想が『疲れた』で埋まったと言っても過言じゃない感じだ。
念願かなって入った雄英だけど、今日は朝からずっと疲れっぱなしで、さすがに今は一刻も早く帰って休みたい気分だ。校内の見学とかはまた後日やることにしよう。
……その見学とかって、たぶん本来は『ガイダンス』でやるはずだったんだよね? 相澤先生、はたしてコレは本当に合理的な時間の使い方だったんでしょうか……雄英にはあこがれてるけど、僕は高校生活1日目からちょっと疑問が生まれてしまっています。どうしてくれるんですか。
そんなことを考えながら歩いてたら、視線が下向きで気づかなかったのか……何かにぶつかった。
頭が、ぽいん、って、何か柔らかいものに当たって弾かれた感触が……何だろうと思って視線を上にあげると、そこには……
「うん? 緑谷?」
「……え? え、栄陽院……さん?」
僕より頭一つ分近くも身長が上の女子生徒……クラスメートの栄陽院さんだった。
僕と同じ、あるいはよく似た増強系『個性』の持ち主で、スピードとパワーを兼ね備えた動きで体力テストでは大活躍していたから、印象に残っている。そのパワフルさは、女性でありながら、どこか僕の憧れであるオールマイトを思わせるような部分すらあった。
彼女の動きを参考にできないかと思って、ひそかに観察してたんだよね……無理だったけど。
あと、女性だからこそ、要所要所でちょっと別な部分に目を奪われる場面が多くて……集中力が足りませんでした、目がそっちに行きましたごめんなさい。
ていうかちょっとまって? 今ぶつかったのって栄陽院さん?
しかも、僕と彼女の身長差からして、い、いいい今の柔らかい感触はまさか…………
「ご、ごごごごめん栄陽院さん! わ、わざとじゃ、ええっとその僕その考え事してて前見てなくてホントにその……」
やばいやばいやばい! 今の僕の行為はその……わざとじゃなかったとはいえ完全に世の女性を敵に回すようなアレなことで! もしここで栄陽院さんに騒がれようものなら……クラス中、いや学校中の女子に冷たい目で見られて、問題になって職員室に呼び出されて、相澤先生に冷たい目で見られながら見込みゼロの烙印を押されて除籍処分、最悪そのまま警察のお世話に……
ていうかそんなことを考えながらも僕の視線は、ふいに目の前に現れた栄陽院さんの胸にくぎ付けのまま動かせない! くそぉ、動け僕の体! せめて視線をずらせ! たのむ動いてくれ! ひっこめ煩悩!
はっ、そうだいっそこのまま土下座でも何でもしてしまえば、目線を外すのと謝罪が一度にできて一石二鳥……なんて考えた瞬間、突然僕の頭は栄陽院さんに抱き抱えられた。
「むぐぅ!?」
「ちょっと緑谷うるさい、暴れるな騒ぐな黙れ一回」
目の前にあった胸に、今度は顔面が全力で押し付けられてうずめられて……や、柔らかい!? しかも何かいい匂いが……
するとそのまま栄陽院さんは僕を体ごと抱え上げ、すごい速さでそこから走り去って物陰に隠れた。そこで僕を解放する。
ぷはっ、と地味に息ができなかった僕は、そこで息をついた。か、感触が幸せすぎて呼吸困難に気づかなかった……。
はっ、そ、それよりも土下座しないと!
「いい、いい、いいから落ち着け緑谷。謝んなくていいから、怒ってないから別に私」
「えっ!? そ、そう……なの!?」
栄陽院さんはちょっとあきれ顔で笑いながら『落ち着け』と手でジェスチャーまでしながら言ってくれている。お、怒ってない……ホントに? 問題にしない? 通報しない?
「しないしない、わざとならまだしも、こんなことで目くじらたてないって……別に減るもんでもないし。それよりあんな往来で騒がれて人の目が集まってくる方が迷惑だって」
なんかすごく豪快と言うか、懐の深いことを言ってくれる栄陽院さん。どうやら本当に気にしていないし、問題にするつもりもないみたいだ。
よ、よかったあ……優しくて心の広い人で……。
僕のヒーローアカデミア、完! みたいなことにならなくてよかったホントに……!
入学初日にこんなことで除籍になったりしたら、オールマイトに何て言ったらいいかと……
するとこうして僕を抱き上げて物陰に隠れたのも、あくまで目立つのがいやだったからか。
いや、あれはこっちが逆にびっくりしたからなあ……ま、まだ顔に感触と匂いの残り香が……。
「でもまあ、これが私以外だったら……まあ問題になるどうかは別としても、白い目で見られたりするくらいは確実にあるだろうから気をつけなよ」
「う、うん……ありがとう。ホントにごめん……気をつけます、以後、絶対に」
「だーから別に謝んなくて……あ、そうだ、それなら緑谷、ちょっといい?」
まだ顔が熱い。多分赤くなってる。
けど、何か思いついた、あるいは思いだした様子の栄陽院さんに呼ばれて、何だろうと視線を上げると……彼女は、その手にペットボトル飲料を持っていた。
しかも……見る限り2本、同じのを。中身は……カフェオレ?
よく見ると……片方には水滴がついていて、もう片方にはついていない。
「これなんだけどさ、さっき間違えて、『あったかい』買うつもりが『冷たい』買っちゃってさ……妥協したくなくて結局買い直したからコレ余ってるんだけど、貰ってくんない?」
「えっ!? い、いいけど……ていうか喉乾いてるからむしろ貰えるならうれしい。いいの?」
「いいのいいの。それなら逆にちょうどいいしな」
「う、うんわかった。ありがとう。あ、お金払うから……」
「いーってそんなの! みみっちいこと気にするな!」
そうして僕はカフェオレの500mlペットをもらった。
栄陽院さんは、目の前でカフェオレのボトルを軽く振って沈殿をなくしてから、キャップを開けてごくごくと一気飲みしていた。豪快だ。
僕も早速いただこうかな。
パキッ、と子気味いい音を立ててキャップを開けて、中身をごくっと飲み下した。
(……あ、美味しい)
甘さも苦みもちょうどよくて、口当たりまろやか、後味もすっきり。
このメーカーのカフェオレ、こんなに美味しかったんだ……知らなかった。
あんまり美味しくて……気のせいだろうか、さっきまでだるかった体にエネルギーが戻ってきて、はきはき動けそうな気すらしてきた。
いや、気のせいだろうけど。栄養ドリンクだってそんな即効性ないだろうしね。
……って、あ、全部一気に飲んじゃったよ。いつの間にか500mlが空だ。
「どう、美味かった?」
「うん、すごく。これからこのメーカーの買うかも」
「ははっ、そりゃよかった。じゃ、私これで帰るから」
「うん……あ、ペットボトル僕が捨てとくよ」
「マジで? あーじゃあ、頼もっかな」
僕に空のペットボトルを手渡して、そのまま栄陽院さんは帰っていった。
その横顔は、にこにこと機嫌よく、嬉しそうに笑っていたように見えた。
……自分の好きな飲み物を褒められてうれしかったのかな?
いやしかし、ホントに美味しかったな……ホントに今度から、カフェオレはコレ買おうかな。メーカー名と銘柄覚えとこ。
「美味しかったか……ふひひ、そりゃよかった……あーやばいちょっと顔がにやける……」
後日、僕は同じものをコンビニで買って飲んでみたんだけど……不思議なことに、この時ほどは美味しくは感じなかった。何でだろう?
……その直前にあった出来事のせいで、緊張して喉がカラカラに乾いてた分美味しく感じた、とかだろうか? い、嫌だなちょっと、そうだとしたら……煩悩が後押しになったみたいで。
主人公の『個性』がここでようやく明らかになりました。
ただ、まだ明らかになっていない部分も結構あります。
現時点の情報
・食べて吸収したカロリーを『エネルギー』に変換して蓄えておける
・『エネルギー』を使って身体強化とかスタミナ無限とかいろいろできる
・いくら食べても太らない(副次効果)
本格的な説明は、話が進む中で徐々にやっていくつもりですが……ある程度まとまるのは、戦闘訓練あたりかな。