「ギヤァァァァ無理無理無理ー!! 稀血稀血煩いわぁ!!」
白髪と黒髪が混じる長い髪
白く透き通った肌
瞳はやや縦に細長く藍色
どことなく幼さを感じ、母親と同じ水玉模様の青い着物
その吐息は常に冷たく、走った跡には霜ができる
絶叫しながらもスパスパと高速で鬼の頸をハネる剣士……氷月つららは藤の花に囲まれた藤襲山と呼ばれる場所で最終選抜に挑んでいた
「斬っても斬っても死なない!! お父様? お母様? この状態で7日間だったら私疲労で倒れますよ!」
呼吸を整え更に加速
「血鬼術……氷柱人形!」
氷の分身を出して手数を増やす
ふぅぅ……
「「「氷の呼吸……壱ノ型・氷柱落し!」」」
追ってきている鬼めがけて壱ノ型と呼ばれる技を繰り出す
技量に合わせた穴を開ける突きで、刃の接触部分断面は凍るから足に撃ち込めば少しは時間を稼げる!
「鬼は頸を斬ったら死ぬんじゃ無いのぉぉぉ!!」
「あら? あらら? 泣いちゃダメよよしよし」
「可愛いなつららは」
「ふふ、旦那様との子供だもの」
常に雪が溶けない冬と共存する母の血鬼術の世界で私は雪女の長女として生まれ育った
名をつらら、苗字は氷月
母は雪女と言う種族だと言うが、父親から本当は鬼なのだと聞かされ、父親も母親も組織を裏切ったからここで暮らしているんだとか
父親が言うには
「昔は父さんは侍だったんだ。鬼を殺す侍だったんだが……ある時なお母さんに出会って、一緒に暮らそうっていきなり言われてな……最初は殺そうとしたんだけどお母さん圧倒的に強くて……お母さんが人を殺さない約束で監視のためという理由で暮らしていたら僕もお母さんが好きになって……そしたらつららが産まれたんだよ」
と聞いて育った
でもお父様……私から見たらとても強いですよ。
これまで剣の修業や、呼吸法を教えて貰うときに何度も手合わせしましたが、いっつも私が負けてましたし……
私は半鬼半人が正確な種族だとお父様から教えられました
鬼には鬼舞辻無惨と言う高圧的な小者の鬼が周りに迷惑をかけながら人を鬼に変えて手下にしているらしく、お母様も元々はそんな鬼の部下でそこそこ(後々最高幹部の1人とお父様に教えてもらいました)の地位にいたらしいので鬼舞辻無惨との接触も多々あったらしいのです
そんな鬼に見つからない? と幼心に恐怖を感じてお母様に聞くと
「大丈夫、ここはね私がそんな鬼舞辻無惨を騙すために創った場主なのよ安心してつらら」
と優しく撫でながら教えてくれました。
私はそんな現世と隔離された世界で家族と過ごしました
お父様、お母様、妹や弟以外以外には雪達磨さん達しか居ない世界でしたが、お父様とお母様が人に紛れて生きていく為の技術を教えてくれました
一番気を付ける事は日の光だそうです
日の光がどんな物か産まれてから10まで知りませんでしたが、お父様が大八車を引きながら定期的に買い物で人里に向かうのに着いていった時に初めて見ました
暖かそうで、触れたら私は溶けてしまうんだろうなと……
本能がそう警告してくるのです
「大丈夫、これで体を包みなさい」
お父様から顔に布を被せられ、皮膚が全く露出しない格好で人里に行きました
「あら政宗さん、今日はどの様なご用件で?」
町と呼ばれる場所まで歩くと人がいっぱいいた
雪達磨さん達みたいに喋らないことはなく、それぞれが思い思いに動いていていました
「里では子供が少なくて……人が多い所に行きたいと娘に言われてね」
「つらら挨拶しなさい、こちらは間宮堂の店主の間宮さんだよ」
ペコっと頭を下げ
「氷月つららです」
「つららちゃんかい、かわいい名前だね」
「政宗さん、つららちゃんが顔を隠してるのはなぜだい?」
「いや、この子肌が弱くて日の光に当たると爛れてしまうのですよ」
「なんと不便な……可哀想に……ささ、こちらへ」
「つららおいで」
「うん」
「おぉ! こりゃ凄いべっぴんさんじゃないですか! 政宗さんに似なくて良かった良かった」
「間宮さん酷いですよ……でもつららはお母さん似だもんな」
「うん」
初めて両親や妹達以外の人と話す
ビクビクしながらも話すという事が、見たこともない商品が私を刺激する
楽しい
髪の毛はお母様に黒く染めてもらった
何で? と聞いたら人は基本黒髪で、年老いたら白くなるのよと教えられ、年寄りに見られたくないでしょと言われたので何も気にしないで染めてもらった
「猫目の瞳とは珍しい……そうだ」
間宮さんがごそごそと箪笥から髪飾りを取り出した
……間宮さんの店箪笥が多いなぁ(箪笥が多いはこの時代は金持ちの証でした)
綺麗な髪飾りには猫が描かれており、私は受けとると髪飾りを着けてみた
「お代は払わせてください」
「いいぇ、要りませんよ。これからもご贔屓いただければ」
「ありがとうございます」
「それにしても綺麗だ……将来旦那には困りませんな」
「えぇ……父親としては複雑ですが」
「ハッハッハッそんなもんですよ親父なんて」
間宮さんの所以外にも色々回った
お父様は間宮さんの所でお母様から渡されていた織物の代金を受け取り、そのお金で調味料とお米を買っていたので、私は近くで遊んでいた子供達に混ぜてもらって鬼ごっこや石投げ、羽根つきで日がくれるまで遊んだ
「今日は途中から曇ったから良かったけど、遊ぶときには気を付けなさい」
「はーい」
お父様と大八車を一緒に押しながら元の道をたどり、お母様が私とお父様が元の場所に着いたら雪が降り始めて、気がついたら館にいた
「楽しかったですかつらら?」
「うん!」
「じゃあ今度ゆっくり聞きますね。お風呂に入って今日は寝ましょうね」
「はい、お母様!」
「姉さん、姉さん!」
「ん? なぁに?」
「手合わせ……しよ!」
次女のゆみが私に手合わせをお願いしてきた
お父様の意向でどんどん増える私達姉妹は必ず刀の修業をする
全集中の呼吸法を幼いときに習い、それを日常化させる
お父様は鬼狩りの人は短命が多く、子孫をあんまり残せてないから小さな時から呼吸ができる環境が有るのは恵まれているのだと言うけど……私達は特殊な呼吸をすることが日常なのであんまり感じないんですけどね
それよりも難しいと思ったのが血鬼術と呼ばれる物で、私達はお母様の力の一部を継承している形で、私は氷の分身や雪達磨を作り出す力を
ゆみは氷を自由に飛ばせるだったり氷や雪に関連する血鬼術が使えた
そして呼吸法もお父様は水の呼吸を使うのに、私達は基本氷の呼吸という独自の呼吸法を編み出して使ってる……お母様と私とゆみ、お父様の4人で基礎玖ノ型はできたし、拾ノ型が出来れば一人前として外で暮らして良いと言われたので頑張ってる
ゆみもお父様に前に町に連れていってもらってから早く外で暮らしてみたいと思ってるらしい
「じゃあ行くよ!」
「うん!」
「は、はは! できた! これは奥義と言えるでしょ」
出来上がるまで25年もかかっちゃったよ
というかお父様、私とゆみと三女のしきが必死に奥義開発してる間に四女のしろみ(渾名は白とかしーろー)の結婚許して外での生活許すってどういうことよ!
お母様も何か言ってよ……え? 孫楽しみ?
婆婆……あ、痛い! 痛いから腕へし折らないで!
お母様みたいに私達は直ぐに治らないんだから!
あーぁ、もげちゃったよ……たぶん再生に3日はかかるよ……え? 止血の呼吸で何とかしなさい?
あくまで止血であって、再生の呼吸じゃないからね!
これだから……あ、お口塞ぎまーす
……みゆ、しき、心の声代弁してあげたんだから私が先に外行って生活するからね!
はぁ……もう38歳だよ(見た目16くらいから変わらないけど)
お父様もしわくちゃだし、間宮さんは今は孫が切り盛りしてるし、将軍目茶苦茶変わるし、飢饉が凄かったらしいし……
「ねぇお父様、お父様は私達に鬼殺隊っていう組織に入ってほしいんでしょ? いい加減その組織について教えてよ……鬼も鬼舞辻無惨っていう悪い鬼が人を鬼にして悪さしてます位しか聞いてないから鬼舞辻無惨は結局何者で、鬼とは? お母様も昔は偉かったんだよーくらいしか言わないけど妹や弟達……あの筋肉馬鹿な鳴造(長男で四女の次の子)は17だから聞いても良いかもしれないけど、それ以外のいってる私達には教えてくれない?」
そしたらお母様がビックリした顔をして
「あら? あらあら政宗さん、言ってなかったんですか! ……旦那様的には言いにくい内容ですものね、私から教えてあげるからお風呂に入って来なさい。汗臭いわよ」
「まずは何から話しましょうかね……そうね、鬼舞辻無惨からにしましょうか」
「鬼舞辻無惨は真祖の鬼と呼ばれる者で、昔に直接教えてもらったことは青い彼岸花を探しているということよ」
「なぜ探しているのかはたぶんだけど弱点である太陽を克服するためだと思うわ……私みたいに切り分けられる考え方だったら楽でしょうに……完璧主義者なのよ彼」
「そしてそれを押し付けるの部下である私達鬼にね」
「そして強い鬼程破綻者が多いわ。もちろんそれ以外の性格の鬼もいるけど、そういう子程人を食べることが出来なくなるの……私はこれを器の大きさって言っていたわ。強さの上限ね」
「今皆驚愕したけど私も周りから見たら破綻者でしょうし、旦那様と出会うまでに200は超える数の人を食べてきたわ……じゃないと理性を保てなくなるのよ。今は旦那様やあなた達の少量の血で大丈夫だけどね……昔は稀血の男性を狙って食べてきたわ。旦那様にするならーっていう理由も有るけど私なりに効率的に強くなる為だったのよ」
「今皆稀血? と疑問に思ったでしょ。稀血は字で書くと稀に血で稀血、稀少な血って意味ね。稀血の人間を食べれば普通人を50から100人食べたことになるのよ。つまり私がこの力を手に入れるには普通の人間なら1000や2000人食べてないと不可能なのよ」
「ちなみに旦那様の血は普通人の70人分、あなた達は普通の人の500人分の稀血だと思うわ……私達がなぜあなた達を外に出したがらないかわかった? しろみを外に出した理由は稀血の範囲内の100人分位の稀少度とあなた達より私の血鬼術を色濃く受け継いでいるからよ……だってしろみ血鬼術3種類受け継いでいるもの……皆を外に出す雪移動、氷の精密操作と氷の出現の3つ」
「鬼が出ても氷で固めて日光で焼けば終わるでしょうし、頸斬られない限り(つらら達姉妹は日輪刀以外の刀でも頸を斬られたら死にます。なので鬼も刀で斬られたら死ぬと勘違いしています)あなた達の様に再生するから雪移動で逃げれるでしょ。だから結婚を許したのよ。まぁ孫見たいのは私と旦那様の本心だけどね」
「後は……そうそう、鬼殺隊ね。鬼殺隊は鬼舞辻無惨や鬼となった人を殺す組織で私も狙われているわぁ……旦那様もそこの人だったのは知っているわよね、そこの平隊員が旦那様、今なら柱と呼ばれている人達から2つ下位の実力は有るんじゃないかしら?」
「雪、流石に甲位にはなれる」
「あらあら、階級は私にはよくわからないけど色々あるみたいよ。まぁ元々鬼側だったから柱位しかよくわからないのよね。柱は9人前後で構成される鬼殺隊最高戦力よ。条件は鬼を50人狩るか、私みたいな十二鬼月を1人倒せばなれるわ。つまり猛者よ。ま、私はたぶん解任されてるから新しい下弦の壱がいるでしょうね」
「十二鬼月も教えてなかったわね。十二鬼月は鬼舞辻無惨直属の下弦6鬼、上弦6鬼の12鬼で構成されているわ」
「もっとも下弦と上弦は明確な差が有るわ。私みたいに階級に拘らなければ別だけとね」
ばっとしきが手を上げる
「お母さんの実力だったら実際はどこいたの?」
「相変わらず真面目ねしきは、真面目過ぎても旦那さんできないわよ」
「いいからそれは!!」
「はいはい、そうねーんー上弦の伍か肆辺りじゃないかしらね? 上弦でも壱は別次元に強いし、弐は空位だったからわからないけど参も強かったと聞いた気がするわ。そもそも上司が同じだけで協調性皆無だもの鬼って」
「それも鬼舞辻無惨の呪いなのですけどね」
「とりあえずこれくらいですかね? 旦那様何か有りますか?」
「……1つだけ、自分がなお前達に鬼殺隊に入ってほしいのは色々理由が有るのだが、自分が成れなかった柱になって欲しいのと、哀れな鬼達を解放してやってほしい。昔は自分も鬼に両親を殺されて恨んでいたのだが、雪と生活して鬼舞辻無惨について聞いたらもう……な、基本鬼は鬼舞辻無惨の被害者だ。雪みたいに狂ってなければな」
「もう! 旦那様まで……」
「狂ってなければな自分なんかと結婚しないだろ」
「キャ!」
惚気か? 惚気なのか! 畜生……私も早く旦那見つけて処女散らしたいわ!
うーん
「ま、収入ないとキツいし、食べないと飢えるのは半鬼でも同じ! 鬼殺隊入ればご飯位は出るよね?」
「下っぱでも家族3人位なら養えるくらいは貰えた筈だぞ確か……今は知らないが」
「よし! じゃあやる! 奥義馴染ませたら直ぐに外に行くね! ちなみにどうやれば鬼殺隊に入れるの?」
「藤で囲まれた山が有るからそこに向かって年に1度有る最終選抜に参加し、7日間生き延びれば入れる……ここから出る前提で話していたから言っていなかったが、その藤が一年中咲いている場所を探しながら人の世界に馴染め、お前達3人は大丈夫だと思うが、1人1人の力を確認したいから1年ずつずらして出るように。合格した後はいくらでも協力して良いからな」
「あ、せっかくだから……3人顔をだして」
お母様に言われるがまま顔を差し出す(ちょんぎった訳でございません)
「血鬼術……結晶映」
顔にホクロ程度の薄い青色の雪の結晶型の模様が浮かび上がる
私は右頬、ゆみはでこ、しきは唇の斜め左下に
「しろみにもしたけど私の袖にもほら同じ模様が浮かび上がったでしょ。これで連絡と私からそちらの様子を視たり、声を出したり、場所を把握することができるの。便利でしょ」
(((しろみもそうだけど雪移動ができる時点で化け物なんだよなぁ)))
「じゃ、つらら準備を始めなさい。ゆみとしきは妹や鳴造の面倒お願いね! 私は旦那様と子作りしてくるから」
「まだ増やすの! というかお父様まだ作れるの!!」
「コツがあるのよコツが!」
「いやぁ流石にキツいっす」
ドゴン
「「ゆみー!!」」
「片腕飛ばしただけじゃない」
「いや、だからお母様と違って治るのに時間が……はい、もう子作りしてきてどうぞ……ご飯は作っとくね」
「頼んだわよ~」
「しき両手生きてるからメイン頼むね。汁物はやるから」
「私ご飯炊いとく」
「ゆみ姉はまず止血してご飯真赤は食べたくないから」
「へいへいこの真面目妹め、そう全部真面目に受けとるなよー」
雪女①修正
累が江戸初期から中期に鬼なはず無いじゃんということで一部文章を削除及び追記