「ごめんください。すみませんここら辺りに藤の花が沢山咲く場所知りませんか?」
「いやないね? 菊さん有るかい?」
「んにゃ聞かんな」
「そうですか……ありがとうございます。じゃあお茶と焼魚いただいてもよろしいですか?」
「まいどー」
東北から南関東を海沿いで廻り、江戸を滞在し、情報が全くなくて落胆し、箱根の関所を破り(近くの農家の人に代金払って迂回しました)、富士の近くを探ったりしながら西へ西へと探し歩きました
「おぃ……そこの娘」
「はい? 何でしょうか?」
「……貴様鬼だな」
「……へ?」
日傘を差しながら歩いていたらなんか後ろから声をかけられました
そしたらいきなり白昼堂々刀抜きましたよ彼!
……いや、彼だけじゃない……2いや3人
田舎で通行人も少ないから出来るんだろうな
日射しは……うん快晴で雲ひとつない
「いやいやいや、私は人ですよ。すみません藤の花が年中咲いている場所を探しているのですけど」
「……」
無言で頸を狙ってきましたよこの人!
短刀を抜いて刀を流す
そのまま腰に下げていた麻の手袋を手にはめ、顔を布で覆う(強盗とかが使う奴、時代的にたまたまそうなっただけだけ)
「もう一度聞きます。藤の花が年中咲いている場所を教えてください。鬼殺隊ですよね!」
「鬼に教えることはない!」
三方から斬りかかられ、躱しながら考える……というより思う
あれ~? 弱くない?
全集中の呼吸を使えるだけの剣士と更に上の全集中・常中を無意識で扱えるつららとの差である
それゆえに傘を最初は投げ捨てて、短刀よりも長い脇差か本差に持ち変えようとしたのですが、現に片手と傘を上手く使って流しているのが実力の差がいかに離れているか現している
「ねぇ、本気……なんだよね?」
「ハァハァ……町田! 俺が時間を稼ぐから報告を! 早く!」
「わかってるわよ! 烏は飛ばしたから私も足止めを」
「田中は生きてるよな!」
「大丈夫、気絶してるだけだわ」
「……ねぇ、いい加減教えてくれない? 私も鬼殺隊に入隊したいから何回も聞いているんだけど!」
ダメだ、この人達じゃいくら聞いても答えてくれないし……逃げるか
「あぁもう良いわ! じゃあね!」
全力で走って逃げる
「あ! お、おい逃げるな!」
「ま、まてー!!」
逃げ切り、山脈や森がたくさん有るような場所に出る
もう大丈夫だろうなと思ったけ……あそこまで鬼だ鬼だと言われて斬りかかられると腹が立つね!
しっかし何で鬼だとわかったんだろう?
んー、人と違う場所……
髪は染めてるでしょ……あと違うのは
『ん? あらあら? もしかして私?』
「お母様、いきなり話しかけるのはやめてください。たぶん違うので」
『たまに居るのよ勘が良かったり、異様に五感が鋭い子が』
『それに日傘も差して着物姿でフラフラしていればねぇ、私が上げた上物の着物なんかを真っ昼間から着てれば不信に思う人も多かった筈よ。今までは人の優しさで見逃されてきたけど、それ相応の衣服を着てないとね。昔まだ旦那様と会うまでの私の経験からくる助言よ』
「なるほど……ありがとうございますお母様。でも何で今教えてくれたの?」
『ま・え、見てみなさい綺麗よ』
ん? ……うっ……この臭い……不快感の有る臭いは……
臭いがする方を見ると……
「ここだ……藤の花が年中咲いている場所」
辺り一面に藤の花が咲き乱れ、夕日と紫色の花がなんとも幻想的な風景を作り上げていた
『おめでとう。私と旦那様の試験は合格よ。流石私達の子ね。後は最終選抜ね、頑張りなさい!』
「はい!」
ブン……ブン……ブン
「9997、9998、9999……10000!」
「1万回終了! 疲れたぁ」
試験日がわからないので日課の訓練を行いながら人が集まるのを待つ
ほら、お父様も鬼殺隊離れて長いし、お母様はそもそも最終選抜なんてものが有るのをお父様から教えてもらうまで知らなかったらしいからいつ始まるかなんて覚えてない(聞かされてない)……日課の訓練をしたりして時間潰すしかないんだよね……
……いや、もしかして中に入って7日耐えればいつでも入って良いのかな? (違います)
よし、もう1ヵ月待ったけど何もないから行く!! (つららがいる場所が最終選抜開始場所の正反対の位置に居るため誰もいないのですよ……最終選抜以外の時も弱い鬼を放つために隊員が居たりするので1ヵ月誰も会わないのに疑問を持ちましょうつららさん)
~雪の剣士 Ⅰ 冒頭に戻り~
ウジャウジャ湧いてくる鬼を切り裂き、凍らせ逃げ回る
水場を見つけて水を飲み、自然に生えている野草、木の実、芋を食べて餓えを凌ぎ、昼は傘と布で体を覆って少しでも体を休めます
全集中の呼吸・常中が使えても休めるうちに休んだ方が気持ちが楽なのでね
おぃ……3週間経過したんだけど……
1ヵ月中で生活したらまた外に出て食べ物買ってこよ
流石にもう食べる物が容易には見つからなくなってきたし……塩を取りたい
生命線だから塩は、瓢箪に入れて持ち歩いてるけどもうそろそろ無くなりそうだからね……はぁ
お金ばっかり減ってくよ(泣)
ギイヤァァァ……
「え? 人の声!」
私は人の声がする方に迷わず向う
「くそ、クソクソクソ!! 鬼め! 鬼め! 鬼め! 鬼めェェェ!」
ぐちゃり
「あ……間に合わなかった……」
私が到着する直前に彼? は頭から食べられてしまっていた
そこら一帯に血の臭いが充満しており、10近くはこの付近で殺されているのだろう
「これが……最終選抜なの?」
さっきまで彼を食べていた鬼は私の稀血の臭いを感じると、涎を垂らしながら攻撃してくる
私は再び氷漬けにしてその場に残された遺体を埋葬し、手を合わせてからふと遺体達が持っていた刀を見る
遺体埋めてるときにも気になってたけど……この刀の刀身が赤とか黄とか青とか変色してるけど何だろ? ……んー、あ、お父様が飾っていた折れた刀も青色の刀身だったし、この前襲いかかってきた鬼殺隊の隊員の方もそういえば刀身に色がついていたな
折れてない刀を手に取り色々触ってみる
刀によって強度も長さも幅も若干違うけど、私の持ってる刀より質だけなら2段階位は下かな?
だけど耐久力と刃こぼれしにくくなってるわね
試しに薄い赤色の刀で凍らせた鬼の頸を斬ってみると……
「おお! 塵になった!」
なるほどなるほど! 鬼を倒すには特殊な刀が必要だったのね……お父様説明忘れたな……いや? これも試験だったのかな?
……でも鬼を倒せるなら話は別よ!
さぁ鬼さん鬼ごっこの鬼が変わりますよ
「今年は42人も生き残れたんだ。良かった良かった」
産屋敷93代目当主の彼は静かに笑った
その息子の次期当主候補の産屋敷 沙座哉(うぶやしき さざや)は合格者に鬼殺隊の説明及び隊服、鎹鴉の支給、玉鋼の選別をさせていた
ただ当主の彼は息子の沙座哉の奇行に不安を抱いていた
沙座哉は隊員からあまり慕われておらず、隠に混じりながら隊服を刺繍したり、金勘定が好きで、何処と無く鬼舞辻無惨討伐の熱意が無いように感じていた
他に兄弟でもいれば沙座哉にとっても、鬼殺隊にとっても良かったのかもしれないが、私は特に体が弱く、子供は沙座哉以外作れなかった
「沙座哉、どうか鬼舞辻無惨の使命だけは忘れないでおくれ」
「1ヵ月乗りきったぁぁぁ!!」
斬った鬼の数127鬼、稀血稀血と誘われて出るわ出るわで山の中の鬼は10を下回る位討伐した
すると何処と無く藤の臭いが強くなってきたのでその場所に向かうと、日輪刀を持った少年少女達がそこにいた
「ひ! お、鬼だ!」
「藤の臭いが駄目じゃないのか!」
なんて言われて、斬りかかってくる人もいたけど何でそんなにバレるのかな?
半分は人よ私……
「……静粛にお願い致します」
12から14歳位の男性が珍しい南蛮服に身を包み姿を現す
「まずは合格おめでとうございます。これにて本日より鬼殺隊の一員と正式に認められました。ただ、今回の試験で鬼を斬るのに恐怖を覚えた者は後でお話を伺いますので」
「……案内人さん鬼が紛れ込んでいるがどうすんだ? 斬って良いか!」
「私も気になっていました。日傘を差した女の鬼さん、興奮しているのですか? 血管浮き出て目も瞳以外黒く変色してますよ」
「あ、なるほどだから一目で私が人為らざる者だとわかったのね。失敬失敬。いや、斬るのは待ってもらいたいかな、私も鬼殺隊入隊希望者だから」
「「「はぁ!?」」」
「ふふ、面白いことを言う鬼さんだ鬼舞辻無惨の命令かい?」
「いや、鬼舞辻無惨は倒さないといけない鬼だとお父様から教えられてるわよ」
「……おや? 鬼舞辻無惨の名前を言っても呪いが発動しませんね?」
「人と鬼の混ざり者よ私は……だから藤の花の臭いも嫌だなぁ程度で済むし、斬られても数日すれば治りますよ。あ、でも首や心臓、頭は切られたり、潰されたらたぶん死ぬから駄目よ」
「……剣士の皆さん、一旦斬るのは止めておきましょう。後で私が彼女は個別で話をしてみます。では鎹鴉を支給しますね」
そこから私は周りに警戒されながら案内人と呼ばれた少年の話を聞く
隊服、階級、鎹鴉、日輪刀に藤の家
半刻位彼が喋ると日輪刀に使う玉鋼の選択となり、私は個別の話次第で貰えるということになった
まぁ、凄い嫌われよう嫌われよう
お父様が例外で鬼殺隊って本当に鬼を殺すための組織なんだと実感しましたね
しろみ(四女)が金持ちの商家に側室として嫁いで正解かもななんてふと思う
「これにて解散となります。以後よろしくお願いいたします」
あ、終わった
さて、私の個別面接だね。
「案内人さんよろしくお願いしますね」
次はしろみか鈴の話