緋色の鳥に憧れて、赤とんぼは今日も空を翔ける   作:chee

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やっぱりルスモルは書いてて落ち着くわぁ


新米カップルのVRデート 中

頭につけていたVRヘッドセットを外して、ベッドで横になっていた体を起こす。頭にあるのはさっきの茜との会話の事だ。

 

『……ありがとう。私は、まだよくわかんないけど、茜と一緒にいるのは嫌いじゃないから』

 

よくわかんない?嘘だ。私はもうとっくに紅音()のことが好きだ。それで、どうしたらいいのかわからなくなっているだけ。いいところを見せようとして慣れない指揮なんか取ってみたり、余裕ぶろうとして余裕のない一面を見せちゃったり。本当に情けない。

 

今までは葉がいればそれでよかった。それだけで私は十分に楽しかった。だから他の人をどうこう思うなんてなかったし、恋愛感情なんてもってのほかだ。そうやって周囲との繋がりを希薄にしたまま過ごしてきた。

 

そんな中初めてぶつけられた純粋な好意。

 

『どうしましょう! 夏蓮さん! どうやら、私は夏蓮さんの事が好きみたいです!!』

 

初めて、葉以外でこんなに一緒にいたいと思った。この人と一緒にいると面白そうだと思った。

 

 

 

……こんなの、私だって好きになるに決まってる。

 

 

 

…………うわ私ちょっろ。

 

 

 

 

 

 

とりあえず、ご飯食べよう。

 

「………」

 

冷蔵庫を覗く。何もない。棚の下に備蓄されてるカップ麺は………切れてる。

 

仕方ない。

 

私は、隣の家に住む頼れる幼馴染の家に向かった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

昨日、幼馴染(女)が学校で有名人のゲーム友達(女)と付き合い始めた。そして僕は今日、二人のデートに何故か同伴させられている。

 

……やっぱり意味がわからない。

 

二人が付き合う事は別にいいと思う。だけど、問題なのは二人が頑なに二人きりになろうとしない事だ。恋人同士なのに。夏蓮はまだわかる。僕以外の人と仲良くするのにまだ慣れていないんだろう。だけど、隠岐さんの方が意識しすぎて潰れてしまっているのが意外でならない。

 

だけど、急に二人きりの世界に入り込むことがある。……僕がそばにいるのに。本当にあれは居心地が悪い。

 

「本当にどうしたもんだろうね……ほっ」

 

思考を進めながらも、手元のフライパンに注意を向ける。今日のお昼ご飯は回鍋肉。野菜をたっぷり入れてある。僕一人で食べるには多いようにも見えるが、余ったら夕食のおかずになるだけだ。僕はご飯を作るとき、多めに作る癖がある。なぜなら…………

 

 

ピンポーン

 

 

ん?来客か?

コンロの火を止めて玄関へと向かう。

 

「はーい」

 

 

「葉、ご飯食べさせて」

 

 

………なぜなら、こうやってたまに幼馴染が突然ご飯を食べに来るからだ。

 

「もうすぐできるから、上がって待ってて」

 

「うん」

 

夏蓮を居間に通し、僕は料理の仕上げに入る。

 

「それにしても、解散してから時間あったけど家にご飯もないのに何してたのさ」

 

「ほら、そろそろ葉がご飯作り終えるかなと思って」

 

「本当は?」

 

 

「茜と話をしてたらこの時間になった」

 

ほほう、それはそれは。なるほど、元々秋津茜さんと話をしようと思って僕に長めの昼休みを言い渡して先にログアウトさせたという事か。夏蓮も夏蓮なりにいろいろ考えているんだなぁ。

 

「それで、どれくらい話せたの?」

 

「二分くらい?」

 

「……それでいいの?」

 

「恥ずかしかったから。仕方ない」

 

「隠岐さん…かわいそうに…」

 

隠岐さんはこのヘタレと今後付き合っていかなきゃいけないのか……

夏蓮のこの性格をどうしたものかと考えながら、料理を夏蓮のもとへ運んでいく。

 

「そうだ、夏蓮も料理覚えたら?隠岐さん喜ぶかもよ」

 

「むしろ紅音の手料理が食べたい…」

 

「だめだこりゃ」

 

隠岐さんはこんなののどこを好きになったんだろうか。

 

「「いただきます」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご飯を食べ終えた夏蓮は自分の家に帰っていった。

 

「時間まだあるけど、どうするの?」

 

と聞いてみたが、

 

「精神統一」

 

と答えられた。

自分の恋人と遊ぶのにどんな心構えが必要なんだよ全く。遊ぶたびに精神統一してたらどうしようもないでしょうに。

 

そんな夏蓮は放っておいて僕は先にログインすることにする。

 

 

 

ログインすると、既に宿屋のロビーに秋津茜さんの姿があった。

 

「あれ、秋津茜さん早いね」

 

「あ、モルドさん。モルドさんも早いと思います。まだ時間ありますし」

 

「まぁ、現実世界にいてもやることないしね」

 

「そうですよね。私も、なんかそわそわしちゃってログインせずにはいられなかったんです!」

 

この子は本当に早く遊びたいんだろうな。その相手は今もなお精神統一に励んでいるわけだが。

この子………不憫すぎる………!

 

「秋津茜さん…頑張ってね……僕は応援してる!!」

 

「なんの話ですか?」

 

「ルストの相手は大変だよ……」

 

「それでも…きっと楽しいですよ!大好きですから!!」

 

 

 

「そういう事言わないで…恥ずかしい」

 

 

 

部屋から出てきたルスト。精神統一は終わったんだろうか。

 

「あ、ルスト来たんだ」

 

「……!!!!!!!」

 

ルストを目の前にするとフリーズするんだな、秋津茜さんって。まぁ今の大好き発言を聞かれたのは恥ずかしいか。

 

「私の話はいいから。早く出発しよう。時間がなくなる」

 

一人で先に出ていくルストと慌てて追いかける僕と秋津茜さん。ルストは決して振り向かない。

 

「モルドさん、モルドさん」

 

「ん?どうしたの?」

 

「ルストさん、一人で行っちゃうの、私怒らせちゃったんでしょうか……」

 

「いや、あれ照れてるだけだよ」

 

ルストって表情薄いから無愛想に見えちゃうけど、そもそも顔を見せないのは照れてるときの癖だ。

 

「そっか…ルストさん照れてるんだ…かわいい…えへへ……」

 

結局テンションの上がった秋津茜さんは、山岳地帯につくまでに出現した敵をほぼ瞬殺して、意外とあっさり目的地につくことができるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「うわー!見晴らしいいですね!!!」

 

「うん。景色がきれい」

 

「たしかにこれはすごいね」

 

目下に広がるのはさっきまでに踏破してきた樹海エリアのその全貌。エリアの奥には新大陸と旧大陸の間に広がる海が見えて、海岸付近には大きな前線拠点がかろうじて見える。

今度は山頂方向に目を向ける。白い岩肌と青空のコントラストが綺麗で目が釘付けになる。

 

「さすがシャンフロシステム……これがいずれネフホロ2に………!!!」

 

ルストは相変わらずネフホロのことしか頭にないな。

 

「うわーっ!!ほわーっ!!」

 

秋津茜さんはなんか叫びながら走り回っている。自由だな、この二人。

 

 

「あ、秋津茜さんちょっと待って!ルスト、行くよ!」

 

秋津茜さんは一人で走っていく。このままだと本当にはぐれそうだ。

 

ようやくもう少しで追いつけるというとき、

 

 

 

何かが秋津茜さんめがけて降ってきた。

 

 

 

「あっぶなかった!!」

 

謎の巨大飛来物から【空蝉】の緊急回避で逃げてきた秋津茜さん。僕たち三人はその飛来物を警戒して即座に武器を構える。

 

 

やがて土煙の中から姿を現したのは、巨大な翼竜だった。

 

 

前線拠点のプレイヤーに聞いたことがある。ジークヴルムが倒されたあと、数多くの飛行モンスターが制空権を求めて争っていた。そしてその争いを勝ち抜いたとあるモンスター、二つの頭から放たれるブレスで多くのモンスターを蹂躙したというとてつもない強さを誇る二つ名付きのモンスターがいると。

 

 

 

「ドラクルス・ディノコアトル…“蒼雷の冠(ブリューナク)”!」

 

 

 

数多のモンスターやプレイヤーを倒した雷の槍が、縄張りを侵した害虫(僕たち)を狙う。

 

………これ、やばくない?




秋津茜メインでやりたいのにルスモルのシーンのほうがうまくいきがち
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