連鎖反応の刃   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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私が鬼になったわけ 1

「この馬鹿!!」

 

「ひっ!」

 

「何度言えば分かる!! 簡単な勘定を間違えるんじゃねぇ! あと焦っても器を落とすな! 食材は貴重なんだぞ!」

 

「すみません、すみません」

 

「たく、他の餓鬼共の方が良い位だ……親居ねーのに住み込みなんだから早く覚えろ!」

 

「は、はい!」

 

 鎌倉武士達が我が物顔で歩く時代から足利将軍に変わった頃私は親に売られてここで働いている

 

 働かせてもらってるが正しい

 

 鈍くさくて不器用な私に2食と雨を凌げる寝所、給仕服まで貰ってる

 

 売った親も飢餓と年貢で私や兄弟達を食べさせていけないと思ったからの決断と知っているので恨むことはない

 

 だけど雇ってくれている主様以外の奴隷仲間達は嫌い

 

 どうしても不器用だから話からハブかれるし、食事の具を意図的に減らすから嫌い

 

 自分が食事を分ければ良いではないかと言われるかもしれないが、そういうのは器用で主様のお気に入りがする暗黙のルールが有るから無理

 

 ……不満点はそれぐらいかな

 

 つまり今の生活にほぼ満足してました。

 

 あの日が来るまで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お客さん達こんなに残すったぁ不味かったですか」

 

「いえ、子供達が思ったよりお腹が空いていなかったみたいで」

 

「もったいねーから食べちゃってください、でねーとうちの奴らに食わせますよ」

 

「店主、入らないものは入らないのでその子達にあげて良いですよ」

 

「ケッ……毎度あり」

 

「美味しかったかい? 坊や達?」

 

「うーん、微妙?」

 

「仙宮坊さんの鍋の方がおいしかった」

 

 ビキビキと料理を作った主様と器用な子達の怒りの擬音が聞こえたような気がする

 

 今の時代に珍しい定食屋をやっているが、なにぶん材料も調味料も少ない中でやりくりして利益を出している主様は化け物だと思いますが、流石に先程の子供達の言葉は頭に来たようで

 

「店を出てから聞けや」

 

 とドスの効いた声で父親と思われる客に直接言った

 

 ピキっと父親とおもしきお客さんの額に血管が浮き上がるような感じがした

 

 でも主様悪くないし、食事出して微妙と他のお客さんが居るのに言われたらこちらもたまったものじゃないから……

 

 厄介なお客さん達が勘定を終えて店を出ようとした時、ありがとうございましたと頭を下げた私の首筋にチクリと何かが刺さるような感覚がした

 

「え……あ……」

 

 私は意識を失った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この恩知らずの化け物が!!」

 

 痛い、主様の声が聞こえる

 

 あれ? 私……あ、意識を失ったんだっけ? 

 

「俺はまだしもお客さんにも襲いかかるったぁどういうことだ鈴! いや、小鬼の化け物!」

 

 あ……れ? 

 

 襲う? 人を……お腹すいた

 

 人……食べたい……主食べたい……

 

「二度と面を見せるな化け物!」

 

 ガンと蹴られて店の裏口から叩き出される

 

 一瞬日光に当たりジュッと肉体の全てが焼けるような痛みをしたあと蹴られた勢いそのまま木に激突する

 

「カッは!?」

 

 ゴボッと胃の中の物が全て出てきた

 

 朝のご飯だった物だ

 

 ふらふらと立ちあがり森に逃げる

 

 ちらりと後ろを振り向くと主だった人が無傷のお客さん達に必死に頭を下げて謝っていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チィっ使えん、私の血を与えたのに誰も殺せないどころか素手の人間達に返り討ちにされるなど!!」

 

「お父さん怖いよ」

 

「えぇい黙れ!」

 

 ザシュ

 

 腕を横一線

 

 ごとごとごとと家族役に洗脳していた女と子供2人の首が地面に転がる

 

「……チィ」

 

 気が紛れたのか無惨はそのまま何処かに行ってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 森の中で私はガタガタ震えていた

 

 なぜ? 

 

 なぜ? 

 

 と頭に生えたら2本の角を触りながら鬼になった理由を弱い頭で考えていた

 

「う……あ……」

 

 と上手く言葉が発せない

 

 というか展開が早すぎてよくわからない

 

 気を失ったら鬼になってましたなんて誰も信じない

 

 しかも鬼になったからといって変わったのが少し重い物を持てるようになったのと走るのが早くなったくらいで鈍くさくて不器用なのは変わらないのでよく転ぶ

 

 日の光が痛くて嫌になる

 

 というかお腹すいた

 

 すっごく人を食べたいと思うのは鬼になってしまったからだろう……でも屍体なんて気持ち悪いし……でもお腹すいたし、でもでもでも……

 

「ウゥ、あぅ」

 

 お腹すいた、ダメだお腹優先

 

 狙うは私より力が弱い子……よしよしよし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぁ……」

 

「ギャァァァ!!」

 

 ザシュ

 

 6歳位の女の子の持っていた棒切れに目玉を刺され、その後ボカボカ殴られる

 

 叫び声を聞いた親の太刀で真っ二つにされ、満身創痍の中森に逃げ込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うぁぁ」

 

「死ねぇ!」

 

 5つ位の男の子に短刀で滅多刺しにされたあと首を斬られた

 

 首を持って森に逃げた

 

 

 

 

 

「うぁぁ……」

 

 ドサ

 

「……鬼だ!」

 

「出やがったな化け物!!」

 

「今日こそ殺してやる!!」

 

「覚悟しろ!!」

 

 4つ位の女の子を後ろから噛みつこうとして転んでバレてボコボコにされて地面に埋められた

 

 

 

 

 

 

 

 ボコ

 

「アァ」

 

「まだ生きてやがる死ねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 全部ダメだった! 

 

 何とか地面に出て森に逃げ込み、洞穴の中に逃げ込んだ

 

 2週間で8回時間を問わないで色々襲ってみたけど全部失敗

 

 お腹すいた

 

 空腹で気が狂いそう

 

 水を飲んでも、木の実を食べても空腹は収まらないの……

 

『おい、ここら辺か鬼が居たのは』

 

『住民からはこの森の中だとよ』

 

『早く日輪刀で頸を斬っちまおうよ。なに、俺達3人居れば大抵何とかなったし』

 

『そろそろ甲に昇進してぇな、今回の鬼を斬り殺せば誰かしら甲にはなれるだろうし』

 

『だな、柱みたいな化け物は無理かも知れねぇが、甲なら俺らだって』

 

 洞窟の外から声が聞こえる

 

 確か……たしかぁ……あ、鬼殺隊だ

 

 鬼を殺すお侍さん達

 

 源平両氏数千人の鬼狩り隊が居ると言われていたし、庭に生首を絶やすことなかれと言われるくらい強いと聞いたことがある

 

 今は昼間、木々の間がら溢れる日光も当たるとすさまじい激痛で洞窟から出れない

 

 かといって洞窟の中にいたらたぶんバレる

 

 殺れるか? 

 

 子供も殺せない自分が……

 

 グルル

 

 なるべく洞窟の奥に逃げるようにこそこそと歩くとモフッとした感触……

 

 

 

 

(・(ェ)・)やあ 死ねぇ

 

( ;∀;)すみません

 

 私の倍近くある熊とぶつかった

 

 そのまま頭と腰捕まれると引きちぎられて口の中へ……

 

 

 

 

 バリバリバリ

 

 

 

 

 

 

 

 胃の中で頭から再生し始めた私は外の声が聞こえてきた

 

『グルル!!』

 

『人食い熊じゃねえか!』

 

『鬼じゃねぇぞ! それに足が転がってた人の味を覚えてやがる!』

 

『討伐するぞ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『たく、てこづらせやがって』

 

『おい、大丈夫か?』

 

『すまん肩やられた』

 

『治療するから町まで戻るぞ熊は後で解体しよう』

 

『それよか町の人にやってもらおう、鬼殺隊に友好的な人を増やして鬼崇拝をしている馬鹿を炙り出さなければ』

 

 

 

 

 

 

 

 ……行った? 

 

 グニグニと上半身を回復させて必死に死んだ熊を内側から食べていく

 

 飢餓状態は脱した感覚がある

 

 30分近くグニグニ、グミグミと食べ続けようやく外に出る……

 

「あ」

 

「あぁ……」

 

「鬼いるじゃねえか!! 侍達何がいねぇーだ! おらが成敗してやる」

 

 刀を振り回す農民対鬼の鬼ごっこ(逆)が始り数時間森の中を走り回った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鬼になってから約1ヶ月半が経過していた

 

 まだ言葉があーだとかうーだとかしか喋れないが転ばなくなってきた

 

 そしてお腹が空いた

 

 熊食べてからまた木の実だとか水に生えていた茸や食べれそうな芋や根っこ等を片っ端から食べてみた

 

 茸、藤の花は死ぬほどキツかった

 

 彼岸花の球根は洗えば食べれた

 

 空腹間は紛れなかったけど

 

 毒々しい色をしていた茸が辛いのは当たり前(なぜ食べた過去の私……お腹空いているからだよね今の私よ)だけど藤の花は何でだろう? 

 

 悪臭というか生理的に近づきたくなくなって、それでも近づくと頭痛、吐き気、藤の花を食べてみたら泡吹いて失禁、視界の暗転

 

 ……不味いとても不味い

 

 でも不味いという感覚を感じるのは藤の花だけなんだよねぇ

 

 それ以外は何て言うかこう味がしない感じがする

 

 でもそうなるとどうしても肉が食べたい

 

 魚でも良いけど人の肉ならなお良し

 

 ……よし、今夜墓を荒そう

 

 もうなりふり構ってられない

 

 人肉でも骨でも良いから食べたい

 

 だらーっとだらしなく涎を垂らしながら町の方へ日が当たらないようにふらふらと向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 墓地に着いた

 

 暗くてよく見えない(お前本当に無惨の鬼なのか?)が人の気配はない

 

 よし! 

 

 ダッダッダと走っていざお墓へ

 

「カァカァ」

 

 バサバサ

 

「だぁ!!」

 

 カラスが墓の近くに転がった腐乱死体をつついている

 

 カラスを退ければあれを食べれる! 

 

 カラス退け! 

 

 カラスは翼を広げて威嚇しながらカァカァと鳴く

 

「ダァぁぁ」

 

 こしゃくなカラスの癖に! 

 

 あ、痛い目玉つつかないで……う!? 

 

 うわぁ!! カラスの塊!? 

 

 こいつ仲間を呼んだな! 

 

 あ、痛い、啄まないで

 

 謝るから! 謝るから! 

 

 痛い痛い痛い

 

 うぅ! 

 

 畜生!! 覚えてろ!! 

 

 鈴は森に逃げ出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダァァ」

 

 今日はカラスは居ないな

 

 あの死体は骨だけになってしまったけど骨だけでもせめて齧りたい

 

 カラスめ……1週間も墓前に居座り続けて……こちらは空腹なんだそ! 分かれ! 

 

 5回挑んで5敗はどんくさいじゃすまないのでは? と思うけど挑みたくなるくらいお腹が空いてるの! 

 

 もちろんその間も鼠や猫、兎を食べようとして捕まえられなかったり、魚を捕まえようとして川辺の石から滑って頭を強打して土左衛門みたくなったり、危うく日光に当たりかけて死にそうになったりしたけど、今日こそは何か死骸を口にしたい! 

 

 ……考えてると悲しくなるなぁ

 

 よし、慎重に慎重に……

 

 

 

 

 

(^ω^#U) ワイの骨やで

 

(;・ω・)少しで良いので

 

(^ω^#U) 死ねやぁ(ねっとり)

 

 ワンワン!! ワワワン!! 

 

 骨取ろうとしたら頸をガブーとされて倒れたら野良犬がわんさか(最低5匹)出てきて身体中喰われた……

 

 何、番犬なの? 墓守りなの! カラスといい犬といい私鬼やぞ! 

 

 くそー、いつか覚えてろよ!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん美味しいね」

 

「だぁ……うぅ……」

 

「泣いてるの? ごめん逆さまにしてるのが辛いのかな? でも弱い私だとお姉ちゃんを食べ続けないとお腹すくの、だから私が人を食べるまでお肉をちょうだいね」

 

 イッヌに負けてボロボロになって逃げたら鬼に捕まった

 

 手足を縛られて木に逆さで吊らされてかれこれ2週間

 

 身体に短刀さして私の肉を抉ってこの子食べる

 

「……」

 

 どうする? このままこの子に食われ続けるのか? 何とか脱出をしないと

 

 手首を摩擦で切って、縛る縄をこの2週間バレないように少しずつ血でふやかしていく

 

 乾かないように本当に徐々に

 

 ブチ

 

 よし! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鬼になってから何ヵ月たったんだろう? 

 

 私を捕まえていた鬼が私が逃げた数日後に討伐されてからめっきり鬼殺隊の侍達も町の人も森に来なくなったけど私はいまだに人の肉や骨を食えていません

 

「アゥダァァア!」

 

 アォーン

 

 カァカァ

 

 こいつらのせいで……

 

 私の肉の味を覚えたのかカラスと野良犬達がやたらと私を食べに来る

 

 必死に追い払っているのに……

 

 そうだ素手で戦うのがいけないんだ(普通の鬼は素手で熊を瞬殺できます)

 

 棒を使えば噛まれる前に叩ける! (飢餓状態のため知能が低下してます)

 

 アホーアホー

 

 ハッハッハッ(尻尾ブンブン)

 

 くそー! 叩けたと思ったのに! 

 

 カラス空に逃げるな! 

 

 イッヌ! 私の武器なの! 君の遊び道具じゃないからそれ! 

 

 

 

 

 

 

 

 野犬がなついた

 

 奴の名をイッヌ

 

 私がアァーとかウァァーとか言うと尻尾ブンブンしながら近づいて脇腹を抉る

 

 私が回復している間に抉った肉を食べ、棒を投げると拾ってもう一回と尻尾ブンブン

 

 これはいける! (イッヌからしたら鈴の方がカースト下やで……)

 

 ついに骨を食べれる! 

 

 暗闇でよく見えないので地面をほふく前進しながら墓を目指す

 

 何で歩かないのか? 

 

 あれを見てください

 

 墓守ですは・か・も・り

 

 イッヌ達が墓を荒らしすぎたらしく墓守が近くの墓には付くようになり、少しでもバレないようにしているのです

 

 ズリズリーズリズリーと少しずつ進み、ついに有りました! 

 

 骨!! 

 

 軽く泥を払っていただきます

 

 ……う、うーん

 

 労力と釣り合ってない美味しさ

 

 美味しいよ、美味しいんだけどこれじゃない感が凄い

 

 3本ほど足や腕の骨をちょうだいして墓守に見つかることなく森に非難

 

 

 

 

 

 

 

 私もずっと骨を咥えながら舐めてるけどイッヌもずっと噛んでるね私が取ってきてあげた骨

 

 暇さえあれば私の脇腹抉るか骨噛んでるじゃん

 

 飽きないねー

 

 ワンワン

 

 ん? 私の骨寄越せ? 

 

 やだよこれお腹膨れないけど微かにまだ味がするんだから

 

 いつまた骨取れるかわからないし……

 

 でも鬼になってからもう3年か……

 

 イッヌも出会った時より老けてるし、あと数年後には居ないのかな? 

 

 独りぼっちになるのかな……イッヌのお陰で兎とか瓜坊とか捕まえるの凄い楽なんだけどなぁ……

 

 人の骨はあれ以来取りに行ってないな

 

 3年間この森から出てないけどイッヌ死んだら何処かに行ってみようかな

 

 ……しっかし最近イッヌに脇腹抉られると痛みは無くなったけど、回復が遅くなってるんだよなぁ……何でだろう?

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