ときめきプレアデス   作:abc

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おねショタを書きたいという欲望だけで書いています


六等分のメイド

 可愛らしい壁紙、おもちゃのたくさん入ったおもちゃ箱、柔らかいベッドに、優しい光を届ける照明、そう、ここは子供のための子供部屋。

 

 その部屋の大きなふかふかのベッドに、寄り添うように座る女性と、ベッドの中で眠そうに枕と布団に身をゆだねる少年の二人がいた。女性の方は上質なメイド服を身に纏い、その綺麗な髪をポニーテールにしている。手に読み聞かせ用の子供向け絵本を持っており、それを閉じたばかりであった。

 

 灰色の髪と金色の目をした少年は覚醒と眠りの狭間にいた。

 メイドは眠るように、優しい声で促す。

 

「お坊ちゃま……そろそろお休みになられる時間ですよ」

 

「まだ起きてる……寝たくない……もっとナーベラルとお話ししたい」

 

「なるほど……なるほど」

 

 ナーベラルと呼ばれたメイドは何と返せばいいのか困っていた。本日のお世話係として担当しているナーベラルからすればお坊ちゃまのもっとお話ししたいという言葉は割と嬉しかった。顔には決して出さないが。

 

「ですが、寝る子は育つと言います。たくさん寝て大きくなればもっと私と一緒にいることが出来ますよ」

 

「じゃあ、寝る……それとナーベラル?」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「僕、大きくなったらナーベラルとけっこんしたい……」

 

「そ、そうですか……畏まりました。それではもう少しだけ起きていてください。今すぐにスクロールと朱肉を急いで用意してきますので」

 

 ナーベラルは全速力をもって契約用スクロールと朱肉を持ってくると、お坊ちゃまが眠る前に手早く契約を済ませる。戦闘メイドプレアデスは判断能力も高いのであった。

 

 契約は手早く済まされた。ナーベラルはスクロールを丸めると大事に手に持っている。お坊ちゃまは既に寝ていた。子供部屋を出て廊下を歩いていると偶然にも姉であるユリ・アルファと遭遇する。

 

「あら、ナーベラル、何か嬉しいことでもあったの?すごい顔よ」

 

「ユリ姉さん……私、幸せになります」

 

「幸せに……なる?まあ、幸せならそれでいいとは思うけど」

 

 珍しく笑顔のナーベラルは、ユリとの会話もそこそこに急いで自室に戻る。持っていたスクロールを大事な箱の中にしまう。そしてナーベラルはこれから十年間このスクロールをいまかいまかと毎日覗き見る生活を続け、ずっと大事に保管していくことになる。

 

 だがナーベラルは知らなかった子供は自分の言ったことを、割とすぐ忘れることを。そしてメイドは一人ではないことを。

 

 

「僕、大きくなったらユリとけっこんしたい……」

 

「ただいまスクロールと朱肉を用意してきます」シュバババ

 

 

「僕、大きくなったらルプーとけっこんしたい……」

 

「スクロールと朱肉を用意してくるっす」シュバババ

 

 

「僕、大きくなったらソリュシャンとけっこんしたい……」

 

「スクロールと朱肉用意してまいります」シュバババ

 

 

「僕、大きくなったらシズとけっこんしたい……」

 

「……スクロールと朱肉……持ってきます」シュバババ

 

 

「僕、大きくなったらエントマとけっこんしたい……」

 

「スクロールと朱肉を用意しますぅ」カサササ

 

 

 

 

 

 

◆~十年後~

 

 

 

「これで、チェックメイトだ」

 

「ま、待った」

 

「はぁ……待ったは無しだ。それにどの地点から打ち直したとしても形勢はかわらない。やるなら初めからもう一度やろう」

 

「む、そうだな、一息入れてからもう一度やろう。すまないが茶の用意をしてくれ」

 

 金色の髪の青年がそう言うとメイドは了承したことを示すように、ぺこりと頭を下げて部屋を出ていく。この金髪に青の瞳の美青年は、ラナー第三王女とその夫クライムの間に生まれた青年『クリストフ』であった。母親の美貌と父親の優しさを受け継いでおり王国内でもそれなりの人気を誇っている。

 

 そしてそんな彼の向かいに座り、チェスに興じる青年がもう一人。

 

 灰色の髪に、荒んだ金色の目、白い肌をしているのは、魔導国魔導王アインズ・ウール・ゴウンと、その守護者統括であるアルベドの間に生まれた、人間の形をした異形種『グレイ・ウール・ゴウン』であった。

 

 茶が用意されるまでの間、座っているソファに身を預けながら二人は雑談を始める。

 

「ところでいつまでこの王都にいるつもりだ?もう一ヶ月くらいになるだろうに」

 

「ああ、もうそんなになるのか……俺がいたら迷惑か?」

 

「そうは言っていない。お前は私の友人であるからな。だがここに来る前は帝国に、その前は法国、その前は竜王国と、魔導国には全く帰っておらぬではないか。魔導王殿も心配なされるのではないか?」

 

「心配何てしねえよ……父さんは仕事ばっかだし、母さんはそんな父さんのことしか考えてない。あんな薄気味悪いとこなんかいたくねえ」

 

 グレイは14の時に魔導国を飛び出して今年でもう二年になる。その間グレイは冒険者として活動しながら世界を放浪してきた。母と父に似ずに生まれつきカルマ値が善に傾いていた彼は成長するにつれ、どんどんとナザリックに馴染めなくなっていったのだ。

 

 今では完全に疎遠になっており、魔導国の冒険者の仕事も受けないようにしていた。無論、完全にナザリックを嫌っている訳ではないがそれでも複雑な思いがあるのか決して自ら近づこうとはしていない。

 

「まあ、両親との関係は良好なことに越したことはないぞ」

 

「……急にどうしたんだよ。らしくないこと言いやがって」

 

 このクリストフという男は今年で18になるのだがつい二、三年前まではやんちゃをしていた時期があった。そしてよく父であるクライムに叱られていた。今は家族関係は良好らしい。

 

「ああ、私もそろそろ所帯を持とうと思ってんな」

 

「少し早いんじゃないか?」

 

「そうでもないさ。こう見えても相手の女性とはそれなりに長く付き合っている。それより冒険者の仕事ばかりでお前は恋の一つでもしてきたことはあるのか?」

 

「ぼ、僕のことは関係ないだろ!」

 

 ため息一つ付くとクリストフはその後クドクドと説教を始めた。グレイは確かに恋愛経験は皆無である。そこらへんは父親であるモモンガに似たのだろう。恋愛するよりも冒険者として未知を探索することの方が楽しいのである。

 

 それなりに長い説教をお茶を飲みながら聞き流す。グレイは恋愛をくだらないとは言わないがあまりに自分とは考えが違いすぎる。

 

「ふぅ……チェスの続きはまた今度にしよう。今日はお前のお説教で疲れたよ」

 

「そうか。ちゃんと魔導国にも帰るんだぞ」

 

「……考えておく」

 

 茶を飲み干すと席を立つ。帰る場所は王国にある宿屋だ。グレイにとってはそこが拠点であり、大体はそこで過ごすかその辺をうろつくだけである。

 

 王城を出ようとしたグレイを引き留める声が聞こえる。

 

「お待ちになってください」

 

「……ラナー王女……どうかされましたか?」

 

 クリストフの母にして、クライムの妻であるラナー王女がグレイを引き留めたのだ。年を取っても変わらないその美貌はさすが黄金と評された女性なだけのことはある。だが本質を知っているグレイはラナーのことだけは苦手であった。

 

「いえ、随分長い間お国に帰られていないとアルベド様から聞いていたので」

 

「それならさっき、あなたの息子にも説教を受けましたよ」

 

「……それは奇遇ですね。それと何やら契約の期限が迫ってきているとアルベド様は仰っていましたよ。何か心当たりは?」

 

「契約……まったく身に覚えがないんですけど……はぁ、わかりました。近いうちに一度帰ってみることにします」

 

「その方がよろしいでしょう」

 

 夕陽に照らされる王城から宿屋に向けて歩みを進めるグレイは契約について考える。何かあっただろうかと。

 

「さっさと行って帰ろう」 

 

 

 最高に幸せな悪夢が始まる

 




グレイ・ウール・ゴウン
灰色の髪と金色の目をしたアインズ様とアルベドさんの息子
名前の通りカルマ値が善であり悪になりきれない
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