……でも基本はキャラに苦しんでほしくないので即解決させるに限る。
負けた。
頭が痛い。
負けた。
胸が苦しい。
負けた。
視界がぐらぐらする。
負けた。
気持ちが悪い。
負けた。
足がふらふらしてる。
負けた。
手はブルブル震えてる。
負けた。
負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。負けた。………
もう、辛い。嫌だ、こんなの。
結局私は勝てなかった。またみんなの見てる前で負けてしまった。みんながどんな反応をしているかは分からない。客席は怖くて見れなかった。
客席にいた陸上部のみんなや
「うぅ……」
トイレへと向かう足を止め、その場で壁にもたれかかる。視界が涙で滲み、足の震えが止まらなくなる。もう、歩くことすらできない。
「ぅう……ああぁ……」
まともな言葉も出てこない。口は呼吸するのにいっぱいいっぱいで、うめき声しか出てこなくなっている。
頭の中はぐちゃぐちゃになって、もうわけがわかんない。でも
負けた私を見るあの諦めの籠もった見放すような視線が、想像の中でさえ私の心を締め付ける。
……もし、今日もあんな目をされていたとしたら?
「い、嫌ぁ!!!」
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!
大きく首を振って嫌な想像を頭から追い出す。すると頭を振りすぎたのか、不意に平衡感覚がなくなって、視界がぐるぐるし、私の体が倒れてしまいそうになる。
「もう……やだよぉ……」
「誰か……助けてよぉ……」
「夏蓮さぁん…………………」
「おまたせ、紅音」
「……へ?」
ポスッ…と倒れそうになった体が支えられる。
………なんで??なんで???
耳元に柔らかな声色の声が聞こえて、不意に与えられた優しさに頭が混乱する。
「なんで…いるんですか……」
「紅音がいるから」
「なんで来ちゃうんですか!!!」
体を委ねると、背中まで抱いてくれる。それでもまだ、怖くて顔は見ることができない。
「私は!!!勝てませんでした!!!」
「うん。見てた」
「皆さんの期待を裏切ったんです!!!!!」
「そんなことない。二番も十分すごい」
夏蓮さんのやさしい声が胸を抉る。涙があふれてきた。
「だめなんです!!私が勝たないと、皆が…皆で…楽しくなれないから…」
「私は紅音が走るの見てて楽しかった」
「でも!!!それじゃあ皆が!!!!!皆がぁ!!!!」
「……そこまで紅音が背負い込む必要はないよ」
私は、みんなと楽しく走るのが好きで陸上をやっている。だから、皆の代表で大会に出る私が勝てないと、皆で楽しく陸上をしていることにならないから。だから、私は勝てなきゃだめだと思ってた。
「陸上部の皆が大切なのもわかる。でも、それで紅音がつらい思いをするなら、皆のことは忘れていい。それが寂しいなら、私のことだけを考えればいい」
でも、そんなこと言われちゃったら、もう……
「今日、私は楽しかった。負けちゃったけど、十分紅音はかっこよかった。だから、紅音はこれでよかったんだよ」
「う…う…うああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
夏蓮さんの肩にしがみついていると、夏蓮さんは易しく抱きしめてくれる。
「紅音は十分頑張ったよ。お疲れ様」
夏蓮さんの労いの言葉が、私の中で凝り固まった私の思い出を溶かしていく。私は今まで皆のために頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、頑張って…………………
………報われなかった。
その度に苦しんで、頑張った意味を探して、誤魔化しながら皆と走り続けた。それが楽しかったから。ずっとこうしていたいって思ってた。頑張って大会に出て、辛い思いをするなら、皆で楽しく走っていたいと思ってた。
でも、
夏蓮さんに抱きしめられて、
夏蓮さんに慰められて、
夏蓮さんに労われて、
始めて、『頑張ってよかった』って思えた。
もう、胸が、いっぱいだ。
「うああああああああああぁぁぁぁぁぁん!!」
「よし、よし、頑張った、頑張ったよ」
「うああああああああああぁぁぁぁぁぁん!!」
「お疲れ様、よく頑張ったね」
「うああああああああああぁぁぁぁぁぁん!!…………………ぐずん」
「頑張った、紅音は頑張ったよ」
夏蓮さんが大泣きする私を慰めてくれてる。私の顔は涙と鼻水でもうぐしゃぐしゃで、とても
「うううぅぅ……ぐず……がれんざぁん……」
「なに?」
「……私、頑張りました」
「うん」
「私、負けました」
「うん」
「私、辛かったです」
「うん」
私の頭を撫でながら、私の言う事を聞いてくれる。
「もう少し、このままでいいですか?」
「うん」
「……ありがとうございます」
「別にいいよ」
……よかった。
……夏蓮さんがいてくれてよかった。
……陸上を続けていてよかった。
……去年、諦めていなくてよかった。
これからは、この人のために、私は走り続けよう。
私は、走ることが大好きだから。
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私は夢を見ている。
私が立っているのは陸上のトラックだ。
その熱気は凄まじくて、私の心を滾らせる。
観客席はキラキラ輝いていて、私の視界を華やかにする。
大好きな人の応援は、私を高揚させる。
そんな中張り詰めたような緊張感が私達選手を包み込む。
この空間を堪能する。
楽しくて仕方がない。
いつまでも味わっていたいと思う。
そして、
私達は一斉に走り出す。
頭に思い浮かべるのは私のゴールを祝福する夏蓮さん。
隣の選手との差が開き始める。
私は無我夢中で追う。
でも、やはり、追いつく事はできなかった。
ゴールをすると、夏蓮さんが目の前に立っていた。
その目は落胆したような目じゃなくて、慈しみを感じる目だ。
「走るの、楽しい?」
「はい!!!!」
私は、夏蓮さんに思いきり抱きついた。
そして私は、一年かけてトラウマを克服した。
「走るの、好き?」
「大好きです!!!!!!!」
今日で第一話投稿からちょうど一ヶ月だそうです。こんな小説にここまでお付き合い頂き本当にありがとうございます。
……よく一ヶ月も続いたな。
これも感想とか頂いたおかげですね!!!(露骨なアピール)
というわけで、感想、お気に入り登録、感想、評価付与、感想、よろしくです!!!