目の前で闘志を顕にしているのは、巨大なイノシシ。ダイナボアを一回り巨大にしたような見た目をしている。実際に血縁種なのかはわからないが、サンラクの話では新大陸に
「よっしゃ行くぞぉ!!」
「はい!!」
「………!!」
開戦と同時に前衛三人組が飛び出す。今回はモルドみたいな完全な後衛職がいないからタンクにもあまり気を使わないで済むから割と楽に戦える。
サイガ-0も戦いが始まると流石に切り替えられるようで、
「はっはーー!!ミンチにしてやるぜノロマイノシシ!!」
サンラクは、帯電しながら縦横無尽にすごいスピードで跳ね回ってる。テンションどうなってんだ。この調子なら私達がいなかった所でサイガ-0といい雰囲気になる事なんてなかっただろう。イノシシをハイテンションでミンチにするデートなんて嫌だ。少なくとも私は。
「【
茜も絶好調だ。サンラクよりもまだ人間味のある動きで、しかし普段よりも格段に早い動きで確実にイノシシを削っていく。
私は安全地帯から弓を放っている。前回よりも躍動感に欠ける立ち回りだけど、前衛がオーバーパワーだからしょうがない。
「レイ氏!!一人で攻撃受けてもらってるけど大丈夫?」
「はい!!この程度じゃ1ダメージも入りません!!」
楽しそうに笑い合う二人。サイガ-0は完全に復調したようで、サンラク相手にもちゃんと会話ができてる。それに、一緒に遊んでる“今”がすっごい楽しいんだろう。心なしかテンションもいつもより高く見える。
「……ていうかサイガ-0にダメージ入んなくて茜とサンラクも全避けって私達ノーダメ攻略でもしようとしてるのか」
「お!?ルストいいなそれ!よっしゃ、レイ氏!秋津茜!!こっから1ダメも喰らうなよ!!!」
「わかりました!!面白そうです!!」
「任せてください……!!!」
えぇ……結構強いことで有名なボスのはずなんだけど……全くこのゲーム廃人たちは……
「焼き肉しようぜ!肉はてめぇな!!」
サンラクはインベントリアから取り出した
早くもイノシシのHPも大部分が削られらようで、既に敵は満身創痍といった様子に見えた。
『ggggggaaaaaaaaaaaarrrr!!!』
「発狂モード入ります!!気をつけてください!!」
「発狂なんてする間も無く片付けてやるぜ!行くぞぉ秋津茜ェ!!」
「はい!!!」
剣をしまって御手を嵌めたサンラクは、茜に目線を飛ばす。クライマックスにテンションの上がった二人は、満面の笑みを浮かべて、一気に駆け出し、全力でイノシシに殴りかかった。
「【
イノシシの巨体が吹っ飛ぶ。トドメを刺すために二人が距離を詰めようと走り出す。きっとこれで倒し切ることができるだろう。
「………だけど、これじゃあ私が不完全燃焼だから!!」
私は二人に追いつくとーーー
「な!?!?!?」
「ルストさん!?!?」
ーーー全力でサンラクの背中を蹴っ飛ばしてやった。
「ルストなにすんのぉ!?!?」
「私にもなんかさせろ」
体制を崩したサンラクがイノシシに向かって吹っ飛びながらなんとかイノシシを殴りつけ、もう一度スタンを取る。
「……それに、
茜にしてやったり顔を向けると、茜はまるでおかしな物でも見たかのように笑ってしまった。
「ルストさん……」
「行くよ」
「はい!!!」
やっぱり
一通り茜と笑い合うと、気がつくと目の前に迫っていたイノシシに私の矢と茜のクナイを喰らわせてやった。
やっぱり、クライマックスは茜と一緒に楽しまなきゃね。
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「ルストてめーいきなり何すんだよ!」
「私何もしてなくてつまんなかったから。仕方ない。あーいう戦いがしたいならソロでやれ」
「それにしても蹴っ飛ばす事はねーだろ」
「サンラクの爆発パンチの反動でノーダメは失敗してるんだから別にいいでしょ。それに、なんかムカついたから」
「理不尽な!?」
私達の攻撃でボスは倒せた。サンラクはどこか納得できていないようだが、そんなことは知らん。
「まぁいいや。俺は先にラビッツに戻ってるからな。ほら、帰るぞエムル」
「はいな」
ん?その兎今どこから出てきた?
「あ、エムルさんいたんですね!」
「ずっと見てましたわー。最近はサンラクサンの頭に乗ってるとすぐ振り落としやがるんですわこの人」
「ずいぶんな言い様だな」
「むひゅひゅ、やめるですわー!!」
兎のほっぺをしばらくグニグニしてたサンラクは、気が済むと自分の頭に兎を乗せた。
「今度こそ帰るぞエムル。じゃーなおまえら」
「狐のお面の人に鎧の人に……えぇと、ルルイアスのときにいた人、さよならですわ〜」
「お疲れさまでした!」
「さようならです」
「また」
サンラクと兎が光になって消えて、私達三人が残った。
……それにしても私って兎にとってそんな印象薄いのか。
「それじゃあ私も落ちますね」
「お疲れさまですサイガ-0さん!」
「お疲れ……あ、そうだ」
「……??なんですか?」
サンラクに続いてログアウトしようとするサイガ-0。言わなくてもいいかなとも思ったけど、まぁ、呼び止めちゃったし。
「あ…その、サイガ-0の言う“好き”も、ちょっとはわかった…かも?少なくとも、さっき茜の隣にいたサンラクは気に入らなかったし、それで『私が茜の隣に居たい』って思えたし」
うん。やっぱり言っててちょっと恥ずかしいなこれ。
でも、サイガ-0にはちゃんと伝わったようで、その顔には優しい笑みが見えた。
「それは良かったです……!」
「サイガ-0も頑張ってね、サンラクの事も」
「そうですよ!ファイトですよ!」
「わわ……わかってますから!!!」
真っ赤な顔でそう言い残してサイガ-0も光となって消えた。
「じゃあ、私達もログアウトしよう」
「はい!」
目を開ける。
ヘッドギアを外して軽く周りを見渡すと、ここは当然ながら見慣れている私の部屋。すぐ隣では、
「ふぅ…楽しかったですね!!」
「うん」
紅音はゲーム内と変わらない笑顔を浮かべる。このログアウト直後のなんでもない時間が楽しいとでも言うように。
そう。楽しいんだ。ただ二人でいる時間が。ただの日常が。
そしてこの日常はずっと続く。
なんとか書ききったぁ…
二話目の冒頭のまえがきで書いたことが今回のテーマではあったんですが、まさかここまで難しいとは。でも一応は満足してます。
感想お待ちしてます!!!
燈花ちゃんロスが激しいので次回は出したい。