上弦の白兎   作:ヨーギラス

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価値観

豊饒の女主人で食事をした日の翌日、僕はいつも通りダンジョンに潜り魔石を集めていた。

 

「ギャァオオオオオオオオオオオオオッ」

 

「煩い」

 

僕はその言葉とともにブラッドサウルスの首を刎ねる。

 

「ふむ、この階層は忙しなくモンスターが襲ってきてくれるから楽だ」

 

ここは二十九階層・『密林の峡谷』、恐竜種のモンスターが生み出される領域。

 

三つ首で巨躯(パワー)型の「アルマロサウルス」を殴殺し、俊敏(スピード)型の『シャドーラプトル』は鎌で首を飛ばす。

 

「さて、魔石も十分集めた。帰ろう」

 

そう言いながら琵琶取り出し、弾いた。

 

べんっ!!

 

その瞬間、僕は十八階層に移動していた。

 

「さて、今日も豊饒の女主人へ食べに行こうかな」

 

こうして、僕の一日は終わりを迎えた。

 

そうして、何日かが過ぎた頃の帰り道巨大な貨物箱を運ぶ集団が居た。

 

しかも、その中に入っていたのはモンスターだ。

 

「なんだあれ?」

 

疑問をいだいたがすぐに自分には関係ないと興味をなくしダンジョン探索に勤しんだ。

 

その日の換金で管理機関(ギルド)に行くとエイナさんにこう言われた。

 

「ベル君、たまには息抜きとかしたらどうかな?」

 

「息抜きですか・・・?」

 

急にそんな事を言ってきたエイナさんに疑問符を浮かべる僕。

 

「今度お祭りがあってね、ベル君オラリオに来たばかりだから知らないのも無理ないけどね」

 

「まぁ、祭り自体興味ないですし」

 

「えぇ、それはなんとも言えないね」

 

僕の一言にエイナさんは戸惑ってしまう。

 

「それで祭りとはなにか目玉でもあるんですか?」

 

「うん、【ガネーシャ・ファミリア】のモンスターの調教(テイム)が有名だよ」

 

「あぁ、あの時のモンスター運搬はそういうことですか」

 

「たぶん、怪物祭(モンスター・フィリア)関連だと思うよ」

 

僕の言葉にエイナさんから目玉を教えてもらい少しばかり興味が湧く。

 

「まぁ、気が向けば行きますね」

 

「うん、こればかりは個人の自由だしね」

 

「では、帰り・・・」

 

そう言って帰ろうとした時エイナさんに肩を掴まれる。

 

「所で、ベル君普段ダンジョンの何階層まで降りてるのかな?」

 

「二十九階層ですがなにか」

 

「なにか、じゃないよ!!二十九階層はLv.3の冒険者が部隊(パーティ)に複数居て攻略する場所なの!!Lv.2のベル君が行って良い階層じゃないの!!こんな無茶するなら探索禁止にするよ!!」

 

「無茶なんてしてませんよ」

 

「実力違いの階層に行くこと事態間違っているの!!」

 

「・・・あんまりこんな事言いたくないですけどね、この仕事貴方には向いてないですよ」

 

「!?」

 

「貴方は優しすぎる、その優しさは普通であれば美徳なんでしょう。でもね、貴方と冒険者の考えは違う」

 

「だから、認識の齟齬が起こる」

 

「冒険者は冒険しなくてはならない」

 

「冒険をしない、安全な探索を心がける者にとってはそうでしょうが誰しもがそうではない」

 

「貴方の行っている行為は『枷』にしかならない」

 

そう言って換金した後、僕は本拠(ホーム)へと帰っていく。

 

 

 

 

「『枷』にしかならないか・・・」

 

私、エイナ・チュールは担当冒険者にこの仕事に向いていないと言われた。

 

「私のしてきたことって間違ってたのかなぁ・・・」

 

そう呟いていると、先輩であるローズさんから来客だと言われて行くとリヴェリア・リヨス・アールヴ様がいらした。

 

「リヴェリア様、今日はどうされたのですか?」

 

「あぁ、今日は・・・どうしたエイナなにかあったのか?」

 

「えっ、いや、何もありませんよ!?」

 

「嘘を付くな、顔に落ち込んでいると書いているようなものだぞ」

 

「えっ、嘘!?」

 

なんとか誤魔化そうとするも失敗に終わる。

 

「何があったか聞かせろ」

 

「・・・はい」

 

結局、リヴェリア様にすべてを話すことになってしまった。

 

「この仕事に向いていない、枷になっているか・・・」

 

「はい、担当している冒険者にそう言われてしまいまして・・・」

 

「エイナお前は優しすぎる所があるのは確かだが、それは相手のことを思い合っているからだ」

 

「他者を思いやれるお前を私は嬉しく思うぞ」

 

「リヴェリア様」

 

リヴェリア様の言葉が嬉しくて泣きそうになってしまう。

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