鉄華団団長とホロライブ   作:フォールティア

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新年明けましておめでとう御座います(今更)

真冬だってのに海水浴回とか季節感ガバガバ過ぎないかな?
まあ私が悪いんですがね!!
はいごめんなさい!!(土下座)




そんなこんなの水着回!-2

それから暫く。

無残にもポイズンクッキングされた焼きそばの代わりをちょこ、AZKiを筆頭とする料理出来る組が即座に仕上げたことで無事に昼食を済ませ、ただいまの時刻は13時を回った所である。

 

陽射しはなおも強さを増し、波打ち際の海水が心地好さげに揺れている。

 

「──で、なんで私まで水着なんですか」

 

「わかんねえ」

 

コテージで食休みがてらレモンスカッシュを飲んでいると文句ありげな顔な友人Aがスポーティーな水着姿で現れた。

 

「ロボ子ちゃんが気を利かせてくれたんだよ」

 

「ときのか、楽しんでるか?」

 

「もちろん!」

 

次いで現れたホロライブの第一人者、ときのそらはオルガの問い掛けに笑顔で応えると友人Aの手を牽いた。

 

「行こ、えーちゃん!折角の海なんだし楽しまないと!」

 

「あー仕事がー写真撮影がー……」

 

「……そっちは俺がやっとくから行ってこい」

 

あーれー……、と気の抜ける声を残し友人Aはそらに引っ張られていった。

友人Aの言った通り、今回はただの海水浴では無い。

水着での写真撮影と言う大義名分があるのだ。ロボ子曰くVR空間なのでいちいちカメラを構えなくとも撮影と念じるだけで視覚情報から風景を自動的にいい感じにして撮ってくれるらしい。

しれっととんでもない。

 

とはいえ流石にその役目は友人Aに任せることにしている。

自分が行った所で変に萎縮させてしまうだろうし、皆と仲の良い友人Aの方が自然な画を撮れると判断したからだ。

なので必然、残っているのは──。

 

「更新機材の領収書は……と」

 

何時も通りの事務処理である。

現実にある物と同期したPCに慣れた手つきでデータを入力していく。

潮騒と少女達のはしゃぐ声に何処と無く懐かしさを感じつつ暫く打ち込んでいると突然背後から声がした。

 

 

「こんなきり~!」

 

「うおっ!?」

 

驚いて思わず叫んでしまったオルガが振り返るとそこにはしたり顔で笑う角の生えた少女がいた。

 

「百鬼か……驚かせるなよ」

 

「後ろから声をかけただけだぞ?んふふ」

 

そう言って鈴のような声で笑う彼女は百鬼あやめ、シオンと同じホロライブ二期生の鬼娘である。

ご覧の通り悪戯好きである。オルガも度々被害に遭っていてもはや慣れたものだ。

 

「ったく……で、どうかしたのか?」

 

「だんちょを呼んでくれってミオちゃんに言われたんだ余」

 

「大神が?」

 

「とりあえず来るのだ~」

 

「いやまだ仕事が、っておい引っ張るな力強いなお前!?」

 

「鬼だからな!」

 

抵抗虚しくあやめに腕を掴まれ、先程の友人Aと同じように浜辺に連れ出される。

そうして連れ出された先にあったのは……

 

「ではこれよりスイカ割り大会の開催だコルァァァ!!」

 

「「「YEAHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHA!!!!」」」

 

およそ2メートルはあろう巨大すぎるスイカを前に盛り上がっている桐生ココを筆頭とした面々だった。

 

「いやデカ過ぎんだろ」

 

自身の身長と殆んど変わらないスイカを見て率直な感想が出る。

スイカ割りをすること自体は下調べの段階で知っていた。知っていたが……

 

「どう割るんだよこれ」

 

「木刀じゃまず無理ッスね。皮が厚そうだし」

 

いつの間にか隣に来ていたスバルが木刀をステッキ代わりに突きながら愚痴る。

 

「目隠ししても当たりそうな大きさだけど、これじゃあねぇ」

 

と困ったように眉をひそめるちょこ。

それに対して、

 

「だんちょだんちょ、余の二刀なら斬れるかな!」

 

「私のメイスならワンチャンある……!」

 

「魔術有り?なら余裕っしょ!」

 

「……おっきい、『スイカ』……叩き割ってやるのデス……」

 

息巻くあやめ、ノエル、シオン。

るしあ……は謎の怨念が籠っているように見えるが気のせいだろう。気のせいだと思いたい。した。

 

こうして始まった巨大スイカ割り大会は、とりあえず楽しむエンジョイ組、絶対にカチ割るという覚悟を決めたガチ組、端から見つつ茶をしばく傍観組の三つに別れ混迷を極めていた……!

 

 

No1.白銀ノエル

 

「よっしゃやるぞー!」

 

「おいおい、いきなり白銀かよ」

 

「あのメイスの破壊は伊達じゃないですからネ~、これは早くも決まったカ!?」

 

────バゴォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!

 

「勝ったナ……」

 

「桐生、それフラグじゃねえか」

 

「なん……だと……?」

 

爆音と共に割れる筈のスイカはしかし、表面に少しの凹みを見せただけだった!!

 

「嘘だろ……」

 

白銀ノエル、失敗!

 

 

No2.AZKi

 

「いやあれでダメなら無理でしょ」

 

「ごもっともだな」

 

「流石のワタシも予想外デシタ」

 

ぱこっ

 

\無 傷/

 

「ですよねー」

 

AZKi、失敗!

 

 

No3.常闇トワ

 

「「TMT(トワ様マジ天使)」」

 

「やめんか!!悪魔、ア・ク・マだから!!」

 

「様式美ってヤツですワ」

 

「こうなったら悪魔の力ってもんを見せてやる!」

 

ゴッ──!

 

「~~~~~~っ(声にならない叫び)」

 

「スイカからじゃなく常闇の手から鳴ったな……大丈夫か?」

 

\無 傷/

 

常闇トワ、失敗!

 

 

No4.さくらみこ&兎田ぺこら

 

「まさかのダブルエントリー……ってかありなのか?」

 

「尺」

 

「「そこ、メタネタはやめるにぇ(ぺこ)!!」」

 

「……で、どうやるんだ?」

 

「ぺこらが人参を冷凍して!!」

 

「みこがハンマーで刺す!!」

 

「割るって概念何処に行きやがった……」

 

「「ぺこみこン、ハンマーァァァァァァァァァァァ!!」」

 

グシャァァァァァァァン!!

 

\無きz

 

「いや……あれは!?」

 

「スイカに人参が……刺さりマシタ!!……けど割れて無いので失敗デスね~」

 

「「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」」

 

ぺこみこ、失敗!

 

 

そこから次々とスイカに挑むも、その表皮に凹みをつけるか人参を少しめり込ませるかに終始し、遂にラスト三人になってしまった。

 

「まさか断崖五絶壁の四壁でさえ割れないとワ……」

 

「宝鍾がわざわざ作った大砲の砲撃でも無理じゃあな……」

 

 

No13.白神フブキ&大神ミオ

 

「猫と狼コンビか」

 

「狐じゃい!!」

 

「お二人はどのよう二?」

 

「「力を込めて殴る」」

 

「シンプルイズ物理~」

 

 

「「──疾ッ」」

 

スパァン!!

 

「今の見えましタ?」

 

「全くだな……音速行ってないか、あのスピードっておい」

 

「赤い……汁……!!割れたカ!?」

 

「いや……人参が深くめり込んだだけだ」

 

「あちゃー、ダメでしたか~」

 

「人参を杭にして割れるかなって思ったんだけどなぁ」

 

フブミオ、失敗!

 

 

No14.天音かなた

 

「さあラストを飾るのはPPT、かなただァ!!」

 

「大丈夫なのか……?」

 

「ねえココ、一つ良い?」

 

「何?」

 

「流石に割るのは無理そうだから、削っていい?」

 

「「……は?」」

 

それはどういう意味だと問う前に、かなたはスイカの表面をペタペタと何かを確認するように触る。

 

「ん~……やっぱりみんなのおかげで柔らかくなってる。これならイケるかな」

 

「ま、まさかかなた……お前!」

 

「そのまさかさ!!ふんっ!」

 

不敵に笑ったかなたが力を込めてスイカに指を突き立て……その皮を『貫いた』!!

 

「おいおいおいおい、マジかよ!?」

 

そしてそのまま握力を全開に、腕を振り下ろす!!

 

「これが!天使の!AKURYOKUだああああああ!!」

 

 

グシャァァァァァァッ!!

 

『…………』

 

呆然とするオルガ達に、弾ける赤々とした果肉と果汁が雨のように降り注ぐ。

 

「えっへへ~、やったぜ!」

 

その最中、スイカの間近でそれを浴びたかなたが振り返りVサインを天高く掲げた。

 

『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』

 

 

天音かなた、成功!!

 

 

 

 

 

「デカいだけかと思ったが……何だよ、結構ウマイじゃねえか……」

 

人生初のスイカの甘さに舌鼓を打ちながら、呟く。

日はとうに傾き、水平線に太陽が沈み出している。

片付けは既に終わり、残りの時間を皆思い思いに過ごしていた。

 

「どうでした?二度目の海は」

 

テーブルの対面に座った友人Aに問われ、オルガは最後の一口を飲み込んで答えた。

 

「ああ、悪く無かったな」

 

沈む夕日を眺める。

こんな景色を、『皆』とまた────

 

「……いや」

 

最早叶わぬ憧憬を言葉と共に掻き消して、『今』の気持ちを素直に吐き出す。

 

「楽しかったさ」

 

「……よかった」

 

「さて……そんじゃ行くか」

 

「ええ」

 

ぱんっ、と膝を叩いて立ち上がる。

 

「よぉしお前らぁ、帰るぞ!!」

 

 

 

 

 

 

後日、事務所にて。

 

「しっかし、すげえ売れ行きだな」

 

「ホロライブ全員での写真集は初めてですからねぇ」

 

デスクの上に山と詰まれた写真集の内、サンプルとして渡された一冊を開いてオルガと友人Aは中身を見ていた。

先日の海で撮影した、水着メインの写真集は見事な売れ行きを見せ売り切れが続出。

通販サイトでさえ入荷待ちの状態となった。

 

「ロボ子様々ってヤツだな」

 

「ですね」

 

色々と用意してくれたロボ子には感謝しても仕切れない。

 

「YAGOOの親父も忙しそうだったな」

 

「嬉しい悲鳴、でしょうね」

 

「「ははははは……」」

 

二人して笑い合い、正面を見る。

そこには大量に詰まれた段ボールがさながらテトリスのように詰まれていた。

写真集は写真集。それが終われば当然、次の仕事が有るわけで。

 

「やりますか」

 

「ああ……よし、始めるぞ!」

 

今日も今日とて、忙しい日常が始まる。

 

胸に確かな思い出を抱いて。


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