上弦の白兎   作:ヨーギラス

15 / 17
邪道の武器

神様が本拠(ホーム)を留守にして三日が経ち、怪物祭(モンスター・フィリア)当日となった。

 

「賑やかだな」

 

そうやって周囲を見渡しながら歩くのだった。

 

「おーい、そこの白髪頭」

 

すると、西の大通り(メインストリート)を歩いていると豊穣の女主人の給仕をしている猫人(キャットピープル)の女性に声をかけられた。

 

「どうかされたんですか?」

 

「実はシルがこの忙しい日にサボって祭りに出掛けちゃったのニャ。でも、シルはおっちょこちょいで肝心の財布を忘れていったのニャ」

 

「全然違いますよ」

 

猫人の女性の言葉の後、否定の言葉が飛んでくる。

 

「シルはミア母さんの許しを得て休みを貰っているのでサボりじゃありません」

 

話の流れからしてシルさんに忘れてしまった財布を届けてほしいということらしい。

 

「解りました、シルさんに会ったらお渡ししますね」

 

「お願いします、クラネルさん」

 

こうして、頼まれごとをされた僕は気分転換もかねて怪物祭(モンスターフィリア)に参加することにした。

 

 

 

【ヘファイストス・ファミリア】本拠(ホーム)『バルカの工房』主神執務室兼鍛冶場にて二柱の女神の手によって一振りの刀が打たれた。

 

あの後、一向に引かないヘスティアの言葉を受けてヘファイストスが折れた。

 

見てくれは柄・刀身・鞘が黒一色の刀、しかして処女神(ヘスティア)の力及ばずの力添えと共に鍛え上げられた鍛冶神(ヘファイストス)入魂の一振りである。

 

刀の素材は精製金属(ミスリル)不滅の処女神(ヘスティア)の髪と神血(イコル)が用いられており、更に鍛造過程で【ステイタス】の加工が施されており刀自身に【ステイタス】が発生している。

 

言うなれば、『生きた武器』である。

 

制作者(ヘファイストス)曰く「邪道」と言わしめる代物。

 

それが・・・。

 

「この刀の名前は…炎刀・弦月」

 

刀の()は炉の女神の唇より賜るのだった。

 

「いい、ヘスティアよく聞いておきなさい。この刀はあんたが【神聖文字(ヒエログリフ)】を刻んだ通り『ステイタス』が発生しているわ。文字通り生きているわ」

 

神の恩恵(ファルナ)を授かった子供達同様に装備者が獲得した『経験値(エクセリア)』を糧に進化していく。使い手が強ければ強いほどにこの刀強くなる」

 

鍛冶師(わたしたち)からすれば勝手に至高に至る武器なんて邪道よ、二度と作らせないでよこんな武器」

 

説明とともに釘を差すように言ってくるヘファイストスにヘスティアは礼を言った。

 

「うん、ありがとうヘファイストス。ボクのこんな無茶なお願いを聞いてくれて」

 

「それと、借金(ローン)があること忘れないでよ」

 

「うん、もちろんさ!!」

 

そうして、出来上がった刀【炎刀・弦月】とともにベルの元に向かうヘスティアなのだった。

 

 

 

 

一方、その頃僕は屋台の出店を片っ端から食べ尽くしていた。

 

「あそこの串焼きは香辛料が強くて酒に合うなぁ、じゃが丸くんに挟んで食べても美味かった。次はそうだな、港町(メレン)の魚介類を食べよう」

 

このように祭りを満喫しているのだが、肝心のシルさんが見つからない。

 

「ふむ、これだけ探しても見つからないとなると…やはり円形闘技場(アンフィテアトルム)で行われているモンスターの調教(テイム)を見に行っているとしか考えられないな」

 

そう思い僕は都市の東部にへと向かうのだった。

 

 

 

フレイヤの悪戯は実行しますか?

  • はい・オッタル
  • はい、モンスター
  • いいえ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。