実はさっき予約投稿ミスって下だけ一分くらい公開してたんですけど、誰にも見つかってないよね?大丈夫だよね?
今回の話はホワイトデーゲロを受けて書かずにはいられなかったので書きました。
最近レギュラー化しつつある紅音のクラスメイトのモブちゃん視点の話です。
放課後、私はデパートの中を歩き回りながら
最近、隠岐ちゃんの様子がおかしいなって思ってたんだけど、週を明けたら元気になって帰ってきた。何があったんだろうなぁって思ってたら、
「それにしても、佐備先輩かぁ…」
隠岐ちゃんとの交際発表以来完全に学校内での時の人だ。実際に話したことこそないけれど、(半分以上隠岐ちゃんの惚気のせいで)結構詳しくなってしまった。
逆に、佐備先輩と常に一緒にいる鹿尾野先輩についてはあまり知らないことが多い。隠岐ちゃんともよく一緒にいるらしいけど、隠岐ちゃんは佐備先輩のことしか話さないからなぁ…
「鹿尾野先輩ねぇ…………」
「えっ」
「えっ」
心当たりのある声が聞こえて振り返る。すると、そこにはちょうど頭の中で考えていた人物、鹿尾野先輩がぽかんとした顔でそこに佇んでいた。
「隠岐さんから僕のことを聞いてて…なるほどね」
「あはは…えと…はじめまして?」
「あぁ…はじめまして。よろしく」
「よろしくです」
場所は変わって同じデパート内のスイーツ屋さん。ちょっと高そうなお店だけど……
っていうかこのケーキすっごい美味しい。やばすぎる。
「本当によかったんですか?こんなおしゃれなお店ご馳走になっちゃって」
「うん。大丈夫だよ。最近食費浮いてるから」
「へぇ…そうなんですねぇ…っていうか食費管理自分でしてるんですね!」
高校生で毎日の食費を管理……すごいな。前に隠岐ちゃんが鹿尾野先輩はお母さんみたいって言ってたけど、こういうところなのかな?
「まぁね。あ、今日のスイーツは食べ放題だから。好きなの頼んでいいよ」
「食べ放題!?!?」
いやいや、スイーツ食べ放題って…
今時どんなに彼女に甘々な彼氏でもやんないよそんなこと……
「あ、本当に気しないでね」
「いやいや流石に無理ですよそれは……自分の分は自分で出しますから……」
「それこそ申し訳ないよ!勝手に連れてきたのに」
「せめて2:1で…」
「……………じゃあ、それでいいよ」
渋々といった感じで納得してくれてるけど、初対面の女の子をいきなりスイーツ食べ放題に連れて行くほうがおかしいからね!?
「ありがとうございます…あ、食費浮くってもしかして……」
「隠岐さんだよ。よく食材持って来てくれるから」
なるほど……隠岐ちゃんの家って農家だったな。そういえば、通いで毎日ご飯を佐備先輩に作っているって言ってたっけ………………あれ?
「佐備先輩にご飯を作っているって聞いたんですけど……もしかして鹿尾野先輩も?」
「もともとは僕が夏蓮のご飯作ってたことも多かったし……」
「あ、もしかして佐備先輩……」
「多分、その想像でだいたい合ってる」
あ、佐備先輩料理できないんだ。まぁ、申し訳ないけど意外でもないな。
「それで、鹿尾野先輩も佐備先輩や隠岐ちゃんと一緒にご飯食べてるんですか?」
「うん」
「毎日?」
「うん」
「……気まずくないんですか?」
「……気まずいよ。普通に」
そりゃそうか。流石にそうだよね。カップルの間に一人いるわけだもん。しかも百合ップルの間に男一人。
「最近は空気になるのも慣れてきたよ……」
「あはは…お疲れ様です?」
「ありがとう」
この人、もしかして結構苦労してるのかな?
「あの二人、僕がいるのにすぐ二人だけの世界に入るから……しかも家の外でトリップすると完全に注意力なくなるから赤信号普通に渡ろうとするし………」
「あぁ……目が離せないやつだ……」
「できる限り目を反らしたいんだけどね……」
もしかしてじゃないわ。間違いなくすごい苦労してる。
「ご愁傷様です」
「ははは……ちなみに、隠岐さんは普段どんな感じなの?」
普段の隠岐ちゃんか……
「いつも元気ですね。まぁ隠岐ちゃんはそれが取り柄ですし。………そういえば、隠岐ちゃんも一度惚気け始めると夢中になって止まらなくて…」
「あぁ、なんとなく想像できちゃった」
「最近では休み時間に私が隠岐ちゃんの相手をしているんですけど、垂れ流される佐備先輩の惚気け話をみんなで聞くのが定番の流れになってて……」
「えぇ、何それ」
「……最近、隠岐ちゃんに片思いしてた男子達が教室内での居場所を失いました」
「嫌な事件だ……!!」
見てて辛いよね、あの男子たち。元々純真無垢な隠岐ちゃんに気を遣いながら本人の気づかないところですごい高度な情報戦をしてたような人達が、急に女子相手に強制敗北宣言食らった挙げ句に延々と惚気を聞かされるってどんな拷問だよ。
「佐備先輩はなんかないんですか?隠岐ちゃんと付き合い始めてから何か」
「うーん…夏蓮はもともとあまり他人と話さないから…」
「あぁ…なるほど…」
やっぱり佐備先輩って隠岐ちゃんとは対極の存在なんだな。こんな凸凹カップルどこ探してもそうそういないよ。
「逆に、鹿尾野先輩は何かありました?」
「ん?僕?」
「そうですよ。今までは佐備先輩がいたから完全に脈なしだと思い込んでいた女子からしたら急にフリーになったわけですから」
「いやいやいや!?!?そんな女子いないよ!!僕なんかモテたことないから!!」
いやいや、そんなことないでしょ。高身長で優しくて料理が得意で家事全般できてルックスも悪くはなくて、怒りっぽいわけでもなく金銭管理までしっかりしてる。本当に非の打ち所がない。モテないわけがないんだよなぁ。
「……何?その目は」
「疑いの目です」
「えぇ……」
えぇ……って。そんな反応されてもこっちが困るわ。
「確認なんですけど、隠岐ちゃんが佐備先輩と付き合う前は鹿尾野先輩が佐備先輩と付き合ってたとか、そういうわけじゃないんですよね?」
「うん。たまに勘違いされることもあったけど、別にそういうわけじゃないよ」
「じゃあなんで彼女作んないんですか?」
「え?」
ぽかんとする鹿尾野先輩。だからそんな反応されても困るんだって!!
「僕はほら、そういうの興味ないから……」
「…先輩、本当に思春期男子ですか?」
「…多分」
「そこは自信もって答えてくださいよ」
「でも、本当に興味ないからなぁ…」
この人、精神年齢三十歳くらいなんじゃないの??本当に佐備先輩のお母さんなんじゃないの??
……自分でも何言っているのかわかんなくなってきた。
「鹿尾野先輩って色々とずれてますよね」
「え!?急に何!?どの辺が!?」
「なんかもう、いろいろです」
鹿尾野先輩、笑いのセンスがずれてるっていうのは有名な話だけど、それ以外にも色々ずれてる人だったんだ。
「まぁ、そんなずれちゃってる先輩だからこそ
「ねぇ?それ褒めてる?褒めてないよね?」
「褒めてますよ。多分」
「…君、しゃべり慣れてくると結構辛辣になるんだね」
え、そんなことないでしょ。普通でしょ。普通。
「うーん…でも、鹿尾野先輩は話しやすいっていうのはありますね。なんか親近感湧くんですよ。………
「あぁ…なるほど…」
「お互い、苦労してますからねぇ…」
「そうだねぇ…」
これまでに苦労したことを思い返して、これから苦労するであろうことに思いを馳せて、私たち二人はちょっと遠い目をしたのだった。
まぁ、そんなにいやでもないんだけどね。
「今日はごちそうさまでした。楽しかったです」
「うん。こっちも楽しかったよ。ありがとうね」
「こちらこそありがとうございました」
スイーツ店を出た私たちはそのまま解散にすることになった。
「あ、鹿尾野先輩、連絡先いただいてもいいですか?」
そう言って、私は鹿尾野先輩にチャットアプリの画面を見せる。
「うん。いいよ」
よかった。これで隠岐ちゃんに何かあった時に鹿尾野先輩に色々聞ける。
「ありがとうございます」
…あ、聞こうとしたことがあったの忘れてた。
「そういえば、何で今日はこんないい店に入ったんですか??」
「あぁ、それね、実は毎年ホワイトデーは夏蓮と二人でスイーツ食べ放題に来るんだよ。でも、今年は隠岐さんいるし、二人で行ってきてもらおうと思って、下見に…」
え??毎年??ホワイトデーに??スイーツ食べ放題????
「………本っっっ当に佐備先輩と付き合ってたわけじゃないんですよね?」
「うん。そうだけど。どうかした?」
だからそんなきょとんとした顔しないでよ!え、これ私の感覚がずれてるわけじゃないよね!?!?
「いえ、何でもないです」
「そう?ならいいけど」
やっぱりこの人ちょっと変だよ。
鹿尾野先輩を見送って、私は一人覚悟を決める。
「ちょっと抜けてる隠岐ちゃんと、いろいろ不安な佐備先輩、そして結構変な鹿尾野先輩……」
「私がしっかりしなきゃ」
とても、先行きが、不安です。
というわけで、プチ保護者会回でした。
モブちゃん、本作登場人物で唯一感性のまともな子……
考えるだけ考えたモブちゃん設定
最近休み時間になると紅音の惚気の相手をしてくれている子。紅音が好きとは言っているが、普通に友達として。百合っ気はない。
学校では割と普通によくいる女子の一人。成績は上の下くらいで根が真面目。恋愛経験は中学の頃にとある先輩に片思いした一度だけ。
妹が一人いるが、最近は妹がやたらツンケンするようになってイライラし、『隠岐ちゃんが妹だったらいいのに…』って常々思ってる。紅音の事を妹の様に慕っているため、紅音の事はほっとけない。紅音のためなら先輩相手でも喧嘩を売るくらいの度胸がある。