お客さんが完全に俺好みだった!?   作:OCEAN☆S

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#2 いつものお隣さん

あれから数日が過ぎ、また学校の毎日が始まった…授業の毎日は少しダルいけど、学生だから仕方がないか…。

 

 

最近はずっと、歩夢ちゃんがお店に来てくれるのが仕事の楽しみになってきている。

 

今日も来てくれるかな?そう考えながら授業をぼーっと受ける。

 

「ふぁ…」

 

なんか、新学期から新しい席になったけど窓際だからすごく眠たくなるなぁ…。

 

 

「何だかすごく眠たそうね、弘樹。」

 

「まぁな…果林も珍しいな。しっかりと寝ないで授業を受けれるなんて。」

 

隣の席の女の子。『朝香果林(あさかかりん)』彼女は1年生の頃からの友達だ。

 

モデルをやっていて、マネージャーの人とうちのお店で打ち合わせをしている所を稀に見かける。

 

 

「失礼ね…昨日は何も無い暇な日だったからよ…」

 

「ふ〜ん…そういや、最近お店に来てないけど、どうしたんだよ?」

 

「ん〜、最近弘樹がお気に入りのお客さんと楽しそうにしてるから邪魔したら悪いかな〜って。」

 

「なんだ…バレてたんかよ。」

 

果林が得意げな顔をしてこう言った。

 

「ええ、私の家の通り道だから、弘樹のニヤけた顔が窓からよく見えるわよ。

 

「そんなにニヤけてるか?」

 

「うん、だって弘樹はどっちかって行ったら年下の可愛い女の子が好みでしょ?」

 

「う〜ん…別に年下だからいいって訳じゃないけどなぁ…。」

 

「ふふっまぁ、弘樹には私みたいな人はあまり好みじゃないでしょうけど。」

 

「そーだな、正直果林だと高嶺の花って感じがするし…」

 

この前お店に来た時なんかは、少し厚底のブーツを履いてきてたから正直俺と身長が変わらないくらいだった。

 

オマケに顔も良いし、スタイルも良い。これじゃあ俺と釣り合わなくて当然だ。

 

 

 

「なぁにジロジロ見てるのよ?」ズイッ

 

果林が顔を近づける…

 

「近い近い…」

 

「ふふっ。顔真っ赤よ♪可愛いわね〜弘樹は。」

 

コイツ…いつもいつも年下扱いしやがって…

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そんなこんなで四限も終わり、昼食の時間になった。

 

 

「さっきは悪かったから一緒にご飯食べようよ〜!」

 

「……」

 

無視…完全に無視だ。

 

…そう、普段から冷静で大人っぽい果林でも、予想外な行動をされると一気に弱くなる。

 

 

まぁ、少し可哀想な気もするけどあんまり俺をからかいすぎるとこうなるってことは…

 

 

「……」

 

「…果林?」

 

「……ひどい」

 

「え…?」

 

ちらっと果林の顔を見ると、少し半泣きな表情を浮かべていた…

 

「…いつもこうやってからかいあったりするけど…流石に無視は傷つくわ…」

 

「あ、あぁ…わ、悪かった…」

 

 

俺がそうつぶやくと、果林はニヤッと笑い、俺の袖をつかんで近くにあったベンチに座らせる…。

 

 

「ほんっと…弘樹は騙されやすいんだから〜♪」ツンツン

 

果林が、俺の頬をつつく

 

 

「別に俺と食わなくても、他にも女の子はいるだろ?」

 

「そ…それはそうなんだけど…ほら、私一応モデル目指してるから…食べるものがサラダチキンとか、五穀米のおにぎりとか…あまり、食事で会話を広げにくいから…」

 

「だったら、エマと彼方がいるじゃないか、2人なら事情を知ってるわけだし…。」

 

「弘樹…知らないの?エマは今、スイスに帰ったままなのよ?彼方はお昼食べたらすぐに保健室で寝に行っちゃうし…。」シュン

 

うっ…流石にこんな状態の果林を放って置くのも何だか可哀想だ…。

 

 

結局果林のペースに乗せられて、一緒にお昼を共にすることになった。

 

 

 

 

「あ、弘樹のパンケーキ美味しそうね…」

 

「ん…?あぁ、今朝家出る前に作ってきたやつだよ。」

 

「……」ジー

 

「…果林、サラダチキンと五穀米生活は今何日目だ?」

 

「…ちょうど3ヶ月かしら?」

 

「あんまり無理しすぎると体調崩しちゃわないか?」

 

いくら体型に気を使ってるからって無理は禁物だ。仮にもまだ高校生、一番食べ盛りな時期だ。だからと言って食いすぎは良くないけど。

 

「いる?パンケーキ。一応無糖で作ってるから市販で売られてるやつに比べればだいぶカロリー低めだけど。」

 

「ん〜…そ、そうね…そこまで言ってくれるなら頂こうかしら。」

 

 

少し抵抗しながらも、果林はパンケーキを手に取り、そのまま口に運ぶ。

 

 

「はむっ…美味しい…!甘くないのに生地がすごくふわふわしてる…。」

 

「当たり前だろ、俺が作ったんだから。」

 

「ふふっ相変わらず、上手ね。これからも私の食事も全部弘樹に頼もうかしら?」

 

「うちのお店に毎日来て、たくさん貢いでくれるなら考えてもいいぞ。」

 

「えぇ〜…貢ぐなんて…弘樹って大胆ね♡」

 

「ハイハイそーですね〜」

 

「もぅ…そこは、『そ、そんな意味じゃないし!』とか。男の子らしい反応はないの?」

 

「俺に、ありきたりなセリフを求めたって無駄さ。早く教室戻ろうぜ、4月とはいえまだ少し肌寒いからな。」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「それで?最近お店に来るっている女の子はそんなに可愛かったの?」

 

「あぁ、なんか本当にThe女の子って感じだったな。」

 

「ふ〜ん…それで…」

 

 

『あ!弘樹くん!次の授業の準備物が多いらしいからちょっと手伝ってくれない?』

 

 

私が、喋ってるのに…タイミング悪く先生に呼ばれてしまった

 

 

「はーい。悪いなすぐ戻るよ。」

 

「えぇ。」

 

 

そう言って弘樹は教室の外へ行ってしまった。

 

 

「はぁ…」

 

自然とため息がこぼれる…

 

「なぁにため息ついてるの?らしくないね。」

 

「あら?珍しく今日は早めに戻ってきたのね。彼方。」

 

「まぁね〜たまには早起きしなきゃだもんね〜」

 

「それ…学校で言うセリフなのかしら?」

 

 

彼方が口を抑えながら大きなあくびをする…。

 

 

「いいの?」

 

「何がよ?」

 

「弘樹、別の子に取られちゃうかもよ?」

 

「…いいのよ彼にぴったりな子が見つかったならそれでOKだわ。」

 

「ふ〜ん…。」


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