上弦の白兎   作:ヨーギラス

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対談

ベルが中層へ足を踏み入れている時、主神であるヘスティアは困惑していた。

 

突然、ギルドの職員が【ヘスティア・ファミリア】の本拠(ホーム)である廃教会の隠し部屋までやってきたからだ。

 

「{ベル君、君は一体何をしたんだい!?}」

 

内心ハラハラとさせながらギルド職員の言葉を待つ。

 

「初めまして、神ヘスティア。私はベル・クラネル氏の専属アドバイザーをさせていただいていますエイナ・チュールと申します。」

 

「う、うん、よろしくねエイナ君。それで今日は何しにここに来たんだい?」

 

自己紹介から始めるエイナに対して何とか平静を保とうとしながら言葉を続けるヘスティア。

 

それに対してエイナは早速訪れた理由である本題にへと入っていく。

 

「実はベル君の事なんですが・・・。」

 

「もしかして、何かとんでもない事をしたのかい!?」

 

深刻そうに語るエイナに対して立ち上がりながらそう言うヘスティア。

 

ヘスティアの反応に対してエイナはすぐに否定する。

 

「落ち着いてください神ヘスティア、何か大きな問題を起こしたという訳では無くてですね。冒険者になったばかりの彼が初日から七階層まで降りていてですね・・・。」

 

エイナの話を聞いてヘスティアは自分の眷属(こども)が大きな問題を起こしてしまったのかと慌てたが、ただ七階層に降りた事だけだったことに安堵した。

 

「なーんだ、そんな事か・・・。」

 

「そんな事ではありません、冒険者になったばかりの新人が多くの命を落としているんですよ!!そんな無茶な探索をしていたらいつか本当に命を落としてしまいます」

 

ヘスティアの反応に声を荒げるエイナ。

 

そんなエイナに対してヘスティアはこう言った。

 

「いいかい、アドバイザー君。」

 

「何でしょうか?」

 

ヘスティアの真剣な表情を見てエイナも緊張感を持って聞きに入る。

 

「ベル君の経歴を知るべきだ。」

 

「ベル君の経歴ですか?」

 

ヘスティアの言葉に疑問符を浮かべるエイナに構わず更に言葉を続けるヘスティア。

 

「でも、それはベル君の口から直接聞くべきだ。ボクからはそれしか言う事は出来ないよ。」

 

「・・・。」

 

ヘスティアのその言葉を受けてエイナは黙るしかなかった。

 

「分かりました、それではベル君から直接聞くことにします。」

 

「うん、その方がいい。その方が君の為にもね。」

 

「突然の訪問に応じて頂きありがとうございました、それでは失礼します。」

 

そう言ってエイナは【ヘスティア・ファミリア】の本拠(ホーム)を出るのだった。

 

 

 

中層の十三階層へと踏み込んだ僕はモンスターの大群に囲まれていた。

 

放火魔(バスカヴィル)と呼ばれるモンスター・ヘルハウンドの吐く炎を躱し、アルミラージュの投げる石斧を掴んでは投げ返したりしていたが、流石に数が多い為スキルを使うために扇子を取り出した。

 

【血鬼術 枯園垂(かれそのしづ)り】

 

強力な冷気を纏わせた扇子を舞うように連続で振るいながら中層のモンスターを魔石やドロップアイテムへと変えて回収していく。

 

「本当に数が多い・・・。」

 

そう、中層は上層とは違いモンスターの出現速度が速い。

 

一度モンスターの群れに捕まれば抜け出すには相当の労力を要する、一部の者達を除けばの話だが。

 

「あぁ、腹立たしい(・・・・・)。」

 

僕はその一言と共に手に持った錫杖(・・・・・・・)を地面に突き立てた。

 

その瞬間、錫杖から雷が放たれ、いとも簡単にその場にいたモンスターを全て駆逐し魔石やドロップアイテムへと変えると回収していく。

 

「一つ目の袋にはもう入らないな・・・。」

 

そう言うと、僕は琵琶を取り出してべんと弦を弾いた。

 

その瞬間、大量の魔石やドロップアイテムの入った袋は消えて入れ替わりで何も入っていない袋が足元にあった。

 

魔石の入った袋はどこに行ったのかというと、僕の作った異次元空間「無限城」へと置いてある。

 

その空の袋を拾い上げて僕は更に下の階層にへと足を運んでいくのだった。




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